在留資格更新の費用はいくら?2026年度の大幅値上げと企業が備えるべきコスト対策を徹底解説

外国人社員の在留資格更新にかかる費用が、2026年度中に大幅に引き上げられる見通しです。2025年4月にすでに手数料が改定されたばかりですが、政府は入管法改正案を閣議決定し、在留手続き手数料の法定上限を現行の数倍以上に設定する方針を正式に打ち出しました。在留期間の更新や変更にかかる手数料は、欧米並みの水準に引き上げられることが確実視されています。

この記事では、在留資格更新にかかる費用の現行額から、2026年度に予定されている値上げの具体的な内容、行政書士に依頼した場合の相場、そして企業が取るべきコスト対策まで、実務担当者が押さえておくべき情報を網羅的に解説します。社内説明にも使える一次情報(出入国在留管理庁・閣議決定資料など)をベースにまとめていますので、外国人雇用を担当されている方はぜひ最後までご確認ください。

在留資格更新にかかる費用の全体像

在留資格の更新(正式名称:在留期間更新許可申請)にかかる費用は、入管への手数料だけではありません。実際には複数の項目が重なるため、トータルコストを把握しておくことが重要です。

在留資格の更新費用は、大きく「入管に支払う手数料」「行政書士などの専門家報酬」「その他の実費」の3つに分類できます。入管への手数料は許可が出たタイミングで収入印紙により納付する仕組みで、不許可の場合には発生しません。一方、行政書士への報酬は申請準備段階で支払うケースが多く、不許可時の返金ルールは事務所ごとに異なります。

費用の内訳を整理すると、以下のようになります。

費用項目金額の目安(2025年4月以降)
入管手数料(窓口申請)6,000円
入管手数料(オンライン申請)5,500円
行政書士報酬(更新申請)3万~6万円
証明写真(4cm×3cm)500~1,000円
課税・納税証明書の取得費用数百円~
交通費(入管への往復)実費

企業が外国人社員の更新費用を負担しているケースでは、これらを合算して年間の人件費に組み込む必要があります。特に複数名の外国人材を雇用している企業にとっては、1人あたりの単価よりも「年間の更新対象者数×1人あたりコスト」のトータルで管理することが実務上欠かせません。

なお、在留資格の「更新」は活動内容を変えずに在留期間だけを延長する手続きです。転職や業務内容の変更を伴う場合は「在留資格変更許可申請」が必要となり、審査の難易度も上がる点にご注意ください。

現行の入管手数料と2025年4月改定の内容

在留手続きの手数料は、2025年4月1日に施行された政令改正により引き上げられています。ここでは現行の手数料体系を正確に整理します。

2025年4月1日以降、在留期間更新許可申請の手数料は従来の4,000円から6,000円へと改定されました。同時に、オンライン申請を利用する場合は5,500円と、窓口申請よりも500円安い金額が設定されています。この改定は出入国在留管理庁が公式に告知しており、2025年4月1日以降に受け付けた申請から新料金が適用されています。

改定前後の主な手数料を比較すると次のとおりです。

手続き改定前(~2025年3月)改定後・窓口(2025年4月~)改定後・オンライン
在留期間更新許可4,000円6,000円5,500円
在留資格変更許可4,000円6,000円5,500円
永住許可8,000円10,000円9,500円

注意すべき点として、2025年3月31日までに受け付けされた申請は、許可が4月1日以降になっても旧料金(4,000円)が適用されるというルールがあります。これは出入国在留管理庁が明記している経過措置です。

手数料は許可時に収入印紙で納付する仕組みのため、不許可の場合は手数料が発生しません。ただし、申請のための書類準備や移動にかかる費用は戻ってこないため、確実に許可を得るための事前準備が大切です。

企業の実務担当者としては、オンライン申請による500円の差額は1件単位では小さく見えますが、年間数十件の更新を処理する企業にとっては積み重なるコスト削減効果があります。加えて、オンライン申請では窓口への移動時間や待ち時間が不要となり、人的コストの面でもメリットが大きいといえるでしょう。

2026年度に予定されている大幅値上げの詳細

2025年4月の改定で一段落したかに見えた手数料ですが、2026年度中にはさらに大幅な引き上げが予定されています。企業の費用計画に直結する重要な変更です。

閣議決定された法定上限の引き上げ

2026年3月10日、政府は入管法改正案を閣議決定しました。この改正案では、在留資格の変更・更新手数料の法定上限が現行の1万円から10万円に、永住許可申請手数料の法定上限が1万円から30万円に引き上げられる内容が盛り込まれています。

ただし、ここで押さえておくべき重要なポイントがあります。閣議決定されたのはあくまで「法定上限の引き上げ」であり、実際に窓口で支払う金額がそのまま10万円や30万円になるわけではありません。具体的な手数料額は、法改正成立後に政令で個別に定められる見込みです。

報道各社の情報を総合すると、在留期間の更新・変更手数料は3万~4万円程度、永住許可申請手数料は10万円以上への引き上げが有力とされています。また、申請する在留期間の長さに応じて金額に差をつける案も検討されており、長期の在留期間を取得するほど手数料が高くなる可能性があります。

値上げの背景と「欧米並み」の水準

今回の手数料引き上げの背景には、日本の手数料が国際的に見て極めて低い水準にあるという事実があります。就労ビザの変更・更新手数料を各国で比較すると、その差は歴然としています。

手続き手数料(概算)
日本(現行)更新・変更6,000円
日本(値上げ後・予想)更新・変更3万~4万円
アメリカI-539変更約6万~7万円(420~470ドル)
イギリスSkilled Worker延長約16万円(827ポンド)
ドイツ更新・変更約1.5万~1.6万円(93~98ユーロ)

※為替レートは2025年11月時点の概算。出典:各国入管当局公表資料を基に複数報道が引用。

政府はこの手数料引き上げで得られる増収分を、入国審査にかかる人件費やシステム構築費、日本語教育の充実、外国人との共生施策の拡充などに充てる方針です。2025年末時点で在留外国人数は約413万人と過去最多を更新しており、出入国在留管理行政の体制強化が急務とされています。

ただし、欧米との単純比較には留意が必要です。欧米諸国の多くは出生地主義や一定要件での国籍付与制度を採用しており、外国人が永住や市民権を得るルートが日本より幅広く整備されています。日本は血統主義を採用し帰化のハードルも高いため、在留手続きを何度も繰り返す人が相対的に多いという制度的特性があり、手数料の額面だけでは比較できない側面があります。

行政書士に依頼した場合の費用と判断基準

在留資格の更新手続きは外国人本人でも行えますが、行政書士に依頼するケースも少なくありません。専門家への依頼費用と、依頼すべきかどうかの判断基準を解説します。

行政書士に在留期間の更新申請を依頼した場合の報酬は、事務所や案件の内容によって幅がありますが、一般的に3万~6万円程度が相場です。日本行政書士会連合会の報酬額統計調査によると、在留資格更新許可申請(就労資格)にかかる報酬の全国平均はおよそ5万4,000円とされています。弁護士に依頼する場合はこれよりやや高く、6万5,000円前後が目安です。

行政書士に依頼するメリットは、書類の作成や収集を一任できるだけでなく、申請取次行政書士(出入国在留管理局に届出済の行政書士)であれば、外国人本人の入管への出頭が免除される点にあります。入管窓口は1〜4月や9〜10月に混雑しやすく、申請と結果受領で最低2回は足を運ぶ必要があるため、企業の業務効率を考えると取次による時間短縮は大きな利点です。

一方で、前回の申請から状況に変化がなく(同じ会社で同じ業務を継続)、書類作成に慣れている場合は、自社対応でも十分対応可能です。オンライン申請を活用すれば、窓口に出向く回数を減らすこともできます。

2026年度以降に手数料が3万~4万円に引き上げられた場合、入管手数料と行政書士報酬を合わせた1件あたりの総額は7万~10万円規模に達する見込みです。不許可になればこの費用の大部分が無駄になるため、転職後の初回更新や在留状況に変化があるケースでは、専門家に依頼して許可の確実性を高めるほうがコストパフォーマンスに優れるといえるでしょう。

在留資格更新の手続きの流れと必要書類

費用を正しく見積もるためには、更新手続きの全体像を把握しておくことが欠かせません。ここでは、手続きの流れと代表的な必要書類を整理します。

在留期間更新許可申請は、在留期間の満了日のおおむね3か月前から受け付けが開始されます。出入国在留管理庁は標準処理期間を「2週間~1か月」としていますが、時期や案件の内容、追加照会の有無によって変動するため、余裕をもった申請スケジュールを組むことが推奨されています。

手続きの基本的な流れは次のとおりです。まず、在留資格に応じた必要書類を準備します。次に、住居地を管轄する地方出入国在留管理官署に窓口またはオンラインで申請を提出します。審査が完了すると結果通知がなされ、許可の場合は収入印紙を持参(または納付)のうえ、新しい在留カードを受け取ります。

就労系の在留資格(技術・人文知識・国際業務など)で更新する場合、一般的に必要とされる書類は、在留期間更新許可申請書(写真貼付)、パスポートと在留カード、所属機関に関する資料(企業のカテゴリーに応じた法定調書合計表など)、住民税の課税・納税証明書(1年間の総所得と納税状況がわかるもの)といった内容です。前年途中に入国した場合など課税資料がそろわないときは、雇用契約書や給与見込書、残高証明書などで補足する必要があります。

申請先の管轄や必要書類は在留資格ごとに異なるため、出入国在留管理庁の公式サイトで最新の情報を確認することが基本です。外国語で作成された資料を提出する場合は、日本語の翻訳文を添付する必要がある点にもご注意ください。

もし在留期間の満了日までに更新の結果が出なかった場合でも、申請済であれば「特例期間」として、結果が出るまでまたは在留期間満了日から2か月が経過する日までのいずれか早い時期まで在留が認められます。ただし、これは不法在留を回避するための措置であり、満了ギリギリの申請を推奨するものではありません。

企業が今すぐ取るべきコスト対策

手数料の大幅値上げは避けられない情勢ですが、事前に対策を講じることで負担を軽減することは可能です。企業の実務担当者が今すぐ着手すべきポイントを整理します。

在留期限の一覧管理と更新シミュレーション

まず取り組むべきは、社内の外国人社員全員の在留期限を一覧化し、年間の更新件数を把握することです。在留期限は社員ごとに異なるため、「いつ、何人分の更新が発生するか」を見える化することで、年間の費用予測が立てやすくなります。

仮に手数料が3万5,000円に引き上げられた場合、外国人社員10名を雇用する企業では、手数料だけで年間35万円のコストが発生します。現行の6,000円×10名=6万円と比較すると、約29万円の増加です。3年ごとの更新が必要な場合でも、10年間で見れば数十万円規模のコスト差になります。行政書士報酬や証明書取得費用なども含めれば、インパクトはさらに大きくなるでしょう。

オンライン申請の全面活用

オンライン申請は、窓口申請に比べて手数料が500円安いだけでなく、入管への移動時間と交通費、担当者の人件費を削減できるため、費用対効果が高い手段です。在留申請オンラインシステムでは、申請から補正対応、結果受領まで電子上で完結できるため、業務効率の面でも大きなメリットがあります。

企業として本格導入する場合は、事前に利用者登録の手続きが必要です。所属機関の職員や登録支援機関の担当者、弁護士・行政書士(申請取次者)が利用対象となっています。

より長い在留期間の取得を目指す

更新回数そのものを減らすことが、長期的に最も効果的なコスト削減策です。1年の在留期間を繰り返すよりも、3年や5年の在留期間を取得するほうが、手数料の累積額は大幅に抑えられます。

長い在留期間を得やすくするポイントとしては、同一企業での安定した継続雇用、税金・社会保険料の適正な納付(滞納がないこと)、届出義務の確実な履行(転居・転職・婚姻などの変更届)、そして在留資格に合致した活動の継続が挙げられます。これらの要素は入管庁の審査で重視される項目であり、日常の人事管理の延長で対応できるものです。

なお、外国人材の受入れに伴う在留資格手続きや生活支援を一括でサポートするサービスとして、GTNの法人向け外国人材受入れ支援(https://www.gtn.co.jp/business/acceptance/for-companies)を活用する方法もあります。在留資格の申請支援から定着フォローまでワンストップで対応しているため、手続きの効率化と社内リソースの削減に役立ちます。

2027年6月以降はさらに注意が必要な社会保険料の問題

在留資格の更新費用に関連して、もうひとつ企業が注視すべき制度変更があります。2027年6月から、国民健康保険や国民年金の滞納がある場合、在留資格の更新・変更が原則として認められなくなる方針が示されています。

この制度見直しは、手数料の値上げとは別の文脈で進められているものですが、企業としては密接に関連する課題です。外国人社員が社会保険に適切に加入し、保険料を滞納していないかどうかを確認することは、在留資格の更新を確実に許可してもらうための前提条件となります。

手数料が数万円に引き上げられた後に不許可となった場合の金銭的・精神的なダメージは、現行の6,000円時代とは比較にならないほど大きくなります。申請の確実性がこれまで以上に重要になる局面で、納税や社会保険料の納付状況を社内でチェックする体制を整えておくことが不可欠です。

永住許可を目指す外国人社員がいる場合はとりわけ注意が必要です。永住申請の手数料が10万円以上に引き上げられれば、不許可時の損失は無視できません。年金・税金・健康保険料に未納がないか、転居や婚姻などの届出義務が漏れていないかを、本人任せにせず人事部門でも把握しておくことが望ましいでしょう。

よくある質問

Q1. 在留資格更新の手数料は申請時に払うのですか? いいえ。手数料は許可が出たときに収入印紙で納付します。不許可だった場合には手数料は発生しません。これは現行制度でも今後の改定後も変わらない仕組みです。

Q2. 2026年度の値上げ後、実際にいくらになりますか? 2026年3月の閣議決定で示されたのは法定上限(更新・変更が10万円、永住が30万円)であり、実際の金額は法改正成立後に政令で定められます。報道では更新・変更が3万~4万円程度になる見通しが有力とされていますが、確定額は今後の政令を待つ必要があります。

Q3. 値上げ前に駆け込みで更新した方がよいですか? 在留期間の更新は期限満了日の3か月前からしか申請できません。在留期限が2026年6月以降で、3か月前の申請可能日が値上げ後になる場合は、前倒し対応が難しくなります。現在更新可能な時期にある方は、早めに手続きを進めることが合理的です。

Q4. 手数料が上がると審査も厳しくなりますか? 手数料の引き上げと審査基準は別の問題です。手数料の改定によって許可・不許可の基準が変わるわけではありません。ただし、社会保険料の滞納を不許可事由とする別の制度改正が進められているため、その面では従来より厳格化される可能性があります。

Q5. 複数の外国人社員をまとめて更新する場合、割引はありますか? 入管手数料には複数人割引の仕組みはなく、1人あたりの所定額を人数分納付する必要があります。行政書士に依頼する場合は、複数名の同時依頼でボリュームディスカウントが適用されるケースもあるため、個別に相談してみるとよいでしょう。

Q6. オンライン申請と窓口申請で、許可率に違いはありますか? 申請方法によって許可率が変わることはありません。審査はいずれも同じ基準で行われます。ただし、オンライン申請では手数料が500円安くなるほか、移動や待ち時間のコストを削減でき、補正依頼や結果通知も電子で受け取れるため、業務効率の面でメリットがあります。

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