ワーキングホリデービザの外国人を採用するには?雇用条件・注意点・就労ビザ切り替えまで徹底解説!

ワーキングホリデービザで働くことを検討中の外国人女性

外国人材の採用を検討する中で、短期間の即戦力として注目されているのが「ワーキングホリデービザ」を活用した雇用です。

特にインバウンド対応や繁忙期の人手不足解消に向け、ワーキングホリデー制度を利用して来日する外国人を受け入れたいと考える企業も増えてきました。

この記事では、ワーキングホリデービザの基本情報から、日本での就労条件、雇用時の注意点、就労ビザへの切り替え方法まで、解説します。

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採用前に押さえたい!ワーキングホリデービザの基本情報

まずは、企業側が押さえておくべきワーキングホリデービザの基本や、対象国、受け入れ人数などの制度面について見ていきましょう。

ワーキングホリデー制度とは?

ワーキングホリデー制度は、18〜30歳の若者が、日本で観光や文化体験を目的に最長1年間滞在できる制度で、滞在中に生活費を補うための就労が認められています。

この制度で来日する際に発給される在留資格が、いわゆる「ワーキングホリデービザ(在留資格『特定活動』)」。観光と就労の両立ができます。

制度の利用は原則として一人1回限りであり、滞在期間は最長1年間です。

ワーキングホリデーの対象国と受け入れ人数

令和7年1月時点で、日本とワーキングホリデー制度の協定を結んでいる国・地域は30か国。

年間の受け入れ人数に制限がある国もあります。

オーストラリアノルウェーニュージーランド
ポルトガルルクセンブルクカナダ
ポーランドスロバキアフランス
韓国オーストリアドイツ
ハンガリー英国スペイン
アイルランドアルゼンチンデンマーク
チリ台湾アイスランド
香港チェコリトアニア
ウルグアイスウェーデンフィンランド
エストニアラトビアオランダ
参考:ワーキング・ホリデー制度|外務省

ワーキングホリデービザで外国人が日本で働く条件とは?

ワーキングホリデービザの外国人は、業種や雇用形態の幅が広く、短期的な人材ニーズにも対応しやすいのが特徴です。

ただし、制度の目的に沿わない働き方や禁止されている業種もあるため、採用前にルールをしっかり理解しておきましょう。

日本で働く際の条件は?

ワーキングホリデービザで働く外国人にも、日本の労働基準法が適用されます。

労働時間や賃金、休日などの基本的なルールは、日本人と同じです。

ただし、風俗業や接待を伴う飲食業など、風俗営業等に該当する業種は就労が認められていません。

また、専門的な資格や免許が必要な業務に就くこともできないため、基本的には補助業務や接客など、比較的簡易な業務に従事してもらうことが前提となります。

勤務時間や雇用形態に関するルール

ワーキングホリデービザを持つ外国人は、フルタイム・パートタイムいずれの勤務形態も可能です。

ただし、契約期間は原則としてビザの有効期限内(最長1年)に収める必要があります。

そのため、短期間の雇用やシフト制での勤務など、柔軟な働き方を前提とした採用に向いています。

特に、繁忙期に合わせた短期スタッフの確保や、多言語対応が求められる場面では重宝される存在です。

雇用におけるメリットと企業側の魅力

ワーキングホリデービザの外国人を採用することで、企業側にもさまざまなメリットがあります。

以下のような点が、採用を検討するうえでの大きな魅力です。

  • ビザ申請において企業側の手続きが不要
  • インバウンド対応など、外国語スキルを活かせる
  • 短期雇用やアルバイトも可。即戦力として活用しやすい

制度上の柔軟性と実務的なメリットを兼ね備えているため、初めて外国人を受け入れる企業でも導入しやすく、多くの現場で活躍が期待できます。

雇用前に確認したい税金と保険のルール

ワーキングホリデービザの外国人を雇用する際は、税金や社会保険の扱いにも注意が必要です。

対応を誤ると企業側のリスクにつながるため、事前に基本的なルールを確認しておきましょう。

所得税率と課税のルール

ワーキングホリデービザで日本に滞在する外国人は、通常「非居住者」として扱われます。

非居住者に対しては、日本国内で得た収入から源泉徴収として一律20.42%の所得税が課される仕組みです(住民税は課税されません)。

この税率は毎年変更される可能性があるため、最新の税制に注意しながら給与計算を行う必要な場合もあります。

一定以上の収入がある場合は、本人による確定申告が必要になるケースもあるため、必要に応じて税務署や専門家への確認がおすすめします。

社会保険の加入義務

ワーキングホリデーの外国人も、労働時間や雇用期間などの条件を満たせば、日本人と同じく健康保険・厚生年金・労災保険の加入対象です。

ただし、健康保険と厚生年金は、以下のようなケースで適用外となります。

  • 週の所定労働時間がフルタイム従業員の4分の3未満(目安:週30時間未満)
  • 月の労働日数がフルタイム従業員の4分の3未満
  • 上記に加えて、短時間労働者向けの特例基準(週20時間以上勤務・雇用期間が2カ月超・月額賃金8.8万円以上・学生でない・従業員数51人以上の企業)を満たさない場合

一方、雇用保険は適用の対象外となります。ワーキングホリデーは来日目的が「休暇」であり、就労を主目的としないためです。

また、本国と日本が社会保障協定を結んでいる場合は、二重加入を避けるために厚生年金や健康保険の支払いが免除されることも(例:ドイツ、英国、韓国、米国など)。

免除の対象や範囲は国ごとに異なるため、日本年金機構のページを事前に確認しておくと安心です。

なお、厚生年金は帰国後に「脱退一時金」により一部が払い戻される制度があります。

制度を知らない外国人も多いので、事前に教えておきましょう。

参考:外国人の雇用に関するQ&A|ハローワーク

ワーキングホリデー後も日本で働き続けたい場合の対応は?

ワーキングホリデー終了後も外国人を継続雇用するには、在留資格を「就労ビザ」に切り替える必要があります。

ここでは、切り替えに必要な条件や注意点を確認しておきましょう。

就労ビザへの切り替え条件とポイント

ワーキングホリデーから引き続き日本で働くためには、就労ビザの取得が必要です。

就労ビザは、日本での就労を目的とする在留資格で、主に「技術・人文知識・国際業務」や「技能」などが該当します。

対象となる職種は、専門性が求められるものであり、単純労働には該当しません。

ビザの申請には、日本国内の雇用主による採用が前提となり、企業を通じた手続きが必要です。

採用予定の業務が入管法で定められた活動内容に適合しているかは、出入国在留管理局で事前相談して確認しましょう。

また、外国人本人の学歴・資格・本国での実務経験が上陸許可基準を満たしているかは、企業側で事前にチェックしておくことが重要です。

これらの確認を怠ると、申請が却下される可能性があります。

就労ビザ切り替え時の一時帰国ルール

就労ビザへの切り替えは、すべての国のワーキングホリデー参加者が日本国内で行えるわけではありません。

例えば、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、ドイツの5か国・地域の出身者は、日本に滞在したまま切り替え申請が可能です。

一方、それ以外の国の出身者は、一度帰国して手続きを行う必要があります。

具体的には、雇用予定の企業などが在留資格認定証明書交付申請を行い、証明書が交付された後に、母国にある日本大使館や領事館といった在外公館で査証(VISA)発給申請を行う流れです。

就労ビザの申請方法に関してはこちらの記事で紹介しています。

採用企業が押さえておくべき実務フローと注意点

ワーキングホリデービザで来日した外国人を雇用する際には、採用前後の実務フローにも注意が必要です。

法的書類の確認はもちろん、入国後の手続き、サポート体制の整備も含めた準備を行いましょう。

採用前に確認すべき書類・情報とは?

採用前には、必ず以下の点をチェックしましょう。

  • 在留カード:在留資格欄が「特定活動」になっているか、有効期限が十分残っているかを確認。
  • パスポート:本人確認と出入国履歴の確認に活用。
  • 対象国かどうか:ワーキングホリデー協定国であるかどうかを確認し、該当しない場合は別の在留資格が必要です。

また、在留カードのコピーは雇用契約書とあわせて保管しておくと安心です。

雇用後に必要な届出やサポート体制

雇用後は、外国人本人にもいくつかの届出義務が発生しますが、企業としても必要な配慮があります。

たとえば、住民登録は入国後14日以内に行う必要があるため、外国人が市区町村窓口に迷わず届出できるように、初期のサポートを行うのが望ましいです。

また、言語や文化の違いによるミスコミュニケーションを防ぐために、簡単な多言語マニュアルの導入も効果的です。

困ったときに相談できる窓口(人事・総務など)を事前に明確に伝えておくことも大切です。

まとめ

ワーキングホリデー制度は、短期の即戦力人材を柔軟に確保できる有効な仕組みです。

採用前には在留資格や滞在期限、必要書類を確認し、受け入れ後のサポート体制も整えておきましょう。

期間終了後も雇用を続ける場合は、就労ビザへの切り替え条件を早めに確認し、計画的に準備することが大切。

正しい理解と準備で、外国人材が活躍できる環境を整えましょう。

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