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特定技能「建設」で採用するには?業務区分や職種、注意点を解説

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特定技能「建設」について

建設分野においては、深刻化する人手不足に対応するため、2019年4月に施行された「改正入管法」により創設された「特定技能」を活用して、「特定技能外国人」を労働者として受け入れることが可能となりました。

建設業界の人手不足は年々深刻化しており、2022年の建設技能者数は約305万人と推計されています。10年前の2012年と比べると約9.5%も減少しているのです。今後、インフラ整備や震災復興などで更に人手不足が見込まれることから、外国人材の活用は非常に重要な課題といえるでしょう。

今回は、建設分野で特定技能外国人を受け入れるにあたって知っておきたい、制度の概要や注意点について詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。

また、建設業界で外国人労働者を受け入れる際のポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。
▶︎ 建設業界の人手不足を解消!外国人労働者を受け入れる際のポイント

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特定技能「建設」の受入れ対象職種と業務内容

建設分野の特定技能1号は、以前は19業務区分に分かれていましたが、2022年に業務区分の再編が行われました。これにより、技能実習の対象職種と特定技能の対象職種の不整合が解消されたのです。

現在は、建設業に係る全ての作業を大きく3つの特定技能業務区分、業務区分【土木】、業務区分【建築】、業務区分【ライフライン・設備】に再編し、対象職種が定められています。それぞれの業務区分で従事できる主な工事業は以下の通りです。

参考:建設分野の特定技能に係る業務区分の再編について|国土交通省

業務区分【土木】の業務内容

指導者の指導・監督を受けながら、土木施設の新設、改築、維持、修繕に係る作業等に従事します。

主な業務内容は、型枠施工、コンクリート圧送、トンネル推進工、建設機械施工、土工、鉄筋施工、とび、海洋土木工などです。

想定される関連業務は以下になります。

① 原材料・部品の調達・搬送
② 機器・装置・工具等の保守管理
③ 足場の組立て、設備の掘り起こしその他の後工程の準備作業
④ 足場の解体、設備の埋め戻しその他の前工程の片付け作業
⑤ 清掃・保守管理作業
⑥ その他、主たる業務に付随して行う作業

業務区分【建築】の職種と業務内容

指導者の指導・監督を受けながら、建築物の新築、増築、改築、若しくは移転又修繕若しくは模様替えに係る作業等に従事します。

主な作業内容は、型枠施工、左官、コンクリート圧送、屋根ふき、土工、鉄筋施工、鉄筋継手、内装仕上げ、表装、とび、建築大工、建築板金、吹付ウレタン断熱などです。

想定される関連業務は以下になります。

① 原材料・部品の調達・搬送
② 機器・装置・工具等の保守管理
③ 足場の組立て、設備の掘り起こしその他の後工程の準備作業
④ 足場の解体、設備の埋め戻しその他の前工程の片付け作業
⑤ 清掃・保守管理作業
⑥ その他、主たる業務に付随して行う作業

業務区分【ライフライン・設備】の職種と業務内容

指導者の指示・監督を受けながら、電気通信、ガス、水道、電気その他のライフライン・設備の整備・設置、変更又は修理に係る作業等に従事します。

主な業務内容は、電気通信、配管、建築板金、保温保冷などです。

想定される関連業務は以下になります。

① 原材料・部品の調達・搬送
② 機器・装置・工具等の保守管理
③ 足場の組立て、設備の掘り起こしその他の後工程の準備作業
④ 足場の解体、設備の埋め戻しその他の前工程の片付け作業
⑤ 清掃・保守管理作業
⑥ その他、主たる業務に付随して行う作業

このように、特定技能「建設」の業務区分は大くくり化され、外国人材の活躍の場が広がりました。各区分で定義された業務に加え、関連業務も幅広く認められています。建設業の人手不足解消に向けて、外国人材の一層の活用が期待されるところです。

参考:【重要】建設分野の特定技能に係る業務区分の変更について|建設技能人材機構【JAC】

特定技能1号「建設」を取得するためには

外国人が特定技能1号「建設」の在留資格を取得するには、次の2つの方法があります。

(1) 特定技能評価試験と日本語試験に合格する

建設業の技能実習経験がない外国人が特定技能1号「建設」を取得するには、「特定技能1号評価試験(建設分野)」に合格する必要があります。この試験は、筆記試験と実技試験から成り、それぞれの業務区分・職種に関する知識と技能が問われます。

また、日本語能力についても一定の水準が求められます。「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験(N4以上)」のいずれかに合格しなければなりません。つまり、特定技能1号を取得するには、専門的な技能と日本語能力の両方が必要なのです。

(2) 建設業分野の技能実習2号を修了し移行する

建設業の技能実習2号を良好に修了した外国人は、特定技能評価試験と日本語試験が免除され、そのまま特定技能1号に移行することができます。技能実習で培った知識と経験が、特定技能でも活かせるわけですね。

ただし、技能実習の職種と特定技能の業務区分が一致している必要があります。例えば、技能実習で型枠施工を学んだ外国人は、特定技能の業務区分【土木】または【建築】に移行可能ですが、業務区分【ライフライン・設備】への移行はできません。職種と業務区分の対応関係に注意しましょう。

特定技能の1号と2号の違いや、技能実習制度との関係については、以下の記事で詳しく解説しています。
▶︎ 在留資格「特定技能1号・2号」とは?「技能実習」の違いや雇用側の条件

特定技能「建設」で受れ入企業が満たすべき条件|禁止事項や制限事項も解説

建設業で特定技能外国人を受け入れる企業(特定技能所属機関(受入れ機関))は、次の条件を満たすことが定められています。

(1) 国土交通省から建設特定技能受入計画の認定をもらうこと

特定技能12業種の中で、建設分野だけは外国人採用の流れが他と異なります。受け入れ企業は、外国人に対する報酬額等を記載した「建設特定技能受入計画」を作成し、その内容が適当である旨の国土交通大臣の認定を受ける必要があるのです。

この受入計画には、特定技能外国人に従事させる業務内容や雇用条件、外国人の住居確保のための支援内容、外国人を支援する体制などを記載します。つまり、外国人の適正な雇用と生活を確保するために、国土交通省が受入企業をチェックするというわけですね。

(2) (一社)建設技能人材機構(JAC)へ加入すること

受入企業は、(一社)建設技能人材機構(JAC)に加入しなければなりません。JACは、建設分野における特定技能外国人の受入れを推進・支援する組織です。

JACへの加入には2通りの方法があります。受入企業がJACに直接加入する場合は賛助会員となり、年会費24万円の負担が発生します。一方、受入企業がJACの正会員である建設業者団体の会員である場合は、JACに間接的に加入しているとみなされ、年会費の負担はありません。ただし、所属する建設業者団体が定める会費負担等のルールは確認が必要です。

いずれにせよ、JACへの加入は受入企業の義務であり、外国人に負担させてはいけません。外国人の支援体制を整えるうえでも、JACを活用することをおすすめします。

(3) 「建設業法第3条許可」を受けていること

特定技能外国人を受け入れるには、受入企業が建設業の許可を受けていることが条件です。「建設特定技能受入計画」には、建設業許可番号を記載するとともに、建設業許可証の写しを添付しなければなりません。

無許可業者による違法な外国人労働者の雇用を防ぐための措置といえるでしょう。建設業の許可を取得し、適正な事業運営を行っている企業であることが求められます。

(4) 「建設キャリアアップシステム」へ登録すること

受入企業と特定技能外国人は、「建設キャリアアップシステム」に登録する必要があります。これは、技能者の資格や社会保険加入状況などを業界横断的に登録・蓄積する仕組みです。

「建設特定技能受入計画」には、受入企業の事業者IDと、外国人の技能者IDを記載します。外国人を雇用する際は、建設キャリアアップカードの写しの提出も必要です。

建設キャリアアップシステムへの登録により、外国人の資格や技能の見える化を図り、適正な雇用管理につなげることがねらいです。受入れ企業にとっても、外国人材の能力を把握し、効果的に配置するメリットがあるでしょう。

参考:ホーム: 建設キャリアアップシステム

特定技能「建設」外国人の採用方法に関する禁止事項

建設分野の特定技能外国人を採用する際の禁止事項として、「有料職業紹介事業者」を利用しての採用が挙げられます。建設労働者については、外国人、日本人を問わず、有料職業紹介事業者からの採用が認められていないのです。

あくまでも受入企業が自ら外国人を直接雇用する必要があります。仲介業者を経由しての採用は違法となるので、注意しましょう。

「特定技能1号」外国人の受入れ人数制限について

特定技能1号外国人の受け入れには、一定の人数制限が設けられています。具体的には、特定技能1号外国人の数が、受入企業の常勤職員数(特定技能外国人と技能実習生は除く)を超えてはいけないのです。

例えば、常勤職員が10人の企業なら、受け入れられる特定技能1号外国人は最大10人ということですね。常勤職員を増やせば、それに応じて特定技能外国人も増やせます。

一方、特定技能2号外国人については、人数制限はありません。ただし、班長として部下を指導する立場にある以上、特定技能2号外国人ばかりを大量に採用するのは現実的ではないでしょう。

まとめ

建設分野の特定技能は、2022年の制度改正により、業務区分が「土木」「建築」「ライフライン・設備」の3区分に再編されました。これにより、建設業に係る幅広い作業が対象となり、外国人材の活躍の場が広がっています。

特定技能の対象となる外国人は、技能と日本語の両面で一定の能力が求められます。受入れ企業には、国土交通省の認定を受けた受入計画の作成、JACへの加入、建設業許可の取得、建設キャリアアップシステムへの登録などの条件が課されています。

外国人材の適正な雇用と育成は、建設業の人手不足対策だけでなく、業界の持続的発展に不可欠です。制度を理解し、外国人の力を引き出す体制整備が重要といえるでしょう。

また、特定技能で外国人材を受け入れる際の具体的な方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
▶︎【特定技能】外国人労働者の受け入れ可能な分野・業種と受け入れ方

受入れ企業の準備すべき事項や、外国人材に求められる要件など、実務に即した情報が満載です。

さらに、特定技能外国人の採用には、いくつかの手続きが必要です。
▶︎ 外国人労働者の募集~採用に必要な準備と手続きを詳しく解説

この記事では、在留資格の確認方法や、雇用契約の締結、社会保険への加入など、外国人の雇用に特有の実務について詳しく解説しています。

特定技能での外国人材の活用・採用を検討している企業の担当者は、ぜひ参考にしてみてください。

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