特定技能「建設」で採用するには?業務区分・職種・企業が知るべき注意点を解説
建設業界の人手不足は年々深刻化しており、2022年の建設技能者数は約305万人と推計されています。10年前の2012年と比べると約9.5%も減少しているのです。今後、インフラ整備や震災復興などで更に人手不足が見込まれることから、外国人材の活用は非常に重要な課題といえるでしょう。
今回は、建設分野で特定技能外国人を受け入れるにあたって知っておきたい、制度の概要や注意点について詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。
また、建設業界で外国人労働者を受け入れる際のポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。
▶︎ 建設業界の人手不足を解消!外国人労働者を受け入れる際のポイント
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Contents
特定技能「建設」とは?制度の概要と導入の背景
特定技能は、深刻な人手不足が続く分野において、一定の技能と日本語能力を有する外国人を受け入れるために創設された在留資格です。建設分野はその対象分野の一つとして位置づけられています。
建設業界では、高齢化の進行や若年層の入職減少により、技能者不足が年々深刻化しています。今後もインフラ整備や災害復旧などの需要が見込まれることから、外国人材の活用は重要な選択肢となっています。
技能実習制度が「人材育成」を目的とするのに対し、特定技能は人手不足への対応を目的とした就労制度である点が大きな違いです。
特定技能「建設」の業務区分と対象職種

建設分野の特定技能1号は、2022年の制度改正により業務区分が再編されました。従来は19の細かな業務区分に分かれていましたが、現在は以下の3区分に整理されています。
- 業務区分【土木】
- 業務区分【建築】
- 業務区分【ライフライン・設備】
この再編により、技能実習制度との不整合が解消され、現場実態に即した柔軟な業務配置が可能になりました。
参考:建設分野の特定技能に係る業務区分の再編について|国土交通省
業務区分【土木】で従事できる業務内容
【土木】区分では、指導者の指導・監督のもと、土木施設の新設・改築・維持・修繕に関する作業に従事します。
主な業務内容は以下のとおりです。
- 型枠施工
- コンクリート圧送
- トンネル推進工
- 建設機械施工
- 土工
- 鉄筋施工
- とび
- 海洋土木工 など
また、主たる業務に付随して、以下のような関連業務も認められています。
- 原材料・部品の調達や搬送
- 工具・機器の保守管理
- 足場の組立て・解体
- 清掃や後片付け作業 など
業務区分【建築】で従事できる業務内容
【建築】区分では、建築物の新築・増築・改築・修繕・模様替えなどに関する作業に従事します。
主な業務内容は以下のとおりです。
- 型枠施工
- 左官
- 屋根ふき
- 鉄筋施工・鉄筋継手
- 内装仕上げ・表装
- 建築大工
- 建築板金
- 吹付ウレタン断熱 など
関連業務の範囲は【土木】区分と同様で、準備作業や片付け、資材管理なども含まれます。
業務区分【ライフライン・設備】で従事できる業務内容
【ライフライン・設備】区分では、電気・ガス・水道・通信など、生活インフラに関わる設備の整備・設置・修理作業に従事します。
主な業務内容は以下のとおりです。
- 電気通信工事
- 配管工事
- 建築板金
- 保温・保冷工事 など
他の区分と同様、主たる業務に付随する準備作業や保守管理業務も認められています。
業務区分ごとの共通点と実務上の注意
特定技能「建設」では、あくまで主たる業務が区分内であることが前提です。関連業務のみを行わせることは認められていないため、業務内容の管理には注意が必要です。
特定技能1号「建設」を取得するためには

外国人が特定技能1号「建設」の在留資格を取得するには、次の2つの方法があります。
(1) 評価試験+日本語試験に合格する方法
技能実習経験がない外国人が特定技能1号「建設」を取得する場合、以下の試験に合格する必要があります。
- 特定技能1号評価試験(建設分野)
- 日本語能力試験(N4以上)または国際交流基金日本語基礎テスト
専門的な技能に加え、現場での基本的な日本語コミュニケーション能力が求められます。
(2) 技能実習2号から特定技能へ移行する方法
建設分野の技能実習2号を良好に修了した外国人は、評価試験・日本語試験が免除され、特定技能1号へ移行できます。
ただし、技能実習の職種と特定技能の業務区分が対応していることが条件です。対応しない区分への移行はできないため、事前確認が重要です。
特定技能「建設」で企業が満たすべき受入条件

建設業で特定技能外国人を受け入れる企業(特定技能所属機関(受入れ機関))は、次の条件を満たすことが定められています。
(1) 国土交通省から建設特定技能受入計画の認定をもらうこと
特定技能12業種の中で、建設分野だけは外国人採用の流れが他と異なります。受け入れ企業は、外国人に対する報酬額等を記載した「建設特定技能受入計画」を作成し、その内容が適当である旨の国土交通大臣の認定を受ける必要があるのです。
この受入計画には、特定技能外国人に従事させる業務内容や雇用条件、外国人の住居確保のための支援内容、外国人を支援する体制などを記載します。つまり、外国人の適正な雇用と生活を確保するために、国土交通省が受入企業をチェックするというわけですね。
(2) (一社)建設技能人材機構(JAC)へ加入すること
受入企業は、(一社)建設技能人材機構(JAC)に加入しなければなりません。JACは、建設分野における特定技能外国人の受入れを推進・支援する組織です。
JACへの加入には2通りの方法があります。受入企業がJACに直接加入する場合は賛助会員となり、年会費24万円の負担が発生します。一方、受入企業がJACの正会員である建設業者団体の会員である場合は、JACに間接的に加入しているとみなされ、年会費の負担はありません。ただし、所属する建設業者団体が定める会費負担等のルールは確認が必要です。
いずれにせよ、JACへの加入は受入企業の義務であり、外国人に負担させてはいけません。外国人の支援体制を整えるうえでも、JACを活用することをおすすめします。
(3) 「建設業法第3条許可」を受けていること
特定技能外国人を受け入れるには、受入企業が建設業の許可を受けていることが条件です。「建設特定技能受入計画」には、建設業許可番号を記載するとともに、建設業許可証の写しを添付しなければなりません。
無許可業者による違法な外国人労働者の雇用を防ぐための措置といえるでしょう。建設業の許可を取得し、適正な事業運営を行っている企業であることが求められます。
(4) 「建設キャリアアップシステム」へ登録すること
受入企業と特定技能外国人は、「建設キャリアアップシステム」に登録する必要があります。これは、技能者の資格や社会保険加入状況などを業界横断的に登録・蓄積する仕組みです。
「建設特定技能受入計画」には、受入企業の事業者IDと、外国人の技能者IDを記載します。外国人を雇用する際は、建設キャリアアップカードの写しの提出も必要です。
建設キャリアアップシステムへの登録により、外国人の資格や技能の見える化を図り、適正な雇用管理につなげることがねらいです。受入れ企業にとっても、外国人材の能力を把握し、効果的に配置するメリットがあるでしょう。
特定技能「建設」の採用で注意すべき禁止事項
建設分野では、有料職業紹介事業者を利用した採用は禁止されています。外国人・日本人を問わず、受入企業による直接雇用が原則です。
あくまでも受入企業が自ら外国人を直接雇用する必要があります。仲介業者を経由しての採用は違法となるので、注意しましょう。
「特定技能1号」外国人の受入れ人数制限について
特定技能1号外国人の受け入れには、一定の人数制限が設けられています。具体的には、特定技能1号外国人の数が、受入企業の常勤職員数(特定技能外国人と技能実習生は除く)を超えてはいけないのです。
例えば、常勤職員が10人の企業なら、受け入れられる特定技能1号外国人は最大10人ということですね。常勤職員を増やせば、それに応じて特定技能外国人も増やせます。
一方、特定技能2号外国人については、人数制限はありません。ただし、班長として部下を指導する立場にある以上、特定技能2号外国人ばかりを大量に採用するのは現実的ではないでしょう。
まとめ
特定技能「建設」は、制度改正により業務区分が整理され、企業にとって活用しやすい制度となりました。一方で、受入条件や禁止事項など、建設分野特有のルールも多く、正しい理解が欠かせません。
制度を適切に活用し、外国人材が安心して働ける環境を整えることが、建設業界の持続的な人材確保につながります。