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不法就労防止に努めよう!在留カードの確認法、通報についても解説

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不法就労で逮捕された人の腕

日本における在留外国人の数が年々増加する中、不法就労問題が注目されています。出入国在留管理庁では、「ルールを守って国際化」を合言葉に、増加傾向にある不法就労外国人対策の強化に力を入れており、雇用主の皆さまにもご協力をお願いしています。

外国人を採用する際には、不法就労を防止するために必要な在留カードの確認作業の流れや、万が一不法就労者を発見した際の通報先について、予め把握しておくことが大切です。不法就労は犯罪であり、雇用主の皆さまにも法的責任が問われる可能性があるため、適切な対応が求められます。

この記事では、不法就労の現状や、雇用主の義務、在留カードの確認方法、そして不法就労者を発見した際の通報方法などについて、詳しく解説していきます。外国人の適正な雇用に向けて、ぜひ参考にしてください。

なお、不法就労に関する詳しい情報は、以下の記事もあわせてご覧ください。
▶︎ 不法就労とは?外国人雇用で失敗しないために

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巧妙化する不法就労…雇用主にも罰則あり

法務省が公表している2022年の統計データによると、外国人犯罪のうち不法就労による退去強制手続きが執られた外国人は10,0300人に上っています。近年、外国人労働者の数が増加傾向にあるのと同時に、不法就労者数も増えているのが実情です。

国は不法就労の防止に力を入れていますが、偽造された身分証明書の使用や不正な在留資格の取得など、犯罪の手口も巧妙化してきています。雇用主の皆さまにとっても、不法就労者かどうかの判別が難しいケースも増えているのではないでしょうか。

しかし、不法就労は立派な犯罪行為です。不法就労者を発見した場合は、速やかに通報する必要があります。また、不法就労者を雇用していた場合、雇用主の皆さまにも「不法就労助長罪」により罰則が科せられる可能性があります。外国人の不法就労は他人事ではなく、雇用主の皆さまにとっても重大な問題なので、不法就労助長罪のリスクを避けるためにも、外国人雇用の際は細心の注意を払う必要があります。

参考:令和4年における入管法違反事件について | 出入国在留管理庁

不法就労防止は雇用主の義務

不法就労の防止は、外国人労働者を雇用する企業の皆さまの義務です。「出入国管理及び難民認定法(以下、入管法)」では、外国人を雇用する際に不法就労者でないことを確認することが定められています。

この義務を怠り、雇用した外国人労働者が不法就労者だった場合、雇用主の皆さまも「不法就労助長罪」により処罰の対象となります。外国人の雇用に際しては、必ず「在留カード」の確認を行い、就労可能な在留資格を有しているかを確かめる必要があるのです。

2020年の不法就労助長罪による検挙件数は364件、検挙人員は406人に上ります(警察庁「令和元年における組織犯罪の情勢」より)。不法就労者を知らずに雇用してしまっただけでも、雇用主の過失責任を問われる可能性があります。また、不法就労者を雇用した企業に対しても、罰金刑が科せられることがあるのです。

2020年 不法就労助長罪による検挙件数・検挙人員

検挙件数364件
検挙人員406人
参考:令和元年における 組織犯罪の情勢 「警察庁」

外国人雇用に際しての雇用主の義務は以下の通りです。

【雇用前の身分確認】
■一般業務

・出入国管理及び難民認定法 第73条の2 外国人を雇用する際は、在留カード、旅券(パスポート)の提示を求め、在留資格・期間、在留期限、資格外活動許可の有無等を確認し、雇用することができる外国人であるかを確認してください。

・罰則 3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はその併科

■風俗営業

・風俗営業の規則及び業務の適正化等に関する法律 第36条の2 接待飲食等の営業を営む風俗営業者等は、その業務に関し、客に接する業務に従事させようとする者の生年月日、国籍及び、日本国籍を有しない者については、在留資格、在留期間、資格外活動許可の有無等を確認し、確認の記録を作成・保存しなければなりません。

罰則 100万円以下の罰金
【外国人雇用状況の届出】
■労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律 第28条

・全ての事業主は、外国人労働者(在留資格「外交」及び「公用」並びに「特別永住者」を除く。)の雇用又は離職の際に、その外国人の氏名、在留資格、在留期間等について厚生労働大臣(ハローワーク)への届出が義務付けられています。

罰則 30万円以下の罰金

出典:外国人の適正雇用について「警視庁」

不法就労の防止は雇用主の皆さまにとって避けては通れない重要な責務です。外国人材の活用を検討される際には、これらの義務についてしっかりと理解し、適切な対応を心がけましょう。

在留カード確認の流れとポイント

外国人労働者の不法就労を防ぐためには、在留カードの確認が欠かせません。採用前の面接時など、できるだけ早い段階で在留カードの提示を求め、以下の手順で確認作業を行いましょう。

在留カードの有無を確認

まず、在留カードを実際に持っているかを確認します。その際、必ず「実物」の在留カードを見せてもらうことが重要です。カードのコピーでは、偽造や改ざんの可能性があるためです。

提示された在留カードが本物であるかどうかは、カードの材質や印刷の質感などから判断できる場合があります。在留カードは、偽造防止のためにICチップが埋め込まれたプラスチック製のカードです。手触りがプラスチックとは異なる素材だったり、印刷が不鮮明だったりする場合は、偽造の可能性もあります。

在留カード表面の就労制限の有無欄を確認

在留カード表面には、就労制限に関する情報が記載されています。

・「就労制限なし」の記載がある場合
→就労内容に制限がないため、原則どのような仕事にも就くことができます。

・「就労不可」の場合
→原則として就労は認められていません。ただし、在留カード裏面の「資格外活動許可」欄に許可内容の記載がある場合は、その範囲内での就労は可能です。

・就労制限がある場合
→在留資格によっては、一定の条件の下で就労が認められているものがあります。「技術・人文知識・国際業務」や「介護」などの在留資格がこれに当たります。就労可能な職種や労働時間・場所など、制限の内容を確認しましょう。

在留カード裏面の資格外活動許可欄を確認

在留カード表面の「就労制限の有無」欄で就労に制限がある場合でも、裏面に「資格外活動許可」の記載があれば、一定の範囲内で就労することができます。

よくあるのが、留学生に対する「資格外活動許可」です。

「許可(原則週28時間以内・風俗営業の従事を除く)」
学業に支障のない範囲で、風俗営業以外の仕事に就くことが認められています。複数の仕事を掛け持ちする場合でも、合計の労働時間が週28時間以内に収まるようにしなければなりません。

・「許可(資格外活動許可書に記載された範囲内の活動)」
別途発行された「資格外活動許可書」に記載された内容の範囲内で、就労が認められます。許可書の提示を求め、具体的な条件を確認しましょう。

在留カードを所持していなくても就労できる場合がある

在留カードの提示を求めたところ、「まだ交付されていない」という回答があったら、外国人労働者の旅券(パスポート)を確認しましょう。旅券に「在留カードを後日交付する」旨の記載があれば、在留カードの交付を待って採用する必要があります。

また、在留期間が3ヶ月以下の「短期滞在」や、「外交」「公用」などの在留資格が付与されている場合は、在留カードが発行されません。在留資格に応じて、就労の可否を判断する必要があります。

  • 旅券に「在留カードを後日交付する」との記載がある
  • 「3月」以下の在留期間が付与されている
  • 「外交」「公用」等の在留資格が付与されている

※「留学」「研修」「家族滞在」「文化活動」「短期滞在」の在留資格の場合は、資格外活動許可を受けていなければ就労不可となります。

仮放免は在留資格ではない

「仮放免許可書」とは、入管法違反の疑いで出入国在留管理庁によって「退去強制手続中もしくは決定した外国人」が所持しています。通常、「仮放免許可書」保持者は出入国在留管理庁の収容施設に収容されますが、健康上の理由等により一時的に収容を解かれている状態です。したがって、在留資格ではないことを覚えておきましょう。

  • 仮放免は在留許可ではいため、基本的に就労不可となります。
  • 仮放免許可書の裏面に「職業又は報酬を受ける活動に従事できない」との条件が記載されている場合は就労不可となります。
  • 許可書に上記条件が記載されていない場合は、在留カードで就労可能か確認しましょう。
出典:不法就労外国人対策|出入国在留管理庁

不法就労の通報は地方出入国在留管理局へ

万が一、不法就労の疑いがある外国人を発見した場合は、地方出入国在留管理局に通報するか、本人に出頭を促すことが求められます。直接訪問、電話、メールなどで、具体的な情報を伝えましょう。

ただし、単なる疑いで安易に通報すると、業務妨害などのトラブルに発展する恐れもあります。不法就労の確証がない段階では、慎重に状況を見極める必要があります。

また、警察庁でも不法滞在者に関する通報を受け付けています。警察への通報については、以下の記事で詳しく解説しています。
▶︎ 外国人の不法滞在はどこに通報する?通報義務の有無や謝礼金も解説

通報の流れ

地方出入国在留管理局への通報は、直接の来庁、電話、メールなどの方法で行うことができます。平日の9時から17時までが受付時間となっていますが、東京出入国在留管理局では、休日も電話対応を行っています。

通報の際は、不法就労の行われている場所や人数、在留カード記載内容など、できる限り具体的な情報を伝えましょう。出入国在留管理庁では、寄せられた情報をもとに事実関係の確認を行い、必要に応じて摘発を行います。

また、警察庁でも不法滞在者に関する通報を受け付けています。警察への通報については、以下の記事で詳しく解説しています。

出入国在留管理庁 情報受付http://www.moj.go.jp/isa/consultation/report/index.html

通報者の個人情報が洩れることはない

不法就労の通報を躊躇する理由の一つに、「通報した事実が不法就労者に知られるのでは」という不安があるかもしれません。しかし、出入国在留管理庁では通報者の個人情報管理を徹底しており、情報が漏洩するリスクはほとんどありません。

特に匿名を希望する場合は、警察庁の「匿名通報ダイヤル」を利用するのも一つの方法です。通報者の名前を名乗る必要はなく、安心して情報提供することができます。

まとめ

日本で暮らす外国人の数が増加の一途をたどる中、不法就労者も後を絶ちません。2023年には、不法残留者数が約79,101人に上ったと法務省は発表しています。

不法就労は、日本の治安悪化や労働市場の混乱を招く重大な問題です。この問題の解決のためには、一人ひとりが高い意識を持ち、法律を遵守することが何より大切だと言えるでしょう。

特に、外国人労働者を雇用する企業の皆さまには、適正な雇用管理の実践をお願いしたいと思います。在留カードの確認を徹底し、不法就労の芽を早期に摘み取る努力を重ねていきましょう。

そして、不法就労の疑いがある事案を発見した際は、勇気を持って通報する。そうした私たち一人ひとりの行動の積み重ねが、安心・安全な社会の実現につながるのだと信じています。

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