在留カードの取得方法は?外国人採用で企業が押さえておきたい確認ポイント

外国人を採用する企業にとって、在留カードの確認は欠かせないステップです。
採用時に在留資格が適切か、就労制限がないかを確認しなければ、不法就労や法的リスクにつながる恐れがあります。
この記事では、外国人採用を考えている採用担当者に向けて、在留カードの取得方法や申請の流れ、企業が必ず押さえておきたい確認ポイントを詳しく解説します。
在留カードとは?

在留カードは、日本に中長期在留する外国人に交付される身分証明書です。
ビザ(査証)と混同されがちですが、両者は異なる役割を持っています。
在留カードとビザの違い
在留カードは、日本国内での在留資格や在留期間、就労制限の有無を証明するものです。
一方、ビザは日本に「入国」するための許可証であり、国内での活動内容を保証するものではありません。
企業が外国人を採用する際は、必ず在留カードを確認し、就労可能かどうかをチェックする必要があります。
外国人採用における在留カードの重要性
企業は、在留カードの確認を怠ると不法就労助長罪に問われる可能性があります。
また、更新忘れや就労制限を見落とすと、採用後にトラブルへ発展することも。
採用段階でカードの有効性を確認することが、人事担当者にとって非常に重要です。
外国人採用で知っておくべき在留資格は?

在留資格は29種類以上存在しますが、企業が採用で関わるのはごく一部です。
ここでは、実際の採用場面で特に重要となる資格を紹介します。
技術・人文知識・国際業務|ホワイトカラー職種で最多
専門的な知識やスキルを持つ外国人を採用する際に使われる在留資格です。
通訳、営業、エンジニアなど幅広い職種が含まれ、オフィスワークの人材採用に直結します。
特定技能と技能実習|人手不足業種での採用ルート
介護・外食・建設・製造業など、人手不足が深刻な分野で多く利用されているのが「特定技能」と「技能実習」です。
特定技能は、所定の技能試験や日本語試験に合格すれば取得でき、即戦力人材の採用ができます。
一方、技能実習は「技能移転」を目的としていますが、実際には労働力確保の手段として使われてきました。
そのため制度の見直しが進められており、2027年からは新たな「育成就労制度」に移行する予定。
企業にとっても外国人材の中長期的な雇用が行いやすくなることが期待されています。
高度専門職|専門性の高い人材採用
研究者やITエンジニアなど、高度な専門スキルを持つ人材を対象とする在留資格です。
永住権取得の優遇措置もあり、企業にとって優秀な人材を長期雇用できるチャンスにつながります。
留学・家族滞在|アルバイト可否の確認ポイント
留学や家族滞在の在留資格を持つ外国人は、原則としてフルタイムの就労はできません。
ただし「資格外活動許可」を取得すれば、週28時間以内の範囲でアルバイトが可能です。
採用時には必ず在留カードの記載を確認しましょう。
在留カードの取得方法と流れ

外国人が在留カードを取得するまでには、いくつかのステップがあります。
企業が関与する場面もあるため、流れを把握しておくことが大切です。
在留資格認定証明書の申請から発行まで
外国人を日本に呼び寄せて採用する場合、まずは「在留資格認定証明書」の交付申請が必要です。
これは外国人本人が日本に入国する前に、企業または本人が地方出入国在留管理局へ申請する手続きです。
交付された証明書は、日本の在外公館での査証申請に使われます。
在留資格取得許可申請の手順
外国人がすでに短期滞在などの資格で日本に滞在している場合は、「在留資格取得許可申請」を行うことで在留資格を切り替えます。
この際、企業との雇用契約書など、活動内容を証明する書類が必要です。
企業は採用予定者に必要書類を提供する役割を担います。
企業が必ず確認すべき在留カードチェックポイント

外国人を採用する際は、在留カードの記載内容をしっかり確認することが不可欠です。
ここでは採用担当者が見るべきポイントを紹介します。
在留カードで必ず確認すべき3つの情報
カードには「在留資格の種類」「在留期間」「就労制限の有無」が記載されています。
採用時に必ず確認し、就労不可の在留資格でないかどうかを見極めましょう。
不法就労を防ぐために企業が負う責任
企業が在留カード確認を怠り、就労資格のない外国人を働かせた場合、不法就労助長罪に問われるリスクがあります。
最大で懲役刑や罰金刑に科される可能性があるため、チェック体制を徹底することが重要です。
偽造カードへの注意と対応方法
在留カードの偽造は年々巧妙化しています。
違和感のあるカードを受け取った場合は、必ず法務省や出入国在留管理局に確認しましょう。
偽造カードを見抜けず雇用した場合、企業側にも罰則が及ぶ可能性があります。
在留期間の更新を企業も管理しておくと安心
在留カードの更新は本人の責任ですが、企業側も更新期限を管理しておくと安心です。
更新忘れによる不法就労を未然に防ぐため、社内で台帳管理を行うケースもあります。
まとめ
在留カードは、外国人採用において企業が必ず確認すべき重要な書類です。
- 取得の流れを把握し、採用時に適切に確認すること
- 就労資格や在留期限をしっかり管理すること
- 不法就労や偽造リスクに備えて、社内チェック体制を整えること
これらを押さえることで、企業は法的リスクを回避しつつ、外国人社員を安心して受け入れることができます。