日本の玄関はなぜ外開き?海外との違い・文化とマナーをやさしく解説

日本では、家に入るときに靴を脱ぐ文化があります。玄関はそのためのスペースとして、日本の暮らしに欠かせない存在です。
一方、海外では玄関の構造やドアの開き方、使い方がまったく異なることも。
この記事では、日本の玄関が持つ意味やマナー、海外との違いについて、文化的な背景も含めてわかりやすく解説します。
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Contents
日本の玄関は外開き!その意味と役割は?

日本の玄関には、靴を脱ぐスペースという以上に、文化的な意味が込められています。
「玄関(genkan)」という言葉は、もともと仏教用語に由来し、「悟りへの入口」という意味を持ちます。
日本の住まいでは、「家の入口=気の入口」とも考えられ、訪問者を迎えると同時に、家の「気」を整える大切な場所とされてきました。
玄関を整えておくことは良い運気を招くともいわれています。
また、日本の玄関は、靴を脱ぐ前提で設計され、限られた面積を効率よく使うために、ドアは外開きにするのが一般的です。
これは、脱いだ靴が内側に置かれていてもドアの開閉を妨げない工夫であり、日本の気候に配慮して雨やホコリの侵入を防ぐ役割も果たしています。
外国人が知っておきたい日本の玄関マナー

日本の家に招かれたとき、玄関での立ち振る舞いは第一印象にも関わります。
戸惑うことがないよう、覚えておきたい基本的なマナーを紹介します。
靴を脱ぐのが前提!床に座るのはNG
日本の住宅では、玄関で靴を脱いでから家に上がるのが基本です。
靴を脱ぐとき、バランスがとれなければ廊下の端に腰かけて構いませんが、靴を履いたまま踏み入れるエリアである玄関の床に直接座るのは避けましょう。
家に入る前に「お邪魔します」のひと言を
訪問先で家に上がる際には、「お邪魔します」「失礼します」といったあいさつを添えると、日本人にとって礼儀正しい印象を与えます。
軽くお辞儀をするのも好印象です。
靴を脱ぐときにお尻を向けないよう注意
もし家主が玄関で迎えてくれている場合、靴を脱ぐ際に背を向けるとお尻を向ける形になりますが、これは日本ではあまり好ましくないとされています。
できるだけ相手と向き合った状態で脱ぎましょう。
靴下を履いておくと好印象
素足でもマナー違反ではありませんが、訪問先では靴下を履いていたほうが清潔感があり、丁寧な印象を与えます。
特にフォーマルな場面では靴下の着用がおすすめです。
日本の玄関での入り方をステップごとに解説!

玄関で靴を脱ぐのは知っていても、実際にどうすればいいのか迷うこともありますよね。
どこで靴を脱ぎ、どのタイミングで上がればいいのかなど、玄関での入り方をステップごとに紹介します。
ステップ① 靴を脱ぐ
家に入る前に、必ず玄関で靴を脱ぎます。
かがんで脱ぐのが一般的ですが、バランスがとりづらい場合は、玄関の段差を使って脱いでも構いません。
ステップ② 靴下のまま廊下へ上がる
靴を脱いだら、すぐに廊下や室内に足を移し、靴下のまま上がりましょう。
玄関の床は外の汚れがある場所とされているため、靴下でそこに立ち続けるのは避けます。
ステップ③ 靴を揃える習慣も大切
脱いだ靴は、つま先をドアの方に向けてきれいに揃えておきます。
これにより、帰るときに履きやすくなりますし、丁寧な印象を与えます。
日本と海外の玄関・ドアの違いを比較

ここでは、日本と海外での玄関の構造や役割の違いを具体的に見ていきましょう。
日本の家は必ず玄関がある
多くの外国の住宅では、玄関を通らずリビングに直接入る間取りもありますが、日本の住宅では必ず玄関スペースが設けられています。
これは靴を脱ぐという習慣が定着しているためです。
引き戸や下駄箱など、日本特有の設備
日本の玄関には「下駄箱(getabako)」という靴の収納スペースがあります。
また、玄関ドアの代わりに「引き戸」が使われる家も多く、これはスペースを有効活用する日本ならではの工夫といえます。
外開きドアは日本だけ?海外ではなぜ内開き?
日本では外開きのドアが主流ですが、海外では内開きが一般的です。
この違いには、防犯性や文化的な背景が関係しています。
日本の玄関は、前述のとおり、脱いだ靴のスペースを確保しやすく、雨やホコリの侵入を防ぐといった目的があります。
一方、欧米の住宅では、ドアを内側に開くことで強風や不審者の侵入に備える構造となっている場合が多く、防犯上の理由から内開きが選ばれることが一般的です。
また、「訪問者を迎え入れる」という文化的な考え方から、内開きのドアが歓迎の気持ちを表すものとして根づいている地域もあります。
まとめ
日本の玄関は、靴を脱ぐためのスペースであると同時に、文化や礼儀が息づく大切な場所です。
ドアが外開きである理由や、マナーに込められた意味には、日本ならではの暮らし方や気配りが表れています。
日本の住宅で快適に過ごすためには、こうした文化や構造の違いを知っておくことも大切です。
日常のふるまいや住まい選びの際に、ぜひ今回の内容を役立ててみてください。