日本で外国人が家を買うには?不動産購入の条件・価格相場・住宅ローンまで徹底解説

日本に長く住んでいる外国人の方や、これから日本での生活を考えている方の中には「日本で家を買えるのだろうか?」と疑問を持つ人も少なくありません。

実は日本では、外国人でも日本人とほぼ同じ条件で不動産を購入できます。

ただし、知っておくべき注意点も。

この記事では、外国人が日本で不動産を購入する際の規制や条件、不動産市場の動向、購入の流れや必要書類、地域別の価格相場、そして住宅ローンまで、知っておきたいポイントをわかりやすく解説します。

また、日本で安く一戸建てを購入したいという方は以下の記事もおすすめです。
▶︎ 外国人必見!「空き家バンク」(akiya banks)とは?メリットも解説

Goandup Picks おすすめ記事はこちらから!

外国人も不動産を購入できる!知っておきたい基本ルール

外国人が日本で不動産を購入する際に、特別な制限はほとんどありません。

国籍や在留資格にかかわらず、所有権を取得できる点は日本の制度上の特徴です。

ただし、誤解しやすい点として「不動産を購入すればビザや永住権がもらえる」ということはありません。

所有権の取得と在留資格の取得はまったく別の制度として扱われるため、ここは切り分けて考える必要があります。

また、不動産を所有する以上は日本人と同じように税金(不動産取得税や固定資産税など)が課せられます。

さらに、非居住者が物件を購入する場合には「納税管理人」を選任することが求められるため、事前に準備しておくと安心です。

日本の不動産市場と外国人の購入動向は?

日本の不動産市場は比較的安定しており、都市部のマンションや一戸建ては外国人による購入も増えています。

移住の手段の1つやセカンドハウスとしての需要が高まっている一方で、投資目的の購入も一定数存在するのが特徴です。

実際、東京や大阪といった大都市では高額物件への関心が強まり、地方都市やリゾート地では比較的手頃な価格帯の物件を購入するケースも見られます。

こうした動きからも、外国人による不動産購入は年々増加傾向にあるといえるでしょう。

さらに、国土交通省の調査によれば、2020年には海外投資家が日本の不動産投資市場の約34%を占めるなど、日本の不動産は国際的にも注目を集めています。

投資を含めた幅広いニーズの高まりが、外国人の住宅購入の関心を後押ししているのです。

参考:令和 2 年度 海外投資家アンケート調査業務|国土交通省

外国人が日本で不動産を購入する流れは?

外国人が日本で家を買う場合も、日本人とほぼ同じ流れで進みます。

物件探しから契約、登記までの大まかなステップを押さえておきましょう。

1. 物件探し・内覧
不動産情報サイトや仲介会社を通じて物件を探し、実際に見学します。
海外在住の場合も、可能であれば現地で確認しておくと安心です。

2. 買付証明書の提出
購入希望の意思を示す書類で、価格や手付金などを記載します。
法的拘束力はありませんが、売主に購入意思を伝える役割を持ちます。

3. 売買契約と重要事項説明
宅地建物取引士による重要事項説明を受けた上で契約を結び、手付金を支払います。
契約解除の際には手付金の扱いに注意が必要です。

4. 残代金の決済と引き渡し
契約で定めた日に残代金を支払い、鍵を受け取ります。
司法書士が立ち会い、所有権移転の登記手続きを行います。

5. 登記完了
不動産の名義変更が完了し、正式に所有権を取得します。
住宅ローンを利用する場合は、同時に抵当権設定登記も行われます。

6. 財務大臣への報告(非居住者のみ)
海外在住の外国人が不動産を取得した場合、外為法に基づき20日以内に報告が必要です。
ただし、自ら居住するための購入など一部は例外となります。

このように、外国人であっても基本的な手順は日本人と同じです。

ただし、契約書は日本語が正本となるため、不安があれば通訳や外国人対応の不動産会社を活用すると良いでしょう。

日本の不動産購入で必要な書類は?

外国人が日本で不動産を購入する際に必要な書類は、日本に住んでいるか、海外に住んでいるか で異なります。

事前に揃えておくことで契約や登記がスムーズに進むので、チェックしておきましょう。

【日本に居住している外国人(在留資格あり)】
  • 在留カード:中長期滞在者に発行される本人確認書類。契約や登記で必須
  • 住民票:市区町村役所で取得可能。住所を証明するために必要
  • 印鑑証明書と印鑑:実印の登録が必要。契約書類への押印に使用
  • 場合によって必要な書類:法人が購入する場合は、登記簿謄本や資格証明書、代表者の印鑑証明など

日本で生活している場合は、基本的に日本人と同じ準備が求められます。

印鑑制度に不慣れな外国人も多いですが、購入を検討するなら事前に実印を用意しておくと手続きがスムーズです。

【日本に居住していない外国人(在留資格なし/海外在住)】
  • パスポート:本人確認用
  • サイン証明書または宣誓供述書:印鑑証明の代わりとなる書類。現地の公証人や在日大使館・領事館で認証を受ける
  • 住所証明書類:現地の住民登録証明書、または宣誓供述書で住所を証明
  • 印鑑:日本の契約では必要。認印OK
  • 代理人関連の書類(来日できない場合):代理人の印鑑証明や身分証明書が必要

国や地域によって必要な認証手続きが異なるため、購入前に現地の大使館・領事館、または司法書士に確認しておくと安心です。

日本の物件の価格相場はいくら?

日本で不動産を買う際に気になるのは価格相場です。

地域によって大きな差があり、都市部では高額、地方では比較的安価な傾向があります。

ここでは、一軒家とマンションの両方について、地域別に平均価格を見ていきましょう。

首都圏|東京・神奈川・埼玉・千葉

首都圏の一戸建ては土地付き注文住宅で約4,500万円、マンションは約5,300万円と全国平均より高めです。

特に東京23区はアクセスの良さから高額な物件が多くなります。

住宅の種類価格
一軒家(土地付き注文住宅)4,507万円
一軒家(建売住宅)4,342.9万円
マンション5,327.7万円

近畿地方|大阪・京都・兵庫・奈良・滋賀・和歌山

大阪・京都などの都市部では首都圏に近い価格帯ですが、近畿圏全体ではやや安めで、建売住宅は3,700万円前後が目安です。

住宅の種類価格
一軒家(土地付き注文住宅)2,929万円
一軒家(建売住宅)3,713万円
マンション4,973.9万円

東海地方|愛知・岐阜・静岡・三重

名古屋市など中心部を除けば比較的リーズナブルで、マンションは約4,400万円、一戸建ては3,000万円前後です。

住宅の種類価格
一軒家(土地付き注文住宅)1,605万円
一軒家(建売住宅)3,151.1万円
マンション4,434.9万円

その他地域・地方都市の平均価格

地方都市ではマンションが約4,000万円、一戸建ては2,900万円前後と比較的安く購入可能です。

ただし、札幌や福岡など大都市は上昇傾向にあります。

住宅の種類価格
一軒家(土地付き注文住宅)6,985万円
一軒家(建売住宅)2,947.5万円
マンション4,018.5万円

参考:2022年度集計表:住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫) 

外国人が日本で住宅ローンを利用する条件は?

外国人でも日本の住宅ローンを利用することは可能ですが、金融機関によって条件が異なります。

特に「永住権の有無」が大きな分かれ目になります。

永住権がある場合

永住権を持つ外国人はほとんど日本人と同じ条件で住宅ローンを利用できます。

審査内容も日本人と同様で、年収や勤続年数、返済負担率などが基準です。

最長35年の長期ローンを組める場合も多く、借り換えも可能。

安定した収入と永住権があれば、有利な条件で借りられるケースがほとんどです。

代表的な住宅ローンとして「フラット35」があり、永住者や特別永住者であれば申し込み可能です。

永住権がない場合

永住権がない場合でも、一定の条件を満たせばローンを利用できる金融機関があります。

例えば、

  • 配偶者が日本国籍を持っている
  • 日本に5年以上居住している
  • 頭金として物件価格の20%以上の資金を用意可能

といった条件を求められることが多いです。先ほど紹介した「フラット35」は、日本人配偶者を保証人に立てることで利用できるケースも。

ただし、金利が高めに設定されたり、借入期間が短めになる場合があります。

ローンの審査における注意点

金融機関によっては、日本語で契約内容を理解できることを条件とする場合があります。

また、母国の銀行や海外金融機関の日本支店でローンを利用するという方法も。

このように、永住権があるとローンの選択肢が大きく広がりますが、永住権がなくても利用できる可能性はあります。

まずは複数の金融機関に相談し、自分の状況に合った選択肢を探すことが大切です。

外国人が日本で不動産購入する際の注意点

外国人が日本で家を購入する場合、日本人と同じように税金や手続きが必要です。

ただし、特に外国人だからこそ注意しておきたいポイントがあります。

事前に理解しておけば、スムーズな取引につながります。

不動産取得税や固定資産税などの税金がかかる

購入時には、不動産取得税・登録免許税 が、購入後は 固定資産税・都市計画税などがかかります。

投資用として賃貸収入を得る場合は、確定申告も必要です。

仲介手数料など取引コストが発生する

日本では不動産会社を通すのが一般的で、物件価格の3〜5%ほどの仲介手数料がかかります。

直接取引は稀なので、信頼できる仲介会社を選びましょう。

契約書や重要事項説明はすべて日本語

契約書や重要事項説明は日本語が正本となります。

日本語が不安な場合は通訳を依頼するか、外国人対応の経験がある不動産会社を選ぶと安心です。

中古物件はリフォームが必要な場合が多い

価格が安い物件でも、リフォームや修繕費用が追加で必要になるケースがあります。

購入前に修繕履歴を確認しておくと安心です。

納税管理人を指定しておく必要がある

非居住者が日本で不動産を所有する場合、法律上、日本に住む「納税管理人」を選任しなければなりません。

税理士や信頼できる知人に依頼するのが一般的です。

専門家に相談すれば不動産購入も安心!

外国人が日本で不動産を購入する際には、言語や法律、税制の違いから不安を感じることも少なくありません。

そんな時に頼りになるのが、専門家のサポートです。

外国人対応に強い不動産仲介会社

外国人の取引経験が豊富な不動産会社であれば、通訳サービスや外国語対応のスタッフがいることも多く、契約書の内容も理解しやすくなります。

司法書士・税理士のサポート

登記手続きは司法書士、税金や確定申告の相談は税理士に依頼するのが一般的です。

納税管理人を依頼できる税理士も多く、非居住者にとっては特に重要な存在です。

ケースによっては法人設立も選択肢に

場合によっては、日本に法人を設立して資産管理会社を通じて不動産を所有するケースもあります。

節税や相続の観点で有利に働くこともあるため、法人設立の手続きは司法書士や行政書士、税制面は税理士に相談すると安心です。

まとめ

外国人でも日本で不動産を購入することは可能であり、所有権も日本人と同じように守られます。

ただし、購入しただけでビザや永住権は得られません。

また、税金・住宅ローン・納税管理人の制度など、日本独自の仕組みを理解して準備することが重要です。

家の購入は大きな決断です。専門家のサポートを受けながら、自分に合った物件選びを進めていきましょう。

関連記事