日本の工場で外国人を雇用するには?在留資格から採用の流れ、定着のコツを解説

日本の製造業では、少子高齢化や若手人材の不足により「人手不足」が深刻な課題となっています。

その中で注目されているのが、外国人労働者の採用です。

この記事では、外国人を工場で採用する際に知っておくべき在留資格や法律上の注意点、採用の流れや定着支援までを、わかりやすく解説します。

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日本の工場で外国人労働者が増えている

出典:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(令和5年 10 月末時点)

日本の製造業は、少子高齢化の影響で深刻な人手不足に直面しています。

その結果、外国人労働者の受け入れが拡大しており、工場で働く外国人の数も年々増加

厚生労働省の統計によると、2023年時点で製造業に従事する外国人労働者は55.2万人にのぼり、外国人労働者全体の27%を占めています。

これは産業別で最多であり、過去最高を更新しました。

この背景には、慢性的な人材不足に加えて、技能実習や特定技能といった制度で製造業が主要対象となっていることがあります。

企業にとっても採用しやすく、外国人労働者にとっても就きやすい職種となっているのが現状です。

参考:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)

工場で外国人を雇用するメリットと課題

工場で外国人を採用することは、人手不足解消だけでなく、職場環境の活性化にもつながります。

ここではメリットとあわせて、よくある課題についても見ていきましょう。

外国人労働者を採用するメリット

外国人労働者の採用には、単なる人手不足の補充以上の価値があります。

以下のような点が、多くの製造業の現場で評価されています。

慢性的な人材不足を補える

日本人の若年層が減少する中、製造業は特に人材確保が難しい分野です。

外国人労働者は即戦力として採用できるケースも多く、安定的な生産ラインの維持に貢献します。

勤勉で責任感の強い人材が多い

特に東南アジア出身の労働者は「日本でスキルを身につけたい」「家族のためにしっかり稼ぎたい」という強い目的意識を持っています。

そのため、真面目で長期的に働く傾向が強く、職場に定着しやすいのが特徴です。

多文化・多言語対応による競争力向上

外国人を受け入れることで、社内の文化的多様性が広がります。

たとえばベトナムやインドネシア出身の社員を採用すれば、自社製品を現地市場に展開する際に通訳や文化理解の面で力を発揮でき、将来的な海外展開にも役立ちます。

若い世代の労働力確保

外国人労働者は20代~30代が多く、日本国内で不足している若手層の補充につながります。

体力を必要とする工場作業において、この世代の労働力は非常に重要です。

現場の雰囲気が活性化する

多様なバックグラウンドを持つ人材が加わることで、新しい視点や価値観が持ち込まれます。

日本人従業員との交流を通じて、相互理解が進み、組織全体の活気や柔軟性が高まる効果も期待できます。

工場が外国人だらけになる?懸念点と解決策

外国人労働者の比率が高まると、文化の違いや言語の壁から「職場がうまく回らなくなるのでは」と不安を感じる企業もあります。

しかし、日本語学習のサポートや異文化理解のトレーニングなどを取り入れれば、業務理解度や定着率は向上します。

さらに、日本の製造現場に慣れていない外国人に対しては、安全研修やマニュアル整備を徹底することが欠かせません。

あいまいな指示は誤解を招き、事故やトラブルの原因になり得るため、明確で丁寧な教育体制を整えることが重要です。

こうした取り組みによって、外国人比率の高さが懸念ではなく職場の強みへと変わっていきます。

工場で働ける外国人の在留資格と条件

工場で外国人を採用する際には、在留資格の確認がもっとも重要なポイントです。

資格の種類によって従事できる業務や雇用条件が異なるため、正しく理解しておきましょう。

技能実習

途上国の人材が日本の技術を学ぶことを目的とした制度で、最長5年間の就労が可能です。

ただし転職は認められておらず、制度自体も国際的に批判を受けている側面があります。

報酬は日本人と同等以上が原則ですが、合理的な理由があれば最低賃金での雇用も可能です。

特定技能

2019年に創設された制度で、人手不足の分野で外国人が即戦力として働ける仕組みです。

製造業では素形材産業・産業機械製造業・電気・電子情報関連産業の3分野が対象で、鍛造・金属加工・組み立てなど幅広い業務に従事できます。

技能実習修了者や試験合格者が取得可能で、在留は最長5年です。

技術・人文知識・国際業務

エンジニアや品質管理、営業、通訳・翻訳など高度な知識やスキルを必要とする業務に従事できます。

大学卒業または10年以上の実務経験が必要で、生産ラインの単純作業には従事できません。

報酬は日本人と同等以上で、在留は更新可能なため長期雇用も見込めます。

特定活動46号

日本の大学卒業者で、日本語能力試験N1以上の人材を対象としています。

通訳や現場のマネジメントを担いつつ、生産ラインの作業も一部可能ですが、単純作業のみに従事させることは認められていません。

取得要件が厳しいため該当者は限られますが、長期的な雇用も可能です。

留学

外国人留学生が取得する在留資格です。

本来は就労不可ですが、資格外活動許可を得ることで週28時間以内のアルバイトが認められます。

製造業における業務制限は特に設けられておらず、日本人と同等の時給で働くことが可能です。

家族滞在

日本で働く外国人労働者の配偶者や子どもが取得する在留資格で、こちらも原則として就労は認められていませんが、資格外活動許可を受ければ週28時間以内でアルバイトに従事できます。

仕事内容や報酬の条件は留学と同じで、製造業の現場でも就労可能です。

外国人雇用で守るべき法律と制度

外国人を工場で採用する場合、日本人と同じく労働基準法や最低賃金法が適用されます。

適切な労務管理を徹底することが必要です。

工場での外国人労働者に関わる法的ルール

外国人であっても、日本人労働者と同じ条件で働く権利があります。

まず重要なのが同一労働同一賃金の原則です。

同じ業務を担っているにもかかわらず、国籍を理由に不当に低い賃金や待遇を設定することは法律で禁止されています。

また、最低賃金法の遵守も必須です。

地域ごとに定められた最低賃金を下回る条件で雇用すると違法となり、罰則の対象になります。

さらに、雇用契約書の明示義務も忘れてはなりません。

勤務時間、業務内容、給与条件などを明文化し、双方が合意することでトラブル防止につながります。

外国人労働者にとっては日本語理解が十分でない場合もあるため、母国語の契約書や通訳を用意すると安心です。

違反した場合のリスク

外国人雇用において最も注意すべきは不法就労です。

在留資格で認められていない業務に従事させたり、就労できない資格のまま働かせたりすると、労働者本人だけでなく企業も罰せられます。

特に「不法就労助長罪」に問われると、罰金や懲役刑に加え、企業の信用失墜にもつながります。

採用担当者は、在留カードの確認や資格外活動許可の有無を必ずチェックし、正しいプロセスで雇用することが不可欠です。

外国人労働者を採用する流れ

工場で外国人を採用する際は、通常の採用フローに加えて在留資格の確認や申請手続きが必要です。

1. 求人票の作成と募集
在留資格ごとに従事できる業務が異なるため、求人票には業務内容や必要条件を明確に記載することが重要です。

2. 面接・採用選考
日本語能力や職務適性の確認に加え、在留資格の種類に適合する職務かどうかを必ずチェックします。

3. 在留資格の確認・申請手続き
採用決定後は、在留カードや資格外活動許可の有無を確認し、必要に応じて出入国在留管理庁に申請を行います。ここを誤ると不法就労助長につながるため、特に注意が必要です。

4. 雇用契約の締結と受け入れ準備
雇用条件を明示した契約書を取り交わし、職場での教育体制や生活面のサポート体制も整備しておきましょう。受け入れ準備を事前に行うことで、定着率の向上につながります。

一つひとつのプロセスを丁寧に行うことが、外国人雇用を成功させる第一歩となります。

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外国人採用には、専門知識を持つ人材紹介サービスを活用するのが安心です。

ビザの確認や申請、生活支援までサポートを受けられるため、採用担当者の負担を大きく減らすことができます。

特におすすめなのが GTN(グローバルトラストネットワークス) のグローバル人材サービスです。

GTNは外国人に特化した総合サービスを展開しており、採用から就労後の生活支援(住居、携帯電話契約、銀行口座開設など)までワンストップでサポート可能です。

人材の定着率向上につながる点でも、外国人採用を検討する工場にとって心強いパートナーとなります。

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外国人労働者が定着する工場の特徴とは?

外国人を採用したあとに重要になるのは「いかに長く働いてもらえるか」です。

トラブルを未然に防ぐだけでなく、安心して生活し、職場に根づく環境を整えることが欠かせません。

生活面でのサポート

住居探しや行政手続き、医療機関の利用など、日常生活での不安を減らす支援があると、労働者は安心して働けます。職場への信頼感が増し、離職率低下にもつながります。

キャリアやスキルアップの機会

単に作業を任せるだけでなく、研修や資格取得の支援を行うことで「成長できる職場」と感じてもらえます。

キャリア形成を支援する姿勢は、長期的な定着に大きく影響します。

コミュニケーションの仕組みづくり

定期的な面談やメンター制度を設けることで、不安や悩みを早期に解消できます。

日本人従業員との交流イベントを企画するなど、相互理解を深める工夫も有効です。

まとめ

日本の工場では人手不足解消のため、外国人労働者の採用がますます重要になっています。

特に製造業は受け入れが多い分野であり、以下のポイントを押さえることが成功のカギです。

  • 外国人労働者は製造業で多く活躍しており、人手不足解消に有効な選択肢となる
  • 採用には在留資格の確認や法制度の遵守が必須
  • 定着支援まで含めた体制づくりが成功のカギ

外国人の採用は「雇う」だけではなく、「活躍してもらう」ための準備が大切。

人材紹介サービスや定着支援を組み合わせれば、外国人雇用は単なる労働力補充にとどまらず、工場の競争力強化にもつながります。

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