外国人雇用で知っておきたい不法就労防止と通報対応とは?
日本で働く外国人が増える一方で、不法就労をめぐる問題も企業にとって無視できないリスクになっています。不法就労は外国人本人だけでなく、雇用した企業にも法的責任が問われる可能性があるため、正しい知識と対応が欠かせません。
本記事では、不法就労の現状を踏まえながら、企業に求められる確認義務や在留カードのチェックポイント、不法就労の疑いがある場合の通報方法までを解説します。外国人を適正に雇用するための実務知識として、ぜひ参考にしてください。
外国人労働者に関する詳しい法律などの情報は、以下の記事もあわせてご覧ください。
▶︎ 外国人労働者の雇用で押さえるべき法律は?入管法と労働関係法令
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Contents
巧妙化する不法就労…企業に求められる責任は?

法務省の統計によると、不法就労に関連して退去強制手続きが行われる外国人は依然として多く、外国人労働者の増加に伴い、企業側のリスクも高まっています。
近年は、偽造された在留カードや不正な在留資格を用いるなど、不法就労の手口が巧妙化しており、企業が外見や申告内容だけで判断することは難しくなっています。
不法就労は法律で禁止されており、不法就労者を雇用した場合、企業は「不法就労助長罪」に問われる可能性も。確認不足や管理体制の甘さが指摘されれば、故意でなくても責任を問われるケースがあるため、外国人雇用においては慎重な対応が求められます。
参考:本邦における不法残留者数について(令和6年7月1日現在)
不法就労防止は企業の法的義務

外国人を雇用する企業には、不法就労を防止するための法的義務があります。これは「出入国管理及び難民認定法(入管法)」により明確に定められているものです。
不法就労助長罪とは
不法就労助長罪とは、不法就労に該当する外国人を雇用したり、就労をあっせんしたりした場合に成立する犯罪です。外国人本人だけでなく、雇用主も処罰の対象となります。
たとえ「知らなかった」「確認したつもりだった」という場合でも、確認が不十分と判断されれば、過失責任を問われる可能性があります。企業にとっては、知らずにリスクを抱え込んでしまう点が特に注意すべきポイントです。
雇用前に企業が行うべき確認義務
入管法では、外国人を雇用する際に、在留カードやパスポートの提示を求め、以下の点を確認することが義務付けられています。
- 在留資格
- 在留期間・在留期限
- 資格外活動許可の有無
一般業種では入管法に基づき確認義務が課されており、違反した場合は3年以下の懲役または300万円以下の罰金、もしくはその両方が科される可能性があります。
また、風俗営業に該当する業種では、確認内容の記録・保存義務があり、より厳格な対応が求められます。
外国人雇用状況の届出義務
すべての事業主は、外国人労働者を雇用または離職させた際に、氏名や在留資格、在留期間などをハローワークへ届け出る義務があります(※一部の在留資格を除く)。
この届出を怠った場合、30万円以下の罰金が科されることがあるため、雇用管理の一環として確実に対応しておきましょう。
在留カード確認の流れとチェックポイント

不法就労防止の基本となるのが、在留カードの確認です。採用面接時など、できるだけ早い段階で実物を確認することが重要です。
在留カードの有無と実物確認
在留カードは必ず実物を提示してもらいましょう。コピーだけでは偽造や改ざんの有無を判断できません。
在留カードはICチップが内蔵されたプラスチック製カードです。材質や印刷の状態に違和感がある場合は、慎重に確認する必要があります。
表面「就労制限の有無」の見方
在留カード表面には、就労に関する制限が記載されています。
- 「就労制限なし」
原則として職種や業務内容に制限なく就労可能です。 - 「就労不可」
原則就労できませんが、裏面に資格外活動許可がある場合は、その範囲内で就労できます。 - 就労制限あり
「技術・人文知識・国際業務」など、特定の業務内容に限定して就労が認められています。
裏面「資格外活動許可」の確認
留学生などは、資格外活動許可を受けている場合に限り、一定条件下でアルバイトが可能です。
- 原則:週28時間以内
- 風俗営業関連業務は不可
別途「資格外活動許可書」が交付されている場合は、その内容もあわせて確認しましょう。
在留カードが未交付・不要なケース
在留カードがまだ交付されていない場合でも、パスポートに「後日交付」と記載されていれば、在留カードの取得を前提とした対応が必要です。
また、「短期滞在」「外交」「公用」など、在留カードが発行されない在留資格もあります。在留資格ごとに就労可否を正しく判断しましょう。
仮放免は原則として就労不可
仮放免許可書は在留資格ではありません。原則として就労は認められておらず、条件欄に「就労不可」と記載されている場合は就労できません。誤って雇用しないよう、十分な注意が必要です。

在留カードの目視確認に加えて、記載内容の真偽を確認したい場合には「在留カード照会」を行う方法もあります。
在留カードの照会については、下記の記事で詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。
▶外国人採用の際に必要な在留カード照会とは?照会方法やアプリも紹介
不法就労が疑われる場合の通報先は?

不法就労の疑いが生じた場合、企業は状況に応じて適切な窓口へ通報することになります。不法就労が疑われる外国人を発見した場合は、地方出入国在留管理局への通報や、本人に対して出頭を促す対応が基本です。
ただし、単なる噂や憶測だけで通報を行うと、業務上のトラブルや信頼関係の悪化につながるおそれもあります。在留カードの記載内容や就労実態をあらためて確認し、不法就労の可能性が高いと判断される場合に、冷静に対応することが重要です。
通報の流れ
地方出入国在留管理局への通報は、直接の来庁、電話、メールなどの方法で行うことができます。平日の9時から17時までが受付時間となっていますが、東京出入国在留管理局では、休日も電話対応を行っています。
通報の際は、不法就労が行われている場所や人数、在留カードの記載内容など、できる限り具体的な情報を伝えましょう。出入国在留管理庁では、寄せられた情報をもとに事実関係の確認を行い、必要に応じて対応が進められます。
また、警察庁でも不法滞在者に関する通報を受け付けています。
通報者の個人情報が洩れることはない
不法就労の通報をためらう理由の一つに、「通報した事実が本人に知られるのでは」という不安があるかもしれません。しかし、出入国在留管理庁では通報者の個人情報管理を徹底しており、情報が漏洩するリスクはほとんどありません。
特に匿名を希望する場合は、警察庁の「匿名通報ダイヤル」を利用でき、通報者の名前を名乗る必要なく、安心して情報提供を行えます。
まとめ
不法就労は、企業にとっても法的・社会的リスクを伴う問題です。外国人雇用を行う以上、在留カード確認をはじめとした基本的な対応を徹底することが、不法就労防止につながります。
また、万が一、不法就労の疑いが生じた場合に、通報という対応があることを把握しておくことも、企業のリスク管理の一環といえるでしょう。日頃から正しい知識を持ち、法令を遵守した雇用管理を行うことが、企業と働く人双方を守ることにつながります。