外国人従業員の住民税はどう対応する?企業が押さえるべき仕組み・免除・帰国時の注意点

外国人従業員を雇用している、またはこれから採用を検討している企業にとって、住民税の制度は必ず押さえておきたいポイントのひとつです。
この記事では、外国人従業員に対する住民税の基本的な仕組みや計算方法、免除制度、企業が対応すべき実務ポイントを整理して解説します。
税務リスクを避けるためにも、正しい知識を身につけておきましょう!
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Contents
外国人従業員も住民税の対象?企業が理解しておくべき前提

外国人に住民税が課される条件
住民税は、基本的に日本に「住所がある人」、または「1年以上の滞在を見込んでいる人」に対して課税されます。これらの条件を満たす場合、その外国人従業員は「居住者」と見なされ、原則として住民税の納付義務が発生します。
一方で、短期間の就労や研修などで一時的に日本に滞在している場合は「非居住者」となり、住民税の対象外です。
ただし、日本国内で収入がある場合は、住民税ではなく所得税が源泉徴収されるケースも。
外国人に対する所得税の仕組みについては、こちら[外国人従業員の所得税はどうなる?区分・計算・免除までやさしく解説 ]の記事で詳しく解説しています。
よくある誤解と企業側の注意点
たとえば、「1年未満の滞在だから住民税は不要」「留学生だから非課税」という誤解もよく見られます。
しかし、実際には在留期間や活動実態に応じて課税されることがあり、形式的な期間の長さだけでは判断できません。
特に企業として注意すべきなのは、就労ビザを持つ短期雇用者や、就職後に1年を超えて在留する可能性がある場合。
このようなケースでは、当初は非課税でも翌年には課税対象になることがあるため、本人と連携して情報を確認・共有しておくと安心です。
外国人の住民税はどう計算される?仕組みをチェック!

住民税は、前年の所得に応じて自治体が課税する税金で、「所得割」と「均等割」の2つで構成されています。
- 所得割:所得に応じて計算される部分(おおむね10%程度)
- 均等割:所得に関係なく一律に課される部分(年間5,000円前後)
所得税と同様に、扶養控除や医療費控除などの各種控除が適用されます。
実際の税額は自治体が算出し、企業に通知される仕組みです。
企業はその金額をもとに給与から住民税を天引きし、自治体へ納付します。
住民税の徴収方法と企業の対応フロー

外国人従業員に対しても、住民税の徴収は基本的に日本人と同様に行われます。
ただし、短期雇用や帰国予定者の場合など、特別徴収・普通徴収の扱いに注意が必要です。
企業として押さえておきたい場面ごとの対応を整理しておきましょう。
外国人従業員の特別徴収はどう対応すべき?
外国人であっても、原則として日本人と同じように特別徴収の対象です。
入社時に住民登録が確認でき、かつ1年以上の在留見込みがある場合は、自治体からの通知に基づいて毎月の給与から住民税を天引きします。
ただし、転職直後や在留資格の更新が未定なケースでは、自治体によって普通徴収を指定されることも。
初回対応で戸惑わないよう、給与支払報告書の提出時点で在留カードの確認を含め、情報を整えておくことが大切です。
入社・退職・転出時の対応は?
外国人従業員が途中退職したり、住民票を異動した場合、特別徴収から普通徴収への切り替えが必要になることがあります。
退職時には「特別徴収にかかる給与所得者異動届出書」の提出が求められるため、対応漏れがないようチェックリスト化しておくと良いでしょう。
また、従業員が転出した場合も、住民税は1月1日時点で住民票があった自治体に納めるため、転出先の自治体へ移管されるわけではない点に注意が必要です。
帰国・短期雇用時の未納リスクと納税管理人制度
短期雇用や契約終了後すぐに帰国する外国人従業員は、住民税を納める前に離日してしまうケースも。
納税義務は残るため、本人と事前に確認し、必要に応じて「納税管理人」を立てておくと、企業側もトラブルを避けやすくなるでしょう。
管理人を設定しないまま本人が出国すると、企業に問い合わせが来ることもあります。
特に、翌年6月から課税が始まる前年度所得分について、本人が帰国していても通知や納付義務が残るため、注意が必要です。
外国人が住民税を滞納した場合の対応は?企業ができるサポート

住民税の納付は従業員本人の責任ですが、外国人従業員の場合、制度への理解不足や言語の壁から、滞納やトラブルにつながることもあります。
企業側に納付義務はありませんが、トラブルを防ぐためには、住民税の仕組みや納付方法、帰国前に必要な手続きなどを事前に伝えておくことが大切です。
滞納が発生すると、従業員本人あてに自治体から督促状が届き、延滞金が加算されます。
支払いが長期間行われない場合は、財産の差押えや今後の信用に影響が及ぶ可能性もあるため、注意が必要です。
特に帰国予定のある従業員には、「納税管理人制度」について早めに案内しておくと良いでしょう。
住民税の免除や減免制度とは?

住民税には、収入状況や出身国との租税条約に応じて、減免や免除を受けられる制度があります。
これらはあくまで従業員本人が申請するものですが、企業として制度の概要を把握しておくと、必要に応じた案内やサポートにつながります。
減免・猶予制度
失業や病気、災害などで収入が大きく減った場合には、申請によって住民税の減額や分割払いが認められることも。
内容や条件は自治体によって異なるため、具体的な案内は本人が居住する市区町村に確認する必要があります。
租税条約による免除
日本と租税条約を結んでいる国の出身者で、一定の条件を満たす場合には、住民税が免除されるケースもあります。
この場合「租税条約に関する届出書」を税務署に提出することが必要です。
申請はあくまで本人が行うものですが、制度の存在を知っていれば、該当しそうな従業員に事前に伝えておくことができます。
ちょっとした共有が、不安の軽減や職場への定着にもつながるはずです。
外国人雇用における住民税対応チェックリスト

企業が外国人を雇用する際には、住民税の対応は採用時から退職・帰国時まで継続的に関わる業務のひとつ。
確認しておきたいポイントを場面ごとに整理しておきましょう。
採用〜在籍中に確認しておきたいこと
採用時や在籍中は、住民票や在留資格の確認、書類対応の準備など、基本的な情報収集と事務手続きの土台づくりが重要です。
- 住民票の有無と在留カードの確認
- 給与支払報告書の提出と、特別徴収の対応準備
- 在留資格の更新スケジュールや予定滞在期間の把握
退職・帰国時に対応が必要な場面とは?
退職や帰国にともない、特別徴収の終了手続きや、未納リスクへの備えも求められます。
特に短期雇用や急な帰国が発生しそうな場合は、早めの確認がカギです。
- 異動届(特別徴収にかかる給与所得者異動届出書)の提出
- 未納の住民税の有無と納税管理人制度の案内
- 転出先や帰国後の連絡手段の確認
社内体制や外部連携で整えておきたいこと
個別の対応だけでなく、社内ルールや外部との連携体制も整えておくと、運用がスムーズ。
外国人雇用が初めての企業ほど、事前準備が安心につながりでしょう。
- 担当部門内での対応フロー共有
- 地方自治体との情報共有体制の確認
- 租税条約や減免制度に関する社内ナレッジの整理
- 必要に応じて税理士・社労士への相談ルートを確保
まとめ
外国人従業員にも、条件を満たせば住民税の納税義務が発生します。
企業としては、制度の仕組みや実務対応を正しく理解し、従業員との情報共有やサポート体制を整えることが大切です。
納税トラブルを未然に防ぎ、外国人材との信頼関係を築くためにも、本記事で紹介したポイントをぜひ実務に活かしてみてください。