外国人技能実習制度の問題点とは

4/14/2021最終更新

1993年に「技能実習制度に係る出入国在留管理上の取扱いに関する指針」(平成5年法務省告示第141号)により、在留資格「特定活動」の一類型として「技能実習制度」が創設されました。その後、紆余曲折を経て、2010年に「出入国在留管理及び難民認定法」の改正により研修・技能実習制度が在留資格「技能実習」の創設により事実上一本化され、今日に至っています。

今回は、外国人技能生が働く現場で実際にどんなことが起こっており、どのような問題点があるのかを制度上の側面から考察してみます。

技能実習制度の現状と構造的問題点

「技能実習制度」の本来の目的は、我が国(日本)で培われた技能、技術又は知識(以下「技能等」という。)を開発途上地域への移転を図り、当該開発途上地域の経済発展を担う「人づくり」に寄与するという国際協調の推進であったはずですが、現実には海外からの「労働力の確保」に他なりません。

「労働力の確保」という主旨を実現させるべく、「技能自習」の年限と受入れ人数枠を拡大してきています。にもかかわらず、建前上は「技能等の適正な修得、習熟又は熟達」であるかのように装っていますが、現実とのギャップが大きくなってきているのが顕著にみられます。

実際、多くの現場では低賃金での長時間労働、劣悪な労働環境等、いわゆる「人権侵害」を引き起こす要素が蔓延し、構造的な問題が内包されているとみられています。

具体的な問題点とは?

技能実習生に転職は認められていない

前述したとおり、技能実習生は技能の習得という建前の元、実習計画に沿い同一の企業で実習することが義務付けされています。つまり、転職が許されていないわけです。現実には、実習先では労働が行われているのですが、労働者として労働契約を解約し他の企業への転職を通じて新たな労働契約を結ぶことができません。

技能実習生は「技能実習」という在留資格で日本に在留しています。在留資格とは、「外国人が日本に在留する間、一定の活動を行うことができること、または、一定の身分や地位を有する者としての活動を行うことができること」を指します。同一の企業での実習計画に沿って実習を続けていかない限り、在留資格を喪失し日本に滞在することもできません。

受入企業が労働法違反等の不正行為を行った場合、他の実習先に移ることが許可されると言われていますが、他の実習先を見つけることは支援団体等の支援があったとしても極めて難しいのが現状です。技能実習生が受入企業の不正に意見や文句を言ったりすれば、即解雇となってしまう可能性が高いようですので、違法な就労条件下においても我慢し耐えながら、仕事を続けなければならないのです。

搾取する「送り出し機関」と「監理団体」

技能実習生は、原則として母国にある「送り出し機関」と呼ばれる日本で実習を希望する技能実習生を募集し日本へ送りだし、技能実習生を応募している受入企業や監理団体と条件等を擦り合わせた上で契約を結ぶ機関の募集に応じ、日本の企業に受け入れられます。全体の9割以上は、事業協同組合等の中小企業団体である監理団体が監理の下で、受入企業と雇用契約を結ぶこととなっています。

受入に関する責任を負っているのが「監理団体」、雇用契約を結ぶのが受入企業(以下「実習実施機関」という)となります。従って、技能実習生と「実習実施機関」との間には、「送り出し機関」と「監理団体」という2つの組織が介在することになります。技能実習生は、「送り出し機関」に対し、日本に来る前に多額(年収の数年分とも言われる)の費用を支払うのが一般的です。一方、「監理団体」は技能実習生1人につき相当額(3~5万円と言われる)を管理費という名目で徴収します。

従って、技能実習生の賃金は低く抑えられ、「実習実施機関」は管理費を負担しなければならなくなっています。先程述べたように、技能実習生は劣悪な就労条件下においても我慢して仕事を続けなければなりませんが、訪日前に「送り出し機関」に支払った借金を(少なくとも)返済しなければならず、容易には帰国できないのが実情です。

特に問題とされるのは、「送り出し機関」が技能実習生から、「実習実施機関」から逃げ出すことを防ぐための保証金を取り立てたり、逃亡した場合の違約金等を誓約させていることです。なお、2019年に新設された「特定技能」においては、「送り出し機関」が特定技能外国人から事前に保証金や違約金を徴収することが禁止されています。

外国人技能実習機構の設立により諸問題が改善されたか?

 平成29年、「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(以下「技能実習法」という)が施行されたことにより、「外国人技能実習機構」が設立されました。認定を受けた技能実習計画に従って技能実習が適正に行われているかの確認のため、「監理団体」に対しては1年に1回、「実習実施機関」に対しては3年に1回の実地検査が行なわれるようになりましたが、この程度の巡回頻度及び一般的な確認事項のみで制度の適正化が図れるのか疑問です。

また、「技能実習生」に対する人権侵害等については、禁止規定や罰則を設ける他に、技能実習生自身からの申告を可能としましたが、実際に人権侵害がなくなったり、技能実習生からの申告が積極的に行なわれたりする状況に改善されたとは言えない状況です。

さらに、団体監理型技能実習制度では必ず介在する「監理団体」は許可制となっていますが、許可の手続き事務を「外国人技能実習機構」が行ないます。特に問題のある「監理団体」に対し厳しい処分を行なっているのか、その適正化に実効性が問われています。

問題の多い「送出し機関」の存在

「送出し機関」は常に介在し続けています。合理的な料金で「技能実習生」を送り出している機関も中にはあるようですが、多くの機関が法外な料金を技能実習生に課している状況は変わりません。日本政府が相手国と結ぶ二国間協定において、不適正な「送出し機関」を排除する旨規定していたとしても、実際には相手国が規定を守らない「送出し機関」を容認すれば、受け入れを拒否することまではできないのが現状です。

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