労働人口減少の対策はある?日本の未来予測と対策について解説
少子化高齢化による労働人口減少が深刻化しています。総務省のデータによると、国の生産年齢人口(15~64歳)は1995年をピークに減少しており、2021年には7,450万人となりました。さらに、2050年には5,275万人にまで減少すると見込まれています。この急激な労働力不足は、日本経済や企業活動に大きな影響を与えることが懸念されています。
そこでこの記事では、「労働人口減少」に着目し、労働人口の現在の状況や将来予測、そして労働人口減少がもたらす影響について解説します。さらに、企業が取り組むべき対策についても具体的に紹介しますので、自社の労働力確保や生産性向上の参考にしてください。
◆外国人の採用を検討中の企業様には、自社のニーズにあった外国人人材を紹介してくれる「外国人採用サポートPRO」の利用がおすすめです!無料相談から始めて、グローバルな人材の力をビジネスに活かしましょう。
Contents
労働人口減少はどこまで進む?40年で4割減少?
長期的には、40年後の労働人口は現在よりも4割減少すると予想されています。具体的な数値では、2020年には6404万人の労働人口が、2065年には3946万人に減少します。このまま少子高齢化が今のペースで進行し、15歳以上の人口減少にストップがかけられない場合、労働人口は急激に減少していきます。
少子高齢化による生産年齢人口の減少は、日本だけでなく、中国や韓国などのアジア諸国でも同様の問題が発生しています。一方で、アメリカやドイツなどの欧米諸国では、移民の受け入れなどにより労働力人口を維持しています。日本の労働人口減少問題を考える上で、諸外国の事例も参考になるでしょう。
労働人口減少の影響とは
労働人口が減少することにより、どのような影響があるのでしょうか。ここからは、労働人口減少により我々の生活にも大きな影響があることについて、解説していきます。
流通・サービス業に大きな影響
労働人口減少はあらゆる業種に影響を及ぼしますが、特に流通・サービス業で顕著な傾向が見られます。その理由は大きく2つあります。
1つにはECの普及により消費者の購買行動が従来の店舗経由からネット経由へとシフトし、特定業務への労働力の偏りを生んでいることが挙げられます。宅配業がわかりやすい例です。ECの拡大により配達件数が急増していますが、運輸・郵便業に従事する労働者の数はほぼ横ばいです。
2つ目の理由は、BtoC需要のみならず、ネットオークションやフリマアプリといった個人間で売買が可能となるサービスの普及が挙げられます。これによってCtoC需要も急増しており、今後も宅配便の取り扱い個数は拡大の傾向にあると見られており、さらなる労働力不足が予想さえています。
流通・サービス業の就業者数が少ない理由として、長時間労働や低賃金も指摘されています。宿泊・飲食業では「休みが少ない」、「賃金が低い」ことが労働力不足の理由であり、2022年の離職率も産業全体の15%に対して、同業種では26.8%と最も高いです。
ECの拡大により消費者の購買行動が大きく変化する中で、対応に追われる流通・サービス業は労働力不足により、既存のサービスレベルを維持することが困難な状況です。賃金アップや労働環境の改善などの早急な対応が求められています。
団塊世代の退職でさらに減少が加速
2007年以降にいわゆる団塊の世代が定年を迎えることで、減少スピードが加速すると見られています。また、団塊の世代の定年退職に加えて、バブル崩壊後の不況により若い労働者を採用しなかったこと等により、今後、スキル承継や人材確保のための対応を迫られる企業が増加すると見られています。
総務省の「労働力調査」によると、2022年の労働力人口のうち、55歳以上の割合は33.4%と3人に1人が高齢者となっています。団塊の世代が75歳以上となる2025年以降は、医療・介護需要の急増が見込まれており、現役世代の負担増加が懸念されています。企業は、高齢者の経験やスキルを若手社員に承継する取り組みや、定年延長などの高齢者雇用の促進が求められています。
参考:労働力調査(基本集計)2022年(令和4年)平均(速報)結果の要約|総務省統計局
労働人口減少を解消する対策とは
労働人口減少については、各企業が様々な対策を講じている状況ですが根本的な解決には至っていません。今後、企業はどのようにしてこの問題を解決していけばいいのでしょうか。生産性の向上や、外国人労働者の採用など、各企業はそれぞれの業種特有の課題に立ち向かっています。ここでは、それらの対策についてご紹介します。
デジタル化による生産性向上
デジタル化による生産性向上とは、デジタル技術を導入して業務を抜本的に見直し、業務のありかたを改革していくことです。デジタルを活用することで、人間がやる作業を少なくすることができます。デジタル化のアプローチは大きく分けて以下の2つです。
一つ目は、コミュニケーションのデジタル化です。これはリモートワークのようにコミュニケーションにデジタル技術を活用することで、場所や時間に関係なくフレキシブルな働き方が可能になります。
二つ目は、定型作業の機械化です。これはRPA(Robotic Process Automation)に代表されるように、ルーティン的な単純作業を、ソフトウェア型のロボットが自動で実行する方法です。人手で行っていた事務作業をRPAで自動化することで、大幅な工数削減が可能です。
これらの手法を理解し、自社の業務に合わせてデジタル化を進めることで、業務プロセスを抜本的に改善し、効率化を図ることができます。
ただし、単に新しい技術を導入するだけでなく、業務のやり方そのものを見直すことが重要です。情報共有や適切なワークフローの設計など、総合的な取り組みが求められます。
外国人労働者の採用
外国人労働者の採用も有効です。すでに、就労ビザを持たず、技能実習生として国内で就労している外国人が数多くいます。この背景にあるのは、国内での労働者確保は困難なので、外国から労働力を確保して労働力不足を解消するといった考えです。外国人労働者は若年層が多いため、労働者不足が懸念される流通・サービス業や飲食業、介護業などの重要な労働力として期待されています。
外国人労働者を採用する際には、ビザの取得や日本語教育など、受け入れ体制の整備が必要です。また、文化や習慣の違いを理解し、コミュニケーションを円滑に行うための工夫も求められます。外国人労働者を戦力化するためには、企業側の積極的な支援が欠かせません。
外国人労働者の採用を検討する際は、日本における外国人労働者の現状を把握しておくことも重要です。「日本における外国人労働者数は?増加の推移や出身国別の割合も紹介」という記事では、外国人労働者数の推移や出身国別の割合など、具体的なデータを交えて解説しています。外国人雇用の参考になる情報が得られますので、ぜひチェックしてみてください。
まとめ
少子高齢化による労働人口減少は避けられない課題です。企業は、デジタル化や外国人労働者の採用など、様々な対策を講じる必要があります。同時に、働き方改革を進め、多様な人材が活躍できる職場環境の整備も重要です。
危機感を持って取り組むことで、新しい働き方やビジネスモデルを生み出すチャンスにもなります。柔軟な発想と行動力を持って、人手不足の解消に努めましょう。
外国人雇用に関する詳しい情報は、以下の記事も参考にしてください。
[外国人労働者の募集~採用に必要な準備と手続きを詳しく解説]
[採用担当者必見!外国人を雇用するまでの流れと手続きを解説]
[【外国人採用】採用に必要な書類と確認事項をパターン別に解説]
これらの記事では、外国人労働者の採用に必要な具体的な準備や手続きについて、詳しく解説しています。外国人雇用を検討する際は、ぜひチェックしてみてください。