外国人が日本で家を購入するときの条件は?永住権なし・住宅ローン・現金購入のポイントを解説

外国人が日本で不動産を購入している場面

日本で暮らすうちに「そろそろ家を買いたい」と思う外国人や、移住のために購入を考える方も多いでしょう。

「永住権がないと買えない?」「海外からでも契約できる?」「ローンは組めるのか?」と不安を感じる方に向けて、この記事では外国人が日本で家を買うときの条件をわかりやすく紹介します。住宅ローンのポイントや必要書類、購入時の注意点まで解説するので、購入を検討している方はぜひ参考にしてください。

Contents

外国人が日本で家を買うための条件は?

外国人が日本で家や土地を買う際の基本ルールをまず確認しましょう。

永住権なし・海外在住でも家は買える!

日本では、外国人でも国籍や在留資格に関係なく不動産を購入できます。海外に住んでいる人でも購入可能で、資金さえ用意できれば法律上の制限はありません。

海外では外国人の不動産所有を制限している国もありますが、日本ではそのような規制はなく、居住用・投資用いずれも購入できます。

ただし、「家を買えばビザや永住権がもらえる」という誤解はNG。不動産の所有と在留資格は別制度であり、購入してもビザが不要になったり、永住権が取得できるわけではありません。

また、購入後は日本人と同じように不動産取得税・固定資産税などの税金がかかります。必要書類は異なるものもあるため、事前に確認して準備しておくことが大切です。

購入前に確認したい最新の規制(2025年時点)

2025年現在も、外国人による不動産購入自体に制限はありませんが、一部地域では届出義務が強化されています。

特に、防衛施設や国境離島周辺などの「注視区域」「特別注視区域」では、購入後の報告や事前届出が必要になるケースがあります。都市部でも注視区域が拡大しているため、購入予定地が該当区域かどうかを確認しましょう。

また、海外居住者が日本の不動産を取得した場合、外為法に基づき20日以内に財務局へ報告する義務があります。報告を怠ると罰則の対象となるため、忘れずに対応してください。

日本居住者と海外在住者で違う!外国人が家を買うときの必要書類と条件

購入条件や必要書類は、居住状況によって変わります。事前に揃えておくと契約や登記がスムーズです。

日本居住者の場合

日本に住んでいる人は、日本人と同じような手続きが必要です。在留カード、住民票、印鑑証明、実印を用意しましょう。印鑑は事前に役所で登録しておくと手続きがスムーズ。住宅ローンを組む場合は、収入証明書や納税証明書も必要です。

法人名義で購入する場合は、会社登記簿謄本、資格証明書、代表者の印鑑証明やパスポートが必要になります。

非居住者・海外在住の場合

海外在住者は、パスポート、現地の住所証明書やサイン証明書を用意します。サイン証明は現地の公証人や日本の大使館・領事館で認証を受ける必要があり、来日できない場合は、日本に住む代理人を立て、代理人の印鑑証明や委任状を提出して契約を進めます。

外国人向け住宅ローンの条件と審査対策

家を現金一括ではなくローンで購入したい場合、審査基準を押さえておきましょう。

永住権あり/なしで変わる審査基準

永住権を持つ場合は日本人とほぼ同じ条件で審査されます。一方、永住権がない場合は在留期間、勤続年数、収入の安定性が特に重視され、頭金を多めに求められることもあります。

連帯保証人・頭金を用意すると通りやすくなる

日本人配偶者や親族を連帯保証人にする、頭金を20〜30%以上用意するなどの対策で審査通過率が上がります。複数の金融機関で事前審査を受け、条件を比較しましょう。

ローンが通らないときの選択肢

どうしてもローンが通らない場合は、現金購入や海外金融機関の日本支店を利用する方法も検討しましょう。

家を買う前に準備すべきこと

家探しを始める前に、最低限の準備を整えておくと、購入手続きがスムーズに進みます。

日本の銀行口座・印鑑の準備

購入代金の支払いや住宅ローンの引き落としには、日本国内の銀行口座が必要です。外国人対応や英語サポートがある銀行(例:新生銀行、楽天銀行など)を選ぶと安心。

印鑑は契約書類への押印に使うため、実印として登録しておきましょう。作成から登録完了まで数日かかる場合もあるので、早めの準備がおすすめです。

資金計画と諸費用の見積もり

物件価格だけでなく、仲介手数料(物件価格の3%+6万円+税)、登記費用、印紙税、火災保険料などの諸費用がかかります。合計で物件価格の5〜10%程度を目安に資金を確保しましょう。

現金購入の場合は、海外送金に日数がかかるほか、為替レートによって受け取り額が変わることもあります。さらに、マネーロンダリング対策として資金の出所を証明する書類が求められるため、金融機関に事前確認しておくと安心です。

信頼できる不動産会社・司法書士の探し方

外国人対応の実績がある不動産会社を選ぶと、英語や中国語などでの説明が受けられる場合があります。口コミサイトや外国人向けコミュニティでの評判も参考になります。

契約や登記は専門用語が多く、日本語が不安な方は司法書士や通訳のサポートを依頼するのがおすすめです。費用はかかりますが、トラブル防止のためには有効です。

購入後の手続きと注意点

家を購入したら終わりではありません。所有権の登記や納税管理人の届出、固定資産税の支払いなど、押さえておくべきポイントがあります。

不動産登記と納税管理人制度

購入後は司法書士が所有権移転登記を行い、名義が正式にあなたのものになります。海外在住のまま所有する場合は、納税管理人を日本国内に選任し、市区町村へ届け出る必要があります。納税管理人は税理士や信頼できる知人に依頼するのが一般的です。

固定資産税・都市計画税・確定申告のポイント

固定資産税・都市計画税は毎年1月1日時点の所有者に課税され、4〜6月ごろに納付書が届きます。納付は年4回の分割払い、または一括払いが選択可能。

賃貸として貸し出して家賃収入を得る場合や、将来売却して利益が出た場合は確定申告が必要です。海外居住者の場合は、家賃収入に20.42%の源泉徴収が課されるため、納税管理人を通じて確定申告を行う必要があります。

トラブル防止のために押さえておきたいこと

不動産購入は大きな買い物だからこそ、後悔やトラブルは避けたいもの。ここでは、契約やお金に関するリスクを事前に防ぐためのチェックポイントを紹介します。

通訳・翻訳を活用

契約書や重要事項説明書は日本語が正本となるため、内容を理解してから署名・押印しましょう。必要に応じて通訳を手配したり、事前に翻訳を依頼すると安心。不動産会社に外国語対応のスタッフがいるか事前に確認しておくとスムーズです。

手付金の扱いとキャンセル時の注意

手付金は契約解除時に戻らないケースが多いため、契約前に条件をしっかり確認しましょう。契約解除できる期間(手付解除期日)も契約書に記載されています。

将来の相続・売却時の税務リスク

将来、物件を相続する際には相続税の申告が必要になる場合があります。また、売却時には譲渡所得税がかかり、海外居住者の場合は源泉徴収されるため、早めに税理士へ相談しておくと安心です。

日本で不動産の物件を探す方法

日本語の読み書きや会話が苦手な外国人もいるかもしれません。しかし、基本的には日本人と同じ方法で、インターネットの不動産サイトを利用したり、直接不動産屋を訪れて家を探すことができます。外国人向けのサイトや外国語対応の不動産屋も存在するため、自分にとって使いやすいサービスを見つけましょう。

インターネットで探す

インターネットには、日本の物件を検索できる不動産サイトが数多く存在します。有名なサイトには「SUUMO」「HOMES」などがあり、豊富な情報量で日本全国の家を探すことができます。
日本語が苦手な場合は、英語で情報を提供している不動産サイトを利用するのがおすすめです。「PLAZA HOMES」などのサイトでは、英語で日本の物件を検索できます。

Real Estate Japan

日本全国の売買物件を扱っており、英語をはじめ、複数の言語で提供されています。外国人が日本で不動産を購入する際の手続きや必要書類についても紹介しています。(Real Estate Japan)

PLAZA HOMES

東京都内および近郊の高級住宅やマンションの売買に特化した不動産サイトです。英語でのサービス提供があり、外国人に人気のエリアの物件情報が豊富に揃っています。(PLAZA HOMES)

Housing Japan

東京を中心に、ラグジュアリーな物件の売買情報を提供するサイトです。外国人投資家や居住者向けのサービスがあり、英語によるサポートを提供しています。(Housing Japan)

不動産屋で探す

直接不動産屋を訪れて物件を探す方法もあります。不動産屋では、スタッフと直接話し合いながら家を探せるため、インターネット上の情報だけでは不安な方にも適しています。また、ネットには掲載されていない物件情報を得ることも可能です。
ただし、日本の不動産屋の多くは英語に対応していないため、英語対応の不動産屋を探した方が良いでしょう。例えば「住友不動産販売」などので会社は、多言語でのサポートに対応しており、不動産購入を後押ししてくれます。

Ken Corporation

東京都内の高級不動産の売買に特化した不動産屋です。英語での対応が可能で、外国人の不動産購入をサポートしています。(Ken Corporation Ltd.)

Seven Signatures International

日本国内の不動産売買および投資に関するサービスを提供しており、多言語対応が可能で、外国人の顧客に対しても手厚いサポートを行っています。(Seven Signatures International)

住友不動産販売

日本全国に広がるネットワークを持ち、住宅販売から賃貸管理まで幅広い不動産サービスを提供しています。住友不動産販売は多言語に対応しており、外国人顧客を幅広くサポートしています。(住友不動産販売)

不動産購入のプロセス

不動産購入のプロセスは、物件の選定から契約、そして所有権移転まで複数のステップを経ます。

  1. ニーズの特定と予算計画: 自分のニーズに合った物件の種類と購入予算を明確にします。
  2. 物件検索: オンラインサイトや不動産エージェントを通じて物件を探します。
  3. 物件見学: 興味のある物件を実際に見に行きます。
  4. 価格交渉と予約金支払い: 物件に満足したら、価格交渉を行い、合意後に予約金を支払って物件を確保します。
  5. 購入契約の締結: 正式な購入契約を結び、契約内容に同意します。
  6. 住宅ローンの申し込み: 必要に応じて住宅ローンの申し込みを行います。
  7. 残金支払いと必要書類の提出: 契約に基づき残金を支払い、購入に関連する書類を提出します。
  8. 登記手続き: 物件の所有権移転のために登記手続きを行います。

さらに、不動産購入の際に考慮すべき市場動向や価格帯について理解することは、購入プロセスで非常に重要です。外国人が日本の不動産市場に参入する際には、以下のポイントを押さえておきましょう。

  • 市場動向の把握: 日本の不動産市場は地域によって大きく異なります。都市部では高い需要と共に価格が高騰しやすい傾向にありますが、地方ではより手頃な価格で物件を見つけることが可能です。
  • 価格帯の理解: 物件の価格は立地、サイズ、築年数などによって変動します。予算内で最適な物件を見つけるためには、市場の価格帯を理解し、自分のニーズに合ったエリアを選定することが重要です。
  • 将来の価値: 投資として不動産を購入する場合、将来の価値やリセールバリューを考慮することも大切です。エリアの発展計画や将来の需要予測を調査し、資産価値が上がりそうな地域を選ぶことが推奨されます。

日本で不動産を購入する際は、これらの市場動向や価格帯に関する情報を事前に収集し、計画的に進めることが成功の鍵となります。したがって、市場調査や専門家のアドバイスを積極的に活用することがおすすめです。

よくある質問

外国人が日本で家を買う時に必要な書類は?

外国人が日本で家を購入するにあたっては、日本人とは異なる書類が必要になる場合があります。在留カード特別永住者証明書など、必要に応じて不動産屋に提出しなければなりません。
必要な書類は、在留資格の有無によって異なります。例えば、在留資格がない場合や日本に住んでいない場合は、宣誓供述書などの書類が必要になることがあります。

  • 在留カード特別永住者証明書: 日本に入国した際や在留資格を更新する際に、入国管理局から発行されます。既に持っている場合はそのまま使用し、紛失した場合は最寄りの入国管理局で再発行の手続きが必要です。
  • 宣誓供述書: 日本に住んでいない場合や在留資格がない場合に必要な書類で、購入者が法的な責任を負うことを認める文書です。この書類は通常、購入する不動産の所在地の法務局または公証人役場で作成し、公証人の認証を受ける必要があります。

また、日本では契約時に印鑑が必要となることが多いため、まだ持っていない場合は作成しておくと便利です。サインで済む場合もありますが、ローンを組む際には印鑑が必須となることがあります。

日本で不動産購入にかかる諸費用は?

家を購入する際には、購入代金以外にも様々な諸費用がかかります。不動産会社を通じて家を購入する場合、仲介手数料が発生します。手数料の上限は法律で定められており、購入代金の3%から5%程度です。
家を購入する際には、不動産取得税登録免許税消費税などの税金が発生します。登録免許税は、家を購入したことを国に登録するために必要な税金です。その他にも、火災保険や地震保険の保険料、ローンを組む際の銀行手数料や保証料などがかかります。

外国人が住宅ローンを組むことは可能ですが、日本人に比べて条件が厳しくなることがあり、永住権の有無や、日本での居住歴、日本人との結婚状況などによって、ローンの組みやすさが変わります。永住権がない場合でも、条件によってはローンを組むことが可能です。

参考:国土交通省

外国人が住宅ローンを組むことはできる?

日本では、外国人でも条件を満たせば住宅ローンを利用することが可能です。銀行や金融機関によって異なりますが、一般的には安定した収入と在留期間が求められます。また、永住権の有無がローン条件に影響を及ぼす場合もあります。ローン申請時には、収入証明や在留資格証明書などの書類が必要になることが多いです。
家を現金で一括で買える人は少ないので、たいていはローンを組むことになると思います。しかし、外国人でもローンを組めるのかどうか不安な方もいるかもしれません。
結論から言うと、外国人の方でも日本でローンを組むことは可能です。銀行や金融機関によっても異なりますが、一般的には安定した収入と在留期間が求められます。また、日本人に比べるとややハードルが高くなることもあります。

例えば、永住権を持たない外国人は、持っている人よりもローンを組むのが難しくなります。ただし永住権がない方でも、日本で長く暮らしていて日本人と結婚している場合は、ローンが組める場合もあります。自分でローンを組まずに、日本人の配偶者にローンを組んでもらうのも一つの方法です。
外国人が日本で住宅ローンを組むステップは以下の通りです。

  1. 在留資格と居住状況の確認: 日本での長期居住が可能であることを証明します。
  2. 収入証明: 安定した収入があることを示す書類を準備します。
  3. 金融機関の選定: 外国人にローンを提供している銀行や金融機関を選びます。
  4. 必要書類の提出: 在留カード、パスポート、収入証明書などを提出します。
  5. ローン申請: 金融機関にローン申請を行い、審査を受けます。
  6. 審査結果の待機: 金融機関の審査を待ち、承認を受けます。各金融機関によって異なり、数週間から数ヶ月かかることがあります。

まとめ

日本では、外国人でも家や土地を購入できます。ただし、在留資格の確認や住宅ローンの審査、海外送金、税務など、事前に準備すべきことは少なくありません。

まずは、自分が日本居住者か海外在住者か、ローンを利用するか現金で購入するかを整理し、必要書類や資金計画を整えておきましょう。

不安がある場合は、外国人対応の不動産会社や司法書士、税理士に相談することで、トラブルを避けて安心して取引を進められます。

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