「介護」技能実習生を採用するために。 技能実習制度を解説

4/5/2021最終更新

近年、介護施設等での外国人介護士の姿を目にするようになりました。
しかし、これまではEPAという経済連携協定でしか、外国人の介護職に於ける就労は許可されておらず、就労が認められるようになったのは2017年からのことです。従って、介護業界にとっての外国人材の受入れは、まだまだ新しい取組といえます。

介護に限らず、夢と希望を持って異国の地で意欲的に仕事取り組む外国人材の姿は、関わる人たちに多大な効果を与えてくれます。

今回は、そのような介護職の在留資格の中でも「技能実習制度」について、分かりやすく解説致します。

深刻な介護人材の不足と外国人材の受け入れ状況

ご承知のとおり日本は、2007年に超高齢社会(65歳以上の人口の割合が全人口の21%を占る)へ突入し、高齢化は加速の一途です。

そして2025年問題といわれますが、これはベビーブームの団塊世代が一気に後期高齢者(75歳以上)となり、国内の後期高齢者数が約2,200万人に上ると言われる危機です。そのような中、多くの介護施設等が開業が進みましたが、それを担う職員の確保ができず運営に支障をきたし経営危機に陥るという問題も少なくありません。

2018年の厚生労働省の試算では、2025年時点の介護人材不足は55万人と推測されております。このような介護人材の不足は国内だけでなく国際化の傾向があります。

この流れを受け、法律の2016年制定と2017年からの施行が以下です。

  • 「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律」(入管法)
  • 「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(外国人技能実習法)

更に、以下2018年制定と2019年施行です。

  • 「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律」(入管法)

これにより、

  • 在留資格の「介護」の創設
  • 技能実習の職種に「介護」が追加
  • 在留資格「特定技能1号」の創設

上記が行われ、介護職に従事する外国人材の道が拓かれるようになったことは大きな変化といえます。

現在の、介護職での在留資格を整理すると以下のとおりです。

  1. 在留資格「介護」
    2017年から開始。国家資格である「介護福祉士」の資格を有する者に許可される在留資格で永続的な就労が可能。
  2. 技能実習
    2017年から開始。本国への技能移転を目的とし介護施設等で実習を行う。在留期間は最長で5年間。基本的な日本語を理解する能力を必要とする。
  3. 特定技能1号
    人手不足対応として2019年から開始。介護の知識の評価として技能試験と日本語能力試験への合格者が対象となる。通算5年の就労が可能。
  4. EPA(経済連携協定)
    現在は、ベトナム、フィリピン、インドネシアの3か国から受入れを実施。「特定活動」の資格を与えられ、介護福祉士候補者として介護施設等での就労、研修を行いながら介護福祉士を目指す。

 <参考>

出典:厚生労働省社会・援護局資料「外国人介護人材の受入れのしくみ」https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000510709.pdf

技能実習制度のメリット

この深刻な介護業界での人手不足の中、日本の介護の技術の高さを評価し、日本で介護を学ぼうとする外国人は増えています。そこで、技能実習制度の目的、趣旨とともに制度の特徴を見て行きましょう。

先ず、技能実習制度の目的、趣旨は、以下の通りです。

“我が国で培われた技能、技術又は知識(以下「技能等」という。)の開発途上地域等への移転を図り、当該開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄与するという国際協力の推進”

引用:公益財団法人 国際人材協力機構H.P https://www.jitco.or.jp/ja/regulation/

そして現在は、コロナウィルスの影響で特例となっておりますが、原則、技能実習制度には転職という考えはありません。また技能移転という、これから技能を身に付けようとする人材のための制度ですので、その職業に於ける技術試験等の実施なく来日できます。

このことは、受入側としては、比較的候補者を集めやすく、一定期間の安定した雇用契約の中での人材育成ができるといえます。

更に、技能実習2号までの3年間を良好に修了できれば、今度は特定技能1号への移行も可能となりますので、合計8年間の人材の定着が見込めることになります。

しかし、これまでの技能実習制度の実態としては、労働力需給調整の手段として用いられ、実習生への賃金の不払いや人権侵害等様々な問題がありました。

そこで、これらを是正し適正な実施とするため、2017年「外国人技能実習法」の施行と、同年「外国人技能実習機構」が設立され、実習実施者や監理団体への体制強化が図られるようになりました。

ここからは、以上に留意しつつ技能実習制度の仕組みについて見ていきます。

技能実習制度の仕組みについて

技能実習制度の仕組み

技能実習制度は、団体監理型、企業単独型がありますが、97%が団体監理型で実施されています。企業単独型とは大手企業が海外の現地法人や取引先企業の職員を直接受け入れるものですが、介護に用いられることは殆どないと言えるでしょう。

団体監理型は、認可を受けた事業協同組合等の団体によるものです。技能実習生を受け入れ、企業、施設等への斡旋や実習中の指導、支援を行います。

開始までの流れは、実習実施者(企業、施設等)が監理団体へ申し込みを行い、監理団体は送り出し機関(外国)に依頼をかけ候補者を選考します。その後現地にて面接を行い、成立すれば、実習実施者と技能実習生との間で雇用契約を結び実習開始となります。

入国から帰国までと技能実習の区分

出典:技能実習生の入国から帰国まで 国際研修協力機構HP https://www.jitco.or.jp/ja/regulation/

次に、入国から帰国までのその技能実習区分と要件についてです。

介護の技能実習生は、技能実習1号(1年目)として来日し、約1か月間の講習を行った後、雇用契約のもと実習を通して技能等の習得をして行きます。

そして、1年目が修了するまでに「技能実習評価試験」を受ける必要があり、認められると技能実習2号(2、3年目)へ移行し、技能等に習熟するための活動とし在留期間が更新されます。

そして介護職は、コミュニケーションを必要とする職種です。介護に於ける固有の要件として「コミュニケーションの確保」がありますが、「介護」では日本語能力がそれぞれ要件として設定されています。技能実習1号ではN4程度、技能実習2号ではN3程度が求められます。

技能実習では3号に移行する前に1ヶ月以上帰国する必要があるので、ここで終了とする場合が多いですが、更に「技能実習評価試験」の受験とともに、監理団体及び実習実施者が一定の条件を満たし優良と認められる実績により、技能実習3号(4、5年目)に移行することもできます。以上の更新により、技能実習制度では最長5年の在留が可能となります。

技能実習制度「介護」の固有要件

本制度は、人手不足を補うためのものでなく、本来の趣旨、目的に叶う運用を進めていかなければなりません。そのため、以下を担保し対応できる制度設計が求められています。

  1. 介護が「外国人が担う単純な仕事」というイメージとならないようにすること。
  2. 外国人について、日本人と同様に適切な処遇を確保し、日本人労働者の処遇・労働環境の改善の努力が損なわれないようにすること。
  3. 介護のサービスの質を担保するとともに、利用者の不安を招かないようにすること。

そして、介護に於けるサービスの特性や安全面等に配慮し、いくつかの具体的な要件があります。

例えば「移転対象となる適切な業務内容・範囲の明確化」に於いては、移転対象とする業務内容と、それらを次のように区分しています。

  • 必須業務 = 身体介護(入浴、食事、排泄等の介助など)
  • 関連業務 = 身体介護以外の支援(掃除、洗濯、調理など)、間接業務(記録、申し送りなど)
  • 周辺業務 = その他(お知らせなどの掲示物の管理など)

その他、「適切な実習体制の確保」として、受入れ人数枠や、夜勤業務等、また技能実習指導員の要件や配置に関すること等、受入れ施設等側への要件が設けられていますので、これらに沿った技能実習計画を作成し、運用していくことが大切です。

出典:厚生労働省 社会・援護局 『技能実習「介護」における固有要件について』https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12000000-Shakaiengokyoku-Shakai/0000182392.pdf

尚、実習生は、配属後7ヶ月目から人員配置基準に換算することが可能です。

技能実習生の採用

最後に、現在行われている技能実習生の採用の仕方を確認しておきましょう。

技能実習生の受入れを希望する実習実施者は、送り出し機関に技能実習生の候補生を募集してもらいます。

候補者は、給料の条件や勤務地等から判断し応募してきますので、その中から面接や試験結果を参考に選考していきます。

技能実習生の面接は送り出し機関の現地で行われます。もし現地での面接が難しい場合には、オンラインで行うことがありますが、実習生、実習実施者双方が雰囲気を感じとることができ、また実習生本人の就労の目的をしっかりと確認できることが必要でしょう。

いかがでしたでしょうか。技能実習制度は、技能移転と国際沽券を趣旨とする制度で、労働力の需給調整の手段であってはなりませんが、視点によっては、大いに経営に寄与できる制度ではないでしょうか。

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