日本で外国人英語教師を採用するには?ビザ・雇用条件・年収相場を徹底解説

日本で英語教育を担う人材として、外国人教師の採用を検討する学校・企業が増えています。
しかし、採用にあたっては在留資格の確認や必要条件の理解が不可欠です。
この記事では、外国人英語教師を採用する際に知っておきたい在留資格の違いや雇用条件、年収相場、採用方法まで詳しく解説します。
Contents
外国人英語教師を雇用する際の在留資格と要件

外国人を日本で英語教師として採用するには、在留資格(ビザ)の種類と、その取得条件をきちんと理解しておく必要があります。
まずは、採用時に考慮すべき主な在留資格と、必要なスキル・書類などの基本要件について見ていきましょう。
在留資格ごとの特徴と違い
英語教師として採用する際に適用される在留資格は、職場の種類や業務内容によって異なります。
小学校や中学校、高等学校、大学、専門学校などの教育機関で英語を教える場合には、「教育」の在留資格が必要です。
このビザを取得するためには、以下のいずれかに該当する学歴・職歴が求められます:
- 教える言語(例:英語)で12年以上の教育を受けている、または5年以上の実務経験がある
- 以下のいずれかの学歴・資格を有している
- 大学卒業、またはそれと同等の教育課程を修了している
- 教育免許を所持している
- 日本の専修学校で、教育内容に関連する専門課程を修了している
また、報酬については「日本人と同等額以上」が条件とされます。
なお、インターナショナルスクールのように、一部の機関では条件が緩和される場合もあります。
技術・人文知識・国際業務ビザ|英会話スクールや企業研修など
この在留資格は、主に英会話スクールや企業の語学研修などで英語を教える場合に該当します。
以下のように、職務内容に応じて要件が異なる点に注意が必要です。
- 【国際業務】…英語を母語とし、その言語で外国人として英語を教えることに従事
- 大学卒業、または英語教育に関する3年以上の実務経験が必要
- 【人文知識】…人文科学の知識(言語・文化など)を活かして教育に従事
- 大学卒業(英語専攻など)、専修学校卒、または10年以上の実務経験が求められます
こちらも教育ビザと同様、報酬面では「日本人と同等額以上」であることが必要です。
英語教師に求められる基本的なスキル・資格
在留資格とは別に、採用するうえで確認しておきたいスキルや資格もあります。
ここでは、一般的に求められる条件や、採用前に用意しておきたい書類などをご紹介します。
TEFLやTESOLなどの英語教授法の資格があると安心
英語を教えるスキルを客観的に証明できる資格として、TEFL(Teaching English as a Foreign Language) や TESOL(Teaching English to Speakers of Other Languages) などが挙げられます。
必須ではない場合もありますが、採用時の判断材料として重視されることが多くなっています。
学士号(大学卒業)や英語圏出身であること
多くの在留資格では、4年制大学の学士号の取得が基本条件です。
また、母語が英語である国(アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリアなど)の出身者であることが求められるケースもあります。
犯罪歴の有無や健康診断書などの確認書類
採用時には、犯罪歴がないことを証明する書類(無犯罪証明書)や、健康状態・薬物検査の結果などの提出を求められる場合も。
これらはビザ申請時にも必要となるため、あらかじめ確認しておきましょう。
外国人が英語教師として働ける仕事の種類と特徴

外国人英語教師の雇用形態は、勤務先や求める役割によってさまざまです。
ここでは、学校・英会話スクール・オンライン講師といった主な働き方の特徴と、それぞれに合った人材の見極めポイントを紹介します。
学校で働く外国人英語教師(正規教員・ALT)
日本の教育機関で外国人英語教師を採用する場合、正規教員としての採用だけでなく、ALT(外国語指導助手)としての活用も一般的です。
それぞれの特徴を押さえておくことで、採用方針の検討に役立ちます。
正規教員として採用する場合
日本の小・中・高校で正規教員として採用するには、「教員免許」が必要です。
外国人の場合、日本の教職課程を修了して免許を取得する必要があるため、採用のハードルは高め。
一方で、大学や専門学校では教員免許が必須とされないことも多く、学位や職歴、英語指導の実績などを基準に採用されるケースもあります。
カリキュラム開発や授業運営を任せたい場合には、こうした人材の活用が効果的です。
ALT(外国語指導助手)として採用する場合
ALTは、英語の授業を担当する日本人教員の補助として、生きた英語を教える役割を担います。
教員免許は不要で、大学卒業程度の学歴があれば応募できるため、採用の間口が広いのが特徴です。
特に小中学校で導入が進んでおり、英語に対する苦手意識を減らすことや、授業の活性化にもつながります。
生徒と積極的にコミュニケーションが取れる人材かどうかが、採用時の大きなポイントです。
英会話スクールで働く外国人英語教師
英会話スクールでは、年齢やレベルを問わず、さまざまな生徒に英語を教える機会があります。
マンツーマンからグループまで、レッスン形式も幅広いです。
幅広いニーズに応える柔軟性が求められる
英会話スクールでは、日常会話だけでなく、ビジネス英語や試験対策など、目的に応じた指導が求められます。
そのため、教える内容に柔軟に対応できる力が必要です。
生徒の満足度がそのまま継続率やスクール評価に直結するため、教え方だけでなく接客対応の質も重要になります。
資格や実績によって採用条件が異なる
スクールによっては、TEFLやTESOLなどの資格や、母国での英語教師としての経験を採用条件としている場合もあります。
とくに大手スクールでは、事前研修やマニュアルが整っているため、未経験者でも育成可能な体制を整えているところも少なくありません。
オンライン英会話講師としての採用
近年、外国人講師によるオンライン英会話の需要が急速に伸びています。
時間や場所を問わず授業を提供できる点が魅力で、国内外問わず幅広い人材を採用できるのが特徴です。
採用のハードルが低く、幅広い人材とつながれる
オンラインレッスンでは、教員免許や豊富な指導歴がなくても採用されるケースが多く、コミュニケーション力や対応力が重視されます。
海外在住の外国人も対象とできるため、採用の選択肢を大きく広げられます。
管理や研修体制の整備がカギ
一方で、物理的に離れた場所で勤務する講師との連携や品質管理には工夫が必要です。
評価制度やフィードバック体制、ICT環境の整備など、一定の運用体制が求められます。
外国人英語教師の雇用形態と報酬の目安

外国人英語教師を採用する際には、雇用形態によって年収や待遇が大きく異なります。
ここでは、正社員・契約社員・アルバイトなどの形態別に、報酬の目安や働き方の特徴を見ていきましょう。
雇用形態ごとの報酬と働き方の違い
雇用形態は、採用目的や求める役割に応じて選ぶことが大切です。
それぞれの形態で働き方や報酬にどんな違いがあるのか、代表的なパターンを見ていきましょう。
正社員|長期的な雇用と多様な業務に対応
正社員として外国人英語教師を採用する場合、月給はおおよそ18〜35万円が一般的で、年収にすると約328万円が目安とされています。
ビジネス英語や試験対策に対応できる人材や、複数拠点を統括できる経験者であれば、月給50万円以上での採用事例も。
ただし、教えるだけでなく、カリキュラム管理や運営補助などを任せることも多く、求めるスキルは幅広くなります。
安定性を重視したい場合や、中核人材として育てていきたいときに向いているでしょう。
契約社員|指導に集中したい人材の確保に最適
契約社員は、英会話スクールや教育機関で主に採用されている形態で、月給は16〜25万円程度が相場。
契約期間を調整しやすく、柔軟な雇用がしやすいのも特徴です。
授業運営に専念できる環境を整えているケースが多く、教えるスキルに特化した人材を確保したい場合に適しており、正社員登用を見据えた採用や、繁忙期限定の対応にも活用されています。
アルバイト・パート|柔軟な人材確保に有効
アルバイトやパートタイムとしての雇用では、時給1,200〜3,000円が一般的です。
講師の経験や人気、生徒からの評価によって報酬は変動する傾向があります。
短時間の勤務や、オンラインレッスン、個別指導などにも対応しやすいため、限られた時間でも活躍できる人材を取り入れたい場合に適しています。
また、他の仕事と掛け持ちをしている講師にも取り入れやすい雇用形態です。
給与や待遇に差が出る理由とは?
雇用形態の違いだけでなく、職場ごとの制度や方針によっても、給与や待遇には差が出てきます。
ここでは、収入面に影響を与えるポイントを押さえておきましょう。
基本給以外の評価制度やインセンティブ
生徒からのフィードバックや継続率、授業数に応じたインセンティブ制度を導入しているスクールもあります。
こうした仕組みがあると、講師のモチベーション向上にもつながるでしょう。
一方で、賞与や昇給制度がない職場もあるため、募集時には条件の明示が重要です。
福利厚生や各種手当の有無
交通費や住宅手当の支給、社会保険の完備といった福利厚生も、講師にとっては大きな安心材料です。
外国人英語教師向けに、住居の手配や生活支援などを行っているスクールもあります。
こうした体制を整えておくことで、採用後の定着率アップや職場への満足度向上にもつながるでしょう。
外国人英語教師をどこで採用する?

外国人英語教師を採用する際には、どのチャネルで募集をかけるかが重要なポイントになります。
ここでは、外国人向けの求人サイトや、採用をトータルで支援してくれる外部サービスを中心に、実際に使える手段をご紹介します。
外国人向けおすすめの求人サイト
「GaijinPot Jobs」「NINJA」「Jobs in Japan」など、外国人に特化した求人サイトは、英語教師を希望する求職者からの閲覧も多く、採用チャネルとして有効です。
勤務地や必要なビザ、報酬などの条件を明記することで、ミスマッチの防止にもつながります。
また、「外国人 英語教師」「ELT(English Language Teaching)」といったキーワードは検索対象になりやすいため、求人タイトルや募集文にも意識的に組み込むのがおすすめです。
採用から定着、生活までをサポートする「GTN」
求人掲載だけでなく、ビザ申請や住まいの確保、生活サポートまで対応が求められる場面も。
こうした課題に対応できる外部サービスを活用すれば、採用担当者の負担軽減にもつながります。
「GTN」では、外国人材紹介をはじめ、採用後の生活サポートまで包括的に対応。
こうした支援を活用すれば、採用側の負担を減らしながら、外国人材にとっても安心できる職場環境づくりが実現できます。
こういったサービスをうまく活用することで、採用のハードルを下げ、外国人材との長期的な関係構築にもつながるはずです。
▶︎ 詳しくはこちら:人材サービス(特定技能・登録支援・高度人材)
採用実績のあるスクール事例から見る傾向

外国人英語教師の採用を積極的に行っているスクールには、シェーン英会話、イーオン、ECC、GABA、ワンコインイングリッシュなどがあります。
いずれも全国展開している企業で、研修制度やビザサポート、福利厚生の整備など、外国人講師の受け入れ体制が比較的整っています。
採用形態は契約社員や業務委託が多く、講師の経験やスキルに応じて待遇を調整している点が特徴です。
こうした実例を参考に、自社の採用体制や雇用条件を見直す際のヒントにするのも良いでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?日本で英語教師として働く上で必要な情報をまとめてご紹介しました。
外国人の皆さんがスキルを活かして日本で活躍することは、日本にとっても大変意義のあることです。ぜひ、自分に合った働きやすくやりがいのある英語教師の仕事を見つけてください。
きっと、充実した日本での生活を送ることができるはずです。言葉の壁や生活習慣の違いに戸惑うこともあるかもしれませんが、前向きに異文化に溶け込んでいく柔軟性を持つことが大切ですね。
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