技能実習生の受け入れ人数は?職種別や国別のデータ
技能実習生の受け入れは、どのくらいの人数が受け入れられているのでしょうか。年々、日本では外国人の技能実習生を多く受け入れています。令和5年末での技能実習生の人数は、410,972人に上り、平成26年の167,626人と比べて5年間で2.5倍近くの人数が増加しています。コロナ禍で一時減少しましたが、令和3年から再び上昇傾向にあります。
しかし、現状の職種別や送り出し国別の具体的な数値、そして技能実習生と特定技能の割合については、よくわかっていない人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、日本での技能実習生の受け入れ人数についての解説と、職種別・国別データをご紹介します。この記事を参考に、自社で技能実習生を受け入れられるのかどうかを検討してみてください。
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技能実習生の人数の推移
令和5年末での技能実習生の人数は、404,556人です。平成26年の167,626人と比べて5年間で2.5倍近くの人数が増えています。コロナ禍で一時減少しましたが、令和3年から再び上昇傾向にあります。多くの業種で人手不足が深刻化しているため、今後も技能実習生の人数は増えると予想されます。
技能実習生の国別・地域別の人数
令和5年末時点での技能実習生の国別・地域別はベトナムが最も多く、続いてインドネシア、フィリピンとなっています。
- ベトナム(223,184人)
- インドネシア(74,387人)
- フィリピン(35,932人)
もともと、技能実習生は発展途上国の経済発展を担う目的として日本国内の技術や知識等を寄与することが基本的理念としています。中国人は導入当初から多かったのですが、現在ではベトナム・インドネシア・フィリピン・タイなどが増えています。現状では、ベトナム人の受け入れ人数が突出して多いと調査結果で反映されているので、今後技能実習生を受け入れる際はベトナム人に対してフォーカスを向けてみるとスムーズに進められるでしょう。
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技能実習生の職種別の人数
令和4年度時点の職種別の割合では建設関係が最も多く、続いて食品製造関係、機械・金属関係となっています。
- 建設関係(53,902人)
- 食品製造関係(46,837人)
- 機械・金属関係(35,381人)
これらの業種は、技能実習2号の対象業種とされており、そのため人気のある業種でもあります。技能実習生は、1年で在留資格が終了する1号と比べて、2号→3号へと移行ができれば在留年数が増える仕組みです。
建設関係が最も多いのは、日本の建設業界における深刻な人手不足を反映しているといえます。また、食品製造関係や機械・金属関係も、日本の製造業を支える重要な分野であり、技能実習生の貢献なくしては成り立たない状況になっています。
一方、農業・漁業関連では、比較的人数の受け入れ数が少なくなっています。文化の違いや技術の伝承のしづらさなどから、受け入れ人数の伸び悩みがあると考えられます。
技能実習生の職種別の人数からは、日本のさまざまな産業分野における外国人材の必要性と、その受け入れの現状が浮き彫りになっています。各業界の特性を理解し、適切な受け入れ体制を整備していくことが求められています。
外国人技能実習制度の対象職種や受け入れの流れについて、より詳しく知りたい方は以下の関連記事をご覧ください。
▶︎ 外国人技能実習制度とは?対象職種や受け入れの流れを解説!
技能実習生の受け入れ人数枠
技能実習生を受け入れる方式は、企業単独型と団体監査型の2つになります。技能実習生が受け入れられる人数は、主に常勤の職員数で決定します。常勤の職員は、正社員のみでカウントされ、アルバイトやパート、契約社員は含みません。以下が技能実習生の受け入れ人数の制限となります。
【団体監理型の人数枠】
【企業単独型の人数枠】
出典:外国人技能実習制度とは|国際人材協力機構(JITCO)
表より、技能実習生は常勤の職員が最大人数の10分の1程度を受け入れることができます。30人の職員がいれば、技能実習生は3人まで受け入れることができるのです。しかし、常勤の職員が多くなれば受け入れ人数の割合も低くなるので注意が必要です。
技能実習生と特定技能の割合は?
技能実習生は、1993年から受け入れを開始した外国人在留資格になります。しかし、技能実習生は、あくまで研修としての労働許可を得た資格です。その一方で、2019年に新たな外国人在留資格「特定技能」制度は、正式な労働を許可した資格になります。
中小企業をはじめとした深刻化する人材不足に陥る特定産業で労働できる資格ですが、技能実習生とほぼ同じ業種で働けます。そのため、徐々に技能実習生は特定技能へと移行しはじめているのが現状です。
令和5年末時点での特定技能の在留者数は208,462人で、対前年同期比で4%増加しています。一方、技能実習生は404,556人で、対前年同期比で約24.5%増加です。技能実習生の増加率が特定技能を大きく上回っており、依然として技能実習生が外国人材の主要な受け入れ経路となっていることがわかります。
ただし、特定技能は制度導入から日が浅く、今後さらに増加していくことが予想されます。技能実習生と特定技能、それぞれの制度の特徴を理解し、自社のニーズに合った外国人材の活用方法を検討していくことが重要です。各制度の動向を注視しつつ、中長期的な視点で外国人材の受け入れ戦略を立てることが求められています。
外国人労働者の受け入れに関する詳細な情報については、以下の記事も参考にしてください。
・外国人労働者の受け入れにおけるメリット・デメリットとは?
・【特定技能】外国人労働者の受け入れ可能な分野・業種と受け入れ方
・在留資格「特定技能1号・2号」とは?「技能実習」の違いや雇用側の条件
参照:特定技能制度運用状況(令和5年12月末)|出入国管理庁
まとめ
今回は、技能実習生の受け入れ人数、職種別・国別データ、そして技能実習生と特定技能の割合などについて解説しました。日本では特定技能の受け入れが進んでいますが、技能実習生の人数も増加傾向にあり、当面はこの傾向が続くでしょう。
少子高齢化により若年層の労働力不足が深刻化する中、技能実習生や特定技能外国人の受け入れは不可欠です。しかし、技能実習生の労働環境や賃金などの問題に留意し、適切な受け入れ体制を整えることが重要です。
外国人材の力を活かし、ともに成長していく視点を持ちながら、文化や言語の壁などの課題に真摯に向き合うことが求められています。技能実習生や特定技能外国人の受け入れは、日本の産業や社会の発展に欠かせない存在であり、その重要性を認識し、適切な受け入れ体制を構築していくことが、これからの日本の課題といえるでしょう。