台湾人が取得可能な在留資格はなにがある?在留資格の申請方法も解説

近年、日本企業において台湾人材の採用が注目を集めています。

優秀な人材確保や事業のグローバル化を進める上で、台湾人材の採用を検討する企業も増えています。

しかし、台湾人を雇用する際には、適切な在留資格の取得が必要です。

在留資格にはさまざまな種類があり、それぞれ異なる条件や制限があるため、企業側も正しい知識を持って対応する必要があります。

本記事では、台湾人が取得可能な主要な在留資格の種類、申請方法、そして採用担当者の方が押さえておくべき重要なポイントについて解説します。

台湾人の性格と特徴

台湾人を採用する際には、台湾の文化的背景や特徴を理解することが重要です。

台湾人には日本人とは異なる特徴があり、これらを理解することで円滑な職場環境を構築できます。

自分の意見をはっきり伝える

台湾人の最も特徴的な点は、自分の意見や考えをはっきりと表現することです。

日本のように遠回しな表現や察してもらうことを期待するのではなく、直接的で明確なコミュニケーションを好みます。

これは職場においても同様で、会議や議論の場面では積極的に発言し、自分の考えを述べることが一般的です。

この特徴は、意思決定の迅速化や問題解決において非常に有効な場合が多く、多様性のある職場環境において重要な役割を果たします。

家族を大切にする

台湾の文化では家族との結びつきが非常に強く、家族を何よりも大切にする価値観があります。

このため、仕事とプライベートのバランスを重視し、家族との時間を確保することを重視しています。

企業側としては、この価値観を理解し、柔軟な働き方や休暇制度を提供することで、台湾人従業員のモチベーション向上につながります。

他人の評価を過度に意識しない

台湾人は日本人よりも自分らしさを重視し、他人の評価に左右されることがあまりありません。

この価値観は創造性や独立性を発揮する原動力となり、新しいアイデアや革新的な取り組みを生み出す可能性があります。

企業は、日本の企業文化との違いを理解し、この特徴を活かせる環境を整備することが重要です。

台湾の就職事情

台湾の就職市場を理解することで、台湾人材の採用戦略を効率的に進めることができます。

現在の台湾における就職事情には、以下のような傾向があります。

IT企業が多い

台湾はアジアのシリコンバレーとも呼ばれ、IT産業が非常に発達しています。

半導体の製造をはじめ、ソフトウェアの開発や電子機器の製造など、テクノロジー関連の企業が多く存在し、多くの優秀な人材がIT分野で活躍しています。

このような背景から、台湾人のIT系人材は高い技術力と豊富な経験を持っている場合が多く、日本企業にとって非常に魅力的な人材源となっています。

キャリアアップを目指している人が多い

台湾では転職によってキャリアアップを図ることが一般的であり、より良い条件や成長機会を求めて積極的に転職する文化があります。

これは、企業にとって多様な経験と高いモチベーションを持った人材を獲得できる機会でもあります。

台湾人を採用する際は、この転職文化を理解し、継続的なキャリア開発の機会を提供することで、長期的な雇用関係を構築することが可能です。

【一覧】台湾人が取得できる主な在留資格

在留資格の取得において、特定の国籍による制限は原則として存在しません。

台湾人であっても日本人や他国籍者と同様に、各在留資格で定められた条件を満たすことが取得の要件です。

重要なのは、申請者の学歴や職歴、技能レベル、雇用条件などが在留資格の基準に適合するかどうかです。

以下は、台湾人が取得可能な主要な在留資格の一覧表です。

在留資格名主な対象者在留期間
技術・人文知識・国際業務大学卒業者専門技術者通訳など5年、3年、1年、3か月
特定技能特定分野で技能試験などに合格した者1号:1年以内2号:3年、1年、6か月
技能実習技能実習に参加する者1号:1年以内2号:2年以内3号:2年以内
留学日本の教育機関で学習する者4年3か月以内
家族滞在在留外国人の配偶者・子5年以内
定住者法務大臣が特別な理由を認める者5年以内

技術・人文知識・国際業務

技術・人文知識・国際業務ビザは、台湾人が日本で最も取得しやすい就労系在留資格の一つです。

申請者は原則として大学卒業以上の学歴が必要で、従事する業務と大学などで専攻した分野との関連性が求められます。

台湾の大学を卒業した人材であれば、その学位が日本で認められることが多く、IT関連、貿易業務、通訳・翻訳、マーケティング、経理財務などの分野での就職が可能です。

雇用する企業側の条件も重要で、安定した経営基盤を持ち、日本人と同等以上の報酬を支払うことができる必要があります。

在留期間は最長5年まで認められ、更新も可能です。

特定技能

特定技能制度は、深刻な人手不足に対応するため2019年4月に創設された新しい在留資格です。

台湾人も他国籍者と同様に、この制度を活用して日本で働くことができます。

特定技能1号の取得には、各分野の技能試験と日本語能力試験への合格が必要です。

ただし、技能実習2号を良好に修了した者は技能試験が免除されます。

在留期間は最長5年で、特定技能2号への移行が可能な分野では長期滞在や家族帯同も認められています。

雇用企業は支援計画の作成や定期的な面談の実施など、外国人材に対する包括的な支援を行う義務があります。

技能実習

技能実習制度は、開発途上国などの経済発展を担う人材の育成を目的とした国際協力の一環として設けられた制度です。

台湾人も対象となりますが、この制度は技能の修得や人材育成を目的としており、労働力確保を主目的とした受け入れは制度趣旨に反します。

実習生は、監理団体や実習実施者の管理の下で実習を行います。

また、制度の適正な運営を図るため、外国人技能実習機構による監督指導が行われています。

留学

留学ビザは、日本の大学や大学院、短期大学、専門学校、日本語学校などの教育機関で教育を受ける外国人が取得する在留資格です。

日本語や日本文化への関心の高さから、台湾から多くの学生が日本に留学しています。

留学生は原則として就労することはできませんが、資格外活動許可を取得することで週28時間以内のアルバイトが認められています。

在留期間は教育機関の修業年限に応じて決定され、最長4年3か月まで認められます。

卒業後は就職活動のための「特定活動」への変更や、就職先が決まった場合は「技術・人文知識・国際業務」への変更が可能です。

台湾人留学生の多くが卒業後に日本での就職を希望しており、優秀な人材の供給源となっています。

家族滞在

家族滞在ビザは、日本に在留する外国人の配偶者や子が取得できる在留資格です。

台湾人が就労系の在留資格で日本に滞在している場合、その家族も一緒に日本で生活することができます。

家族滞在者は原則として就労することはできませんが、留学生と同様に資格外活動許可を取得することで週28時間以内の就労が認められます。

このため、多くの台湾人の配偶者がこの制度を利用して、パートタイム勤務をしています。

在留期間は扶養者の在留期間と連動しており、扶養者の在留資格が更新されれば家族滞在も更新できます。

しかし、子どもが成人した場合や独立した場合は、別の在留資格への変更が必要です。

定住者

定住者は法務大臣が特別な理由を認めて居住を許可する在留資格です。

この在留資格は個別の事情を総合的に判断して許可されるため、明確な基準は公表されていません。

しかし、一般的には日本での生活基盤の安定性、素行の善良性、独立した生計能力などが考慮されます。

定住者は就労制限がないため、どのような職種でも従事することができ、起業も可能です。

また、永住許可申請への道筋もあり、長期的な日本滞在を希望する台湾人にとって重要な在留資格となっています。

台湾人が在留資格を取得する方法

台湾人が日本の在留資格を取得するためには、適切な手続きを取る必要があります。

主な方法として、以下の3つの手順があります。

在留資格認定証明書を申請する

外国人が最初にすべきことは、入国前に行う在留資格認定証明書の申請です。

これは日本に入国する前に、受入れ企業や代理人が地方出入国在留管理局に申請を行います。

入国予定者が在留資格に該当する活動を行うことに問題がないことを、法務大臣に認定してもらう手続きです。

申請から交付まで通常1〜3か月程度の期間を要するため、採用スケジュールを考慮した早めの申請が重要です。

在留資格ごとに必要な書類を提出する

在留資格の申請には、それぞれの資格に応じた必要な書類の提出が求められます。

基本的な書類として申請書、写真、旅券の写しは共通ですが、各在留資格特有の書類も必要です。

技術・人文知識・国際業務の場合は、卒業証明書や雇用契約書、企業の登記簿謄本、事業計画書などが必要です。

書類は日本語または英語での提出が原則で、台湾の公的機関が発行した書類には翻訳文の添付が必要な場合があります。

不備があると審査が長期化したり不許可となったりする可能性があるため、申請前の十分な確認が重要です。

在留資格を変更する

既に日本に在留している台湾人が別の在留資格に変更する場合は、在留資格変更許可申請を行います。

例えば、留学生が卒業後に就職する場合の「留学」から「技術・人文知識・国際業務」への変更や、結婚による「家族滞在」への変更などがあります。

変更申請は在留期間満了前に行う必要があり、許可されるまでは従前の在留資格での活動が認められます。

変更が不許可となった場合は、在留期間満了までに出国するか、適法な在留資格を取得する必要があります。

ワーキングホリデー制度での雇用

台湾と日本の間には2009年からワーキングホリデー制度が実施されており、台湾人の若者が日本で働きながら滞在することが可能です。

この制度は18歳以上30歳以下の台湾人が対象で、ワーキングホリデー中でも一時帰国が可能です。

ワーキングホリデービザで日本に滞在できる期間は1年間です。

また、その後の在留資格の変更や在留期間の延長は認められていません。

台湾人を雇用する企業が押さえるべき注意点

台湾人を雇用する際には、在留資格に関するさまざまな注意点を把握し、適切な管理を行うことが必要です。

適切に管理を行わない場合、企業にも法的なリスクが生じる可能性があります。

まず、重要なのは在留資格ごとの就労制限を正確に理解することです。

留学生や家族滞在者は資格外活動許可を取得していても週28時間までの就労制限があり、これを超過した場合は不法就労と判断されます。

企業は勤務時間の管理を徹底し、複数の職場で働いている場合は合計時間数を確認する必要があります。

また、技能実習生は実習計画で定められた業務以外には従事できず、単純労働への従事も禁止されています。

契約内容と在留資格の整合性チェックも欠かせません。

技術・人文知識・国際業務の在留資格で雇用する場合、実際の業務内容が在留資格で認められている活動範囲内である必要があります。

また、報酬額が日本人と同等以上であることも要件の一つです。

採用後の更新・手続きリスクについても十分な注意が必要です。

在留期間の満了前には更新手続きが必要で、これを怠ると不法滞在となってしまいます。

企業は従業員の在留期間を把握し、更新手続きのサポートを行うことが重要です。

また、転職や昇進に伴って業務内容が大きく変わる場合は、在留資格の変更が必要になる場合もあります。

これらの手続きを怠ると、企業も法令違反として責任が問われる可能性があり、今後の外国人雇用における制約を受ける恐れがあります。

まとめ

台湾人の在留資格の取得は、適切な知識と手続きにより実現が可能です。

台湾人の特徴である積極的なコミュニケーション能力や家族重視の価値観を理解し、目的に応じた在留資格を選択することが重要です。

企業は就労制限の遵守や契約内容の整合性確認、在留資格の適切な管理を徹底し、台湾人材の持つ高い専門性とキャリア志向を活かせる環境を整備しましょう。

この結果、優秀な国際人材の確保と企業の成長を実現できるでしょう。

適切に在留資格を管理することで、台湾人材との長期的な雇用関係を構築し、企業のグローバル化を推進できます。

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