【2025年最新版】外国人雇用で活用できる助成金3選|支給額・要件・申請ポイントまで解説

助成金について

人手不足やグローバル展開への対応が進むなか、外国人材の活躍は企業の成長に欠かせない存在となりました。

とはいえ、採用コストや制度の複雑さがハードルとなり、踏み切れない企業も少なくありません。

そこで活用したいのが「外国人雇用に使える助成金」

採用・教育の費用負担を抑えつつ、定着支援にも役立ちます。

本記事では、2025年最新版の助成金制度について、種類や支給額、申請方法、活用ポイントまでを解説します。

外国人雇用の助成金とは?企業が知っておくべき基礎知識

外国人採用を検討する企業にとって、まず理解しておきたいのが「助成金」の基本です。

助成金と補助金の違いと、外国人雇用で活用される理由

「助成金」と似た言葉に「補助金」がありますが、仕組みは大きく異なります。

助成金は一定の条件を満たせば原則受給できる支援金で、審査が不要なのが特徴。

一方、補助金は審査や採択が必要な競争型の支援です。

外国人雇用の現場では、比較的ハードルが低く確実性の高い「助成金」の活用が現実的です。

国がこうした制度を設けている背景には、次のような狙いがあります。

  • 労働人口の減少対策:国内の人手不足が深刻化し、多様な人材確保が急務となっている
  • 就労環境整備の支援:言語・文化の違いによる離職リスクを防ぐため、職場整備に取り組む企業を後押し
  • 生産性・競争力の強化:外国人材の活躍が企業の事業拡大や国際競争力の向上につながる

このように、助成金は単なる採用支援にとどまらず、企業の成長戦略を支える重要な施策といえます。

外国人雇用で助成金を活用するメリット

助成金を活用すると、企業には次のような大きなメリットがあります。

  1. 採用・教育コストの削減:採用時や研修時の費用の一部を公的資金でまかなえる
  1. 就労環境整備による定着率向上:マニュアルの多言語化や相談体制の構築など、離職防止の取り組みが進められる
  1. 採用力・企業イメージの向上:「外国人が働きやすい職場」として求職者から選ばれやすくなる

特に外国人採用では「採用して終わり」ではなく、定着させて戦力化することが大切です。

助成金はそのための強力なサポートとなり、初期投資の負担を抑えつつ長期的な人材戦略を実現できます。

【2025年最新版】外国人雇用で使えるおすすめ助成金3選

外国人雇用に活用できる助成金は複数ありますが、中でも特に活用頻度が高く、採用や定着の現場で役立つ代表的な制度は次の3つです。

ここでは、それぞれの概要・受給条件・支給額・活用ポイントまで詳しく解説します。

人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備コース)

「人材確保等支援助成金」は、外国人労働者が安心して働き続けられる職場環境を整えたい企業におすすめの制度です。

言語や文化、雇用慣行の違いから起きやすいトラブルを防ぎ、外国人の定着率向上を目指せます。

制度の概要

外国人労働者は、日本の労働法制や職場文化への理解不足、言語の壁などが原因で労働条件や解雇をめぐるトラブルが起きやすい傾向があります。

この助成金は、通訳の配置や多言語マニュアルの整備、相談体制の構築など「就労環境の整備」を行う企業に対して経費の一部を助成する制度です。

主な受給要件

  • 外国人労働者を雇用している事業主であること
  • 厚生労働省が認定した「就労環境整備計画」に基づき、具体的な整備措置を導入・実施していること
  • 就労環境整備措置の実施日から6か月間の離職率が15%以下であること
  • 「外国人雇用状況届出」を提出していること

支給額

支給額(上限)
1つの整備措置導入20万円
最大(4つ導入時)80万円

【対象となる経費】

  • 通訳費
  • 翻訳機器の導入費(面談などに必要なもの)
  • 社内マニュアルや標識類の翻訳料
  • 弁護士・社会保険労務士など専門家への委託費用(顧問料は対象外)
  • 多言語標識の設置・改修費(外部委託に限る)

▲ 活用のポイント

採用後のサポート体制を整えることで、外国人労働者が安心して働ける環境を構築できます。

結果として離職率の低下やトラブル防止、採用コスト削減にもつながるでしょう。

参考:人材確保等支援助成金|厚生労働省

人材開発支援助成金(人材育成支援コース)

「人材開発支援助成金」は、外国人従業員のスキルアップや戦力化を図りたい企業に向いています。

複数あるコースの中でも、特に活用しやすいのが「人材育成支援コース」です。

制度の概要

このコースは、従業員が業務に必要な知識・技能を習得するための職業訓練を支援する制度です。

10時間以上のOFF-JTや、新卒者向け・正社員転換を目的としたOJT+OFF-JT訓練など、実践的な教育プログラムが対象になります。

主な受給要件

  • OFF-JT(職場外研修)を10時間以上実施していること
  • 新卒者向け、または有期契約労働者の正社員転換を目的とした訓練にOJT+OFF-JTを組み合わせていること
  • 対象労働者が雇用保険被保険者であること
  • 申請主体が事業主または事業主団体等であること

支給額・助成内容(人材育成支援コースの場合)

支給対象賃金助成額(1時間あたり)経費助成率OJT実施助成額(1コースあたり)
OFF-JT(人材育成訓練)760円(中小)/380円(中小以外)※賃金要件満たすと最大960円(480円)45%(30%)※最大75〜100%まで加算あり
認定実習併用職業訓練同上同上20万円(中小)/25万円(中小以外)
有期実習型訓練同上60%(中小)/70%(中小以外)10万円(中小)/13万円(中小以外)

活用のポイント

採用初期の基礎教育から管理職候補の育成まで幅広く活用でき、費用を抑えながら外国人材の成長と定着を支援できます。

参考:人材開発支援助成金 (人材育成支援コース)|厚生労働省

◇ キャリアアップ助成金(正社員化コース)

「キャリアアップ助成金」は、非正規雇用から正社員登用を進めたい企業におすすめの助成金です。

こちらも複数のコースがありますが、外国人雇用との相性が高く、多くの企業で活用されているのが「正社員化コース」。

外国人材のキャリア形成にも直結します。

制度の概要

有期契約・短時間・派遣などの労働者を正規雇用労働者へ転換・直接雇用した場合に支給されます。

外国人材のキャリアパスを明確にし、長期的な活躍を後押しできます。

主な受給要件

  • 対象が「有期雇用労働者等(有期契約・短時間・派遣など)」であること
  • 正社員化(または派遣労働者の直接雇用)を行うこと
  • 対象者が新卒採用者で、かつ雇用期間が1年未満の場合は対象外
  • 雇用形態変更後、6か月分の賃金を支給した日の翌日から2か月以内に申請すること

支給額

中小企業大企業
有期 → 正社員化最大80万円最大60万円
無期 → 正社員化最大40万円最大30万円

活用のポイント

非正規社員の正社員化は、離職率低下・採用競争力の向上・戦力化などの効果があり、外国人材の長期定着にもつながります。

派遣社員の直接雇用も対象となるため、優秀な人材を自社に取り込むチャンスです。

参考:キャリアアップ助成金|厚生労働省

外国人雇用助成金の申請手続きと注意点

助成金は「申請すれば自動的にもらえる」ものではありません。

要件を満たしていても、手続きの不備やスケジュール管理の遅れで不支給になるケースもあります。

助成金申請の基本ステップ

助成金を確実に受け取るためには、採用後に慌てて申請するのではなく、採用前から計画的に進めておくことが大切。流れは次のとおりです。

  1. 就労環境整備計画・訓練計画など必要書類の作成・提出
  2. 採用・研修・正社員化などの施策を実行
  3. 成果確認後、支給申請書を提出
  4. 審査・支給決定 → 助成金受給

支給までの期間は申請から3〜6か月程度が一般的です。

支給開始時期(「いつから受け取れるか」)は制度によって異なるため、早めの準備がポイントです。

よくある失敗と不支給の原因は?

要件を満たしていても、申請プロセスの不備や運用のずれによって不支給となるケースは少なくありません。

特に以下のような点は、多くの企業がつまずきやすいポイントです。

  • 提出期限の遅れ・書類不備による不受理
  • 離職率・就業条件など要件を満たしていない
  • 申請内容と実際の運用内容が異なる

事前に条件を確認し、専門家や社労士と連携して申請を進めることで不支給リスクを防げます。

助成金活用のポイントと企業が今すぐやるべきこと

助成金を有効活用するには、単に制度を知るだけでなく、事前準備と戦略的な活用が欠かせません。

以下のポイントを意識することで、制度を最大限に活かせるようになります。

  • 自社が対象になる制度を早期に洗い出す
  • 採用前から計画書・訓練計画の準備を進める
  • 外国人雇用に詳しい専門家へ相談し、最新情報を入手する

こうした準備を早めに進めておくことで、申請時の手間やミスを減らし、助成金を確実に受け取るチャンスを広げられます。

よくある質問

Q. 「助成金」と「補助金」は何が違いますか?

A. 助成金は要件を満たせば原則受給でき、採択審査がありません。

補助金は公募・採択制で競争があります。外国人雇用の現場では確実性の高い助成金の活用が実務的です。

Q. 外国人雇用で助成金を使うメリットは?

A. 採用・教育コストの圧縮、就労環境整備による定着率向上、採用力・企業イメージの向上に直結します。

Q. どの企業規模でも使えますか?

A. 多くは中小・大企業双方が対象ですが、支給額や助成率は区分で異なります。

自社区分の確認が必須です。

Q. 申請までの基本ステップは?

A. ①(採用前〜)計画書作成・提出 → ②(採用/研修/転換)施策実行 → ③ 実績・エビデンス収集 → ④ 支給申請 → ⑤ 審査・入金。

支給まで3〜6か月程度が一般的です(制度により前後します)。

Q. どの書類を準備すべき?

A. 計画書、就業規則・雇用契約、研修カリキュラム・出欠簿、賃金台帳・出勤簿、請求書・領収書、離職率算定資料、写真・導入証跡など。

事前に様式・必須項目を確認しましょう。

Q. よくある不支給原因は?

A. 提出期限の失念、計画未提出のまま実施、実績記録の欠落(出欠・時間数・講師)、離職率・労務管理の不適合、申請内容と運用実態の齟齬などが挙げられます。

まとめ

外国人雇用の助成金は、採用コストの削減だけでなく、職場環境の改善・定着支援・戦力化までを後押ししてくれる心強い制度です。

まずは「どの制度が自社に合うか」を見極め、国・自治体の最新情報を確認したうえで、申請を進めましょう。

外国人材の採用は、単なる人手確保ではなく、企業の未来を支える投資です。

助成金を上手に活用し、優秀なグローバル人材の採用と定着につなげていきましょう。

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