外国人技能実習生が受ける「介護技能実習評価試験」とは?内容・受験資格・合格後の流れまで解説

試験勉強中の様子

近年、日本の介護業界では外国人技能実習生や特定技能者の活躍が注目されています。

高齢化の進展に伴い、介護人材の確保は企業にとって重要な課題です。

しかし、外国人材が介護の現場で安全かつ効果的に働くためには、介護技能実習評価試験の合格が欠かせません。

本記事では、試験の概要から受験資格、試験内容、合格後の流れまでを企業目線で分かりやすく解説します。

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Contents

介護技能実習評価試験とは?

外国人介護人材を受け入れる企業にとって、介護技能実習評価試験は欠かせないステップです。

この試験は、技能実習制度の一環として、介護技能の習得度や日本語能力を測定するために設けられています。

理解しておくことで、採用や受け入れの準備がスムーズになります。

外国人技能実習制度と介護技能実習評価試験の関係

技能実習制度は、外国人が日本の技術を学び、母国で活かすことを目的としています。

その中で介護技能実習評価試験は、実習生が一定の技能水準を持っているかを確認するために実施されます。

特定技能制度とは異なり、技能実習制度では段階ごとの試験合格が在留資格更新の条件になります。

どの段階で介護技能実習評価試験が必要になるのか

介護技能実習評価試験は、技能実習1号から2号、2号から3号への進級時に必要です。

合格することで、在留資格の更新や特定技能への移行に必要な条件を満たすことができます。

介護職種で外国人技能実習制度を利用する際の詳しい情報は以下の記事でも紹介していますので、ぜひご一読ください。
▶︎ 介護職種で外国人技能実習制度を利用する際の独自要件を詳しく解説

介護技能実習評価試験の受験資格・各級の概要

試験は、実務経験や在留資格の段階に応じて受験資格が異なります。

企業としては、外国人技能実習生がどの級を受験する必要があるかを把握し、必要な準備やサポートを整えておきましょう。

受験資格と対象者

介護技能実習評価試験の対象は、技能実習制度の介護職に従事する外国人技能実習生です。

各級の受験資格は以下の通りです。

  • 初級試験:6か月以上の実務経験
  • 専門級試験:24か月以上の実務経験
  • 上級試験:48か月以上の実務経験

また、日本語能力は、技能実習1号取得時にN4程度、2号・3号ではさらに向上していることが望まれます。

各級のレベル目安

初級は基礎的な介護技術、専門級は応用的な技能、上級は高度な介護判断力や対応力が求められます。

企業は、受験者がどの級に適しているかを見極め、必要な支援を行うことが大切です。

参考:外国人技能実習制度における介護技能実習評価試験 | 一般社団法人シルバーサービス振興会

介護技能実習評価試験の内容と出題範囲

試験は「学科」と「実技」に分かれており、それぞれの内容や評価基準を理解しておくことが、企業の受け入れ準備に直結します。

学科試験の内容と出題形式

学科試験では、介護の基礎知識や状況対応の判断力を測定します。

問題は〇×形式で、ふりがな付きの日本語文やローマ字表記もあるため、外国人でも回答しやすくなっています。

出題範囲には、生活支援技術や利用者の安全管理、感染症対策などが含まれます。

実技試験の内容と評価方法

実技試験は、実習生の勤務先に試験官が訪問し、実際の介護業務を通して技能を評価します。

評価ポイントは、正しい手順での介助、利用者への声かけ、衛生管理の適切さなどです。

企業は試験環境を整え、試験官の指示に従う必要があります。

合格基準と不合格時の対応

各級の合格基準は、学科・実技の総合得点で規定されています。

不合格の場合は再受験が可能ですが、次回の試験日程を確認し、適切な対策を講じることが重要です。

受験手続き・申込み方法・試験当日の流れ

企業側が正確なスケジュールや手続きを理解しておくことで、受け入れ後の試験準備がスムーズになります。

試験の申込み・スケジュール管理

受験申込は、監理団体や実習実施者を通じて行います。

試験日程や会場の確認、必要書類の準備、受験料の支払いを含む手続きを、企業がサポートすることで受験者が安心して臨めます。

試験実施当日の流れと注意点

当日は、試験官の指示に従い実技試験を行います。

学科試験は試験用紙やタブレットで実施されることが多く、回答環境を整えることが重要です。

よくあるトラブルとしては、受験者の体調管理や事前準備不足が挙げられます。

合格後の流れと特定技能への移行

合格はゴールではなく、次のステップへの入り口です。

特定技能への移行や就労継続に必要なポイントを整理しておきましょう。

技能実習から特定技能1号への移行条件

技能実習3号までを終了した後、特定技能1号の在留資格へ移行するには以下の試験に合格している必要があります。

  • 介護技能実習評価試験
  • 介護日本語評価試験
  • 日本語能力試験N4以上または同等の日本語能力

企業は、試験合格後の書類手続きや在留資格変更に向けたサポートを行うことが求められます。

企業が行うべきサポートと注意点

試験合格後も、職場での教育・評価の継続、労働環境の整備、コミュニケーション支援など、受験者が安心して働ける環境づくりが必要です。

企業が知っておくべき実務ポイント

制度の理解だけでなく、実務上の準備も欠かせません。

外国人技能実習生や特定技能者を受け入れる企業は、教育・試験準備・職場環境整備・スケジュール調整など、多面的なサポートが求められます。

具体的には以下の取り組みが大切です。

  • 試験対策研修の実施
    • 学科・実技の模擬研修やロールプレイ
    • 介護手順や状況対応の演習
  • 勤務スケジュールの調整
    • 試験準備期間の業務負荷軽減
    • 試験日程に合わせた勤務計画の調整
  • 受験環境の整備
    • 実技試験のための器材・スペース準備
    • 試験官訪問時の事務手続きや安全管理
  • 日本語能力向上支援
    • 試験に必要な日本語表現や指示理解のサポート
    • 日常業務での会話練習や教材活用
  • 受験後のフォロー
    • 合格後の書類準備や在留資格変更手続きのサポート
    • 不合格時の再受験計画や追加研修の実施

これらの取り組みを通じて、企業は外国人介護人材が試験に合格できるだけでなく、職場で安全かつ効率的に働ける環境を整えることができます。

制度理解と実務準備を両立させることが、採用成功のカギとなります。

よくある質問

試験はどのくらいの頻度で実施されていますか?

介護技能実習評価試験は、全国主要都市でおおむね年数回実施されています。

会場や時期は地域によって異なり、受験希望者が多い地域では追加日程が設定されることもあります。

最新の試験スケジュールは、一般社団法人シルバーサービス振興会監理団体経由の通知で確認するのが確実です。

海外(母国)で受験することはできますか?

原則として日本国内で実施されますが、一部の送り出し国では現地試験会場が設けられる場合があります。

特にベトナムやフィリピンなど、介護分野の技能実習生が多い国では、初級試験を出国前に受験できるケースもあります。

企業は、送り出し機関や監理団体を通じて最新の実施国情報を確認してください。

試験の難易度はどのくらいですか?

合格率はおおむね60〜80%前後とされていますが、実技よりも学科でつまずく受験者が多い傾向です。

特に日本語の専門用語理解が課題となるため、介護用語や会話表現を事前に学習させることが重要です。

企業が模擬問題を用意して反復練習を支援することで、合格率が向上します。

不合格になった場合、再受験までどのくらい待つ必要がありますか?

不合格の場合は次回以降の試験で再受験可能です。

明確な回数制限はありませんが、在留期間の更新時期と重なる場合は、再受験までの時間が制約となることがあります。

再受験の際には、前回の弱点(例:日本語理解、介助動作の順序)を重点的に補強するのが効果的です。

試験対策のための公式教材や模擬問題はありますか?

はい。試験主催団体であるシルバーサービス振興会から公式テキスト・問題集が販売されています。

また、監理団体や介護施設向けに模擬試験プログラムを提供している教育事業者もあります。

特に初級受験者には、図解付き教材や動画講座の併用が効果的です。

試験の言語サポートはありますか?

学科試験はふりがな付き日本語またはローマ字併記で出題されるため、初級レベルの受験者でも理解しやすい形式です。

ただし、実技試験は日本語で行われるため、日本語での声かけや報告を正確に行う練習が必要です。

企業は日常業務で日本語会話を積極的に取り入れると良いでしょう。

試験監督や評価者はどのような人が担当していますか?

試験官は、介護分野での実務経験や資格を持つ認定評価者が担当します。

実技試験では、実際の介助動作だけでなく、利用者への配慮・安全意識・報告連絡の適正さも重視されます。

試験官は実習現場に立ち入り評価を行うため、企業は当日の安全体制を整備しておく必要があります。

試験結果はどのくらいでわかりますか?

通常、試験終了から2〜4週間程度で結果が通知されます。

合格証は監理団体または実習実施者経由で交付され、在留資格変更や更新の手続きに使用します。

次の段階への進級申請を予定している場合は、余裕をもって受験日を設定しておくことが重要です。

試験合格後、企業はどんなサポートを行うべきですか?

合格後も、実習生がより高度な介護技術を実践できるように継続教育を実施することが望まれます。

特に特定技能1号への移行を予定している場合は、在留資格変更手続きのサポート、日本語能力強化支援、キャリア形成面談などを計画的に行うと良いでしょう。

試験にかかる費用は誰が負担しますか?

原則として実習生本人の自己負担ですが、企業や監理団体が一部または全額を負担するケースもあります。

企業負担とする場合は、就業規則や契約書に明記しておくとトラブルを防げます。

また、費用には受験料・教材費・交通費などが含まれるため、事前に総額を把握しておくことが重要です。

企業が独自で試験対策研修を行う際の注意点は?

社内研修を実施する場合は、実技試験と同等の環境で練習できる設備・器材を整えることが必要です。

また、介護福祉士などの有資格者が講師を務めることで、評価基準に沿った指導が可能になります。

模擬試験を録画して振り返る形式も効果的です。

実習生が試験に合格しなかった場合、雇用契約はどうなりますか?

技能実習制度上、一定の期間内に評価試験に合格できない場合は、次の在留資格(技能実習2号など)への移行が認められません

このため、契約の継続が困難になるケースもあります。

企業は早めに監理団体と連携し、再受験や他の支援策を検討する必要があります。

まとめ

介護技能実習評価試験は、外国人技能実習生が日本で安全に働くための重要なステップです。

企業は試験概要、受験資格、試験内容、合格後の流れを正しく理解し、受験者を支援できる体制を整えることが求められます。

適切なサポートが、外国人介護人材の成長と、企業の安定的な人材確保につながります。

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