物流倉庫で特定技能外国人活用!倉庫管理・ピッキング業務を解説
※本記事は2025年11月時点の政府方針に基づくものであり、具体的な開始時期・試験内容等は今後変更される可能性があります。
物流業界の人手不足が深刻化する中、特定技能外国人の活用が注目されています。
本記事では、物流倉庫での特定技能制度の概要、受け入れ要件(見込み)、倉庫管理・ピッキング業務、メリット・デメリット、手続きまでを網羅的に解説します。
外国人材活用で人手不足解消と業務効率化を実現するヒントとしてお役立てください。
Contents
特定技能制度の概要と物流倉庫分野の現状

特定技能制度は、人手不足が深刻な分野において、一定の技能と日本語能力を有する外国人材を受け入れるため2019年に創設された在留資格です。
この制度は、特に日本の物流業界が直面する構造的な課題に対する有効な解決策として注目されています。
近年、EC市場の急速な拡大に伴い物流量が増加する一方、日本の物流業界は少子高齢化による労働人口の減少や若年層の入職率の低さにより、深刻な人手不足に陥っています。
特に倉庫内での荷役、ピッキング、仕分け作業などでは、安定した人材確保が喫緊の課題となっています。
こうした背景から、政府は特定技能の対象分野に「物流倉庫」を追加する方針を固めました。
これにより、物流倉庫管理や倉庫内作業に専門性を持つ外国人材が長期的に活躍し、業界の人手不足解消と持続的な発展に貢献することが期待されています。
特定技能制度とは?制度の基本と対象分野
特定技能制度は、2019年4月に施行された在留資格制度です。
人手不足が深刻な産業分野において、一定の専門性・技能を持つ外国人材を即戦力として受け入れることを目的とします。
在留資格は以下の2種類です。
- 特定技能1号: 相当程度の知識・経験を要する技能業務に従事。在留期間は通算上限5年。
- 特定技能2号: 熟練した技能を要する業務に従事。在留期間の上限はなく、家族帯同も可能です。
対象分野は介護、建設、農業、漁業など多岐にわたります。
本制度は、外国人材の活躍を促進し、地域社会の活性化と経済の持続的発展を目指します。
物流業界が抱える課題と特定技能制度の役割
日本の物流業界は、深刻な人手不足に加え、労働者の高齢化が急速に進んでいます。
経験豊富なベテランが引退する一方で、若年層の入職は伸び悩み、技能継承が困難になっています。
また、長時間労働や重労働といったイメージから、魅力的な職場としての認知度が低いことも、人材確保を難しくしている一因です。
このような状況に対し、特定技能制度は即戦力となる外国人材を確保することで、物流現場の労働力不足を直接的に補う役割を担います。
技能実習制度が「開発途上国への技能移転による国際貢献」を主な目的とするのに対し、特定技能制度は「国内産業の人手不足解消」に重きを置いています。
特定技能1号 物流分野の追加とその背景
特定技能1号の対象分野に物流倉庫が追加されることについて、政府は2027年頃からの本格的な制度運用開始を目指しています。
現在、具体的な技能評価試験の策定や関係省庁間の調整が進められています。
この分野が追加される背景には、ECサイトの普及による物流量の急増があります。
特に、倉庫内での仕分け、検品、梱包、ピッキングといった基幹業務における安定した人材確保は喫緊の課題です。
政府は、物流の「2024年問題」への対応も視野に入れ、特定技能制度を物流倉庫分野に拡大することを決定しました。
物流倉庫における特定技能外国人の受け入れ要件と業務内容

物流倉庫の人手不足解消には、特定技能外国人の受け入れが有効です。
ここでは、現時点での政府方針に基づく受け入れ要件や、具体的な業務内容について解説します。
特定技能 外国人の受入れ要件(技能試験・日本語能力)
特定技能外国人が物流倉庫で働くには、現時点の政府方針では、他分野と同様に以下の二つの主要要件を満たすことが求められる見込みです。
1. 特定技能評価試験(物流分野)(仮称)の合格
倉庫での荷物の受け入れ、保管、ピッキング、仕分け、梱包、出荷といった一連の作業に関する専門知識と実務能力を評価するものになると想定されます。
これにより、安全かつ効率的な業務遂行能力が客観的に証明されることになります。
2. 日本語試験(JLPT N4以上またはJFT-Basic)の合格
日常生活や業務に必要な基本的な日本語能力(JLPT N4相当以上)を指します。
簡単な会話や指示の理解、業務関連文書の読解が可能であり、日本人従業員との円滑なコミュニケーションや安全指示の理解に不可欠です。
これらの要件を満たすことで、特定技能外国人は物流倉庫での在留資格を取得できる見込みです。
特定技能 倉庫管理・ピッキング業務の具体的な内容
特定技能外国人は、物流倉庫で以下の具体的な業務に従事し、倉庫管理・ピッキング業務を支えることが想定されます。
- 入庫商品の検品、格納、在庫管理、出荷準備といった倉庫作業全般
- オーダーリストに基づいた商品の正確なピッキング
- 配送先別仕分けや数量・品質確認などの仕分け・検品
- 梱包材での商品保護、送り状貼付を含む梱包・出荷準備
- 今後定められる特定技能評価試験の範囲内でのフォークリフト等構内運搬機械の限定的操縦
特定技能外国人の労働条件と待遇
特定技能外国人の労働条件・待遇は、労働基準法・制度原則に基づき日本人と同等以上とし、安心して就労できる環境を保障する必要があります。
- 給与: 日本人と同等以上の賃金。最低賃金遵守、技能・経験の適正評価。
- 労働時間: 日本人と同基準(所定労働時間、残業、休日、休暇)。労働基準法に基づき管理。
- 福利厚生: 社会・労働保険加入、有給休暇、社宅・通勤手当・退職金など、日本人と同様。
特定技能外国人を雇用するメリット・デメリットと注意点

特定技能外国人の雇用は、日本の物流業界における深刻な人手不足解消に大きく貢献し、企業の生産性向上、組織の活性化、国際化の推進といった多岐にわたるメリットをもたらす可能性があります。
一方で、外国人材の受け入れには初期費用や受け入れ体制の整備といった課題も存在します。
これらを事前に把握し、対策を講じることが重要です。
特定技能 外国人雇用のメリット
特定技能外国人の雇用は、物流業界の人手不足解消に加え、企業に以下の好影響をもたらすことが期待されます。
- 人手不足解消と安定人材確保
物流現場の深刻な人手不足に即戦力として貢献します。若年層確保困難な現状で安定人材供給源を確保し、事業継続性を高めます。
- 生産性向上と業務効率化
専門技能と高い就労意欲を持つ外国人材は、既存従業員の負担軽減と作業効率向上に貢献します。
- 組織活性化と国際競争力強化
異なる文化背景を持つ人材の受け入れは、社内の多様性を促進し、新たなアイデアや価値観を生み出すきっかけとなります。
特定技能 外国人雇用のデメリットと課題
特定技能外国人の雇用には、企業が事前に認識すべき課題も存在します。
- 初期費用の発生:在留資格申請、渡航費、住居手配、生活支援など、採用までに一定の初期費用がかかります。
- 文化・言語の壁:異なる文化・習慣や言語の違いから、コミュニケーションの齟齬や業務理解の遅れが生じ得ます。日本語教育や多文化理解の促進が重要です。
- 支援体制の構築:生活面(住居、医療、行政手続き等)や職業生活に関する支援が義務付けられており、企業は自社での構築か登録支援機関への委託が必要です。
特定技能 外国人雇用における注意点
特定技能外国人を円滑に雇用し、その能力を最大限に引き出すためには、以下の点に注意が必要です。
- 法令遵守: 関連法令を厳守し、日本人と同等以上の待遇を提供してください。不当な差別・ハラスメントは厳禁です。
- 支援計画・登録支援機関: 企業は生活・職業支援が義務です。住居、生活オリエンテーション、行政手続き、日本語学習、相談対応等を計画に基づき実施します。自社で困難な場合は登録支援機関へ委託可能です。
- 円滑なコミュニケーション: 文化・言語を理解し、分かりやすい日本語での指示や翻訳・通訳を活用します。外国人材が意見表明しやすい環境を整え、信頼関係を構築しましょう。
特定技能外国人の受け入れ手続きと準備

特定技能外国人材を物流倉庫で受け入れるためには、単に人材を募集・採用するだけでなく、法務省が定める複雑な手続きと、外国人材が安心して働ける環境を整備するための事前準備が不可欠です。
スムーズな受け入れを実現するために、まずは制度の全体像と流れを理解しましょう。
特定技能 外国人受け入れの流れ(ビザ申請・在留資格)
特定技能外国人材の受け入れは、計画・法令遵守が重要な段階的手続きです。
1. 募集・採用
人材募集・能力確認を経て雇用契約を締結します。
2. 在留資格認定証明書交付申請(COE)
企業が入管局へ申請します。雇用契約書、支援計画書等多数の書類を要し、審査には通常1〜3ヶ月かかります。
3. ビザ(査証)申請
COE交付後、外国人材が本国の日本大使館等へ申請します。COE、パスポート等が必要で、発給までは数日〜数週間が目安です。
4. 入国・在留資格取得
ビザ発給後、来日し入国審査で在留カードが交付され、「特定技能1号」在留資格が付与されます。入国後も企業は支援計画に基づき継続的な支援が必要です。
受け入れ企業が準備すべき体制と環境整備
特定技能外国人材の定着と活躍のため、受け入れ企業は以下の体制整備が重要です。
- 担当者配置と相談窓口: 専任担当者の配置と多言語対応の相談窓口設置。生活・業務の相談にきめ細かく対応し、文化・言語の違いによる不安軽減、迅速な問題解決を図ります。
- 住居確保と生活支援: 安心して暮らせる住居を確保し、生活オリエンテーションを実施。日本の生活習慣、地域ルール、医療・交通機関の利用法を説明し、生活不安を解消します。
- 日本語学習機会の提供: 企業内研修や日本語学校通学支援等を通じ、日本語学習機会を提供。業務遂行能力向上と生活の質の向上を促します。
特定技能 外国人支援計画の策定と実施
特定技能制度における「支援計画」は、外国人材が日本で安定した生活を送り、能力を最大限に発揮するために法令で義務付けられています。
支援計画には以下の内容が含まれます。
- 生活オリエンテーション(日本の生活習慣、行政手続き、医療機関利用法など)
- 安心して暮らせる住居の確保
- 日本語能力向上のための学習機会提供
- 生活や業務上の悩みに対する多言語での相談・苦情対応
- 企業都合による契約解除時の転職支援
これらの支援は、企業が自社で実施することも可能ですが、負担が大きい場合は「登録支援機関」に委託できます。
登録支援機関は、支援計画の作成から実施までを一貫してサポートし、外国人材の定着と企業の負担軽減に貢献します。
特定技能制度の今後と育成就労制度への移行

日本の労働力不足を補う特定技能制度は、在留外国人が約21万人に急増するなど拡大を続けています。
さらに大きな変化として、現行の技能実習制度が廃止され、「育成就労制度」への移行が予定されています。
この変化は物流倉庫分野にも大きな影響を与えます。
育成就労制度 物流倉庫分野への影響と変更点
育成就労制度は、現行の技能実習制度に代わる外国人材受け入れ制度です。
2027年6月までの施行を目指しており、3年間の就労を通じた人材育成と、その後の特定技能労働者への移行を目的としています。
主な変更点と留意点(案を含む)は以下です。
- 日本語要件強化の方向性: 就労開始前におおむねJLPT N5相当、3年目終了時にN4相当の日本語力を求める案が示されています。企業は学習支援強化が必要になる可能性があります。
- 転籍柔軟化: 現行制度より転籍が柔軟化し、物流倉庫では1年で転籍が可能となる案が示されています。企業は魅力的な環境・育成プログラムで人材定着に努める必要があります。
- 対象範囲拡大の可能性: 倉庫専業者に加え、トラック運送事業者や委託倉庫業者も対象に含まれる見込みです。
特定技能制度の最新情報と今後の展望
特定技能1号は対象分野が拡大される方針で、2025年5月には「倉庫管理」含む3分野が追加される計画が示されています。
政府は2028年度までに、特定技能全体で約82万人の受け入れ体制を目指すとしています。
※特定技能2号の対象分野拡大は別途進められており、物流倉庫分野が2号の対象となるかどうかは、今後の制度設計を待つ必要があります。
これらの変更は、企業に計画的かつ柔軟な人材活用を促しますが、同時に日本語学習支援や転籍前提の育成計画策定など、新たな対応も求められます。
最新情報の把握と適切な対応が、外国人材の安定確保と事業成長に繋がります。
よくある質問(FAQ)とまとめ

物流倉庫での特定技能外国人活用に関するよくある質問とまとめです。
Q: 育成就労制度で何が変わりますか?
A: 日本語要件が強化される方向で議論されており、転籍も柔軟化される見込みです。
企業は学習支援や転籍を前提とした育成計画が必要になる可能性があります。
本記事では、物流倉庫における特定技能外国人の活用を網羅的に解説しました。
人手不足解消と生産性向上に繋がる外国人材雇用は、適切な準備と支援体制が成功の鍵です。
制度は変化するため、最新情報の把握と柔軟な対応を進めていきましょう。