タイ人が日本在住で少ない理由とは?ベトナム人・韓国人との違い、永住者・技能実習生の傾向を解説

タイの寺院の内装

外国人採用を検討する中で、「タイ人は採用できるのか」「他国と比べて人数はどのくらいなのか」と気になる企業担当者の方も多いのではないでしょうか。

実際に在留外国人の統計を見ると、タイ人の在留者数はベトナム人や韓国人と比べて多くはなく、その背景には来日ルートや在留資格の構成の違いがあります。

本記事では、タイ人が日本在住で少ない理由を、ベトナム人・韓国人との違いや、永住者・技能実習生などの在留資格の傾向を踏まえて解説します。

タイ人が日本在住で少ない理由とは?

タイ人が日本在住で少ない背景には、「日本との関係が薄い」といった単純な理由ではなく、受け入れ制度や就労機会の違いがあります。まずは全体像を整理していきましょう。

在留タイ人数はベトナム人・韓国人より少ない

厚生労働省の発表によると、2025年10月末時点で日本に在住するタイ人は41,468人で、ベトナム人や韓国人と比べると規模は大きくありません。

ベトナム人は最多の605,906人、韓国人は80,193人と、タイ人の数を大きく上回っています。この差は偶然ではなく、受け入れ制度や歴史的背景の違いによって生まれています。

ベトナム人は技能実習生・特定技能の受け入れ規模が大きい

ベトナム人が多い大きな理由は、技能実習生や特定技能といった就労系在留資格での受け入れ規模が大きい点にあります。

製造業や介護、外食などの分野で人手不足が続く中、これらの制度を通じて多くのベトナム人材が来日しています。一方で、タイ人は同じ制度での受け入れ人数が比較的少なく、結果として在留者数の差につながっています。

韓国は特別永住者など長期定着層が多い

韓国人が多い背景には、特別永住者などの長期定住者の存在があります。

これは現在の採用制度とは別に、歴史的な経緯によって日本に定住している層が多いことが影響しています。そのため、単純に「採用しやすいから多い」というわけではなく、定着の積み重ねによる差といえます。

タイ人は「少ない=採用できない」ではない

タイ人は他国と比べると在留者数は多くありませんが、一定数は日本で生活しており、採用対象として十分検討可能です。

重要なのは、「母数が小さい」という前提を理解したうえで、採用方法やアプローチを工夫することです。

在留資格から見るタイ人の日本在住の特徴

タイ人の在留資格の内訳を見ると、日本でどのように働き、生活しているのかが見えてきます。採用を考えるうえでも押さえておきたいポイントです。

永住者が比較的多い

タイ人の中で比較的多い在留資格のひとつが永住者です。

すでに日本で長く生活している人も一定数おり、日本語や生活習慣への適応が進んでいるケースもあります。採用においては、こうした在日層に目を向けるのも一つの方法です。

技能実習生はいるがベトナム人ほど多くない

タイ人にも技能実習生はいますが、その数はベトナム人ほど多くありません。

そのため、「技能実習でタイ人を採用する」という前提だけで考えると、母集団が限られてしまう可能性があります。

特定技能・技人国など多様なルートもある

タイ人は、特定技能や技術・人文知識・国際業務といった在留資格でも在日しています。

特定技能は外食や宿泊、介護などの分野で活用でき、技人国はオフィスワークや専門職での採用が可能です。採用対象を広げるには、これらの在留資格も含めて検討することが大切です。

なぜベトナム人や韓国人と差が出るのか

ここまで見てきた通り、タイ人の在留者数はベトナム人や韓国人と比べて多くはありません。この差は、人気や国民性の違いではなく、制度や来日ルート、定住の積み重ねといった構造的な要因によって生まれています。

就労系在留資格の流入規模の違い

最も大きな要因は、技能実習生や特定技能といった就労系在留資格での受け入れ規模です。ベトナム人は、これらの制度を通じて日本に来るケースが多く、製造業や介護、外食などの分野で広く受け入れが進んでいます。結果として、来日する人数自体が多くなり、そのまま在留者数の差につながっています。

一方で、タイ人は同じ制度での受け入れが少なく、そもそも日本に来る入口の規模が大きくない点が特徴です。

送り出し体制の違い

ベトナムは、日本向けの技能実習や特定技能の送り出し体制が整っており、人材の供給が安定しています。現地の送り出し機関や教育体制も整備されているため、企業側にとっても採用しやすい環境が整っています。その結果、募集をかけた際に人材が集まりやすく、採用の再現性が高い点も特徴です。

一方で、タイはこうした送り出しの仕組みがベトナムほど大規模ではなく、日本への人材流入が限定的になっています。このような体制の違いも、在留者数の差に影響しています。

産業ニーズとの相性の違い

日本で外国人材の受け入れが進んでいる分野は、製造業や建設、介護、外食など、人手不足が深刻な現場系の業種が中心です。ベトナム人はこうした分野での受け入れが進んできた実績があり、企業側の受け入れノウハウも蓄積されています。

一方で、タイ人はこうした分野での受け入れが相対的に少なく、業種との相性や受け入れ実績の差も、在留者数の違いに影響しています。

定住の積み重ねによる差

韓国人が多い背景には、特別永住者をはじめとした長期定住者の存在があります。これは現在の採用制度とは別に、歴史的な経緯によって日本に定着してきた人が多いことによるものです。そのため、韓国人の在留者数は「新規採用のしやすさ」だけで説明できるものではありません。

タイ人の場合は、このような長期定住層の積み重ねが相対的に少なく、結果として在留者数の差につながっています。

親日国=在留者が多いとは限らない

タイは親日的な国として知られていますが、それだけで在留者数が増えるわけではありません。実際の人数は、在留資格制度や送り出し体制、就労機会といった実務的な要素に大きく左右されます。

そのため、「親日国だから採用しやすい」「人数が多いはず」といった前提で考えるのではなく、制度や構造を踏まえて判断することが重要です。

タイ人を採用したい企業が押さえておきたいポイント

タイ人は在留者数こそ多くありませんが、すでに日本で生活している人材も一定数おり、採用自体は十分可能です。ただし、ベトナム人などと同じ前提で進めると母集団が集まらないケースもあるため、在留資格や採用ルートを踏まえた進め方が重要になります。

在留資格の確認を最優先にする

まず前提として、就労可能な在留資格を持っているかの確認が欠かせません。タイ人の場合、以下の在留資格で就労しているケースが多く見られます。

  • 永住者
  • 技術・人文知識・国際業務(いわゆる技人国)
  • 特定技能

それぞれで就労可能な業務範囲や雇用条件が異なるため、採用前にしっかり確認しておく必要があります。

特に、すでに日本在住のタイ人を採用する場合でも、「どの業務が任せられるのか」を在留資格ベースで判断することが重要です。

技能実習に依存しない採用設計をする

タイ人採用では、技能実習生だけに依存した採用設計はあまり現実的ではありません。ベトナム人と比べると技能実習の人数が少ないため、同じ感覚で母集団を集めようとすると、思うように人材が集まらない可能性があります。

そのため、以下のように複数のルートを組み合わせて検討するのがおすすめです。

  • 在日タイ人の転職市場
  • 留学生の採用
  • 特定技能人材
  • 人材紹介会社の活用

母数が限られている分、採用チャネルを広げる視点が重要になります。

業種との相性を踏まえて検討する

タイ人はすべての業種で同じように採用しやすいわけではありません。例えば、以下のような分野では比較的採用しやすい傾向があります。

  • 観光・宿泊・外食などのサービス業
  • 接客を伴う業務
  • 語学やコミュニケーション力が活かせる業務

一方で、技能実習が中心となる製造業などでは、ベトナム人と比べると母集団が小さいため、採用難易度が上がる場合があります。自社の業務内容と在留資格の適合性を踏まえたうえで、採用対象を検討することが大切です。

採用チャネルの設計が重要

タイ人は在留者数が多くないため、どの採用チャネルを使うかによって結果が大きく変わります。

例えば、以下のような方法が考えられます。

  • 外国人専門の人材紹介会社の活用
  • タイ語対応の求人媒体への掲載
  • 在日タイ人コミュニティへのアプローチ

母数が限られている分、「どこで出会うか」を意識して設計することが、採用成功のポイントになります。

タイ人採用における文化理解のポイント

タイ人採用では、在留資格や採用方法だけでなく、働き方や価値観の違いを理解しておくことも、定着につながる重要なポイントです。

ただし、国民性だけで一括りにするのではなく、あくまで個人差がある前提で、コミュニケーションの取り方を工夫することが大切です。

一般化しすぎず、個人差を前提にする

「タイ人は温和」「協調性が高い」といった特徴が語られることがありますが、すべての人に当てはまるわけではありません。採用や評価の場面では国籍で判断するのではなく、個々の経験やスキル、志向をもとに見ることが重要です。文化的な特徴はあくまで参考情報として捉え、柔軟に対応する姿勢が求められます。

指示は具体的かつわかりやすく伝える

日本語が母語でない場合、曖昧な指示や抽象的な表現は伝わりにくいことがあります。

例えば、

  • 具体的な作業内容を示す
  • 期限や優先順位を明確にする
  • 必要に応じて図や例を使う

といった工夫をすることで、認識のズレを防ぎやすくなります。

人前での強い指摘は避ける

文化的な背景として、人前で強く指摘されることに抵抗を感じる人もいます。

改善点を伝える際は、

  • 個別に落ち着いた場で話す
  • まず良い点を伝えてから改善点を伝える

といった配慮をすることで、信頼関係を築きやすくなります。

定着を見据えたコミュニケーションが重要

採用後のミスマッチや早期離職は、業務内容そのものよりも、コミュニケーションのズレが原因になるケースも少なくありません。

日常的に相談しやすい環境を整えたり、定期的にフォローする機会を設けたりすることで、安心して働ける環境づくりにつながります。

まとめ

タイ人が日本在住で少ない背景には、技能実習生や特定技能といった就労系在留資格の受け入れ規模や、長期定住の積み重ねの違いがあります。

ベトナム人や韓国人と同じ前提で考えるのではなく、在留資格の構成や母数の違いを理解したうえで、採用方法を設計することが重要です。

タイ人材は一定数日本で活躍しており、母数の特性を踏まえた採用設計を行えば、十分に採用は可能です。自社に合った採用ルートを検討し、長期的な人材活用につなげていきましょう。

関連記事