外国人技能実習制度とは?仕組み・課題・新制度のポイントを徹底解説!

日本企業で外国人を採用する際、理解しておきたい制度のひとつが「技能実習制度」です。
制度の基本的な仕組みや背景に加え、今後の見直しや新制度への移行も議論されており、企業の人事担当者にとっては対応が求められる場面も増えてきました。
この記事では、制度の成り立ちから問題点、今後の見通しまで、詳しく解説します!
Contents
外国人技能実習制度とは?ーまずは基本を押さえよう

技能実習制度は、日本で働く外国人材に「技術・知識の移転」を目的とした制度です。
制度の全体像を知ることで、自社で受け入れる際の方針も立てやすくなります。
技能実習生とは?
「技能実習生」とは、発展途上国の若者が日本企業で一定期間働きながら、実務を通じて専門的な技能や知識を学ぶために受け入れられる外国人材のことです。出
入国在留管理庁によると、2024年末時点で約46万人が日本に在留しており、主な出身国はベトナム・インドネシア・フィリピンなどです。
職種別では、建設関係・食品製造関係・機械・金属関係の分野に多くの実習生が従事しており、日本の基幹産業を支える存在となっています。
技能実習制度は、3段階(1号・2号・3号)のステージに分かれており、最長で5年間の滞在が可能です。
それぞれの段階で在留資格の更新や試験が必要となり、企業側も受け入れ要件を満たす必要があります。
また、実習生はあくまで「学びを目的とした立場」であり、労働力として単純に扱うことは制度の趣旨に反します。
近年では、技能実習を修了した後に「特定技能」へ移行するルートも広がっており、長期的な雇用戦略の一環として位置づける企業も増えています。
ステージ | 在留期間 | 実習内容の目安 | 移行条 |
---|---|---|---|
1号 | 1年 | 基本的な業務の習得 | 監理団体・実習計画の認 |
2号 | 2〜3年 | 応用的な実務技術の習得 | 技能評価試験の合格 |
3号 | 4〜5年 | より高度な業務の実践(任意) | 2号修了+優良認定の実習実施者 |
どんな理念で設立された制度?
技能実習制度の創設目的は、「開発途上地域への技能移転による国際貢献」です。JITCO(国際研修協力機構)や法務省は、「人材育成によって母国の経済発展を支援すること」が制度の根本にあるとしています。
実際には、農業・建設・食品加工・介護などの人手不足産業での受け入れが多く、日本の労働力不足を補う役割も担っています。
そのため、「実質的な労働力確保」と「表向きの技能移転」というギャップが指摘されることも。
とはいえ、制度の意義を正しく理解し、企業側が実習生のキャリア形成に貢献する姿勢を持つことは、今後の新制度移行に向けても重要です。
外国人研修制度について

外国人技技能実習制度の前身として存在したのが「外国人研修制度」です。
現在の制度を理解するために、その成り立ちや歴史も押さえておきましょう。
制度の歴史と背景
1980年代後半、日本企業では製造業や建設業を中心に深刻な人手不足が表面化していました。こ
れを受けて、政府は経済協力の一環として「外国人研修制度」を導入し、発展途上国の若者を短期間受け入れる枠組みを整えました。
当初は実務を伴わない「研修」に限定されていましたが、現場では実際に労働力として扱われることが多く、法的保護の不備や労働条件の不透明さが問題視されるようになります。
たとえば、最低賃金の対象外だったり、労働基準法の適用が限定的だったりと、受け入れ企業にとっても制度運用の曖昧さが課題でした。
こうした問題に対応する形で、1993年に「技能実習制度」が創設され、制度上も労働関連法が適用されるように。
研修制度での課題を踏まえ、技能実習制度ではより明確な法的位置づけと、監理団体による管理体制が導入されています。
年代 | 出来事 |
---|---|
1980年代 | 外国人研修制度が本格化。 企業の研修生受け入れが始まる |
1993年 | 技能実習制度が創設され、実務を伴う制度に切り替え |
2010年 | 入管法改正により、在留資格「技能実習」が制度化 |
2016年 | 技能実習法(技能実習の適正な実施と保護)が制定 |
2019年以降 | 特定技能制度スタート。 制度の併存と移行が進行中 |
技能実習制度の仕組みと流れ

ここでは、技能実習制度がどのように運用されているか、在留資格の変遷や関係法令、監督体制などを含めて解説します。
技能実習制度創設以前
1993年に技能実習制度が創設される以前の段階では、制度としての法的枠組みや管理体制はまだ十分に整っていませんでした。
外国人研修制度を引き継ぐ形でスタートした技能実習制度は、実務を通じた「技能移転」を建前としながらも、実際には企業側の人手不足を補う手段として利用される場面が目立っていたのが実情です。
当時の制度運用では、実習生に対する教育・指導の方法や、企業の受け入れ体制にばらつきがあり、制度の趣旨と現場運用のギャップが顕在化し始めていました。
また、制度が法令に明確に位置づけられていなかったことから、実習生の労働環境や人権保護についても十分な対応がなされていないケースがあり、社会的な課題として徐々に注目を集めるようになったのも事実です。
こうした背景のもと、制度のさらなる明確化・法制化が求められ、のちに在留資格「技能実習」の創設へとつながっていきます。
技能実習制度の創設から在留資格「技能実習」の設定まで
1993年に創設された「技能実習制度」は、外国人研修制度で指摘されていた問題を受け、制度の透明性や管理体制の見直しを目的に導入されたものです。
現場での実務を通じて外国人材が技術を学ぶ仕組みとして、新たな枠組みが構築されました。
当時は法的な在留資格は設定されておらず、制度は行政通知などに基づいて運用されていました。
ただ、実習生を受け入れる企業(実習実施者)と、それを支援・監督する監理団体の二層構造が導入され、制度の基本的な形が整っていきます。
来日前には日本語や生活マナー、安全衛生に関する講習を受ける仕組みも設けられ、受け入れ後は段階的な実習を通じて技術を習得する流れが定着しはじめていました。
制度運用が進むなかで、実習内容や労働環境に関する課題も明らかになり、より明確な法制度化の必要性が高まっていきます。
在留資格「技能実習」の設定以降
年の入管法改正により、「技能実習」が正式な在留資格として制度化されました。
これにより、技能実習制度は法律に基づく枠組みとして明確化され、実習生の在留管理や制度運用にも大きな変化がもたらされます。
この改正では、技能実習1号・2号・3号という段階的な構成が導入され、各段階での技能評価試験が制度的に義務づけられました。
これにより、単なる労働ではなく、技術の習得過程としての性格が制度上も明示されるようになります。
また、在留資格として位置づけられたことで、実習生にも労働関係法令が一部適用されるようになり、最低賃金や労働時間の管理、雇用契約の明文化などが進みました。
ただしこの時点では、制度全体を横断的に管理する仕組みや、強制力ある保護措置はまだ十分ではなく、実態との乖離が残っていたことも事実です。
改正までの経緯
在留資格として制度化された後も、技能実習制度には課題が残っていました。
実習生の失踪や長時間労働、賃金未払いといった問題が相次ぎ、制度の理念と実態の乖離が社会問題として取り上げられるようになります。
監理団体による指導が不十分なケースや、実習計画と実務の内容に食い違いがあるといった運用上の問題も指摘され、制度全体の信頼性が問われる状況が続いていました。
こうした背景を受け、政府は制度の見直しを進め、2016年に技能実習法(正式名称:外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律)を制定。
制度の適正な運用と実習生の保護を目的とした法整備が本格化することになります。
入管法改正について
2018年の入管法改正により、新たな在留資格「特定技能」が創設。
これにより、一定の技能と日本語能力を有する外国人が、より長期的かつ柔軟に就労できる道が開かれます。
特定技能には、介護・建設・外食業などの14分野が対象となっており、技能実習の修了者は、試験を経てこの資格へ移行することが可能です。
これにより、単なる技能移転にとどまらず、労働力としての受け入れが制度上も明確化されました。
ただし、技能実習制度と特定技能制度が並行して運用されるなかで、制度間の整合性や移行時の手続きの煩雑さなど、新たな課題も生じています。
今後の制度見直しに向けて、両制度の関係性や位置づけをどう整理するかが大きな焦点となるでしょう。
項目 | 技能実習制度 | 特定技能制度 |
---|---|---|
制度の目的 | 技能移転・国際貢献 | 即戦力人材の確保 |
在留期間 | 原則5年(最大) | 特定技能1号:5年、2号:無期限可 |
対象職種数 | 約80職種(細分類含む) | 14分野(介護・外食・建設など) |
試験 | 原則不要(段階評価試験あり) | 技能試験+日本語試験が必須 |
転職の可否 | 原則不可(例外あり | 一定条件下で可能 |
雇用の性質 | 教育目的中心 | 労働力確保目的が中心 |
外国人の技能実習の適正な実施と技能実習生の保護に関する法律
2016年に施行された「技能実習法」は、それまで行政指導ベースで運用されてきた技能実習制度に法的根拠を与え、制度の適正化と実習生の保護を目的として制定されました。
この法律では、監理団体の許可制や、実習計画の認定制度、企業への報告義務などが明文化され、制度全体の透明性が大きく向上しています。
また、実習生からの相談窓口の設置や、強制帰国・パスポート取り上げの禁止といった人権保護に関する規定も盛り込まれました。
立法の背景および経緯
背景には、2000年代以降の在日外国人労働者、とくに在日ブラジル人の労働環境が大きく影響しています。
日系ブラジル人は「定住者」などの在留資格で多くの工場に就労していましたが、制度的なサポートや監督が不十分で、社会的孤立や待遇格差といった問題が生じていました。
このような過去の課題を踏まえ、技能実習制度では受け入れ体制の明確化と制度運用の厳格化が求められるようになり、技能実習法の制定に至ったといえます。
監督機関「外国人技能実習機構」を新設
技能実習法の施行にともない、2017年に「外国人技能実習機構(OTIT)」が設立されました。
この機関は、制度の適正な運用と実習生の保護を目的とした監督機関であり、監理団体や受け入れ企業に対するチェック機能を担っています。
OTITの主な役割は、監理団体への立入検査、実習実施者への助言・是正指導、実習生からの相談受付など。
たとえば、実習内容と計画にずれがある場合や、労働法違反が見つかった場合には、改善命令や認定の取り消しといった措置が取られることもあります。
実習生から寄せられる相談には、労働条件や生活環境、ハラスメントに関する内容が多く含まれており、制度上の問題を早期に把握する上でも重要です。
OTITの設立によって、企業側にも制度を正しく理解し、責任を持って運用する姿勢がより強く求められるようになりました。
参考:外国人技能実習機構
まとめ
外国人技能実習制度は、国際貢献と人材育成を目的に設立された制度ですが、実態との乖離や人権問題が長らく課題とされてきました。
現在は廃止が検討されており、2027年以降には新制度への移行が予定されています。
人事担当者としては、現行制度の仕組みだけでなく、制度見直しの背景や新制度の動向にも注目し、柔軟に対応していくことが求められます。
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