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外国人採用に活かせる!日本語能力試験「NAT-TEST」とJLPTの違いやレベル・メリットを徹底比較

日本語NAT-TEST

外国人を採用する際、日本語能力の証明として多くの企業が「日本語能力試験(JLPT)」を基準にしています。

しかし、それ以外にも有効な試験があるのをご存じでしょうか?

この記事では、JLPTと同等の基準で実施される「NAT-TEST(ナットテスト)」について、JLPTとの違いや活用メリット、レベルや他の日本語試験との比較まで詳しく解説します。

外国人採用を検討している、あるいは現在すでに採用活動を行っている企業の方は、ぜひ参考にしてください。

日本語能力試験「NAT-TEST」とは?JLPTとの違いも比較!

JLPTと並び注目される日本語能力試験「NAT-TEST」。

ここでは、その基本的な概要と、JLPTとの違いについて詳しく紹介します。

「日本語NAT-TEST」とはどんな日本語能力試験?

「NAT-TEST」は、日本語を母語としない外国人を対象とした日本語能力試験です。

「文字・語彙」「聴解」「読解」の3分野に分かれており、出題の基準と構成はJLPTとほぼ同じ。

総合的な日本語力を測ることができます。

試験レベルは5級(JLPTのN5相当)から1級(JLPTのN1相当)までの5段階。運営は専門教育出版が行っており、主にアジア地域で実施されています。

実施頻度の高さや成績通知の迅速さ、評価の細かさが特徴で、JLPTと並ぶ選択肢として注目されています。

参考:日本語NAT-TEST
参考:日本語能力試験 JLPT

JLPTとの主な違いは?

NAT-TESTとJLPTの違いは、主催団体・実施回数・認知度・評価形式など多岐にわたります。

以下の表で比較してみましょう。

NAT-TESTJLPT
主催団体専門教育出版 日本語NAT-TEST運営委員会国際交流基金/日本国際教育支援協会
試験開始年1989年1984年
実施国16カ国95の国と地域
受験者数(2024年)153,036人680,453人
実施回数年6回以上(1級は年3回)年2回(7月・12月)
成績通知約3週間以内/詳細な分析あり約2か月後/総合結果中心
レベル構成5段階(1級〜5級)5段階(N1〜N5)
試験内容文字・語彙・聴解・読解言語知識・読解・聴解
認知度一部地域では高い世界的に認知度が高い

NAT-TESTは柔軟な受験スケジュールと詳細な結果分析が特徴。

一方、JLPTはビザ申請や国家資格の受験要件など、公的な場面で広く活用されているため、制度上の評価基準としての信頼性が高いと言えます。

参考:日本語能力試験(JLPT)との比較|日本語NAT-TEST

JLPT・NAT-TESTは採用時にどう使える?人事担当者が知っておくべき違い

JLPTは国際的に最も広く認知されており、特定技能や高度人材ビザの申請条件、医療や教育分野での国家資格取得にも活用されています。

一方、NAT-TESTはビザ制度に直接関係する用途では使われにくいものの、「日本語力を可視化する中間的な指標」として人材採用や育成の現場で活用されています。

特にJLPTの受験が難しい時期や、すぐに日本語スキルを確認したい場面では、NAT-TESTの柔軟性が大きな強みとなります。

▼ JLPTが適しているケース
  • 日本国内での就労ビザ申請が関係する採用
  • 高い読解力や聴解力が求められるポジション(例:事務職、対人対応が多い職種)
  • グローバル企業や公的機関での採用基準として信頼性を重視する場合
▼ NAT-TESTが適しているケース
  • アジア圏の候補者などに対して、短期間で日本語力を確認したいとき
  • JLPTの試験スケジュールと合わず、採用判断を先に進めたい場合
  • JLPTの受験環境が整っていない国・地域の候補者を評価したいとき
  • 分野別の詳細なスコアをもとに、入社後の日本語研修や育成計画に活かしたいとき

NAT-TESTはJLPTの補完的な位置づけとして、より実務的な判断材料として活用されるケースが増えています。

採用対象者の地域や試験スケジュール、求める日本語スキルのレベルに応じて、適切に使い分けることがポイントです。

日本語能力試験「NAT-TEST」はなぜ採用に活かせる?

NAT-TESTは、認知度こそJLPTに及ばないものの、採用実務においては以下のような点で活用価値が高い試験です。

一定の日本語力を客観的に判断できる

NAT-TESTは、JLPTと同じレベル構成・出題基準に基づいており、1〜5級の合格情報から、日本語でのコミュニケーション能力や業務理解力の目安を把握できます。

語彙や漢字の出題数も公開されているので、客観的な日本語力の判断が可能です。

採用スケジュールに柔軟に対応できる

年に6回以上も実施されるNAT-TESTは、JLPT(年2回)と比べて受験機会が多く、採用時期に合わせやすいのが大きなメリットです。

「採用を急ぎたいが、JLPTの結果待ちでは間に合わない」といった状況でも、NAT-TESTを受験してもらえば、直近の日本語スキルを把握できます。

弱点把握ができ人材育成にも応用しやすい

NAT-TESTでは、成績表に分野別・問題別の得点が記載され、どの分野が強く、どこに課題があるかを明確に把握できるのがポイント。

採用後の育成計画を立てるうえでも、「読解が弱い」「語彙力はあるが聴解に課題がある」といった分析に役立ちます。

JLPTを目指す受験者の中間評価としても使える

JLPTを受験する前に、実力を確かめる目的でNAT-TESTを利用する外国人も少なくありません。

JLPTの出題基準は公表されていませんが、NAT-TESTは基準が明確なため、学習者の進捗確認やモチベーション維持にもつながります。

NAT-TESTの試験レベルと難易度は?

NAT-TESTは5級(N5相当)から1級(N1相当)までの5段階に分かれており、それぞれ語彙数・漢字数・学習時間の目安も公表されています。

レベル対応するJLPT語彙数漢字数学習時間の目安
5級N5約750語約100字約200時間
4級N4約1,700語約300字約400時間
3級N3約3,350語約650字約600時間
2級N2約5,900語約1,100字約800時間
1級N1約10,000語約1,850字約1,000時間以上

NAT-TESTは、各級に語彙数や漢字数の目安が設定されています。

受験者の習熟度に応じた難易度が明確になっているため、採用時の日本語力評価にも活用しやすい構成です。

NAT-TESTとJLPT以外の日本語能力試験もチェック!

日本語能力を測る試験は、JLPTやNAT-TESTだけではありません。

採用の目的や職種に応じて、他の試験も検討することで、より的確な人材採用につながるでしょう。

ここでは、企業での採用や実務レベルの把握に役立つ代表的な試験を紹介します。

試験名主な特徴試験形式・頻度レベル・評価方法活用シーン・対象者
J.TEST初級〜上級まで幅広く対応、スコアで総合力を可視化年6回(F・G級は年3回)/筆記試験スコア制(最大1,000点)G級〜特A級幅広い応募者の日本語力確認、JLPTの補完にも有効
BJTビジネスシーンでの日本語コミュニケーション力を測定CBT方式/ほぼ毎日実施(再受験は3ヶ月後)スコア制(0~800点)J5〜J1+の6段階営業・事務・対人職など、日本語でのやり取りが多い職種
PJC Bridge日常生活・就学に必要な基礎日本語を測定、法務省認定Web試験・筆記試験/随時実施A+〜E−の10段階(語彙・読解・聴解など)留学生・生活場面中心の職種向け、日本語初級者の評価
  • J.TEST(実用日本語検定)
    「ビジネス現場で通用する日本語力」を評価し、実務に必要な日本語スキルの把握に役立ちます。点数制で総合力が可視化できるため、JLPTのような「合否」ではなく、レベルの幅を知りたい場面に便利です。
    参考:J.TEST実用日本語検定
  • BJT(ビジネス日本語能力テスト)
    ビジネスの現場に即した日本語コミュニケーション能力を測定する試験です。
    語彙力や文法力だけでなく、場面に応じた表現や判断力も評価対象となるため、ビジネス系職種の即戦力評価に向いています。
    参考:BJTビジネス日本語能力テスト
  • PJC Bridge
    CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)に対応した比較的新しい試験で、語学力の国際比較もしやすいのが特徴です。
    法務省認定で、留学生の就学や生活に必要な日本語力の確認に活用されています。
    参考:PJC Bridgeとは|実践日本語コミュニケーション検定

採用に活かす!日本語試験の選び方とポイントは?

職種や業務内容によって求められる日本語力は異なります。

まずは、自社の採用でどのレベルが必要かを整理しておくことが重要です。

職種に応じた日本語レベルの目安は?

職種に応じて求められる日本語レベルはさまざまです。

たとえば、接客業ではN2〜N3程度の会話力が必要とされる一方で、製造現場や清掃業務ではN5程度でも対応できるケースがあります。

通訳や事務職など、高度な運用が必要な職種ではN1レベルが求められることもあるでしょう。

このように、業務内容に合わせて適切なレベルの目安を設定しておくことで、採用後のミスマッチを防ぐことができます。

以下に、代表的な職種と、それぞれに求められる日本語レベルの目安をまとめました。

職種目安の日本語レベルポイント
接客業・営業職N2〜N3以上丁寧な会話力やマナーの理解が求められる
事務職・カスタマーサポートN1〜N2敬語・読解・電話対応などが必要
製造・清掃など現場作業N5程度でも可基本的な指示が理解できれば対応可能
介護・看護助手N3〜N4以上利用者との日常的な会話力が必要
通訳・翻訳N1高度な語彙力と表現力が求められる

採用スケジュールに合わせて選ぶなら

年2回しか実施されないJLPTだけでなく、年6回以上のNAT-TESTやJ.TESTも活用すれば、採用のタイミングに合わせて柔軟に日本語力を評価することができます。

複数の試験を組み合わせて運用することも有効です。

まとめ

JLPTは広く認知されている日本語試験ですが、採用実務においては、NAT-TESTのような柔軟性の高い試験も有効です。

試験の回数や評価形式、結果のフィードバックなど、それぞれの特徴を理解したうえで、自社の採用フローや人材要件に合ったものを選ぶことが、より的確な人材評価につながります。

日本語能力試験を上手に活用し、より良い外国人採用につなげていきましょう。

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