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【2025年版】技能実習の移行対象職種とは?一覧・審査基準・最新動向を解説

近年、技能実習制度から特定技能への移行が進められる中、「移行対象職種」が企業の人材戦略において重要なキーワードとなっています。

特に、どの職種が移行対象にあたるのか、一覧や職種コードなどを正確に把握することは、実習生の受け入れを検討する企業にとって欠かせません。

この記事では、最新の移行対象職種の情報や試験要件、今後の拡大予定、受け入れ体制の整備ポイントまで、実務担当者が押さえておきたい内容をまとめて解説します!

技能実習の移行対象職種とは?ーまずは基本を押さえよう

技能実習制度の中でも「移行対象職種」は、特定技能への移行に直結する重要な枠組みです。

制度の仕組みや関係性を理解することで、今後の受け入れ戦略を立てやすくなります。

技能実習制度と移行対象職種の関係

技能実習制度は、発展途上国への技能移転を目的とした国際貢献の制度で、1号・2号・3号と段階的に技能を習得していく仕組みです。

「移行対象職種」とは、このうち2号を良好に修了した外国人が、特定技能1号に移行できるように設定された職種を指します。

ただし、すべての職種が該当するわけではなく、厚生労働省や外国人技能実習機構(OTIT)が定めた「移行対象職種一覧」に掲載されている職種・作業のみが対象です。

採用を計画する際は、対象職種であるかどうかを必ず確認しましょう。

参考:移行対象職種情報|外国人技能実習機構

「移行対象職種」とは?基本の考え方

移行対象職種とは、技能実習制度を通じて一定の技能を習得した外国人が、特定技能1号に移行できるよう制度上で定められた職種群のことです。

主に2号修了者が対象で、試験の免除が認められるなど、特定技能への円滑な移行が可能になります。

対象となるのは、業務内容が標準化され、実務の中で技能を客観的に評価しやすい職種です。

たとえば建設、製造、農業、食品加工といった分野が多く、いずれも職場で即戦力として働きやすい環境が整っています。

「移行対象職種」は、技能実習と特定技能を制度的につなぐ役割を持ち、企業にとっては中長期的な人材確保の選択肢として活用できます。

技能実習制度の目的と特定技能との違い

技能実習制度と特定技能制度は、目的も制度設計も大きく異なります。

技能実習は、開発途上国への技能移転を通じた国際貢献を目的とし、学んだ技能を母国に持ち帰って活かすことが期待されています。

一方、特定技能は、日本国内の労働力不足を補うために創設され、即戦力人材の確保が目的です。

制度名目的主な対象者活用のゴール
技能実習開発途上国への技能移転(国際貢献)技能を学ぶ外国人材帰国後の就労・起業など
特定技能即戦力人材の受け入れ(労働力確保)就労経験者、試験合格者日本での就業・中長期雇用

この両制度をつなぐのが「移行対象職種」であり、技能実習での経験や評価が、特定技能へのステップとして活かされます。

ただし、制度の目的や活用場面が異なるため、同じ職種であっても求められる能力や対応水準には違いがある点に留意が必要です。

【一覧で確認】技能実習の移行対象職種は?

移行対象職種は、OTITやJITCOが公式に公表しており、業種ごとに分類されています。

以下では、代表的な職種や作業区分、職種コードの確認方法もあわせて紹介します。

【91職種168作業】移行対象職種一覧と分類

2025年3月時点で認められている移行対象職種は、91職種168作業に分類されます。

主なカテゴリは以下のとおりです。

分野名職種数作業数主な職種カテゴリ
1. 農業・林業関係3職種7作業耕種農業、畜産農業、林業作業
2. 漁業関係2職種10作業養殖業、漁船漁業(かつお一本釣、いか釣など)
3. 建設関係22職種33作業とび、鉄筋施工、型枠施工、内装仕上、塗装、防水施工など
4. 食品製造関係11職種19作業缶詰製造、パン製造、ハム・ソーセージ・ベーコン製造、非加熱水産加工など
5. 繊維・衣服関係13職種22作業染色、縫製、ニット製品製造、布はく縫製、寝具製作、カーペット製造など
6. 機械・金属関係17職種34作業機械加工、鋳造、溶接、電子機器組立、プレス加工、ダイカストなど
7. その他21職種39作業印刷、木工、プラスチック成形、ビルクリーニング、介護、工場包装など
社内検定型職種(特殊枠)2職種4作業ボイラー溶接、ホイールメンテナンスなど
参考:技能実習制度 移行対象職種・作業一覧|厚生労働省

技能実習職種コードの見方と活用法

実務上、技能実習の職種や作業は5桁の「職種コード」で管理されています。

これは申請書類の記載や制度確認に欠かせない情報で、OTITやJITCOの一覧から確認可能です。

たとえば「機械加工(普通旋盤)」はコード「23-01-01」といった形で表示され、

  • 「23」=職種カテゴリ(例:機械・金属関係)
  • 「01」=職種(機械加工)
  • 「01」=作業種別(普通旋盤作業)

というように、分類体系に基づいて構成されています。

このコードは、技能実習計画書の作成、監理団体との連携、移行対象職種かどうかの照会時など、あらゆる場面で参照されます。

企業の人事担当者は、対象職種の正確なコードと分類を把握しておくと、書類の不備や審査上のトラブルを防ぐことができます。

移行対象職種以外の職種はどうなる?注意点も!

移行対象外の職種は、原則として特定技能への移行はできません。

ただし、将来的に制度が見直され、対象職種が追加される場合も。

制度変更の詳細は、後述の「【今後の動向は?】技能実習の職種拡大・追加予定」セクションで解説します。

技能実習から特定技能へ必要な試験・要件をチェック

技能実習から特定技能への移行には、制度ごとに定められた要件や試験があります。

ここでは、試験概要や審査プロセスを確認しておきましょう。

移行に必要な技能試験・日本語試験の概要

移行対象職種で技能実習を修了した場合、試験免除で特定技能に移行できるケースもありますが、多くの場合は以下の試験が必要となります。

  • 技能評価試験(業種別に設けられた実技・筆記試験)
  • 日本語能力試験(N4以上)または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)

試験の有無や条件、実施スケジュールは、分野ごとに異なるため、希望職種の試験日程や過去の合格実績などを事前に確認しておくことが重要です。

審査基準・必要書類・手続きの流れ

技能実習から特定技能へ移行するためには、複数のステップと書類提出が必要です。

【手続きの流れ】移行までの5ステップ

移行手続きには、以下のようなステップがあります。

1. 技能実習2号の良好修了証明の取得
監理団体や実習実施者が評価調書を作成し、「良好修了」が確認されることが前提です。

2. 技能・日本語試験の受験または免除確認
職種によっては試験免除が認められることもあります。該当分野の条件を事前に確認しましょう。

3. 在留資格「特定技能1号」への変更申請
出入国在留管理庁への申請が必要です。手続きは本人または代理人が行います。

4. 必要書類の提出
各種証明書類や契約書、支援体制の書類などをまとめて提出します。詳細は下記参照。

5. 入国管理局による審査・認定
審査では技能・経験だけでなく、受け入れ企業の体制も評価されます。

【必要書類一覧】

申請時に提出が求められる主な書類は以下の通りです。

  • 在留資格変更許可申請書
  • 技能実習2号の良好修了証明書(技能実習評価調書)
  • 技能評価試験・日本語試験の結果通知書(免除の場合は該当確認資料)
  • 雇用契約書・雇用条件明示書
  • 受入機関による支援体制の説明資料
  • 履歴書・申請理由書
  • 住居確保に関する書類(例:賃貸契約書)など

【審査で重視されるポイント】

  • 実務経験や技能水準が、特定技能としてふさわしい水準に達しているか
  • 企業側に十分な支援体制(生活支援・日本語指導・相談対応など)が整っているか
  • 提出書類に不備や齟齬がないか(差し戻しの主な原因)

特に「支援体制」については、形式的な資料ではなく、実効性ある体制があるかどうかが重要視されます。

制度に慣れていない企業は、監理団体や行政書士など専門家のサポートを活用するのも一つの手です。

技能実習「1年職種」の移行可否と注意点

一部の技能実習には「1年職種」と呼ばれる短期実習プログラムがあります。

これらの職種は、主に季節性や短期集中型の作業が中心で、継続的な技能定着が見込みづらいため、特定技能への移行は基本的に想定されていません。

ただし、一部例外的に移行実績のある職種も報告されており、監理団体や業界団体からの個別確認が推奨されます。

【今後の動向は?】技能実習の職種拡大・追加予定

制度の改正にともない、移行対象職種の拡大や新規追加が検討されています。

今後の動向をチェックしておきましょう。

2025年以降の職種追加予定と検討中分野

現在、政府は技能実習制度を廃止し、「育成就労制度」への移行を進めています。

この新制度は2027年6月までに施行される予定で、特定技能制度との連携を前提に、職種や作業内容の再編・拡大が進められています。

特に追加の検討対象として挙げられているのが、「宿泊業」「外食サービス」「美容」「リネンサプライ」などのサービス業分野です。

これらは人手不足が深刻な業界であり、特定技能制度との親和性が高いため、今後の制度設計次第で新たな受け入れ職種として位置づけられる可能性があります。

また、既存の職種についても、業務区分や作業内容の追加により受け入れ対象が広がる見通しです。

具体的な追加時期や試験整備のスケジュールは、年度ごとに調整されるため、最新の公的発表を確認しましょう。

参考:育成就労制度 | 出入国在留管理庁

職種拡大の背景と企業への影響

職種拡大の背景には、深刻な人手不足や業界団体からの要望があります。

企業にとっては採用の選択肢が広がる一方、受け入れ体制の強化や法令遵守への対応が求められます.

受け入れを検討する際は、事前に業界の動向や制度変更の影響を把握しておくことが大切です。

一方で、制度拡大にともなう企業側の対応負担も増すことが予想されます。

新たな職種を受け入れる際には、教育・サポート体制の見直しや社内制度の整備が求められるため、あらかじめ準備を進めておくことが重要です。

企業が押さえるべき受入れ体制の整備ポイント

制度を正しく活用するには、企業側の体制整備も不可欠です。

ここでは、実際の準備や外部連携のポイントを整理します。

監理団体の役割と選び方

技能実習制度の運用には、監理団体の存在が欠かせません。

監理団体は、実習計画の策定、監査、指導、トラブル対応などを担う重要なパートナーです。

特に注意すべきなのは、過去の指導実績や外国人技能実習機構(OTIT)による評価内容。

監理団体の選び方ひとつで受け入れのスムーズさやトラブル発生率が大きく変わるため、選定の際は、実績や対応力、サポート体制の充実度などを総合的に判断しましょう。

参考:監理団体の検索|外国人技能実習機構

受入企業の体制整備で必要な準備

受け入れ前には、以下の準備が求められます。

  • 適切な雇用契約・労働条件の整備
  • 技能講習・日本語教育の実施
  • 生活支援(住居、健康保険、相談体制など)
  • 社内マニュアルや担当者の配置

これらの要素を社内で整理し、継続的なサポート体制を整えることが重要です。

また、外国人労働者に対する情報提供は「母語での対応」が原則とされており、生活オリエンテーションや安全教育の場面でも翻訳資料や通訳の手配が求められます。

法令で定められた義務だけでなく、実際に働く本人が安心して生活できる環境づくりが、定着率向上のカギです。

企業にとってのメリットとリスク

外国人技能実習制度を活用することで、慢性的な人手不足を補い、多様な価値観を持つ人材によって組織の活性化が期待できます。

一方で、文化的な認識の違いや言語の壁による業務上のミス、支援体制の不備がトラブルにつながる可能性も。

こうしたリスクを最小限にするには、受け入れ前からの丁寧な説明や、継続的なフォローが重要です。

まとめ|技能実習の受入れ計画を立てよう

「移行対象職種」は、技能実習から特定技能への橋渡しとなる重要なポイントです。

まずは、自社が検討している職種が対象に該当するかを確認し、移行条件や試験、制度の違いを理解することが第一歩となります。

その上で、受け入れ体制を整備し、信頼できる監理団体との連携を図ることで、制度を有効に活用できるようになります。

制度改正や対象職種の拡大といった動向にも注意を払いながら、自社の人材戦略にあわせた受け入れ計画を検討していきましょう。

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