外国人ドライバー雇用を成功させる!特定技能「自動車運送業」完全ガイド

深刻な人手不足に悩む日本の運送業界にとって、特定技能「自動車運送業」は外国人ドライバー雇用という新たな解決策を提示します。

本記事では、この制度の全体像から外国人ドライバーの雇用方法、試験対策、そして受け入れ後の注意点までを網羅的に解説します。

運送業界における外国人材雇用の成功事例やポイントを具体的に紹介します。

受け入れを検討する企業担当者様、そして日本での就労を目指す外国人材の双方が、制度を深く理解し、円滑な雇用・就労を進めるためのガイドとしてご活用ください。

特定技能「自動車運送業」とは?制度概要と背景

特定技能「自動車運送業」は、日本の運送業界が直面する深刻な人手不足、長時間労働、そして「2024年問題」に代表される働き方改革関連法による時間外労働の上限規制という喫緊の課題を解決するために創設されました。

2019年4月に導入された「特定技能」制度の新たな分野として、2024年3月29日の閣議決定により追加され、政府は今後5年間で最大2万4,500人の外国人ドライバーの受け入れを見込んでいます。

特定技能「自動車運送業」の対象業務

この制度の対象となる業務範囲は、トラック、バス、タクシーなどの事業用自動車の運転業務です。

具体的には以下の3分野が対象となります。

  • トラック運送業:貨物の集配、長距離輸送、ルート配送など。
  • バス運送業:路線バス、観光バス、スクールバス、企業送迎バスの運転など。
  • タクシー運送業:一般旅客輸送、観光タクシー、介護タクシーの運転など。

これらの運転業務に加え、運行前後の車両点検、乗務記録の作成、荷物の積載・荷下ろし(トラック)、乗客対応・接遇(バス・タクシー)なども業務に含まれます

。また、付随業務として、日本人が通常従事する車内清掃や営業所内の簡単な事務作業なども行うことが可能です。

なお、特定技能の在留資格には「1号」と「2号」がありますが、現状、自動車運送業分野で受け入れが認められているのは「特定技能1号」のみです。

在留期間は通算で上限5年となり、原則として家族の帯同は認められません。

特定技能外国人ドライバーを受け入れるメリット

外国人ドライバーを雇用することで、企業は主に以下のメリットを享受できます。

  • 人材不足の解消と事業拡大:慢性的なドライバー不足を緩和し、受注機会の損失を防ぐことで、事業の安定と拡大に貢献します。
  • 即戦力人材の確保:一定の技能水準と日本語能力が求められる試験に合格しているため、現場で即戦力として活躍できる人材の確保が期待できます。
  • 生産性向上と経営の安定化:安定した人員確保により、配送スケジュールの遅延防止や柔軟な運行計画が可能となり、経営の安定化につながります。
  • 組織の活性化と国際化:異なる文化背景を持つ人材が加わることで、職場に新たな視点がもたらされ、組織の活性化や国際競争力の強化に寄与する可能性があります。
  • 自社点検・整備の可能性:特定技能「自動車整備」分野との連携により、自社での点検・整備体制を強化し、外部委託コストの削減や車両稼働率の向上につながるケースもあります。

特定技能「自動車運送業」で外国人を雇用するための要件と手続き

特定技能「自動車運送業」分野で外国人ドライバーを雇用するには、受け入れ企業と外国人材双方が特定の要件を満たし、定められた手続きを経る必要があります。

受け入れ企業(特定技能所属機関)の要件と義務

特定技能外国人を受け入れる企業は、以下の要件を遵守しなければなりません。

  • 法令遵守:労働基準法、道路運送法、最低賃金法など日本の関係法令を遵守し、過去5年以内に労働関連法や出入国管理法などに違反していないこと。
  • 特定技能自動車運送業協議会への加入:国土交通省が設置する協議会への加入が義務付けられています。これは在留資格申請前までに完了する必要があります。
  • 認証制度の取得(トラック):トラック運送業の場合、「安全性優良事業所(Gマーク)」または「運転者職場環境良好度認証制度(働きやすい職場認証制度)」のいずれかの認証取得が必須です。
  • 新任運転者研修の実施(バス・タクシー):バス・タクシー運送業の場合、適切な研修の実施が求められます。
  • 支援体制の整備:生活・職業ガイダンス、住居確保支援、日本語学習支援などの義務的支援を実施すること(登録支援機関への委託も可能)。
  • 適切な雇用契約:日本人と同等以上の報酬額、フルタイム勤務など、適切な条件で雇用契約を締結すること。

特定技能外国人材が満たすべき要件

働く外国人材側には、以下の要件が求められます。

  • 年齢:18歳以上であること(日本の運転免許取得には中型20歳以上、大型21歳以上などの別途要件あり)。
  • 技能評価試験の合格:「自動車運送業分野特定技能1号評価試験」に合格していること。
  • 日本語能力試験の合格:

    • トラック分野:日本語能力試験(JLPT)N4以上、または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)の合格。

    • バス・タクシー分野:日本語能力試験(JLPT)N3以上。※技能実習2号を良好に修了した外国人は、トラック分野に限り日本語試験が免除される場合があります。
  • 日本の運転免許の取得:業務に必要な日本の運転免許(第一種または第二種)を保有していること。

【重要】免許取得のための「特定活動」ビザについて

海外ですでに免許を持っている場合の外免切替や、日本の教習所での新規取得が必要な場合、まだ特定技能ビザは取得できません。

その場合、「特定活動(特定自動車運送業準備)」という在留資格(トラックは最長6か月、バス・タクシーは最長1年)を取得し、その期間中に免許取得や研修を行います。

この期間は特定技能1号の通算在留期間(5年)には含まれません。

在留資格申請の流れ

  1. 人材の募集・選考
  2. 内定・雇用契約の締結(日本人と同等以上の報酬など)
  3. 特定技能自動車運送業協議会への加入(必須)
  4. 運転免許の取得・「特定活動」ビザでの準備(必要な場合)
  5. 技能評価試験・日本語能力試験の合格確認
  6. 支援計画の作成
  7. 在留資格「特定技能1号」への変更申請
  8. 許可・入社・雇用開始

特定技能「自動車運送業」の試験対策と評価方法

これから試験を受ける外国人材や、支援する企業担当者が知っておくべき試験の概要です。

試験の概要と日程

試験は一般財団法人日本海事協会(ClassNK)が実施しています。

2024年12月より出張方式試験が開始され、2025年3月からはCBT(コンピューターを使ったテスト)方式も本格運用されています。

  • 実施方式:CBT方式(随時)、出張試験(団体・企業単位で申請可能)
  • 受験地:日本国内および海外
  • 区分:「トラック」「タクシー」「バス」の3区分から選択

試験内容と対策

技能評価試験は「学科試験」と「実技試験」で構成され、合計時間は約80分(区分により異なる)です。

  • 学科試験:日常点検、安全運行、法令遵守、運行業務、接遇(バス・タクシー)、荷役(トラック)などの知識が問われます。
  • 実技試験:実際に運転するのではなく、図やイラストを用いた「状況設定問題」が出題され、正しい判断や安全確認ができるかが評価されます。

対策のポイント:
合格基準は学科・実技ともに正答率60%以上です。
公益社団法人全日本トラック協会などが公開している多言語版テキストや、市販の対策教材を活用して学習を進めましょう。
一部で「実務経験2年程度あれば準備なしでも合格できる」といった声も聞かれますが、日本の交通法規や専門用語は特殊なため、事前の学習は必須です。

日本語能力の重要性

試験合格だけでなく、実務においても日本語能力は極めて重要です。

トラック分野では「N4レベル(基本的な日本語を理解できる)」、バス・タクシー分野では「N3レベル(日常的な場面で少し難易度の高い日本語を理解できる)」が求められます。

また、現場では「観音(観音開きの扉)」「ラッシング(荷締め)」などの専門用語や、「宵積み(前日の積み込み)」といった業界用語が飛び交います。

企業側は、単に試験に受かるためだけでなく、こうした「現場で使う日本語」の学習もサポートすることが定着への近道です。

外国人ドライバーの受け入れから定着までの成功ポイント

外国人ドライバーに長く活躍してもらうためには、単なる「労働力の補充」ではなく、共に働く仲間としての受け入れ体制が重要です。

生活・仕事への順応支援

入国直後や採用初期は、住居の手配、銀行口座の開設、役所手続きなどの生活立ち上げを丁寧にサポートしましょう。

また、ゴミ出しのルールや緊急時の連絡方法など、日本での生活オリエンテーションを行うことで、本人の不安を取り除くことができます。

安全教育とコミュニケーション

日本の交通マナー(譲り合いや歩行者優先など)は、出身国と異なる場合があります。

ドライブレコーダーの映像を使った危険予知トレーニング(KYT)や、実車での添乗指導を繰り返し行いましょう。

また、言葉の壁による孤立を防ぐため、翻訳アプリの導入や、日本人従業員への「やさしい日本語(わかりやすい日本語)」の周知も効果的です。

定期的な面談で悩みを聞き出し、早めに対処することが離職防止につながります。

特定技能「自動車運送業」に関するよくある質問(FAQ)

  • Q. 雇用人数の制限はありますか?
    A. 自動車運送業分野には、現時点で企業ごとの受け入れ人数枠(例:常勤職員数に対する割合など)はありません。
    ただし、介護や建設など他の分野とはルールが異なるため、常に最新情報を確認してください。
  • Q. 「特定技能」と「技能実習」の違いは?
    A. 特定技能は「即戦力となる労働力」としての就労資格であり、技能実習(国際貢献・技術移転)とは目的が異なります。
    特定技能は一定のスキルがあることが前提のため、基本的には最初からドライバーとして業務に従事します。
  • Q. 費用はどのくらいかかりますか?
    A. 登録支援機関への委託費用(月額数万円程度)、在留資格申請費用、渡航費、初期の生活支援費用などがかかります。
    人材紹介会社を利用する場合は、別途紹介料が必要です。
  • Q. 未経験でも採用できますか?
    A. 特定技能試験に合格し、必要な運転免許を持っていれば採用可能です。
    ただし、日本の道に慣れるまでは十分な研修が必要です。

特定技能「自動車運送業」は、始まったばかりの制度です。

成功の鍵は、制度の正しい理解と、外国人材を尊重し共に成長しようとする企業の姿勢にあります。

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