永住権の申請方法と条件を解説!企業が押さえるべき支援ポイントは?

外国人の方を雇用している企業にとって、在留資格の管理は欠かせない業務のひとつ。

なかでも「永住権(永住ビザ)」は、企業側にもメリットの多い資格です。

とはいえ、申請にはさまざまな条件や書類の準備が必要で、「どこまで会社がサポートすべきか分からない」という声もよく聞かれます。

この記事では、永住権の基本から申請時に企業が支援できるポイントまでを整理しました。

ぜひ参考にしてください。

日本の永住権について詳しく知りたい方は、以下の記事もチェックしてください。
▶︎ 永住権って何だろう?日本の永住権を完全網羅!

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永住権とは

永住権とは、外国人が日本で在留期限なく暮らせるようになる資格のことです。

就労の制限がなくなり、在留期間の更新も不要になるため、外国人にとっては生活面でも仕事面でも安定しやすくなります。

外国人従業員が永住権を取ると、企業にはこんなメリットが!

企業側にとって、従業員の永住権取得によって得られる主なメリットは次のとおりです。

  • 在留資格の更新対応が不要に
    → 定期的な更新手続きや在留期限の確認作業が不要になります。
  • 就労範囲の確認が不要に
    → 活動に制限がないため、部署異動や職種変更の際も就労資格を気にせず柔軟な配置が可能です。
  • 長期的な雇用がしやすくなる
    → 日本に定住する意思のある人材は定着率も高く、安定的な雇用が期待できます。

このように、永住権の取得は従業員本人だけでなく、企業にとっても現場の負担軽減や長期的な人材活用につながる大きなメリットがあります。

「永住者」と「特別永住者」の違いも知っておこう

「特別永住者」とは、1991年施行の「入管特例法」に基づいて認められた在留資格で、主に戦後に日本国籍を離脱した人々やその子孫が該当します。

現在も一定数の特別永住者が日本に在留しており、企業が雇用する場合もあります。

「特別永住者」と「永住者」との主な違いは以下のとおりです:

比較項目永住者特別永住者
在留カードありなし(特別永住者証明書)
外国人雇用状況届出必要不要
申請場所入管住民票のある自治体

永住権の申請条件とは?

ここでは、永住権の取得にあたって必要となる主な条件について、企業が把握しておくべきポイントを整理します。

永住権申請に必要な3つの条件

永住権の申請では、次の3つの条件を満たしていることが求められます。

  • 素行が善良であること(法令順守・納税・交通違反がないなど)
  • 安定した収入があること(世帯年収の継続性・生活保護を受けていないなど)
  • 日本にとって利益となること(在留実績・地域社会への貢献など)

在留期間の要件と特例

永住権の申請では、原則として「10年以上継続して日本に在留」し、そのうち「5年以上は就労ビザ等での在留」が必要とされています。

ただし、日本人配偶者や永住者の配偶者、高度専門職などに該当する場合は、特例として短い在留期間でも申請可能なケースも。

どんな在留資格の人が申請できる?

永住申請は、以下のような在留資格を持つ外国人が対象になります。

  • 技術・人文知識・国際業務(就労ビザ)
  • 高度専門職
  • 経営・管理
  • 定住者
  • 家族滞在(条件あり)

対象となる在留資格はさまざまですが、なかでも企業で働く外国人が多く持っているのが就労ビザです。

実際、こうした外国人の中には「いずれは永住権を取得したい」と考えている方も少なくありません。

永住権の申請方法と手続きの流れ

永住権の申請は、書類を揃えて提出すればすぐ終わるものではなく、準備から許可までに数か月〜1年近くかかることも。

また、申請方法にはパターンがあり、提出期限や必要書類も状況によって異なります。

永住権の申請方法は2つある

永住権の申請方法は大きく分けて以下の2つがあり、申請は原則として本人が行います。

①現在の在留資格から永住者の資格へ変更する場合

  • 在留期間の満了日までに申請する必要があります。
  • 審査中に在留期限が切れる場合は、別途「在留期間更新許可申請」が必要です。
  • 許可された場合、手数料8,000円が必要です。

②出生などによって永住者資格を新たに取得する場合

  • 出生等の事由発生から30日以内に申請します。
  • この場合は手数料は不要です。

永住許可申請の流れ

続いて、大まかな流れを見ていきましょう。

  1. 必要書類の準備
    申請書・写真・在職証明書・課税証明書・納税証明書・住民票・理由書(必要な場合のみ)などが必要です。
    ※詳細は「永住許可申請に係る提出書類一覧表」をご参照ください。
  2. 申請先への提出
    申請人本人の住所を管轄している地方出入国在留管理局に提出します。
  3. 審査(約4〜10か月)
    法務省の公表では約4か月ですが、実際には半年以上かかることもあり、地域によって異なります。
  4. 結果の通知
    許可の場合は新しい在留カードが交付され、不許可の場合は理由が通知されます。

永住権申請で企業が支援できる範囲とは?

永住権の申請は基本的に本人が行うものですが、企業としてもサポートできる場面があります。

企業が用意する書類がある

永住権の申請では、本人が用意する書類に加え、勤務先の企業から提出を求められる書類があります。

代表的なものは以下の通りです。

  • 在職証明書(就労実績や雇用形態を記載)
  • 源泉徴収票(安定収入の証明)
  • 推薦文(任意・企業としての評価を伝える)

事前にフォーマットを整備しておくとスムーズでしょう。

身元保証人を依頼された場合どうする?

永住申請では、日本人の身元保証人が求められます。

保証内容は滞在費・帰国旅費・法令遵守に限られ、金銭的負担が発生することはほとんどありません。

法的な責任を負うわけではなく、あくまで道義的な意味合いが強いです。

会社の同僚や上司が引き受ける例もありますが、あくまで個人的な信頼関係に基づくものです。

とはいえ、安易に引き受けるのではなく、会社としてのガイドラインを設けておくと安心です。

【企業向け】永住権に関するよくある質問

最後に、企業が現場でよく直面する疑問についても整理しておきます。

永住権取得後、転勤や雇用形態に制限はある?

永住権を取得すると、職種や勤務先の変更に制限がなくなります。

雇用側としては柔軟な配置が可能になる一方で、転職の自由度も高まる点は留意しておきましょう。

永住権申請にかかる費用は企業が負担するべき?

申請手続きは原則本人が行うものなので、企業が費用を負担する義務はありませんが、人材定着や福利厚生の一環として補助している企業もあります。

制度化するかどうかは社内の方針に応じて判断しましょう。

永住ビザと就労ビザの違いとは?

就労ビザは活動内容や在留期間に制限がありますが、永住ビザでは職種や在留期限の制限がほぼなくなります。

定着を前提とした働き方ができるようになるため、企業にとっても採用・育成の視野が広がります。

まとめ

永住権の取得は、外国人の人生にとっても大きな転機となる重要な手続きです。

企業としては、本人がスムーズに申請できるように必要な書類を用意し、情報提供や体制整備を行うことが支援の第一歩になります。

人材の定着や雇用の安定につながる制度として、外国人従業員が長く企業の戦力として活躍できるよう支えていけると良いですね。

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