コンビニの人手不足はなぜ深刻?外国人雇用の現状と技能実習生が対象外となる理由
近年、コンビニエンスストアでは外国人スタッフが接客を行う光景が珍しくなくなりました。慢性的な人手不足を背景に、外国人材の活用に注目が集まっています。
では、コンビニの人手不足対策として、外国人技能実習生を雇用することは可能なのでしょうか。
日本のコンビニ業界では、少子高齢化による労働力人口の減少や、賃金水準の問題、フランチャイズ店舗オーナーの高齢化などが重なり、人手不足が深刻な課題となっています。本記事では、こうした背景を踏まえ、コンビニの人手不足の現状と外国人雇用のポイントを解説します。
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Contents
コンビニの人手不足の現状

セルフレジや無人レジの導入が進むほど、コンビニの人手不足は深刻化しています。経済産業省が2020年まで実施していた「新たなコンビニのあり方検討会」では、人材不足の背景として、主に次のような要因が挙げられています。
- 特定の時間帯に人が集まらない
- 人件費負担が大きい
- 業務内容が多岐にわたり複雑
また、経済産業省が公表した「コンビニエンスストア加盟者の取組事例調査」によると、パート・アルバイトを含む従業員数について、以下のような回答結果が示されています。
- 十分な人員が確保できており、欠員が出ても対応可能:6%
- 現状は足りているが、欠員が出ると運営に支障が出る:34%
- 従業員が不足している:61%
6割以上の店舗が人手不足を感じており、「募集しても応募が来ない」「必要な時間帯に働ける人がいない」「賃金水準が合わない」といった声が多く見られます。
こうした背景から、外国人スタッフを積極的に採用する店舗も増えていますが、実際には在留資格による制限がある点に注意が必要です。
なお、外国人材の活用にはメリットがある一方、受け入れ体制や制度理解も欠かせません。詳しくは、以下の記事で解説しています。
▶︎ 外国人労働者受け入れのメリットや課題、雇用する方法と注意点
コンビニで就労できる在留資格とは?

コンビニに限らず、外国人の就労は在留資格によって厳しく制限されています。人手不足だからといって、誰でも雇用できるわけではありません。
コンビニで働けるのは主に留学生
コンビニでのアルバイトが認められているのは、永住者や、留学生・文化活動などの在留資格を持つ外国人です。
留学生の場合は、「資格外活動許可」を取得すれば、原則として週28時間以内の就労が可能になります。学業と両立しながら働ける点や、日本語力向上につながる点から、コンビニバイトは留学生に人気の高い職種です。
接客を通じて日本人と日常的にコミュニケーションを取れるため、日本での生活や学習面にも良い影響があるとされています。
外国人技能実習生はコンビニで雇用できない
一方、外国人技能実習生は、コンビニで働くことが認められていません。技能実習は、あらかじめ定められた職種・作業内容に限って就労が許可される制度であり、コンビニ業務は対象外です。
過去には、特定技能の対象分野にコンビニ業務が含まれるのではないかという報道もありましたが、現時点では実現していません。
技能実習制度は、日本で習得した技能や知識を母国の発展に役立てることを目的としています。そのため、接客中心のコンビニ業務は制度の趣旨に合わず、実習生を雇用すると不法就労に該当してしまいます。
制度の概要や対象職種については、以下の記事で詳しく解説しています。
▶︎ 外国人技能実習制度とは?対象職種や受け入れの流れを解説!
今後、コンビニで働ける在留資格は広がる?

深刻な人手不足を背景に、今後コンビニ業界でも外国人材の受け入れ枠が広がる可能性が注目されています。
特定技能は2019年に創設された在留資格で、人手不足が特に深刻な分野に限って外国人材の就労を認める制度です。外食業は対象となっていますが、コンビニ業務は現時点では含まれていません。
ただし、特定技能は「人材不足の解消」を目的としているため、将来的にコンビニ業が追加される可能性は否定できません。業界からの要望も続いており、今後の制度改正の動向が注目されています。
また、技能実習制度の対象職種を拡大することで、コンビニ業務を認める案も検討されています。日本のコンビニが海外展開を進める中で、現地人材育成につながるという考え方もあります。
特定技能と技能実習では、制度の目的や雇用条件が大きく異なるため、外国人雇用を検討する企業にとっては、制度ごとの違いを整理しておくことが大切です。
特定技能制度の対象分野や受け入れの流れ、企業側に求められる対応については、以下の記事で詳しく解説しています。
▶︎ 【特定技能】外国人労働者の受け入れ可能な分野・業種と受け入れ方
また、特定技能と技能実習の違いや、1号・2号の制度概要については、次の記事も参考にしてください。
▶︎ 在留資格「特定技能1号・2号」とは?「技能実習」の違いや雇用側の条件
まとめ
コンビニの人手不足は全国的に深刻化しており、外国人材の活用は欠かせない選択肢になりつつあります。ただし、現行制度では外国人技能実習生をコンビニで雇用することはできず、主な担い手は留学生アルバイトとなっています。
一方で、特定技能への職種追加など、制度が見直される可能性もあります。人手不足対策と外国人材の活躍機会拡大の両面から、今後の動向を継続的に確認していくことが重要でしょう。
外国人を雇用する際には、在留資格の確認や労務管理など、企業側に求められる対応も多くあります。トラブルを防ぐためにも、専門家のサポートを受けながら、適切に進めていくことが安心です。