登録支援機関になるには?登録するための要件について詳しく解説
「1号特定技能外国人」の受入れを支援する「登録支援機関」になるためには、どのような要件を満たす必要があるのでしょうか。
登録支援機関は、特定技能外国人の雇用に伴う支援業務を委託された機関であり、外国人が日本での生活や仕事に円滑に適応できるようサポートする重要な役割を担います。しかし、その登録には一定の要件を満たす必要があり、また要件を満たしていても一定の事由に該当する場合は登録が拒否されることがあります。
登録支援機関になることを検討されている方にとって、登録要件や拒否事由を理解しておくことは大変重要です。本記事では、1号特定技能外国人の登録支援機関になるための具体的な要件と、登録が拒否される事由について詳しく解説します。
登録支援機関の適格性は厳しく審査されるため、事前の準備が欠かせません。本記事の情報を参考に、登録支援機関としての適格性を備えた準備を進めていただければと思います。
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Contents
- 1 登録支援機関になるには?
- 2 登録支援機関の登録の要件の詳細
- 3 登録の拒否事由の詳細
- 3.1 ⑴ 関係法律による刑罰を受けたことによる拒否事由
- 3.2 ⑵ 申請者等の行為能力・役員等の適格性の観点からの拒否事由
- 3.3 ⑶ 登録を取り消されたことによる拒否事由
- 3.4 ⑷ 出入国又は労働関係法令に関し不正行為を行ったことによる拒否事由
- 3.5 ⑸ 暴力団排除の観点からの拒否事由
- 3.6 ⑹ 行方不明者の発生による拒否事由
- 3.7 ⑺ 支援責任者及び支援担当者が選任されていないことによる拒否事由
- 3.8 ⑻ 中長期在留者の適正な受入れ実績がないこと等による拒否事由
- 3.9 ⑼ 情報提供・相談等の適切な対応体制がないことによる拒否事由
- 3.10 ⑽ 支援業務の実施状況に係る文書の必要的記載事項
- 3.11 ⑾ 支援責任者と特定技能所属機関との関係性等による拒否事由
- 3.12 ⑿ 特定技能外国人に支援に要する費用を負担させることによる拒否事由
- 3.13 ⒀ 支援の委託契約締結に当たって支援に要する費用の額等を明示しないことによる拒否事由
- 4 まとめ
登録支援機関になるには?
登録支援機関とは、特定技能外国人を雇用した受入れ機関から委託を受けて、その外国人の仕事や生活の支援を行う機関のことです。特定技能外国人の受入れにおいて重要な役割を担っており、適切な支援を提供することで、外国人が日本での生活に円滑に適応し、能力を発揮できるようサポートします。
登録支援機関になるためには、出入国在留管理庁長官の登録を受ける必要があります。登録申請には要件を満たすことが求められ、その要件には、支援責任者および支援担当者の選任、過去の受入れ実績や相談業務の経験、外国人に対する情報提供体制などが含まれます。これらの要件を満たしていることを示す必要があるのです。
また、たとえ要件を満たしていても、過去に法令違反があった場合や、暴力団との関係がある場合など、拒否事由に該当した場合は、登録が拒否される可能性があります。登録支援機関としての適格性が厳しく審査されるため、申請前によく確認しておくことが大切です。
登録支援機関になることで、特定技能外国人の受入れに貢献し、日本と外国人双方にとってよりよい環境を作ることができるでしょう。一方で、その責任は重大です。要件をしっかりと確認し、適切な体制を整えた上で登録申請に臨むことが求められます。
登録支援機関の登録の要件の詳細
登録支援機関の登録要件について、出入国在留管理庁の情報を基に詳しく見ていきましょう。
(1)支援責任者及び1名以上の支援担当者を選任していること
登録支援機関になるには、支援業務を統括する支援責任者と、実際の支援を行う支援担当者を事前に選任しておく必要があります。支援責任者は機関の役員・職員から、支援担当者は役員・職員または外部から選任可能です。責任者1名、担当者1名以上の選任が求められます。
(2)以下のいずれかに該当すること
・登録支援機関になろうとする個人又は団体が、2年以内に中長期在留者(就労資格に限る。)の受入れ実績があること
・登録支援機関になろうとする個人又は団体が、2年以内に報酬を得る目的で、業として、外国人に関する各種相談業務に従事した経験を有すること
・選任された支援責任者及び支援担当者が、過去5年間に2年以上中長期在留者(就労資格に限る。)の生活相談業務に従事した経験を有すること
・上記のほか、登録支援機関になろうとする個人又は団体が、これらと同程度に支援業務を適正に実施できると認められていること
外国人の受入れや相談業務の経験が求められます。機関自体の実績がない場合でも、選任する責任者や担当者に一定の経験があれば要件を満たせる場合があります。
(3)外国人が十分理解できる言語で情報提供等の支援を実施することができる体制を有していること
支援を行う際、外国人が理解できる言語で情報提供やコミュニケーションができる体制が必要です。担当者が外国語に堪能であったり、通訳を手配できたりする環境が求められます。言語面でのサポート体制が十分であることを示せるようにしましょう。
(4)1年以内に責めに帰すべき事由により特定技能外国人又は技能実習生の行方不明者を発生させていないこと
過去1年以内に、特定技能外国人や技能実習生の行方不明者を、支援機関の責めに帰すべき事由で発生させていないことが条件となります。外国人の受入れ時の管理や支援が適切になされていることを、行方不明者の発生状況から判断するためです。
(5)支援の費用を直接又は間接的に外国人本人に負担させないこと
登録支援機関が提供する支援に必要な費用を、直接的にも間接的にも外国人に負担させてはいけません。あくまで委託を受けた機関が負担すべき費用であり、外国人の金銭的な負担とならないよう徹底することが求められます。
(6)5年以内に出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為を行っていないこと
出入国関連法令や労働関連法令に関して、過去5年以内に不正行為や著しく不当な行為を行っていないことが必要です。法令違反があった場合、登録支援機関としての適格性に疑義が生じるため、一定の期間内は登録が認められません。
以上が登録支援機関の主な登録要件です。外国人の適切な支援を行える体制や経験、コンプライアンス上の要件などが求められていることがわかります。登録申請の際は、これらの要件を満たしていることを丁寧に説明し、必要な書類を整えておくことが大切です。
登録の拒否事由の詳細
登録の要件を満たしていても、一定の事由に該当する場合は登録が拒否されます。登録が拒否される主な事由は以下の通りです。
⑴ 関係法律による刑罰を受けたことによる拒否事由
関係法律(入管法、労働関連法など)に違反して刑事罰を受けた場合、その刑の内容や時期によっては登録が拒否されます。例えば、禁錮以上の刑に処せられ、その執行が終わり又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過していない場合などが該当します。
⑵ 申請者等の行為能力・役員等の適格性の観点からの拒否事由
申請者や申請団体の役員等について、以下のような事由がある場合は登録が拒否されます。
・成年被後見人、被保佐人など行為能力が制限されている
・破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない
・役員等が欠格事由に該当する
申請者や役員等の適格性が厳しく審査されます。
⑶ 登録を取り消されたことによる拒否事由
過去に登録支援機関の登録を取り消された場合、取消日から5年を経過していないと、再登録は認められません。また、登録取消時の役員も同様に欠格事由に該当します。一度取り消された場合のハードルは高いと言えるでしょう。
⑷ 出入国又は労働関係法令に関し不正行為を行ったことによる拒否事由
出入国関連法令や労働関連法令に関して、過去5年以内に不正行為や著しく不当な行為を行っていた場合は登録が拒否されます。不正行為の例としては以下のようなものがあります。
・外国人に金銭的負担をさせていた機関からの紹介で支援委託契約を結ぶこと
・登録取消を免れるために不正に支援業務の廃止届を出すこと
不正行為を行った場合、登録支援機関としての適格性が認められません。
⑸ 暴力団排除の観点からの拒否事由
申請者や申請団体の役員等が暴力団員であったり、暴力団員がその事業活動を支配したりしている場合は、登録が拒否されます。暴力団とのつながりは一切認められません。
⑹ 行方不明者の発生による拒否事由
過去1年以内に支援対象の外国人の行方不明者を、支援機関の責めに帰すべき事由により発生させている場合は登録が認められません。外国人の受入れ時の管理や支援が不十分だったことを示唆するためです。
⑺ 支援責任者及び支援担当者が選任されていないことによる拒否事由
支援体制の要となる支援責任者と支援担当者が適切に選任されていない場合は、登録が拒否されます。支援業務を適切に運営できる人材の確保は登録の大前提だからです。
⑻ 中長期在留者の適正な受入れ実績がないこと等による拒否事由
外国人の受入れや生活相談などの経験が一定の基準を満たしていない場合は登録できません。機関自体の実績や選任する人材の経験が審査されるため、実績をしっかりと示す必要があります。
⑼ 情報提供・相談等の適切な対応体制がないことによる拒否事由
外国人への情報提供や相談対応の体制が十分でない場合、登録が拒否される可能性があります。例えば以下のような点が求められます。
・外国人が理解できる言語での情報提供体制
・外国人からの相談に適切に対応できる体制
・外国人との定期的な面談を実施できる体制
言語面や相談業務の体制整備は非常に重要だと言えます。
⑽ 支援業務の実施状況に係る文書の必要的記載事項
支援業務に関する文書について、必要な事項の記載が不十分だと登録できない場合があります。支援実施体制、委託契約内容、支援対象者の情報などを適切に管理し、記録に残すことが求められます。
⑾ 支援責任者と特定技能所属機関との関係性等による拒否事由
支援責任者と特定技能所属機関との間に特別な関係性がある場合、支援の中立性が保てないとして登録が拒否される可能性があります。例えば、次のようなケースが該当します。
・支援責任者が特定技能所属機関の役員の配偶者や2親等内の親族
・支援責任者が過去5年以内に特定技能所属機関の役職員だった場合
利益相反を避け、支援の公正性を保つ必要があります。
⑿ 特定技能外国人に支援に要する費用を負担させることによる拒否事由
外国人に支援費用を負担させる場合は登録できません。書類作成、各種手続、生活支援など、支援に必要な費用は機関や所属機関が負担すべきものだからです。間接的に外国人に転嫁することも認められません。
⒀ 支援の委託契約締結に当たって支援に要する費用の額等を明示しないことによる拒否事由
特定技能所属機関との支援委託契約を結ぶ際、支援費用とその内訳を明示しなければ登録が拒否されます。契約内容を明確にし、不明瞭な費用請求を防ぐ必要があるためです。
このように、登録支援機関の登録が拒否される事由は多岐にわたります。単に形式的な要件を満たすだけでなく、外国人の支援に適した適格性や体制、コンプライアンスが重視されていることがわかります。
参考:出入国管理及び難民認定法
まとめ
登録支援機関になるには、出入国在留管理庁への登録が必要です。登録には一定の要件を満たす必要があり、要件を満たしていても一定の事由に該当すると登録が拒否されます。
要件には支援責任者・担当者の選任、受入れ実績、支援体制、法令順守など多岐にわたる事項が含まれ、関係法令違反や不正行為、行方不明者の発生なども登録拒否の対象です。
登録支援機関は特定技能外国人の支援業務の要として、適格性や支援能力が厳しく審査されるので、適切な支援を行えるよう、体制をしっかりと整えることが求められています。
特定技能外国人の円滑な受入れと支援のため、登録支援機関の役割は重要です。制度の理解を深め、適切な支援が提供されることが期待されています。登録を目指す際は要件の確認を怠らず、申請に臨むことが大切だと言えるでしょう。
登録支援機関の申請・届出については以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。
▶︎ 登録支援機関の申請・届出等