特定技能の二国間協定とは?対象国一覧と国別手続き、採用の注意点を解説!

日本企業にとって人手不足は大きな課題です。
その解決策の1つが、2019年に始まった「特定技能制度」であり、外国人材の受け入れが進んでいます。
ただし、外国人の受け入れには日本と送り出し国の間で結ばれる「二国間協定(協力覚書)」が関わります。
この記事では、二国間協定の仕組みや対象国、企業が採用時に押さえておくべきポイントを解説します。
Contents
特定技能制度と二国間協定とは?

特定技能制度は、日本の人手不足を補うために創設された外国人受け入れ制度です。
特定の分野で一定の技能を持つ外国人材を受け入れられる仕組みで、外国人労働者の雇用を希望する多くの企業が注目しています。
その際に重要となるのが「二国間協定」。
これは、日本と外国人労働者を送り出す国との間で結ばれる契約です。
特定技能に関する「二国間の協力覚書」とも呼ばれ、特定技能の外国人の送り出しや受け入れに関するルールや手続きを定めています。
二国間協定は、悪質な仲介業者の排除や情報共有を通じて、労働者の保護を図ることが目的。
つまり、企業にとっても採用を円滑かつ適正に行うための基盤となる仕組みなのです。
二国間協定が必要な理由と企業側のメリット

二国間協定は、単なる手続き上のルールではなく、日本企業にとっても大きなメリットがあります。
- 不透明な仲介を防ぎ、採用リスクを軽減できる
- 手続きが明確になることで採用が円滑に進む
- 労働者保護の仕組みが整っており、安心して受け入れられる
結果として、企業にとっては安定的な外国人材の確保につながります。
二国間協定を締結している国

特定技能制度では原則どの国籍でも申請可能ですが、実際には二国間協定を締結している国が中心です。
2025年8月時点で協力覚書を結んでいるのは以下の15か国です。
カンボジア | インドネシア | ネパール |
フィリピン | モンゴル | インド |
ミャンマー | ウズベキスタン | パキスタン |
タイ | スリランカ | ラオス |
ベトナム | バングラデシュ | キルギス |
協力覚書を結んでいない国からも受け入れ自体は可能ですが、その場合は送出国独自の手続きや規定に注意が必要です。
日本側で在留資格の申請が認められても、送出国での出国許可が下りず、結果的に来日できないケースもあります。
また、送り出し手続きが未整備の国では、仲介業者を通じた不透明な取引が発生するリスクもあるため、企業は十分に留意しておく必要があります。
二国間協定に基づく国別の送り出し手続きの違い

二国間協定を締結している国では、多くの場合、自国政府が管理する独自のルールが設けられています。
日本側の在留資格申請に加えて、こうした国別の要件をクリアしなければならない点に注意が必要です。
【国別の特徴的な手続き】
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このように、国ごとの要件は大きく異なります。
手続きの詳細は出入国在留管理庁のサイトで最新情報を確認しましょう。
特定技能制度から除外された国もある

特定技能制度では、すべての国から外国人材を受け入れられるわけではありません。
2024年時点で、日本政府が「除外国」として指定しているのは イラン と トルコ の2カ国です。
これらの国が対象外とされているのは、退去命令や帰国命令が出された場合に、自国が受け入れを拒否する可能性があるためです。
その結果、日本側で強制的に帰国させられず、難民として扱わざるを得なくなるリスクが指摘されています。
また、イランやトルコは社会情勢が不安定であることから、労働者の保護や円滑な雇用環境を整えるのが難しい点も理由の一つです。
企業が採用に向けて準備すべきポイント

協力覚書や国別の手続きを理解した上で、企業が実際に準備すべきポイントは以下のとおりです。
- 対象国の確認:二国間協定の締結国かどうかを事前にチェック
- 必要書類の整理:国別に異なる書類要件を確認
- 支援体制の構築:登録支援機関や行政と連携して進める
- 最新情報の収集:入管庁や厚労省の公式サイトで常に最新情報を確認
これらを押さえることで、採用後のトラブルや手続き不備を防げます。
まとめ
特定技能を受け入れる際には、日本と送出国が結ぶ協力覚書(二国間協定)の内容が採用の成否を左右します。
国ごとに異なる規定や書類を理解し、正しく対応することが、企業にとって安定した人材確保につながります。
採用を検討している企業の方は、二国間協定の基本と国別の要件を押さえた上で、信頼できる支援機関と連携しながら準備を進めていきましょう。