「特定技能 農業」とは|業務内容や採用条件を紹介
「農業分野で外国人材雇用を検討しているが、特定技能の仕組みが複雑でよく分からない」と悩む方々に向けて、「在留資格である特定技能の農業分野」について、行うことのできる業務や採用の際に把握しておくべきことなどを分かりやすく解説します。
外国人採用を考えている方はぜひ以下の記事もチェックしてみてください。
農業はどれほど深刻な人手不足なのか
農業業界はここ数年で他業界と比較して、深刻な人手不足に悩まされています。農林水産省が出した調査によると、全産業の有効求人倍率は平成24年から令和1年まで緩やかな増加傾向となっており、その中でも農畜作業員の有効求人倍率が平均を上回っています。さらに、農作業は重労働であるにも関わらず、農業従事者の高齢化が進んでいるため、何らかの手を打たない限りは有効求人倍率が上がり続けると予想されます。
参考:農林水産省「農業分野における新たな外国人材の受入れについて」
https://www.maff.go.jp/j/keiei/foreigner/attach/pdf/new-76.pdf
特定技能「農業」の在留資格とは
外国人が日本で働くことができる在留資格・特定技能にはいくつかの業種があります。どういった業種で働くことができるのか、そもそも特定技能とは何なのかについて紹介していきます。
特定技能とは
まず「特定技能」とは2019年4月から開始された、外国人労働者用の在留資格のことです。これまで専門的・技術的な知識や経験を持っている外国人人材のみ日本で仕事ができ、工場などでの単純労働を行う外国人の受け入れを禁止していました。この理由として仕事でのトラブルの増加や治安悪化、日本人の雇用機会の減少への懸念などがあげられます。
しかし先ほどの項目で述べたように、日本国内での人手不足が深刻な問題となっていることから、専門的な職業以外でも人手不足が深刻な14の業種に特定して、新たな外国人材の受け入れが可能となったのです。
特定技能に指定された14業種とは
特定技能に選定された14種類の対象職種は下記の通りです。
「①介護」「②ビルクリーニング」「③素形材産業」「④産業機械製造業」「⑤電気・電子情報関連産業」「⑥建設」「⑦造船・舶用業」「⑧自動車整備」「⑨航空」「⑩宿泊」「⑪農業」「⑫漁業」「⑬飲食料品製造業」「⑭外食業」
特定技能には「特定技能1号」と「特定技能2号」があります。「特定技能1号・2号」について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
特定技能「農業」を取得するために必要な2つの試験
「農業分野」においての在留資格である特定技能1号を取得するためには、「日本語試験」と「農業技能測定試験」に合格しなければなりません。(一般社団法人)全国農業会議所が実施するその農業技能測定試験には「耕種農業全般」または「畜産農業全般」の2種類があり、自分がやりたい業務内容によってどちらかの試験を受けます。それぞれどのような試験内容なのか紹介していきます。
日本語試験
まず日本語試験は、下記どちらかのテストに合格することが必要です。
1.国際交流基金日本語基礎テスト(合格基準:合格)
2.日本語能力試験(合格基準:N4以上)
農業技能測定試験
農業技能測定試験はやりたい業務によって「耕種農業全般」または「畜産農業全般」の試験を選択し、学科と実技の試験に合格することが必要です。
1.農業技能測定試験「耕種農業全般」
「栽培管理、農産物の集出荷・選別等」の業務内容の仕事が可能です。
2.農業技能測定試験「畜産農業全般」
「飼養管理、畜産物の集出荷・選別等」の業務内容の仕事が可能です。
【特定技能・農業分野】外国人採用する際に把握しておくべきこと
外国人材の採用を検討している農業分野の企業が把握しておくべきことは数多くあります。その中でも最低限把握しておくべきことを5つ紹介していきます。
①受入可能な外国人
受入可能な外国人は2パターンあります。まず一つ目は先ほど述べたように「日本語試験」と「農業技能測定試験」に合格した外国人、二つ目は技能実習2号の修了している外国人のパターンがあります。いずれも18歳以上で健康状態が良好な外国人材が受入可能です。
②雇用形態
雇用形態は「直接雇用」または「労働者派遣」の両方が認められています。農業業界は育てる農作物によって、土づくり、種まき・稲植え、栽培、収穫、出荷の時期が大きく異なります。そして冬場などの季節によって作業ができない閑散期は、数か月も休みになることもあります。一方で収穫や出荷の繁忙期は市場の需要や旬の時期を逃さないために、休みなしで働くことも時には必要となります。
そのため繁忙期と閑散期に対応できること、そして労働者に安定した仕事を与えるためにも派遣で雇用することが認められています。
③任せられる業務
外国人材が従事できる作業は下記の通りです。
・耕種農業全般の作業の場合は「栽培管理、農産物の集出荷・選別等」
・畜産農業全般の作業の場合は「飼養管理、畜産物の集出荷・選別等」
いずれも「栽培管理」または「飼養管理の業務」が含むことが必須となります。農産物の選定業務のみなどは従事させられないため注意が必要です。
④雇用期間
特定技能を取得している外国人が在留できる期間は、通算で5年が上限とされています。それ以上の期間の雇用契約を締結した場合でも在留が認められません。
⑤受入人数
技能実習制度は事業者あたりの受入れ人数枠が決められています。しかし農業分野における特定技能の受入れ人数は、現在想定されていません。(平成 31 年3月 29 日時点)
まとめ
日本の総人口は減少傾向にあり2050年には1億人をきると予想されています。食を支える農業分野はお腹を満たすだけでなく、心と体の健康を維持する役割を持つ必要不可欠な仕事です。日本の大事な産業を保つためにも、外国人人材の活用を検討してみてはいかがでしょうか。