企業成長を支えるベトナム人!歴史的背景や性格、会話の秘訣を徹底解説
ベトナム人雇用を推進する企業が増えていますが、秘密はどこにあるのでしょうか?日本企業とベトナム人との協働がなぜうまくいくのか、その理由を深掘りします。ベトナム人の特性や歴史的・文化的背景を理解することで、より良い職場環境を築け、共に成長する未来を描くためのヒントを得られるでしょう。
<この記事で得られること>
- ベトナムの文化と国民性:ベトナム人の性格や国民性を深く理解し、彼らがどのようにして職場での成功を収めているかを解説します。
- 職場でのメリットと注意点:ベトナム人を採用する際のメリットと、してはいけないことを説明します。
- コミュニケーションのとり方:ベトナム人と働く際のコミュニケーションのコツを紹介します。
本記事では、ベトナム人を採用する際に知っておきたい国民性や仕事観、雇用する際のメリットや注意点などを紹介します。ベトナム人を雇用する際に参考にしていただければ幸いです。
Contents
ベトナムの基本情報と国民性
ベトナムは東南アジアに位置し、文化や歴史が非常に豊かな国です。ここでは、特にベトナム人の国民性と、地域による性格の違いに焦点を当てて解説します。
南シナ海に面した南北に長く伸びる国ベトナムは、インドシナ半島東部に位置し、北部は中国、西部はラオスやカンボジアと国境を接します。
アンナン山脈に沿って南北1650㎞と細長い国土で、北部は亜熱帯気候、南部は熱帯性気候と異なる環境です。
国名 | ベトナム社会主義共和国 |
首都 | ハノイ |
大きさ | 32万9,241平方キロメートル |
人口 | 約1億30万人 |
民族 | キン族(越人)約86%、他に53の少数民族 |
言語 | ベトナム語 |
宗教 | 仏教、カトリック、カオダイ教他 |
主要産業 | 農林水産業、鉱工業・建設業、サービス業 |
ベトナムの平均年齢は31歳!日本の平均年齢が50歳に対してかなり若く、日本の人口分布とは逆のピラミッドを形成します。
参考:外務省ベトナム基礎データ、日本貿易復興機構(ジェトロ)
ベトナムの歴史
ベトナムの歴史は古く、紀元前から独自文化を育んできました。 しかし、紀元前111年から1000年間、中国の支配下に置かれ、 939年に独立を果たした後、李朝、陳朝、黎朝と続き、15世紀には最盛期を迎えます。
19世紀半ばからフランスの植民地となり、第二次世界大戦後の1945年に独立を宣言しました。しかしフランスがベトナムの独立を認めず、1946年から1954年までインドシナ戦争が続きました。1954年にジュネーブ協定により南北が分断。
1965年から1975年まで続いたベトナム戦争では、北ベトナムと南ベトナムが対立し、アメリカも介入しました。1976年7月に全域が統一され、独立国家として歩み始め、現在はベトナム社会主義国として発展を続けています。
ベトナム人の国民性と性格
ベトナム人は一般的に、社交的で家族を重んじる文化です。また、非常に勤勉で、どんなに困難な状況でも前向きに取り組む姿勢があります。
ベトナムの国民性は、歴史的な経緯や文化的背景から成り立っています。例えば、ベトナムはかつて長期間にわたる戦争の影響を受けてきましたが、そのたびに国民が一致団結して困難を乗り越えてきました。また、農業が主要な産業であることから、自然災害に直面しても、農村部では共同体意識を強く持ち協力して作業する風土が根付いています。
ベトナムでは助け合い精神が強く、家族や友人、地域社会との結びつきが強く見られます。
地域により異なった性格
ベトナムは南北に長く、地域によって気候や文化が異なるため、それぞれの地域で国民性や性格にも違いが見られます。ベトナム全体の国民性を理解したうえで、次に地域ごとの特徴的な性格に注目してみましょう。
地域 | 中心地 | 特徴 | 理由 |
北部 | ハノイ | 真面目シャイ堅実貯蓄志向 | 歴史的に中国文化の影響を強く受け、社会主義体制の影響が色濃く残っているため |
中部 | ダノン | チャレンジ精神旺盛向上心が高い | 開発が活発なエリアであるため |
南部 | ホーチミン | おおらか商売上手楽天的消費志向 | フランス文化が色濃く残り資本主義の影響を強く受けた経済都市であり、温暖な気候も影響している |
ただし、これはあくまでも一般的な傾向で、すべてのベトナム人に当てはまるわけではありません。出身地にとらわれず個人を尊重し、それぞれの性格や能力を理解することが大切です。
ベトナム人が日本で働きたい理由
日本で働くことを選ぶベトナム人が増えています。彼らが日本での就労を望む理由は多岐にわたりますが、ここからは、その理由について紹介していきましょう。
高収入を得られる
多くのベトナム人にとって、日本での仕事は高収入を得る絶好のチャンスです。ベトナム国内の平均月収は750万ドン(約4万4000円)程度ですが、日本で働くとその数倍の給料になります。これは、家族を養ったり将来に向けて貯金をするための大きな魅力となるでしょう。
ベトナムの海外労働者は年間数十億ドル以上を祖国に送金しており、これは国の経済にも大きく貢献しています。高収入が得られることは、ベトナム人にとって日本で働く大きな動機の一つです。
労働環境の良さ
日本は、他の出稼ぎ先と比べて労働環境が良く、最低賃金や福利厚生が保障されている点も魅力です。世界では出稼ぎ先で虐待を受けたり、奴隷のように働かされたりするケースも珍しくありません。日本は外国人労働者も平等に扱うという法律が整備されているため、ベトナム人も安心して働ける環境と認識されています。
日本人への好感度が高い
ベトナムでは、日本のアニメ・ドラマ・音楽がとても人気で、日本製品の信用も高く、日系企業の評判も良いことから、日本に対して良いイメージを持っている人が多い傾向です。また、歴史的に日本が経済援助を行ってきたこともあり、親日感情を持つ人が多いことも、日本で働きたいと考える理由の一つとなっています。
治安が良い
日本は世界的に見ても治安が非常に良い国です。テロや宗教対立がきわめて少ないのが理由でしょう。日本の安全な環境は、家族を持つベトナム人にとってとても重要です。彼らは安心して生活し、仕事に専念できると感じています。特に女性や若年層の労働者にとって、日本での安全な環境は大きな魅力となっています。
単純労働で働きやすい
日本では人手不足が問題となっているため、工場労働や農業労働などの単純作業でも、日本で働けばそれなりの給与を得られます。日本語力やスキル不足の若者、初めて海外で働く人にとって、職に就きやすい環境です。また、現在日本では、介護や飲食業界などは常に人手不足のため、まじめに働いてくれる外国人労働者への門戸が開かれており、働きやすいといえるでしょう。
ベトナム人の仕事観
さまざまな理由から日本で働きたいと思うベトナム人はたくさんいますが、日本人とは異なった仕事観を持っています。ベトナム人は、文化的な背景により仕事に対するアプローチや価値観が違うため、採用する際には理解しておくことがとても重要です。ここからは、ベトナム人の仕事観を解説していきましょう。
真面目で勤勉
ベトナム人労働者は、非常に真面目かつ勤勉で、与えられた仕事に対して責任感を持って取り組みます。これは儒教の教えが広く浸透していることや、厳しい経済状況の中、家族のために一生懸命働くという価値観が根付いているためと考えられます。
また、ベトナム人は、新しいスキルを身につけることに意欲的で、自分の成長につながる仕事を求める傾向です。仕事を通してスキルアップしより良い収入を得て、家族を支えたいと考えている人が多いからです。
日本の企業にとって、このような姿勢は非常に価値が高く、プロジェクトや日々の業務において重要な役割を果たすと言えるでしょう。
家族優先
ベトナム文化では家族が非常に重要な存在です。多くのベトナム人にとって、仕事をする主な動機は家族を支えることです。そのため、家族を養うために安定した収入を求め、長時間労働を厭わない傾向があります。家族への強い思いは、彼らが職場で責任感を持って働く一因となっています。一方で、ベトナム人にとって家族は非常に重要な存在のため、家族のイベントや病気の際には仕事を休むことを当然と考える人が多く、残業や休日出勤はあまり好みません。
残業代が出るなら残業OK
ベトナムでは残業が一般的です。残業代が支払われる場合、多くの労働者は積極的に残業します。残業による追加収入が家族の生活を支える重要な手段であるためです。日本企業がこの点を理解し、適切に残業代を設定している場合、ベトナム人労働者は高いモチベーションを持って働いてくれるでしょう。しかし、サービス残業を強要すると、ベトナム人の反感を買う可能性があります。ベトナム人と働く際には、残業に関するルールを明確にし、残業が発生する場合は、事前にしっかりと説明し同意を得ることが大切です。
目先の利益を重要視
経済的に不安定な環境や、即座に結果を求められる社会的背景があるため、ベトナム人は目先の利益を重要視する傾向があります。ベトナム人は将来のキャリアよりも、現在の収入や待遇を重視する傾向があります。長期的な視点で仕事を選ぶというよりは、今現在どれだけ稼げるかが重要です。
報・連・相が不得意
ベトナムでは、個々の作業に集中する文化があるため、日本企業が重視する「報・連・相」が苦手と言われています。これは、文化や習慣の違いによるもので、日本のように「報・連・相」が当たり前のように行われるという概念がないためです。しかし、日本での職業訓練や継続的な教育を通じて、多くのベトナム人労働者はこのスキルを身につけ改善しています。
ベトナム人にしてはいけないことと対処法
ベトナム人を雇用する際には、彼らの文化や個性を理解し適切な対応をすることが重要です。ここからは、雇用の際ベトナム人にしてはいけないことや対処法を詳しく説明します。注意するポイントをしっかりと押さえ、ベトナム人雇用の際に役立てていただければ幸いです。
曖昧なコミュニケーション
ベトナム人は上下関係を重んじる傾向があり、上司からの指示には従順に従うことが多い傾向があります。一方で、自分の意見を伝えることは苦手な場合もあるため、コミュニケーションを取る際には、彼らの意見に耳を傾け丁寧に説明することが重要です。
また、儒教の影響で年功序列の意識が強い社会です。年上の人には留意を払い、丁寧な言葉遣いをしましょう。
わかりにくい日本語
ベトナム人だけではありませんが、会話の際には分かりやすい日本語を心がけましょう。専門用語や難しい表現は避け、簡潔でわかりやすい日本語を使うことが重要です。具体的な言い回しや図解を用いることで、誤解を防ぎ正確な情報を伝えられます。
例えば、安全指示を出す際には、単に「注意してください」と伝えるだけでなく、何に注意すべきか具体的な内容を示してください。また、ビジュアルを用いた説明が効果的であり、ポスターなどを職場に掲示することで、言葉の壁を乗り越えられます。
また、日本語試験の資格取得を支援する制度を設けるなど、入社後に語学を学べる環境を用意するのも良いでしょう。
人前での叱責
ベトナム人はプライドが高い面もあるため、人前で叱責したり比較したりするような指導は避けましょう。個別指導の際には、具体的に誰と比べてではなく何が良くなかったのかを指摘する方が効果的です。
否定的な言葉遣いをする
ベトナムでは言葉の力が重要視されるため、否定的な表現は避け、肯定的な言葉遣いを意識しましょう。指導やフィードバックでも、肯定的な表現を使うことで、相手のモチベーションを保つことができます。
不透明な賃金体系
ベトナム人は賃金に対する意識が高く、現状のスキルに見合った報酬を求める傾向があります。将来的な昇給よりも目先の利益を重視するため、給与体系や昇給の仕組みについて、明確に伝えることが重要です。
ベトナム人労働者のために賃金体系のパンフレットをベトナム語で用意するのも良いかもしれません。雇用前のオリエンテーションで詳しく説明することで、採用後のトラブルを防いでくれるでしょう。
ベトナム人材を活かすためのポイント
ベトナム人材を活かすためには、いくつかのポイントに注意が必要です。
まず、「報・連・相」の文化がベトナムでは十分に浸透していないため、ベトナム人労働者を雇用する際には、この重要性を丁寧に説明し、理解しやすい環境を整えることが大切です。
また、ベトナム人は新しいスキルを身につけることに意欲的で、自分の成長に繋がる仕事を求めて転職する傾向があります。そして、将来的な昇給よりも、目先の給与額を重視するため、現在の仕事が自身のスキルアップに繋がらないと感じた場合や、より良い待遇や福利厚生を求めて転職します。
ベトナム人材を採用する際には、長期的に就労してくれるよう、スキルアップの機会の提供・明確な評価制度に基づいた昇給・働きがいのある環境づくりなどが重要となるでしょう。
以上のようなポイントを押さえることで、ベトナム人との良好な関係を築き、彼らの能力を最大限に活かすことができるでしょう。
ベトナム人採用の成功例
最後に、ベトナム人材の採用で成功を収めた企業の事例を紹介します。
- 株式会社中農製作所
ベトナム人社員が全従業員の3分の1を占めており、その結果、ベトナムに新たな工場を設立することができました。ベトナム人材の積極的な活躍により、同社の海外展開が実現し、成功を収めています。 - フルヤ工業株式会社
2017年に、国内で確保できなかった技術者をベトナムから受け入れ、家族も一緒に呼び寄せて、スキル向上に努めた結果、同社の重要な技術者として現在も活躍しています。この成功は、ベトナム人材のスキルと意欲を引き出した例と言えるでしょう。
最後に、ベトナム人採用の成功例を挙げます。ベトナムの国民性や仕事観を理解したうえで雇用し、成功した企業です。
参考記事:経済産業省、株式会社中農製作所、フルヤ工業株式会社
まとめ
ベトナム人は、親日的な国民性と勤勉さで、日本の企業成長を支える重要な存在です。この記事では、ベトナム人採用の際に知っておきたい、ベトナム人の仕事観や注意点、対策方法を詳しく解説しています。以下に主なポイントをまとめます。
- 地域によって文化や性格が異なる
- ベトナム人は家族を大切にする
- 勤勉で真面目、向上心が強い性格
- 目先の利益を重視する仕事観
- 採用の際は、文化や国民性を知ったうえで対策をする
ベトナム人はとても真面目で日本との親和性が高いため、採用した場合は良好な関係を築けるでしょう。さらに、この記事で得た知識を活かし効果的なコミュニケーション方法を身につけることが、企業成長へと繋がる大きな鍵となるでしょう。