【特定技能 随時届出】14日ルール、オンライン提出、社内運用まで実務で迷わない完全ガイド
特定技能の「随時届出」は、何か“事由”が起きた都度、受入れ企業(特定技能所属機関)や登録支援機関が入管へ報告する手続きです。ポイントはシンプルで、まず「随時届出に該当する事由か」を判定し、該当するなら原則14日以内に、所定の様式(参考様式を含む)で、管轄の出入国在留管理官署へ提出します。
公式の様式一覧や運用改善の案内では、受入れ困難の届出(参考様式第3-4号)等の見直しも告知されており、古い情報のまま運用すると期限超過や様式誤りが起きやすい領域です(一次情報は入管庁サイトで都度ご確認ください)。
Contents
随時届出とは?定期届出との違いと、まず押さえる結論

随時届出は、特定技能の受入れに関して状況が変わったタイミングで提出する届出です。対になる「定期届出」は、一定期間ごとにまとめて報告する性格が強いのに対し、随時届出は“イベントドリブン”で、事由発生から期限内に提出しなければなりません。実務上の結論は次の3点です。
- 結論1:随時届出は「事由が起きたら提出」(契約・支援体制・受入れ継続可否などの重要変化)
- 結論2:多くの届出は「事由発生から14日以内」が基本(遅れると法令遵守・監査対応・継続受入れの説明で不利)
- 結論3:迷ったら一次情報(入管庁)で“届出対象”と“最新様式”を確認し、社内では「誰が・いつ・どの証跡で」回すかを決める
ここで重要なのは、随時届出が単なる事務手続きではなく、現場の稼働とコンプライアンスを同時に守る仕組みだという点です。例えば、支援委託先の変更や、受入れ困難の発生は、配属計画・欠員補充・寮手配・通訳体制など、現場に連鎖的な影響を与えます。
上長や法務/コンプラに説明する際は「いつ何が起き、どの根拠で、いつ届出したか」を示せる状態(証跡管理)にしておくことが、結果的に事故対応コストを下げます。
随時届出が“現場に効く”理由:稼働遅延と事故リスクが連動する
随時届出の論点は「提出の有無」だけではありません。提出が遅れる・漏れると、指摘を受けた際に受入れ体制の不備として扱われ、追加資料や是正が必要になり、現場では稼働開始時期がズレる、教育計画が崩れる、残業増でコストが膨らむといった“二次被害”が出ます。
特定技能は採用~就労開始まで関係者が多く、社内外(現場・人事・登録支援機関・送り出し・寮・通信・金融)のタスクが絡み合うため、手続きの遅れがそのまま現場負荷になります。したがって、随時届出は「法令対応」ではなく、稼働の再現性を高めるオペレーションとして設計するのが正解です。
随時届出が必要になる代表的な「事由」一覧

随時届出で最初に詰まるのが、「どの出来事が届出対象か」です。入管庁の届出案内では、特定技能所属機関による随時届出として、雇用契約や支援関連、受入れ継続に関わる事由などが整理されています。実務では、次のように“カテゴリ”で覚えると判定が速くなります。
- 雇用契約・就労に関する変化(終了、変更、就労継続が困難 等)
- 支援体制に関する変化(委託/自社支援の切替、委託先変更、支援実施が困難 等)
- 受入れ基準・適用状況の変化(社会保険/労働保険の適用状況の変更 等)
- 受入れ困難(退職、行方不明、長期離脱、受入れ継続不能につながる事由 等)
以下では、社内で説明しやすいように、よく発生する事由を「現場影響」とセットで整理します。
雇用契約の変更・終了で発生する随時届出(配属・欠員に直結)
雇用契約の変更や終了は、現場のシフトや生産計画に直結します。例えば退職や契約終了が発生した場合、欠員補充の採用計画だけでなく、教育担当の再割当、残業計画、繁忙期の外注判断など、管理指標に影響します。ここで届出対応が遅れると、社内では「なぜ早期に把握できなかったのか」という管理責任の論点になり、社外では「受入れ管理が適切か」という論点になります。
対応の基本は、(1)事由発生日の確定(退職日、契約終了日等)、(2)関連する社内手続き(社保・雇保・税)と並行で、(3)届出書の起票・提出、(4)証跡保管(控え、送付記録、オンライン受付記録)を残す、です。現場影響が大きいイベントほど、人事だけで閉じず、現場責任者・法務/コンプラへ“同時共有”できる運用にすると、説明耐性が上がります。
支援計画・支援体制の変更(委託⇄自社支援、委託先変更)で発生する随時届出
支援体制の変更は、企業側の工数・コスト構造に大きく効きます。委託から自社支援へ切り替えると、定期面談、生活オリエンテーション、相談対応、行政手続き補助などの業務が社内に乗ります。逆に委託へ切り替えると、契約・SLA・対応言語・緊急時連絡(夜間/休日)など、委託先の品質が現場安定性を左右します。
随時届出として重要なのは「支援の実施主体や体制が変わる」という事実そのものです。支援計画の内容変更や、支援委託契約の変更が発生した場合は、届出要否の確認を最優先に行い、後追いで現場が混乱しないよう、社内では「誰が何をやるか(RACI)」を更新します。ゴエンアップピックス内でも自社支援切替の論点が整理されているため、社内検討時の補助資料として併読すると説明が通りやすくなります(例:自社支援切替の記事)。
期限はいつまで?「14日以内」の考え方と、遅れやすいパターン

随時届出は、実務上「14日以内」が合言葉になります。ただし、現場で遅れやすいのは、(1)事由発生日が曖昧、(2)人事・現場・委託先で情報が分断、(3)添付資料や様式選定で手戻り、の3つです。そこで、社内運用では「14日以内に出す」だけでなく、「14日以内に出せるように“判断”と“起票”を前倒し」する設計が必要です。
たとえば退職や就労継続困難は、現場が先に把握し、人事が後追いになるケースがあります。支援実施困難(支援委託先の体制不備等)は、委託先からの報告待ちになり、期限が迫ってから発覚することがあります。結果として、提出は間に合っても、内容不備で差し戻され、実質的に“期限内に適正提出できていない”状態になりがちです。
期限管理の実務ルール(社内で決めるべきこと)
| 項目 | 推奨ルール(例) | 狙い |
|---|---|---|
| 事由発生の一次情報 | 現場責任者の報告+人事の事実確認で確定 | 発生日のブレ防止 |
| 期限の社内締切 | 「発生+7日」で起票完了、「発生+10日」でレビュー完了 | 手戻り吸収 |
| レビュー体制 | 人事+法務/コンプラ+委託先(登録支援機関) | 説明耐性 |
| 証跡 | 提出控え、送付記録、オンライン受付番号、改訂履歴 | 監査対応 |
表はあくまで例ですが、期限超過を防ぐコツは「14日=提出の締切」ではなく、「14日=最後の砦」と捉えることです。現場影響が大きい企業ほど、締切を前倒しにしておくと、結果的に事故コストを削減できます。
遅れやすい“典型パターン”と対策(現場・法務/コンプラへの説明テンプレ)
遅れが起きるパターンは、属人的なミスというより、情報と責任が分散する構造的な問題です。典型は次の通りです。
- 現場先行で事由が起き、人事に上がるのが遅い
対策:現場の週次報告に「特定技能トリガー(退職意向、長期欠勤、配置転換、支援困難)」欄を追加 - 委託先(登録支援機関)からの連絡待ち
対策:委託契約に「届出トリガー発生時の即日通知」「必要情報のフォーマット」を明記 - 様式選定ミスで差し戻し
対策:社内に「様式一覧リンク+用途メモ」を常設し、最新版確認を手順に組み込む - 添付資料の不足・説明不足
対策:起票時に“なぜこの事由に該当するか”を文章で残し、レビューで補強
上長や法務/コンプラ向けには「いつ・何が起き・どの根拠で届出対象と判断し・いつ提出したか」を1枚で説明できるようにしておくと、承認が速くなります。
どの様式を使う?「様式一覧」の見方と、迷いがちな届出(3-4等)の扱い
随時届出の品質を左右するのが「様式選定」です。入管庁には特定技能関係の申請・届出様式一覧がまとまっており、まずはここを起点に最新版を確認するのが最短ルートです。加えて、運用改善により受入れ困難に係る届出(参考様式第3-4号)など、対象や様式が更新されることがあります。つまり、検索で見つけた古い解説記事だけで判断すると、様式や扱いがズレるリスクが出ます。
社内手順としておすすめなのは、以下の“2段階確認”です。
- 入管庁の「届出(提出書類)」ページで、該当する届出のリンクを確認
- そのリンク先(様式/PDF)の日付や注記(新様式、改正)を確認し、社内のテンプレを更新
この流れを運用に組み込むと、「制度改正があっても、様式の最新版に追従できる」状態になります。
参考様式は“必須ではない”が、実務では使うべき理由(差し戻しコストの最小化)
参考様式は、法的に“絶対に同じ様式でなければならない”という位置づけではない場合もあります。一方で、実務上は、参考様式を使うことで「必要項目の抜け」を防ぎやすく、差し戻しによる手戻りを減らせます。特定技能の随時届出は、現場の稼働や契約管理と並行して進むため、1回の差し戻しがスケジュールを押し、管理コストを押し上げます。
したがって、社内説明としては「参考様式を優先し、必要事項の網羅性を担保している」こと自体が、コンプラの合理的配慮になります。特に、受入れ困難や支援困難は、事実関係の説明が重要になりがちなので、形式を揃えるメリットは大きいです。
提出先はどこ?窓口・郵送・オンライン提出の選び方(実務の落とし穴まで)
随時届出の提出先は、基本的に出入国在留管理官署(地方出入国在留管理局等)で、管轄の考え方や提出方法(窓口・郵送・オンライン)を誤ると、提出自体が遅れたり、受付のやり直しが発生します。忙しい企業ほど「とりあえず郵送で出す」になりやすいですが、証跡管理の観点では、提出方法ごとのメリット・デメリットを理解して選ぶのが重要です。
提出方法の比較(実務目線)
| 方法 | メリット | デメリット | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 窓口提出 | その場で形式確認できる場合がある | 移動・待ち時間が発生 | 期限間近、初回で不安が大きい |
| 郵送提出 | 移動不要、社内でまとめやすい | 到着日・受領確認の管理が必要 | 書類が多い、社内で一括管理 |
| オンライン(電子届出) | 受付記録が残りやすい、提出が速い | 初期登録・運用ルールが必要 | 継続的に届出が発生する企業 |
ここでの落とし穴は、提出方法を“場当たり”で変えることです。例えば、普段は郵送なのに、急ぎの時だけ窓口に持ち込むと、社内の証跡フォルダや管理番号が揺れて、後から監査対応が難しくなります。おすすめは「原則はオンライン」「例外時のみ窓口/郵送」といった具合に、標準手順を決めることです。
電子届出(オンライン)を社内標準にする場合の設計ポイント
入管庁には電子届出システムの案内があり、オンラインで届出を行える仕組みが提供されています。オンライン化の価値は「提出が楽」だけではなく、受付記録や履歴が残りやすく、社内の統制(誰が、いつ、何を出したか)に向いている点です。
一方で、導入初期は「利用者登録」「社内の権限設計」「入力データの整備」が必要になります。具体的には、(1)人事が単独で持たず、法務/コンプラも閲覧できる権限にする、(2)届出の入力に必要な情報(在留カード情報、雇用契約情報、支援計画等)をマスター化する、(3)提出後の受付番号や控えを案件ごとに紐づける、の3点を押さえると運用が安定します。
現場影響の観点では、オンライン化により提出のリードタイムが短くなり、手続きの遅れによる稼働ズレを抑えやすくなります。
届出漏れ・期限超過のリスク:受入れ継続、監査、社内統制にどう効くか
随時届出のミスは、単発の書類不備で終わらないことがあります。特定技能は「受入れ体制が適正か」が常に問われる制度設計で、届出漏れや期限超過は、社内外に次のような影響を与えます。
- 社内:管理不備として是正が求められ、監査対応工数が膨らむ。現場には欠員・残業増・稼働遅延が波及する。
- 社外:入管への説明が必要になり、追加資料の提出や手続きのやり直しが発生しやすい。登録支援機関・取引先への説明も必要になる。
- 採用:今後の受入れ計画(人数、時期、配属)を立てにくくなり、採用単価や教育コストが上がる。
特に、上長・法務/コンプラが気にするのは「再発防止の設計」です。つまり、届出を出したかどうかよりも、届出を漏らさない仕組みがあるかが問われます。
よくあるミスTOP5(チェック用)
- 事由発生日の確定が遅れ、期限管理が崩れる
- 様式が古い/違う(最新版確認をしていない)
- 添付情報・説明が不足し、差し戻しが発生
- 受領証跡が残っておらず、社内監査で追えない
- 委託先・現場からの連絡フローが曖昧で、情報が上がらない
箇条書きにした通り、対策は「情報・様式・証跡・フロー」の4点に集約されます。ここを社内規程や手順書に落とし込むと、説明耐性が一段上がります。
社内で“回る”随時届出の運用設計:RACI、チェックリスト、外部支援の使い分け
随時届出の本質は、制度理解よりも運用です。忙しい企業ほど「担当者の頑張り」で回しがちですが、退職・配置転換・委託変更などのイベントは一定確率で起きます。だからこそ、属人化を避け、RACI(Responsible/Accountable/Consulted/Informed)で責任と連携を固定するのが有効です。
RACIの例(最小構成)
| タスク | Responsible(実務) | Accountable(責任) | Consulted(相談) | Informed(共有) |
|---|---|---|---|---|
| 事由の一次把握 | 現場責任者 | 部門長 | 人事 | 法務/コンプラ |
| 届出要否判定 | 人事 | 人事責任者 | 登録支援機関/専門家 | 現場 |
| 様式選定・起票 | 人事 | 人事責任者 | 法務/コンプラ | 部門長 |
| 提出・証跡保管 | 人事 | 人事責任者 | – | 法務/コンプラ |
この表だけで運用が回るわけではありませんが、「誰が止めないといけないか」が明確になるだけで、期限超過の確率は下がります。さらに、届出が頻繁に発生する組織(多拠点、シフト制、外国人材比率が高い等)では、外部支援の活用が費用対効果に合うケースが多いです。
外部支援(GTN等)を使うべき判断軸:コストは“手続き費”ではなく“事故回避費”
外部支援の検討でありがちな失敗は、支援費用を「手続きの代行費」としてしか見ないことです。実際には、外国人材の受入れは在留手続きだけでなく、住居・通信・金融・多言語相談など、生活立ち上げが稼働安定に直結します。ここが弱いと、欠勤・離職・相談対応の突発工数が増え、現場コストが膨らみます。
GTNの受入れ団体支援サービスでは、外国人材受入れに必要な手続きや生活支援を一括で支援する旨が示されています。社内の運用負荷や、緊急時の多言語対応が課題なら、外部支援を“事故回避の保険”として設計する方が合理的です。検討時は、次の観点で比較してください。
- 自社の届出頻度(年間でどれくらい“事由”が起きるか)
- 夜間/休日の相談対応が必要か(24/365、多言語など)
- 住居・通信・金融など生活立ち上げを誰が担うか
- 監査・コンプラ説明に耐える証跡を整備できるか
外部支援の導線として、以下のGTNページを社内検討資料に入れておくと、上長説明が進めやすいです。
https://www.gtn.co.jp/business/acceptance
https://www.gtn.co.jp/business/acceptance/for-companies
よくある質問
Q1. 特定技能の随時届出は、どんな時に必要ですか?
基本は「雇用契約・支援体制・受入れ継続可否など、重要な事由が発生した時」に必要です。退職や契約終了、支援委託先の変更、受入れ困難などは典型例です。迷う場合は、入管庁の届出ページで“随時届出の対象”に該当するかを一次情報で確認し、該当するなら期限内に提出する方が安全です。社内では、現場→人事→法務/コンプラ→委託先の連携を前提に、事由発生の把握フローを作っておくと漏れを防げます。
Q2. 「14日以内」は何を起点に数えますか?
原則は「事由が発生した日」を起点に考えます。ただし、現場で起点が曖昧になりやすいのが落とし穴です。退職なら退職日、契約終了なら満了日、体制変更なら契約変更日など、社内で“発生日の定義”を決めておくと、期限管理が安定します。おすすめは、発生日を確定させた日から逆算して「発生+7日で起票」「発生+10日でレビュー」など、社内締切を前倒しに置く運用です。
Q3. オンライン(電子届出)と郵送、どちらが良いですか?
継続的に届出が発生する企業は、オンライン(電子届出)を標準にした方が、受付記録や履歴が残りやすく、証跡管理に向きます。一方、導入初期は利用者登録や権限設計が必要です。郵送は導入が簡単ですが、到着日・受領の確認を自社で管理する必要があります。結論としては「原則オンライン、例外時に郵送/窓口」といった形で標準化すると、監査対応や社内統制が強くなります。
Q4. 登録支援機関に委託していても、受入れ企業側でやる随時届出はありますか?
あります。委託しているからといって、受入れ企業(特定技能所属機関)側の責任がゼロになるわけではありません。届出の主体が企業なのか登録支援機関なのか、どの事由を誰が起票・提出するのかは、契約と運用で明確にし、RACIで固定するのが安全です。委託先任せにして情報が遅れるのが、期限超過の典型パターンなので、トリガー発生時の即時通知ルールは契約面でも運用面でも押さえてください。
まとめ
特定技能の随時届出は、結論として「事由が起きたら、原則14日以内に、最新様式で、適切な提出先へ提出する」手続きです。ただし、現場で重要なのは、知識そのものよりも、期限内に正しく出し続ける運用です。事由発生日の確定、様式の最新版確認、証跡管理、現場・人事・法務/コンプラ・委託先の連携が揃うと、届出は“事故対応”ではなく“稼働を守る仕組み”になります。
特定技能自社支援切り替え完全ガイド、要件・書類を網羅
特定技能登録支援機関の申請・届出に必要な書類とは|登録から定期報告まで解説