特定技能「産業機械製造業」とは?試験・雇用条件・業務内容を企業向けに解説
製造業では、人材不足への対応として外国人材の採用を検討する企業が増えています。なかでも「特定技能」は、一定の技能を持つ外国人を即戦力として雇用できる制度として注目されています。
ただし、特定技能のなかでも「産業機械製造業分野」は対象業務や受け入れ条件が細かく定められており、制度の内容を十分に理解しておくことが重要です。
この記事では、特定技能「産業機械製造業」の制度概要や従事できる業務、外国人を雇用するための条件、必要な試験などを企業向けに整理して解説します。
Contents
特定技能「産業機械製造業」とは
特定技能「産業機械製造業」は、製造業における人手不足に対応するために設けられた在留資格の対象分野の一つです。まずは制度の基本的な位置づけを整理します。
特定技能制度の概要
特定技能は、2019年4月の入管法改正により創設された在留資格です。深刻な人手不足が続く産業分野において、一定の技能や日本語能力を持つ外国人が日本で働くことを認める制度として導入されました。
特定技能には以下の2種類があります。
- 特定技能1号:一定の技能を持つ外国人が就労できる在留資格
- 特定技能2号:より高度な技能を持つ外国人が対象で、在留期間の更新や家族帯同が可能
製造業では主に「特定技能1号」で外国人を採用するケースが多くなっています。
製造業の3分野との違い
特定技能の製造業分野は、以下の3つに区分されています。
- 素形材産業分野
- 産業機械製造業分野
- 電気・電子情報関連産業分野
このうち産業機械製造業分野は、機械部品や装置などの製造工程に関わる作業を対象とした分野です。機械加工や溶接、塗装など、工場の生産工程を担う業務が含まれます。
特定技能「産業機械製造業」で従事できる業務
特定技能外国人が従事できる業務は、評価試験の区分に対応して定められています。ここでは、主たる業務と関連業務について整理します。
主たる業務(評価試験区分)
特定技能1号の外国人は、次のような製造工程に関する業務に従事できます。
- 鋳造
- 鍛造
- ダイカスト
- 機械加工
- 金属プレス加工
- 鉄工
- 工場板金
- めっき
- 仕上げ
- 機械検査
- 機械保全
- 電子機器組立て
- 電気機器組立て
- プリント配線板製造
- プラスチック成形
- 塗装
- 溶接
- 工業包装
これらの業務は、指導者の指示を理解して作業できる、または一定の判断を伴って作業できる技能レベルが求められます。また、対象となる業務は日本標準産業分類に基づく製造業の事業所で行われる必要があります。
関連業務
主たる業務に付随する作業として、次のような関連業務に従事することも認められています。
- 原材料や部品の搬送作業
- 各工程の前後作業
- フォークリフトやクレーンの運転作業
- 清掃や設備保守
ただし、これらの作業のみを主な業務として従事させることは認められていません。あくまで主たる業務に付随する範囲で行う必要があります。
特定技能「産業機械製造業」で外国人を雇用する企業の条件
企業が特定技能外国人を受け入れるためには、いくつかの要件を満たす必要があります。主な条件を確認しておきましょう。
対象となる業種(日本標準産業分類)
受け入れ企業は、日本標準産業分類において次のような製造業に該当している必要があります。
- 機械刃物製造業
- ボルト・ナット・リベット製造業
- はん用機械器具製造業
- 生産用機械器具製造業
- 業務用機械器具製造業
- 事務用機械器具製造業
- サービス用・娯楽用機械器具製造業
- 計量器・測定器・分析機器製造業
- 光学機械器具・レンズ製造業
これらの業種に該当する企業のみ、産業機械製造業分野として特定技能外国人を受け入れることができます。
直近1年間の売上要件
外国人が勤務する事業所では、直近1年間に売上または製造品出荷額が発生していることが必要です。
ここでいう売上には、加工賃収入やくず廃物の出荷額、その他収入なども含まれます。
協議・連絡会への加入
製造分野で特定技能外国人を受け入れる企業は、経済産業省が設置する
製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会
の構成員となり、制度運用に関する情報共有や必要な協力を行うことが求められます。
特定技能「産業機械製造業」で働く外国人の条件
特定技能として働く外国人にも、技能や日本語能力に関する一定の基準が設けられています。
技能試験(製造分野特定技能1号評価試験)
産業機械製造業分野で働くためには、製造分野特定技能1号評価試験に合格する必要があります。
この試験は、製造工程に関する基本的な技能や知識を確認するためのもので、素形材産業・産業機械製造業・電気電子情報関連産業の3分野で共通の試験体系が採用されています。
日本語試験
外国人は、日本語能力についても一定の水準を満たす必要があります。具体的には、次のいずれかの試験に合格していることが条件です。
- 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)
- 日本語能力試験(JLPT)N4以上
技能実習からの移行
同じ分野の技能実習2号を良好に修了した外国人は、試験を受けることなく特定技能へ移行することができます。
そのため、技能実習生を受け入れている企業では、実習修了後に特定技能へ移行するケースも多く見られます。
特定技能「産業機械製造業」の外国人を採用する方法
企業が特定技能外国人を採用する方法は、主に次の3つがあります。
技能実習からの移行
技能実習2号を修了した外国人が、同一分野の特定技能へ移行する方法です。すでに日本で働いた経験があるため、比較的スムーズに雇用できるケースが多くなっています。
海外試験合格者の採用
海外で実施されている特定技能評価試験に合格した外国人を採用する方法です。現地の送り出し機関や人材会社を通じて採用するケースが一般的です。
国内留学生の採用
日本の専門学校や大学を卒業した留学生が、特定技能の試験に合格して就職するケースもあります。すでに日本語や日本の生活環境に慣れている人材を採用できる点が特徴です。
特定技能「産業機械製造業」で雇用する際の注意点
特定技能制度では、雇用形態や業務内容についても細かいルールが定められています。制度違反にならないよう、事前に確認しておくことが重要です。
派遣雇用は禁止
特定技能1号の外国人は、企業による直接雇用のみ認められています。労働者派遣の形で就労させることはできません。
もし派遣雇用を行った場合、虚偽申請などの不正行為とみなされ、最長5年間特定技能外国人を受け入れられなくなる可能性があります。
業務内容のミスマッチ
特定技能では、評価試験区分に対応した業務に従事させる必要があります。認められていない業務を主として担当させると、制度違反となる可能性があります。
支援体制の整備
特定技能1号の外国人を受け入れる企業は、生活支援や相談体制の整備など、外国人が安心して働ける環境づくりを行う必要があります。自社で支援を行うか、登録支援機関に委託する形で対応します。
まとめ
特定技能「産業機械製造業」は、製造業の人材不足に対応するために設けられた制度で、機械加工や溶接などの製造工程に関わる業務に外国人材を受け入れることができます。企業が外国人を雇用するためには、対象業種に該当していることや協議会への加入などの条件を満たす必要があります。
また、外国人側にも技能試験や日本語試験の合格といった要件があり、技能実習から特定技能へ移行するケースも多く見られます。制度の仕組みや採用方法を理解したうえで、自社に合った形で外国人材の活用を検討することが大切です。
参考:工業製品製造業分野 | 出入国在留管理庁