採用担当者必見!外国人を雇用するまでの流れと手続きを解説
ビジネスのグローバル化が進み、多様な人材を活用することが企業の競争力強化につながると考える企業が増えてきています。そのため、外国人を積極的に雇用する動きが活発化しているのです。
しかし、外国人の雇用には日本人の雇用とは異なる手続きや注意点があり、「外国人を受け入れるにはどのような流れで進めればよいのか」「どんな準備が必要なのか」と疑問を抱えている採用担当者の方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、外国人を雇用するまでの具体的な流れをステップごとにご紹介します。在留資格(就労ビザ)の確認から、雇用開始後に必要な雇用状況届出書の提出まで、押さえておくべきポイントを丁寧に解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
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また、外国人の採用を予定している方は以下の記事もおすすめです。外国人労働者の募集から採用に至るまでに必要な準備と手続きを詳しく解説しています。
▶︎ 外国人労働者の募集~採用に必要な準備と手続きを詳しく解説
Contents
外国人を雇用するまでの6つのステップを紹介
外国人を雇用するまでの流れは以下の6つのステップに分かれています。一つずつ丁寧に解説していきますので、しっかりと押さえておきましょう。
- 求職者を募集する
- 在留資格の精査
- 採用者選定→雇用契約書の作成
- 就労ビザの申請手続き
- 受け入れ準備を行う
- 雇用開始
大きく6つのステップに分かれているので、一つずつ解説していきます。
STEP1. 外国人の求人募集をする
外国人の雇用第一歩は、求職者の募集です。外国人に特化した求人サイトの利用や、人材紹介会社への依頼など、複数の採用チャネルを活用することをおすすめします。
特に人材紹介会社は、企業の要望にマッチした人材を幅広く紹介してくれるため、採用のミスマッチを防げる可能性が高いです。また母国語で求人票を作成してもらえたり、入社後のフォローまで対応してくれる会社もあるので、初めて外国人採用に取り組む企業には心強い味方になってくれるでしょう。
紹介会社に依頼する際は、求める人物像や雇用条件などを具体的に伝えることが大切です。求人票には給与などの処遇面に加えて、仕事内容やキャリアパスなども詳しく記載しておくと応募者の関心を引きやすくなります。
STEP2. 在留資格(就労ビザ)の精査
応募者の中から採用候補者が出てきたら、必ず在留資格(就労ビザ)の確認を行いましょう。就労ビザがない外国人を雇用してしまうと、不法就労となり、会社側にも罰則が科される可能性があるためです。
就労ビザの取得要件は職種によって異なりますが、一般的に「大卒以上」「一定の実務経験」などが求められます。応募者の学歴や職務経歴を丹念に確認し、ビザの取得または変更の必要がないかチェックしておくことが重要です。
この段階で就労ビザの要件を満たしていない応募者は、採用を見送るか、スキルアップを条件に採用時期を遅らせるなどの対応が必要です。ビザが取れずに採用が白紙になるリスクを避けるためにも、慎重に精査を進めましょう。
STEP3. 採用者選定→雇用契約書の作成
面接などを経て最終的に採用する外国人が決まったら、次は雇用契約書の作成です。雇用契約書の記載事項は日本人の場合とほぼ同じですが、トラブルを避けるためにもより詳細に条件を定めておくことが望ましいでしょう。
特に給与や労働時間、社会保険の適用範囲などは、外国人が母国で一般的な状況と日本での状況が異なることも多いため、丁寧に説明を加えながら記載していきます。
労働条件通知書なども活用しながら、業務内容や就業規則もしっかりと伝えておくとよいでしょう。可能であれば、採用者の母国語に翻訳した書類も用意しておくと安心です。
STEP4. 就労ビザの申請手続き
雇用契約書の作成と並行して、就労ビザの申請手続きも進めていきます。外国人の新規雇用の場合は「在留資格認定証明書」の交付申請を、すでに日本に滞在している外国人の雇用なら在留資格の変更許可申請を行います。
就労ビザの申請には、雇用契約書、会社の登記簿謄本、決算書などに加え、外国人本人の履歴書や学歴証明書、パスポートのコピーなど、様々な書類が必要です。「外国人の就労ビザの種類と申請時の必要書類について」の記事では、申請に必要な書類の詳細を網羅的に解説しています。必要書類の準備に迷ったら、ぜひこの記事を参考にしてください。
特に留学生の採用を検討している企業は、留学ビザから就労ビザへの変更手続きについて理解しておく必要があります。「【最新版】留学ビザから就労ビザへの変更!必要な書類とその流れとは?」の記事では、留学生特有の事情を踏まえた就労ビザ申請の手順を詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
申請から認定までには通常1~3カ月ほどかかるため、採用スケジュールに余裕を持たせることが重要です。コロナ禍の影響で審査が遅れるケースもあるため、早めの動きを心がけましょう。
在留資格認定証明書の取得に関しては「外国人採用に欠かせない在留資格認定証明書とは?取得方法を解説」の記事で、在留資格の変更許可申請については「在留資格変更時の申請手続き!必要書類や審査期間も解説」の記事でそれぞれ詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
STEP5. 受け入れ準備を行う
就労ビザの取得が確定したら、外国人社員の受け入れ準備を進めます。主な準備項目は以下の通りです。
- 住居の手配
- 日本語教育のためのスクールや教材の手配
- 入社後の研修準備
- 業務マニュアルの作成(場合によっては母国語でも)
- 配属部署への周知・説明
- 航空券などの手配(海外から呼び寄せる場合)
住居の手配は特に重要な項目の一つです。社宅やシェアハウスの利用、不動産仲介会社との提携など、居住施設の確保にはさまざまな方法があります。
外国人が安心して生活を始められるよう、周辺環境の情報提供や行政手続きのサポートも欠かせません。社会保険や税金の仕組み、ゴミ出しのルールに至るまで、生活に必要な情報をまとめたガイドブックを用意しておくと喜ばれるでしょう。
業務面では、配属先での業務内容の確認や、必要な研修の手配を進めます。使用する機材の説明資料や業務マニュアルは、できれば外国人社員の母国語でも用意しておくと良いですね。日本語学習の支援制度を導入している企業も増えています。
受け入れ先の社員への説明も大切なポイントです。新しい仲間をスムーズに迎え入れられるよう、外国人材受け入れの目的や、配属先での協力体制などを事前に伝えておきましょう。
STEP6. 雇用開始・雇用状況報告書の届出
いよいよ外国人社員を迎え、実際の雇用がスタートします。受け入れ初日は、人事担当者が社内を案内したり、配属先の担当者が業務の手順を説明したりと、手厚いフォローが欠かせません。
歓迎会などを開いて周囲の社員との交流を図ることも、外国人社員が企業に早く馴染むために有効でしょう。何か困ったことがあれば相談しやすいよう、定期面談の機会を設けるなどのきめ細やかな対応も大切です。
雇用開始後の手続きとしては、「外国人雇用状況の届出」の提出が義務付けられています。雇入れの際は雇用開始日から14日以内に、離職の際は離職日の翌日から14日以内にハローワークに提出します。正社員だけでなく、パートやアルバイトも対象になるため注意しましょう。
優秀な外国人を採用するポイント
続いて、優秀な外国人人材の採用のポイントをご紹介します。
何より大切なのは、魅力的な求人条件の提示です。日本企業の多くは未だに年功序列型の賃金体系を取っているため、経験豊富な外国人人材の給与水準としては物足りなく映ってしまうケースが少なくありません。
欧米など、より成果主義の浸透した国の出身者であれば、その傾向は顕著です。日本と母国を行き来しながらキャリアを積んできた外国人の感覚からすれば、日本企業の報酬水準の低さに不満を抱くことも珍しくありません。
優秀な外国人人材に長く働いてもらうためには、スキルや経験に見合った給与水準を提示することが欠かせません。職務内容に応じて上限を設定するなど、柔軟な処遇制度の導入も一案でしょう。
また、キャリアアップの方向性を明確に示すことも重要です。「どのようなキャリアパスが用意されているのか」「将来のキャリア形成にどうつなげられるのか」。外国人社員の関心は、往々にしてこうした点に向かいます。
採用段階から中長期的なキャリアビジョンを提示できれば、優秀な人材を惹きつけられる確率もぐっと高まるはずです。社内でのポストや、グローバルな事業展開の中での活躍の場など、具体的な将来像を描けるとより説得力が増すでしょう。
外国人を雇用する場合の注意点
最後に、外国人の雇用に際して注意すべき点を確認しておきましょう。外国人を雇用する際の注意点は、大きく2つあります。
在留資格で認められた範囲内でしか就労できない
外国人労働者を雇用する際の注意点の1つめは、就労が認められていない在留資格の外国人を雇用しないことです。留学ビザで日本に滞在する学生を、許可された時間以上働かせてしまうなどのケースは厳禁です。
不法就労と見なされれば、外国人本人の強制退去といった処分にとどまらず、雇用者側にも懲役または罰金刑が科される可能性があります。在留資格の内容は入国管理局のウェブサイトで確認できるため、採用前にはしっかりチェックしておくことが大切です。
雇用契約書は母国語で詳細に作成する
2つめの注意点は、雇用契約に関することです。外国人は契約書で交わした内容を重視する傾向があるため、給与や勤務時間、休暇など、雇用条件を詳細に記載することが求められます。
トラブルを防ぐためには、日本語だけでなく、採用する外国人の母国語でも契約書を作成するのが賢明でしょう。日本語の契約書の解釈を巡って思わぬ齟齬が生じるリスクを避けることができます。
また服務規律についても、文化慣習の違いから、日本人社員とは別の基準を設けることも一案です。宗教上の理由で特定の行事への参加が難しいケースなども想定されます。柔軟な対応を心がけることが、トラブルを未然に防ぐカギとなるでしょう。
まとめ
日本で働く外国人は今後ますます増えていくことが予想されます。優秀なグローバル人材を獲得し、強みにつなげていくためには、計画的な採用活動が欠かせません。
在留資格の確認や雇用契約書の作成など、日本人の採用には無い手順も多いため、関係部署との連携を密にし、入念な準備を進めることが何より大切です。
また受け入れ後の配慮を怠れば、折角採用した人材も早期離職につながりかねません。職場での人間関係づくりや、キャリア形成の支援にも目を配り、外国人社員が長く活躍できる環境を整えましょう。
外国人の視点を経営に取り入れ、ダイバーシティを推進することは、これからのグローバル競争を勝ち抜くための大きな武器になるはずです。ぜひ本記事を参考に、戦力となる外国人材の採用を実現させてください。