特定技能「飲食料品製造業」とは?採用の要件や対象業務などを解説
近年、日本国内の食品製造業界では深刻な人手不足に悩まされています。その解決策の一つとして注目されているのが、2019年4月に新設された在留資格「特定技能」です。特に、「飲食料品製造業」の分野で外国人材の受け入れが積極的に進められています。
この記事では、在留資格「特定技能」の中でも「飲食料品製造業」に焦点を当て、外国人労働者の受け入れを検討している食品製造業の経営者や人事担当者の方に向けて、制度の概要や採用の要件、対象業務などを詳しく解説します。
人材不足でお悩みの食品製造業の方、外国人材の活用を検討されている方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
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Contents
特定技能「飲食料品製造業」とは
まず、「特定技能」制度について簡単に説明しましょう。特定技能とは、2019年4月に新設された外国人向けの在留資格(就労ビザとも呼ばれます)の一つです。この制度では、12の特定産業分野に分かれており、それぞれの分野に応じた職に就くことができます。ただし、一定の技能と日本語能力が必要とされています。
※特定産業分野とは、国内で人手不足が深刻で、人材の確保が難しいとされている業種のことを指します。
この特定技能の中でも、飲食料品製造業全般に従事することができるのが「特定技能 飲食料品製造業」です。食品製造に関連する幅広い業務に外国人材を受け入れることが可能になります。
特定技能に関するより詳細な情報は、以下の記事でご確認いただけます。
▶︎ 在留資格「特定技能1号・2号」とは?「技能実習」の違いや雇用側の条件
特定技能「 飲食料品製造業」の対象となる業務
特定技能「飲食料品製造業」の在留資格を持つ外国人が従事できる業務は、次のように定められています。
- 飲食料品(酒類を除く)の製造・加工
- 製造・加工の工程における安全衛生の確保
外国人労働者は、日本人が行っているこれらの業務をサポートする形でも働くことができます。
具体的には、日本標準産業分類の中で、以下に該当する事業者の業務が対象になります。
- 食料品製造業
- 清涼飲料製造業
- 茶・コーヒー製造業
- 製氷業
- 菓子小売業(製造小売)
- パン小売業(製造小売)
- 豆腐・かまぼこ等加工食品小売業
食品の製造から加工、包装、保管、出荷などの一連の工程において、特定技能「飲食料品製造業」の外国人材が活躍の場を広げています。
参考:飲食料品製造業分野 特定技能1号技能測定試験について|農林水産省
特定技能「 飲食料品製造業」の受け入れ企業の要件
特定技能「飲食料品製造業」の在留資格を持つ外国人を雇用するには、受け入れ企業側にも一定の要件が求められます。主な要件は以下の2つです。
- 「食品産業特定技能協議会」の構成員になり、必要な協力を行うこと
- 外国人労働者を直接雇用すること(派遣契約は認められません)
要件の詳細を見ていきましょう。
食品産業特定技能協議会とは
食品産業特定技能協議会は、特定技能制度の適切な運用を図るために設立された組織です。飲食料品製造業と外食業の2つの分野が共同で協議会を運営しています。
協議会の目的は、構成員間の連携を密にし、特定技能制度や関連情報の周知、法令遵守の啓発などを行うことです。また、地域ごとの人手不足の状況を把握し、必要な対応を検討・実施することも協議会の重要な役割となっています。
外国人の受け入れにあたっては、この協議会に所属し、求められる役割を果たしていく必要があります。情報共有や課題への対応など、企業間の連携を密にし、適正な雇用管理に努めることが求められます。
協議会は、特定技能制度を利用する企業をサポートし、外国人材の円滑な受け入れと適正な雇用管理の実現を目指しています。加入企業は、協議会を通じて様々な支援を受けることができます。
協議会加入のタイミングは?
協議会への加入は、実際に特定技能外国人の受け入れを開始してから4か月以内に行う必要があります。
ただし、あらかじめ加入しておく必要はありません。外国人の雇い入れ後に、期限内に加入手続きを済ませれば問題ありません。
参考:飲食料品製造業分野における外国人材の受入れ拡大について|農林水産省
外国人が「特定技能 飲食料品製造業」を取得する流れ
外国人が特定技能「飲食料品製造業」を取得するためには、2つの方法があります。
- 技能測定試験と日本語試験に合格する
- 技能実習2号を修了し特定技能に移行する
それぞれの方法を詳しく見ていきましょう。
1. 技能測定試験と日本語試験に合格する
新規入国予定の外国人や、留学生など技能実習生以外の国内在留者が特定技能を取得する際の一般的な方法です。
次の2つの試験に合格する必要があります。
- 技能試験:「飲食料品製造業特定技能1号評価試験」
- 日本語試験:「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験(N4以上)」
技能試験は、(一社)外国人食品産業技能評価機構(OTAFF)が実施しており、日本の主要都市とフィリピン、インドネシアで行われ、学科試験と実技試験で構成されています。食品安全、衛生管理、製造工程管理、労働安全などの知識が問われ、それぞれの科目で基準点以上のスコアを取ることが求められます。
一方、日本語試験は、特定技能で働くために必要とされる基本的な日本語能力を測ることを目的としています。生活や業務に支障がない程度のコミュニケーション能力が求められます。
これらの試験に合格することで、特定技能「飲食料品製造業」の在留資格を取得することができるのです。
2. 技能実習2号を修了し特定技能に移行する
こちらは、すでに技能実習生として日本で働いている外国人の場合の方法です。
技能実習制度とは、外国人が日本の企業等と雇用契約を結び、出身国では修得が難しい技能等の習得を目的とした制度です。技能実習生は、実習実施者のもとで最長5年間の在留が認められ、技能実習計画に基づいて業務に従事します。
技能実習は、第1号から第3号まで段階的に区分されており、第2号を良好に修了した実習生は、いくつかの条件を満たせば特定技能への移行が可能となります。
技能実習2号を修了するということは、すでに一定の技能と日本語能力を身につけているとみなされるため、改めて技能試験と日本語試験を受ける必要がありません。円滑に特定技能に移行し、働き続けることができるのです。
技能実習制度は、外国人材の育成と日本の産業発展に寄与することを目的としており、特定技能とは異なる外国人材の受け入れ制度ですが、実習生が一定の要件を満たせば特定技能への移行が可能です。技能実習制度の対象職種や受け入れの流れについては、以下の記事で詳しく解説しています。
▶︎ 外国人技能実習制度とは?対象職種や受け入れの流れを解説!
参考:OTAFF 一般社団法人外国人食品産業技能評価機構 特定技能1号・2号技能測定試験
まとめ:正しい知識を持って外国人を雇用しましょう
特定技能「飲食料品製造業」の在留資格を持つ外国人は、国に認められた専門性と技能を有しています。その一方で、受け入れ企業には適切な雇用管理が求められます。
外国人材の採用にあたっては、在留資格の要件や協議会への加入など、制度の理解が欠かせません。また、外国人が特定技能を取得するまでの過程を知ることも、採用後の活躍を促す上で重要です。
外国人材が力を発揮しやすい環境を整備することが、企業の成長につながります。単なる人手不足の解消策ではなく、ダイバーシティ経営の観点から、外国人材を企業の新たな活力源と捉えることが大切です。
制度の理解を深め、外国人材の力を生かせる職場づくりを目指しましょう。御社の発展に役立てていただければ幸いです。
なお、外国人を雇用する際には、ビザの取得から各種手続きまで、様々な準備が必要です。採用担当者の方は、以下の記事を参考に、スムーズに手続きを進めていきましょう。
[外国人労働者の募集~採用に必要な準備と手続きを詳しく解説]