出入国在留管理庁とは?役割・仕事内容・入国管理局との違いを解説
外国人採用を進める企業にとって、出入国在留管理庁は在留資格申請や各種手続きで関わることが多い行政機関です。ただ、「入管と何が違うのか」「どんな役割を持っているのか」が分かりにくいと感じる方も多いでしょう。
この記事では、出入国在留管理庁の基本情報、役割や仕事内容、入国管理局との違い、企業が押さえたい手続きのポイントまで解説します。
Contents
出入国在留管理庁とは?まず押さえたい基本

出入国在留管理庁は、外国人の出入国および在留に関する管理・支援を行う行政機関です。一般的には「入管(にゅうかん)」と呼ばれることも多く、外国人採用を進める企業にとって、在留資格の申請や各種手続きで関わる重要な機関になります。まずは、どのような組織なのか基本から確認しておきましょう。
出入国在留管理庁は外国人の出入国と在留を管理する行政機関
出入国在留管理庁は、外国人の出入国審査や在留資格の管理、在留外国人への支援などを担う行政機関です。法務省の外局として設置されており、日本で生活・就労する外国人に関する幅広い制度運用を担当しています。
なお、「入管」という言葉は、以前の入国管理局時代から使われてきた通称で、現在も出入国在留管理庁や地方出入国在留管理局を指して使われることがあります。
企業にとっては、外国人材を採用する際の在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請、在留期間更新許可申請などで関わる機会が多い組織です。
2019年に入国管理局から改組された
出入国在留管理庁は、2019年4月1日に従来の入国管理局から改組される形で発足しました。
以前の入国管理局は、主に外国人の入国審査や在留管理を担う組織でしたが、外国人労働者や在留外国人の増加に伴い、より広い役割が求められるようになりました。
そのため現在は、入国審査や在留管理だけでなく、外国人材の受け入れ環境整備や在留外国人への支援なども含めた体制へと強化されています。
出入国在留管理庁が注目される背景
近年、日本では人手不足への対応として外国人材の採用を進める企業が増えています。それに伴い、就労ビザや在留資格に関する手続きの重要性も高まっています。
また、特定技能制度の開始など、外国人の受け入れ制度も変化しています。こうした流れの中で、出入国在留管理庁は企業の採用活動や外国人の定着支援を支える存在として注目されています。
外国人雇用を円滑に進めるためにも、企業担当者は出入国在留管理庁の役割を理解しておくことが大切です。
出入国在留管理庁と入国管理局の違い

「入管」と聞くと、今でも入国管理局を思い浮かべる方も多いかもしれません。実際には、2019年に組織改編が行われ、現在は出入国在留管理庁へと変わっています。ここでは、両者の違いをわかりやすく整理します。
一番の違いは「内局」から「外局」になったこと
従来の入国管理局は、法務省の内部組織(内局)として設置されていました。一方、現在の出入国在留管理庁は、法務省の外局として独立性を高めた組織です。
外局になることで、専門性の高い行政分野に対して、より機動的な運営や体制強化がしやすくなりました。外国人の受け入れ拡大や制度変更に対応するため、組織面でも見直しが進められた形です。
管理中心から支援・共生も重視する組織に変わった
入国管理局時代は、外国人の入国審査や在留管理など、「管理」の役割が中心でした。
現在の出入国在留管理庁では、こうした管理機能に加えて、在留外国人への生活支援や就労支援、多文化共生の推進といった役割も重視されています。
たとえば、外国人在留支援センター(FRESC)の設置や、多言語での相談体制整備などもその一例です。外国人が日本で働き、生活しやすい環境づくりまで視野に入れた組織へと広がっています。
企業担当者が理解しておきたい違い
企業担当者にとって大切なのは、「入管=手続きだけをする場所」と考えないことです。
現在の出入国在留管理庁は、在留資格の審査や更新だけでなく、外国人雇用に関する情報提供や支援体制の整備にも関わっています。
そのため、外国人採用では申請手続きだけでなく、制度理解や定着支援まで含めて活用できる存在として捉えることが重要です。制度改正や運用変更が行われることもあるため、最新情報を確認しながら対応していきましょう。
出入国在留管理庁の役割・仕事内容

出入国在留管理庁の仕事は、入国審査だけではありません。外国人が日本へ入国する前の手続きから、在留中の各種申請、生活支援、適正な在留管理まで幅広い役割を担っています。
在留資格の審査・許可を行う
出入国在留管理庁の中心的な業務のひとつが、在留資格に関する審査・許可です。
たとえば、海外にいる外国人を採用する際に必要となる「在留資格認定証明書交付申請」、留学生を新卒採用する際の「在留資格変更許可申請」、雇用継続時の「在留期間更新許可申請」などがあります。
企業が外国人材を採用する際は、仕事内容と在留資格が合っているかどうかが重要になります。学歴や職歴だけでなく、従事する業務内容まで含めて審査されるため、事前確認が欠かせません。
在留カードの交付・在留管理を行う
中長期で日本に在留する外国人には、在留カードが交付されます。在留カードには、氏名、在留資格、在留期間、就労制限の有無などが記載されており、日本で働く外国人にとって重要な身分証明書です。
企業は採用時に在留カードを確認し、就労可能かどうかを確認する必要があります。期限切れや資格外活動違反などを見落とすと、企業側にもリスクが生じる可能性があります。
また、住所変更や在留期間更新など、在留中の情報管理も出入国在留管理庁の重要な役割です。
外国人向けの相談・支援を行う
出入国在留管理庁は、在留外国人への支援にも力を入れています。
代表的な取り組みが、「外国人在留支援センター(FRESC)」です。FRESCでは、在留手続きの相談だけでなく、仕事、生活、日本語学習など幅広い相談に対応しています。
外国人従業員が生活面で困りごとを抱えると、職場定着にも影響することがあります。企業としても、必要に応じてこうした支援窓口を案内できると安心です。
適正な在留管理や違反対応を担う
出入国在留管理庁は、適正な在留管理を維持する役割も担っています。
不法滞在や資格外活動、虚偽申請などが疑われる場合には調査や対応が行われ、必要に応じて退去強制手続きなどにつながることもあります。
企業側も、在留資格の確認不足や不適切な就労があると、不法就労助長罪などのリスクが生じる可能性があります。外国人採用では、本人任せにせず、企業側でも適切に確認する姿勢が重要です。
企業が出入国在留管理庁と関わる主な場面

外国人採用を行う企業は、採用前だけでなく、入社後もさまざまな場面で出入国在留管理庁と関わります。手続きを後回しにすると、入社日の遅れや就労継続ができなくなることもあるため、流れを把握しておくことが大切です。
採用前:在留資格認定証明書の申請
海外に住んでいる外国人を新たに採用する場合、多くのケースで必要になるのが在留資格認定証明書交付申請です。
これは、日本で行う仕事内容に応じた在留資格に該当するかを確認するための手続きで、企業が代理人として申請することも一般的です。
採用したい人材の学歴や職歴だけでなく、配属予定の業務内容との整合性も審査対象になります。求人票と実際の業務内容にズレがあると、許可が下りにくくなることもあるため注意しましょう。
採用時:在留カードと就労可否の確認
すでに日本に在留している外国人を採用する場合は、入社前に在留カードの確認が欠かせません。
確認したい主なポイントは、以下のとおりです。
- 在留資格の種類
- 在留期間の満了日
- 就労制限の有無
- 資格外活動許可の有無(留学生アルバイトなど)
たとえば、「留学」の在留資格のままフルタイム勤務はできません。本人が働けると言っていても、企業側で必ず確認することが重要です。
雇用後:在留期間更新や変更が必要になることもある
採用後も、在留資格に関する対応が必要になる場面があります。
たとえば、在留期間の更新、職種変更に伴う在留資格変更、転勤や業務内容変更に伴う確認などです。特に就労系の在留資格では、許可された活動内容と実際の仕事内容が大きく異なると問題になる可能性があります。
また、更新申請の準備には時間がかかることもあるため、期限直前ではなく早めに本人と確認しながら進めると安心です。
届出やオンライン手続きも活用できる
出入国在留管理庁では、一部の手続きについてオンライン申請や電子届出にも対応しています。
対象となる手続きであれば、窓口へ行く回数を減らし、担当者の負担軽減にもつながります。外国人従業員が多い企業ほど、活用メリットを感じやすいでしょう。
ただし、対象手続きや利用条件は変更されることもあるため、最新情報は公式サイトで確認しながら進めることが大切です。
出入国在留管理庁の窓口・相談先

外国人採用に関する手続きや相談が必要になった場合、「どこに問い合わせればよいのか」と迷う担当者も多いのではないでしょうか。出入国在留管理庁には本庁のほか、全国に地方出入国在留管理局が設置されており、内容に応じて窓口が分かれています。
本庁は政策機能、実務窓口は地方出入国在留管理局
出入国在留管理庁の本庁は、東京都千代田区霞が関にあります。ここでは、制度設計や政策立案、全国的な運用方針の策定などを行っています。
一方で、企業や外国人本人が実際に申請・相談を行う窓口は、各地域の地方出入国在留管理局です。在留資格認定証明書交付申請や在留資格変更申請など、実務的な手続きは地方局で対応するケースが一般的です。
そのため、企業担当者は「本庁に連絡する」のではなく、勤務地や居住地を管轄する地方局を確認しておくとスムーズです。
地方出入国在留管理局でできること
地方出入国在留管理局では、主に以下のような手続きに対応しています。
- 在留資格認定証明書交付申請
- 在留資格変更許可申請
- 在留期間更新許可申請
- 在留カード関連手続き
- 各種相談・問い合わせ
外国人採用では、入社前後を通じて何度も関わる可能性があります。必要書類や予約制の有無などは窓口ごとに異なる場合もあるため、事前確認がおすすめです。
外国人在留支援センター(FRESC)も活用できる
外国人在留支援センター(FRESC)は、在留外国人や企業向けに幅広い相談を受け付ける総合支援拠点です。
在留手続きだけでなく、雇用、生活、日本語学習、法律相談など、複数の機関が連携して支援を行っています。外国人従業員から生活面の相談を受けた際にも、案内先として活用しやすい窓口です。
企業が外国人材の採用や定着を進めるうえでも、こうした公的支援機関を知っておくと心強いでしょう。
外国人採用で企業が押さえたいポイント

出入国在留管理庁の役割を理解していても、採用実務で確認漏れがあるとトラブルにつながることがあります。最後に、外国人採用を進める企業が押さえておきたい実務上のポイントを整理します。
「入管の手続き」と「雇用の手続き」は別と理解する
在留資格の申請や更新が完了しても、それだけで採用手続きがすべて終わるわけではありません。
外国人を雇用する際は、出入国在留管理庁への対応に加えて、ハローワークへの外国人雇用状況届出、社会保険の加入手続き、労働条件通知書の交付など、通常の雇用手続きも必要です。
「在留資格の許可が出たから安心」と考えず、採用から入社後まで必要な対応を全体で整理しておくことが大切です。
在留資格と業務内容の一致を必ず確認する
外国人採用で特に重要なのが、在留資格と実際の仕事内容が合っているかどうかです。
たとえば、技術・人文知識・国際業務の在留資格で採用した場合でも、単純作業のみを継続的に行わせると、許可内容との不一致が問題になる可能性があります。
職種名だけで判断せず、日々の業務内容まで確認したうえで配置することが重要です。部署異動や業務変更がある場合も注意しましょう。
在留期限の管理体制を整える
在留期間には期限があります。更新申請が遅れると、本人が働き続けられなくなるおそれもあります。
そのため、本人任せにするのではなく、企業側でも在留期限を把握し、更新時期が近づいたら声かけを行うなどの管理体制を整えておくと安心です。
外国人従業員が複数いる企業では、一覧表や人事システムで管理する方法も有効です。
不明点は早めに地方局や専門家へ相談する
在留資格の判断や必要手続きは、ケースによって異なることがあります。自己判断で進めると、申請のやり直しや採用スケジュールの遅れにつながることもあります。
判断に迷う場合は、地方出入国在留管理局へ確認するほか、行政書士など外国人雇用に詳しい専門家へ相談する方法もあります。
外国人採用を円滑に進めるためには、早めに確認しながら進める姿勢が大切です。
まとめ
出入国在留管理庁は、外国人の出入国や在留資格の審査・管理を担う行政機関です。外国人採用を行う企業にとって、採用前の申請手続きから入社後の更新対応まで、関わる場面は少なくありません。
在留資格と業務内容の確認、期限管理、必要な届出を適切に行うことが、トラブル防止につながります。外国人採用に不安がある場合は、専門家や支援会社へ相談しながら進めると安心です。