外国人社員の定着率を高める福利厚生とは?導入メリット・成功事例・運用のコツまで解説

オフィスで福利厚生のコーヒーを入れる女性社員


少子高齢化による人手不足の中、外国人採用は多くの企業にとって欠かせない選択肢となっています。

しかし、せっかく採用しても定着せず早期離職につながってしまうケースも少なくありません。

そのカギを握るのが「福利厚生」です。

この記事では、外国人採用を考えている企業に向けて、福利厚生の基本、外国人特有のニーズに応える制度、導入時の注意点、そして運用のコツまでをわかりやすく解説します。

 外国人雇用と福利厚生の重要性

外国人雇用は、労働力不足の解消だけでなく、組織の多様性や新しいアイデアの創出にもつながります。

ただし、言語や文化の違いから、職場環境になじめず早期離職してしまう人も。

福利厚生を整えることで、生活面の不安を減らし、外国人社員が安心して働き続けられる環境をつくることができます。

採用競争力の向上や社内活性化にも効果的です。

福利厚生とは?法定・法定外の違い

福利厚生には、法律で義務付けられたものと、企業が任意で提供するものの2種類があります。

法定福利厚生の基本

社会保険や雇用保険、厚生年金などはすべての従業員に加入が義務付けられています。

法定外福利厚生の役割

住宅手当や食事補助、教育支援など企業が自由に設計できる制度です。

外国人採用では、特有の課題を解決するために法定外福利厚生の充実が大きなポイントになります。

外国人雇用企業が整えるべき福利厚生の種類

外国人社員のニーズは多岐にわたります。

以下のような制度を組み合わせることで、働きやすさと定着率を高められるでしょう。

在留資格取得・更新サポート

ビザの取得や更新は外国人社員にとって大きな負担です。

企業が積極的にサポートすることで、更新忘れや不備による就労停止を防ぎ、安心して働ける環境を整えられます。

【具体例】

  • 申請に必要な書類の案内や翻訳サポート
  • 行政書士費用の一部負担
  • 更新期限のリマインドメール送付

住居サポート

住まい探しは、保証人や初期費用の問題でつまずくケースが多いです。住居サポートがあると生活基盤が安定し、定着率アップにつながります。

【具体例】

  • 社宅や寮の提供
  • 賃貸の物件の家賃補助
  • 外国人専門の保証会社と提携したスムーズな契約

食事補助・宗教配慮

食事は文化や宗教の影響が大きく、対応の有無が満足度に直結します。文化を尊重する取り組みは、安心感と企業への信頼を高めます。

【具体例】

  • ハラールやビーガン対応のメニュー提供
  • 食事補助チケットや社食割引制度
  • 食材ラベルの多言語化

通勤支援

特に地方や交通網が不便な地域では、通勤環境が就業継続に直結します。通勤支援は離職防止に効果的です。

【具体例】

  • 交通費の支給
  • 通勤バスや送迎車の手配
  • テレワーク制度の導入

日本語教育支援

日本語スキルは仕事の効率だけでなく生活の質にも影響します。教育支援があると、社員の成長スピードと社内コミュニケーションが向上します。

【具体例】

  • オンライン日本語学習ツールの無償提供
  • 日本語能力試験(JLPT)の受験支援
  • ビジネス日本語研修

資格取得・研修制度

スキルアップの機会は、キャリア形成とモチベーション維持に欠かせません。外国人社員も同じ機会を得られるよう整備しましょう。

【具体例】

  • 業務に必要な専門資格講座やeラーニングの受講費支援
  • 社内キャリアアップ研修の実施

帰国サポート・休暇制度

母国とのつながりを保てる制度は、長期就労の後押しになります。計画的に導入することで業務への影響も最小限に抑えられます。

【具体例】

  • 年1回の帰国用航空券代の補助
  • 長期休暇(里帰り休暇)の付与

家族サポート

帯同家族の生活も安定してこそ、安心して働き続けられます。家族向けの制度は定着率に直結します。

【具体例】

  • 配偶者ビザの更新サポート
  • 子どもの学校入学や学童手続き支援
  • 家族向けイベントや交流会の開催

メンタルヘルスケア・相談窓口

言語や文化の違いによるストレスを放置すると離職リスクが高まります。早めのケア体制が重要です。

【具体例】

  • 外国語対応の相談窓口やカウンセリング
  • 社内メンター制度の導入
  • 異文化交流イベントで孤立感を軽減

外国人特有のニーズと配慮のポイントは?

外国人社員が安心して働き続けるためには、生活や文化面のギャップに配慮した環境づくりが欠かせません。

言語・文化の壁への対応

日本語が得意でない社員がいる職場では、情報伝達の方法を工夫する必要があります。

  • ローコンテクストでのコミュニケーションを意識する
  • マニュアルや社内掲示物を多言語化する
  • 重要な社内ルールや安全指示を翻訳して配布する
  • 日本語サポート担当やメンターを配置する

これらの工夫でコミュニケーションの誤解を防ぎ、業務の効率も高まります。

宗教・文化的背景の配慮

宗教上の理由で必要な行動や休暇に理解を示すことは、職場への信頼感を深めます。

  • 礼拝スペースや休憩時間の調整
  • ラマダン時期の勤務スケジュール配慮
  • 社食や社内イベントの食事制限対応

こうした配慮は社員同士の相互理解も促進します。

日本人社員との公平性確保

外国人社員だけが特別扱いされていると感じると、日本人社員の不満につながる可能性があります。

  • 福利厚生や手当の基準を明確にし、社内に周知
  • 評価・昇給ルールは国籍にかかわらず共通にする
  • 文化的背景を考慮しつつ、同じ職場ルールを適用

公平性を確保することで、チーム全体の一体感を維持できます。

福利厚生導入のメリットとデメリット

福利厚生を整えることは、外国人社員の採用・定着に大きな効果を発揮しますが、その分コストや運用負担も。

導入前にメリットとデメリットを理解しておきましょう。

◇ メリット

福利厚生は、外国人社員の生活基盤を支え、職場への満足度を高める効果があります。結果として離職率の低下や生産性の向上、採用力アップにつながります。

  • 外国人社員の定着率アップ:住居・言語支援で安心して働ける
  • 採用競争力の強化:他社との差別化になり優秀人材を確保しやすい
  • 職場の多様性促進:多文化共生による新しいアイデアやイノベーション創出

デメリット

一方で、福利厚生の導入には費用や手間もかかります。制度が複雑になりすぎると、社内の不公平感や運用負担が増える可能性も。

  • コスト負担の増加:住宅補助や交通費支給などで人件費が上がる
  • 文化摩擦や不公平感のリスク:日本人社員との待遇差への配慮が必要
  • 運用・制度管理にかかる手間:社内調整やルール作りが必要になる

【成功事例】GTNが実践する外国人が活躍する職場づくり

福利厚生は制度を整えるだけではなく、日常の文化づくりとセットで考えることが大切です。

福利厚生は制度を整えるだけではなく、日常の文化づくりとセットで考えることが大切です。

たとえば、社員の7割が外国籍のGTNでは、次のような取り組みを行っています:

  • 宗教や文化的背景への配慮を標準対応化
  • 管理職の約4割を外国籍社員が占め、意思決定に多様な視点を反映
  • 年1回のピッチコンテストで社員の声を制度化
  • ローコンテクストな伝え方やランチ交流会で相互理解を促進

こうした取り組みにより、外国人社員が長く安心して働き、力を発揮できる職場づくりが実現されています。

詳細はこちらの記事で紹介していますので、あわせてご覧ください。

自社で同じような仕組みをゼロから整えるのは簡単ではありませんが、外部サービスを活用すれば導入もスムーズです。

次に、外国人社員の定着支援に役立つサービスをご紹介します。

GTNは外国人の日本生活をマルっとサポート!

外国人社員の定着支援を強化したい企業には、GTNの生活相談代行サービス「GTN Assistants」がおすすめです。

GTNは創業から約20年、累計70万件以上の生活相談に対応してきた外国人専門企業。

年間20万件の相談に応じ、180カ国・25言語に対応しています。

24時間365日、多言語での生活相談サポートを通じ、企業担当者の負担を減らし、外国人社員が安心して働ける環境づくりを支援します。

\GTN Assistantsで解決できること/

  • 外国語での生活相談(夜間・休日も対応)
  • 来日時の初期手続きや住まい探しのサポート
  • 従業員向け特典や割引サービスの提供
  • 企業側の採用力・ブランディング強化
  • 人事業務の効率化と知識の蓄積

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導入ステップと運用のコツは?

福利厚生の導入は計画的に進めることで、コストの無駄を防ぎ、効果を最大化できます。

ここでは、導入時に押さえておきたいステップと運用のポイントを紹介します。

社内ニーズ調査と優先度設定

まずは現状把握から始めましょう。外国人社員へのアンケートや面談を行い、生活面や就業面でどこに課題を感じているかを確認します。

その結果をもとに、住居支援や言語教育など優先度の高い制度を明確にしておくと導入後の効果が出やすくなります。

日本人社員へのヒアリングも合わせて行い、公平性を保てる制度設計を意識すると良いでしょう。

段階的導入とコスト管理

一度にすべての制度を整えるのではなく、まずは生活基盤に直結するサポートから始めるのが現実的です。

導入後は離職率や満足度アンケートなどで効果を検証し、次に導入する制度を決めるとコストも無駄になりません。

年度ごとに予算を見直す仕組みを作っておくと、長期的に運用しやすくなります。

社員全体への周知と異文化理解研修

制度を導入したら、社内への浸透が不可欠です。

日本語と英語など多言語で内容を案内し、日本人社員に対しては異文化理解の研修を行うとスムーズに受け入れられます。

利用者の声や成功事例を共有して、社内全体で協力し合える雰囲気をつくりましょう。 

まとめ

外国人社員の採用・定着には、制度としての福利厚生だけでなく、文化やコミュニケーション面への配慮も欠かせません。

住居支援や在留資格サポート、日本語教育、メンタルケアなどを組み合わせることで、安心して働ける環境をつくれます。

さらに、GTNのような外部サービスを活用すれば、入国から生活定着まで一貫して支援でき、人事担当者の負担も軽減できるでしょう。

福利厚生は採用競争力や企業ブランドにも直結します。

今後の制度変更も見据え、自社に合った福利厚生を戦略的に設計していきましょう。

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