在留資格「特定活動」とは?雇用する際の注意点を解説
少子高齢化による労働力不足は、日本の企業において重大な問題です。労働力確保のため、外国人労働者の雇用を視野に入れている企業も多いことでしょう。
外国人採用する上で在留資格の確認は必須です。しかし、在留資格「特定活動」は聞いたことがないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そもそも在留資格「特定活動」の外国人を雇用しても法的に問題はないのでしょうか?
この記事では、在留資格「特定活動」、及び外国人採用の基礎値知識も併せて解説していきます。
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在留資格「特定活動」の外国人は雇用できるか?
在留資格「特定活動」の外国人は雇用しても法的に問題はないのでしょうか?
そもそも在留資格「特定活動」は、どういう背景で作られた資格なのでしょうか?以前は、外国人が日本で働くために「就労が認められる在留資格」を取得する必要がありました。しかし近年外国人労働者のニーズが多様化し、従来の在留資格に分類できないものが出てくるようになると、「出入国管理及び難民認定法」の改正の必要性が高まりましたが、これには通常長い期間を要します。そこで、在留資格「特定活動」をつくることで、「出入国管理及び難民認定法」の改正をすることなく、就労の幅を広げる狙いで新たに追加されたとされています。
しかし「特定活動」も就労の種類は決められています。在留外国人なら誰でも、どんな仕事でも、という訳ではありません。外国人を雇用したい場合は、本人の「在留カード」「指定書」を確認する必要があります。詳しくは本記事の後半で解説します。
在留資格とは?
在留資格「特定活動」について解説する前に、在留資格・在留カードについても改めて簡単に解説します。
外国人は日本に入国・滞在するために在留資格が必要です。在留資格には次のような種類があります。
- 就労が認められる在留資格(活動制限あり)
外交・公用・教授・芸術・宗教など19種類の就労 - 身分・地位に基づく在留資格(活動制限なし)
永住者・日本人の配偶者など - 就労の可否は指定される活動によるもの
特定活動 - 就労が認められないもの
文化活動・短期滞在(観光・会議等)・留学など
参考:在留資格の種類を知っておきましょう |外国人就労VISA相談センター八王子 (visa-consulting.tokyo)
在留資格とビザは何が違うの?
大きく分けて以下が異なります。
- 在留資格は法務省が交付
- ビザは外務省が発給
外国人は日本に来る前に、その国にある日本の大使館や領事館に行きます。大使館や領事館は本人の持つパスポートが有効であることを確認し、ビザを発給します。ビザの発給権限は日本の外務省です。
日本の入国管理局は、日本へ来た外国人が持つビザに書かれている滞在理由に限定し、日本に在留する資格を与えます。その資格のことを「在留資格」といいます。入国管理局は法務省の管轄ですから、「在留資格」は法務省交付です。
参考:在留資格認定証明書交付申請 | 出入国在留管理庁
参考:ビザ|外務省
在留カードとは?
在留カードは、3カ月超の在留資格をもつ外国人に、在留を証明するものとして交付されます。在留カードには次の項目が記載されています。
- 名前
- 生年月日
- 性別
- 国籍・地域
- 居住地
- 在留資格
- 在留期間
- 就労の可否
- 有効期限
外国人を雇用する時には、必ず在留カードを確認する必要があります。
在留資格「特定活動」を解説
前述したように、従来の在留資格に分類できない活動の受け皿として、日本政府は「特定活動」をつくりました。しかし、すべての外国人が就労できるわけではありません。
在留資格「特定活動」を持つ外国人を雇用する場合、次の点に注意してください。
「在留カード」と「指定書」の確認
「在留カード」について
在留カードは次の点を確認してください。
①在留カードの有無
在留カードを所持しない外国人は雇用できません。
②在留カードの期限
期限切れは在留カード失効とみなし、働けません。
③在留カードが本物かどうか
ネット検索をすれば、偽造カードの見分け方を説明したサイトはあります。しかし最近では、本物そっくりで見分けがつかないものも出回っています。
新たな手口も次々出てくるので、サイトの情報だけでは不安な面があります。「出入国在留管理庁」HPでの確認をおすすめします。
参考:出入国在留管理庁 |https://lapse-immi.moj.go.jp/ZEC/appl/e0/ZEC2/pages/FZECST011.aspx
「指定書」について
在留カードには『指定書により指定された就労活動のみ可』と記載があります。必ず「指定書」もご確認ください。「指定書」はパスポートに添付されています。
指定書に記載されている活動の内容
「報酬を受ける活動」は、就労可能
「報酬を受ける活動を除く」は、就労不可
採用が決まったら
「外国人雇用状況の届出」の提出
外国人の雇用または離職の際には「外国人雇用状況の届出」を、ハローワークに提出する必要があります。提出を怠ると、1名の雇用につき、最大30万円の罰金が科される可能性があります。また提出した届出に、間違った情報が記載されている場合も、処罰の対象になりますので正確に記載が必要です。
「労働基準法」の遵守
外国人であることを理由に特定の法律が適用されないということはありません。最低賃金や有給休暇等の労働条件は、日本人を雇用する際と同等です。労働基準法は日本で働くすべての人に適用されるものです。
参考:「外国人雇用状況の届出」は、全ての事業主の義務であり、外国人の雇入れの場合はもちろん、離職の際にも必要です!|厚生労働省
参考:外国人労働者に対する労働関係法令の適用 | 愛媛労働局