特定技能登録支援機関の申請と届出に必要な書類を解説
登録支援機関は、特定技能外国人の在留資格取得から日本での生活全般をサポートする重要な役割を担っています。主な業務内容は、生活オリエンテーション、日本語学習支援、各種相談対応、在留諸申請の補助、帰国までの送り出しなど多岐にわたります。こうした支援を適切に行うためには、登録支援機関になるための申請手続きや、各種変更時の届出、定期的な報告が欠かせません。
この記事では、登録支援機関の申請に必要な書類と、運営開始後に提出が求められる届出書について、詳しく解説していきます。
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Contents
1.登録支援機関になるために必要な申請書類
登録支援機関になるためには、まず「登録支援機関登録申請書」を地方出入国在留管理局に提出する必要があります。申請書は郵送または持参で提出します。
登録申請のタイミングですが、初回の場合は支援業務開始予定日の2か月前まで、更新の場合は登録有効期間満了日の2か月前までに行います。申請にあたっては、次の書類を揃えましょう。
番号 | 必要書類 | 書式 | 留意事項 |
---|---|---|---|
1 | 手数料納付書 | (省令様式)別記第83号の2様式 | ・収入印紙を貼付する ・新規登録:84,000円 ・登録更新:11,100円 |
2 | 登録支援機関登録申請書 | (省令様式)別記第29号の15様式 | – |
3 | 登記事項証明書 | – | 法人の場合提出が必要 |
4 | 住民票の写し | – | ・個人事業主の場合提出が必要 ・マイナンバーの記載がないもの ・本籍地の記載があるもの |
5 | 定款又は寄付行為の写し | – | 法人の場合に提出が必要 |
6 | 役員の住民票の写し | – | ・登録支援機関が法人の場合に提出が必要 ・マイナンバーの記載がないもの ・本籍地の記載があるもの ・一部の役員は誓約書での代替可 ・未成年の役員は法定代理人の書類も必要 |
7 | 登録支援機関の役員に関する誓約書 | 参考様式第2-7号 | 住民票の写しの提出を省略する役員がいる場合に提出が必要 |
8 | 登録支援機関概要書 | 参考様式第2-2号 | – |
9 | 登録支援機関誓約書 | 参考様式第2-1号 | – |
10 | 支援責任者の就任承諾書及び誓約書 | 参考様式第2-3号 | – |
11 | 支援責任者の履歴書 | 参考様式第2-4号 | – |
12 | 支援担当者の就任承諾書及び誓約書 | 参考様式第2-5号 | – |
13 | 支援担当者の履歴書 | 参考様式第2-6号 | – |
14 | 支援委託手数料に係る説明書(予定費用) | 参考様式第2-8号 | – |
登録申請に必要な書類は多岐にわたりますが、漏れなく提出することが重要です。書類の記入方法などで不明点があれば、事前に地方出入国在留管理局に相談するとよいでしょう。申請が受理されると、審査を経て「登録支援機関登録通知書」が交付されます。これをもって正式に登録支援機関としての活動が可能になります。
2.登録支援機関の変更や休廃止に関する届出
登録支援機関の情報に変更があったり、支援業務を休止・廃止する場合には、所定の届出が必要です。変更届の提出期限は原則として変更日から14日以内、休廃止届は休廃止日から14日以内となっています。円滑な支援業務の継続のためにも、速やかな届出を心がけましょう。
(1)登録事項変更に関する届出
登録情報の変更内容に応じて必要な添付書類が異なります。以下の表を参考に、漏れのないよう準備しましょう。登録支援機関の所在地や連絡先、支援実施場所だけでなく、支援対象の特定技能所属機関に変更があった場合も届出が必要です。届出書には変更内容と理由を具体的に記載します。
変更事項 | 添付書類 | 特記事項 |
---|---|---|
氏名又は名称 | <共通>登録支援機関概要書(参考様式第2-2号) <法人>登記事項証明書 <個人事業主> ・住民票の写し ・変更後の屋号を明らかにする書類 | ・事務所名称も同時に変更の場合は、届出書と概要書に記載 ・概要書には変更部分のみ記載 |
住所 | <共通>登録支援機関概要書(参考様式第2-2号) <法人>登記事項証明書 <個人事業主>住民票の写し | ・郵便番号・電話番号のみ変更は添付書類不要 ・事務所所在地も同時変更は届出書と概要書に記載 ・概要書には変更部分のみ記載 |
代表者の氏名(法人の場合) | 登録支援機関概要書(参考様式第2-2号) 登記事項証明書 住民票の写し | 概要書には変更部分のみ記載 |
支援業務を行う事務所の所在地 | 登録支援機関概要書(参考様式第2-2号) | ・事務所名称変更は所在地変更として届出 ・登録支援機関住所も同時変更は届出書と概要書に記載 ・登録支援機関名称も同時変更は届出書と概要書の該当部分のみ記載 |
支援業務の内容及び実施方法 | 登録支援機関概要書(参考様式第2-2号) | 概要書には変更部分のみ記載 |
支援業務開始予定年月日 | – | 登録申請時の予定年月日から変更があれば届出が必要 |
特定技能外国人からの相談に応じる体制の概要 | 登録支援機関概要書(参考様式第2-2号) | ・対応言語の追加・削除は届出が必要 ・概要書には変更部分のみ記載 |
表にある通り、住所や代表者など重要情報の変更の場合は、登記事項証明書や住民票の写しなどの客観的な証明書類の添付が求められます。変更内容をしっかり確認し、書類の不備がないようにしてください。
(2)支援業務の休止または廃止に関する届出
何らかの理由で支援業務を休止・廃止する場合は、「支援業務の休止・廃止に関する届出書」の提出が必要です。この場合、従来の支援対象者に対するフォローをどうするのか、支援計画書に基づいて説明することが求められます。
休止の場合は、いつから再開するのかの見通しを記載します。他方、廃止の場合は、支援対象者に対する支援業務を適切に引き継げる体制があるかどうかがポイントになります。
いずれにしても、休廃止の判断はできる限り早めに行い、届出の提出は速やかに行うよう心がけましょう。円滑な支援業務の継続は、特定技能外国人の安定した在留生活に直結する重要な問題だからです。
3.定期的に行う支援実施状況に係る届出
登録支援機関は四半期に1回、期限までに「支援実施状況に係る届出書」を提出しなければなりません。この届出は、特定技能外国人への支援が計画通りに行われているかを確認するためのものです。
届出の対象期間と期限は下表の通りです。
手続の対象者 | 登録支援機関 |
---|---|
届出期間 | 四半期に1回、当該四半期の翌四半期の初日から14日以内 (1) 第1四半期 : 1月1日から3月31日まで (2) 第2四半期 : 4月1日から6月30日まで (3) 第3四半期 : 7月1日から9月30日まで (4) 第4四半期 : 10月1日から12月31日まで |
必要書類 | ・届出書 ・身分を証する文書等を提示(郵送による場合は身分を証する文書等の写しを同封) |
届出事項 | (1)特定技能外国人の氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地及び在留カード番号 (2)特定技能所属機関の氏名又は名称及び住所 (3)特定技能外国人から受けた相談の内容及び対応状況(労働基準監督署への通報及び公共職業安定所への相談の状況を含む。) (4)出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為の発生、特定技能外国人の行方不明者の発生その他の問題の発生状況 |
届出先 | インターネットによる場合: 出入国在留管理庁電子届出システム (出入国在留管理庁電子届出システムポータルサイト | 出入国在留管理庁) 窓口に持参する場合: 支援委託契約を結んだ特定技能所属機関の本店の住所を管轄する地方出入国在留管理官署(空港支局を除く。) |
届出事項を見ると、支援機関は特定技能外国人一人ひとりの状況を細かく把握し、適切に対応することが求められていることがわかります。相談内容や問題の発生状況など、客観的な事実を漏れなく、具体的に記載しましょう。
なお、届出はオンラインでの提出が原則ですが、書面での提出も可能です。管轄の地方出入国在留管理局に事前に確認し、提出方法を選択してください。
支援の内容によって添付が必要な書類
支援実施状況の届出に際しては、支援内容に応じて以下のような書類の添付が必要になります。日頃から支援業務の記録をしっかりと残し、報告書類を作成する習慣をつけておくとよいでしょう。
(1)生活オリエンテーションを実施した場合
生活オリエンテーションの確認書(参考様式第5-8号)を作成し、登録支援機関の事務所で保管します。届出時の提出は不要ですが、必ず作成しておきましょう。オリエンテーションの実施日時、場所、内容などを具体的に記録します。
(2)相談・苦情対応を実施した場合
相談記録書(参考様式第5-4号)を作成し、届出書に添付します。相談を受けた年月日、相談者、対応者、相談内容、対応結果を漏れなく記載します。労働関係の相談で、労働基準監督署への通報やハローワークへの相談を行った場合は、日付と機関名もあわせて記録しましょう。
(3)定期面談を実施した場合
定期面談報告書(参考様式第5-5号、5-6号)を作成し、届出書に添付します。面談の実施日時、対応者、聴取内容、確認事項などを具体的に記載します。面談は1号特定技能外国人と四半期に1回以上、2号特定技能外国人と半年に1回以上行うことが義務付けられています。
(4)非自発的離職時の転職支援を実施した場合
転職支援実施報告書(参考様式第5-12号)を作成し、届出書に添付します。離職理由、離職年月日、転職支援の具体的内容、実施状況と結果を記載します。離職後、できるだけ速やかに再就職できるよう、きめ細やかな支援を心がけましょう。公共職業安定所に相談した場合は、その旨も記録します。
(5)実施予定の支援を行っていない場合
支援未実施に係る理由書(参考様式第5-13号)を作成し、届出書に添付します。1号特定技能外国人支援計画に基づき、届出対象期間に実施予定だった支援を行わなかった場合、実施しなかった支援内容と理由を具体的に記載する必要があります。
以上が定期の届出に添付が必要な書類の概要です。支援の実施状況を適切に評価するために重要な情報ですので、書類の作成は丁寧に行ってください。
参考:支援実施状況に係る届出書
まとめ
登録支援機関には、特定技能外国人が日本で安心して働き、生活できるようサポートすることが求められます。そのためには、登録支援機関になるための申請をしっかりと行い、登録後も各種変更届や定期報告を確実に提出する必要があります。
申請や届出で提出する書類は、記載する情報量も多く、一見すると煩雑に感じられるかもしれません。しかし、どの書類も支援業務を適切に遂行し、必要な支援を的確に行っているかを確認するために重要な意味を持っています。
申請書類は、審査を速やかに通過できるよう過不足なく準備することが大切です。変更届は、支援機関の基本情報や支援対象の在留外国人、所属機関に変更があった場合に、速やかに提出しましょう。定期報告は、実際の支援業務の記録を正確かつ網羅的に残しておくことが肝要です。
これらの書類をきちんと整えることは、円滑で実効性のある支援業務の遂行と表裏一体をなしています。移住という人生の岐路に立つ外国人の心強い支えとなるために、支援機関の担当者の皆さんには細やかな配慮と積極的な行動が期待されているのです。
なお、登録支援機関になるためには一定の要件を満たす必要があります。詳しくは以下の関連記事をご参照ください。
▶︎ 登録支援機関になるには?登録するための要件について詳しく解説