外国人従業員の所得税はどうなる?区分・計算・免除までやさしく解説

外国人従業員を採用する際、所得税の扱いに戸惑う企業担当者も多いのではないでしょうか。
この記事では、居住区分ごとの課税ルールや免除制度、控除の取り扱いなど、外国人の所得税に関する基本と実務対応をわかりやすく解説します!
Contents
外国人にも所得税はかかる?基本ルールをチェック!

外国人を採用する際、「所得税はどう対応すればいいのか?」と悩む担当者も多いでしょう。
日本では、外国人であっても国内で収入を得ていれば原則として所得税の対象です。
課税対象は給与や報酬、事業所得などで、在留資格や滞在期間によって取り扱いが異なります。
所得税は、国内で働いて得た収入に対して課される税金で、「累進課税制度」によって所得が高くなるほど税率も上がります。
▼所得税の税率一覧
課税所得(所得から各種控除を引いた額) | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円から1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円から3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円から6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円から8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円から17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円から39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
さらに、2013年以降は「復興特別所得税」が加算され、所得税額の2.1%が上乗せされる仕組みに。
たとえば、所得税が10万円かかる場合は、復興特別所得税2,100円が加わり、合計102,100円を納めることになります。
所得税に影響する「外国人の区分」と課税範囲の違いは?

外国人従業員の所得税を考えるうえで、まず理解しておきたいのが「居住区分」。
日本では、外国人の在留期間や生活実態に応じて課税範囲が異なります。
「居住者」「非永住者」「非居住者」の違いと判定基準
外国人は、日本の税法上「居住者」「非永住者」「非居住者」の3つに分類されます。
- 非居住者:
日本に住所がなく、1年以上居住していない人。
国内で得た所得のみに課税され、税率は一律20.42%。
- 非永住者:
日本に1年以上居住していても、過去10年のうち5年以下しか日本に住んでいない人。
国内所得と一部の国外所得に課税。
- 居住者(非永住者でない):
永住者や過去10年で5年超の居住歴がある人。
全世界の所得に課税。
課税範囲の比較と注意点
居住区分によって課税される所得の範囲は大きく異なります。
区分 | 課税対象となる所得 |
---|---|
非居住者 | 日本国内で得た所得のみ(例:給与・報酬) |
非永住者 | 日本国内の所得 + 一部国外所得(送金分など) |
居住者(非永住者でない) | 全世界の所得(国外の収入も対象) |
非居住者の場合、税額は給与や報酬に対して一律20.42%が源泉徴収されます。
実務では、在留資格の有無や滞在期間から判断する必要があるため、入社時に確認しておくことが大切です。
外国人従業員の所得税対応で企業が注意すべきポイント

外国人であれ、所得税の支払い方法は基本的に日本人と同じですが、「居住区分」によって対応が分かれる点には注意が必要です。
基本は日本人と同じ、でも「居住区分」で処理が変わる
外国人従業員の所得税は、日本人と同様に「源泉徴収」または「確定申告」で支払われます。
ただし、「居住者」か「非居住者」かによって、源泉徴収の税率や年末調整の要否が変わる点には注意が必要です。
- 居住者(非永住者含む):通常の源泉徴収+年末調整あり
- 非居住者:一律20.42%で源泉徴収、年末調整は不要
企業は入社時に「居住区分」を正しく確認する必要があります。
誤って年末調整してしまうと、後の修正や追徴のリスクもあるため注意しましょう。
退職・帰国時は「納税管理人」の届出が必要な場合も
もし外国人従業員が年の途中で退職・帰国する際は、以下の対応が必要になることがあります。
- 退職時に未納の住民税を一括徴収
- 年末調整を行えない場合は確定申告の案内
- 納税管理人の届出(本人に代わって税務対応を行う代理人)
納税管理人は、外国人本人または企業側から税務署に届出ることで指定可能です。
帰国後に確定申告が必要なケースなどに備えて、早めの準備が重要になるでしょう。
租税条約で所得税が免除されるケースも?

外国人の所得税には、一定の条件を満たすことで免除されるケースもあります。
これは「租税条約」に基づくもので、特定の国との間で税の二重課税を防ぐ目的で設けられています。
租税条約による免除制度とは?
日本は多くの国と租税条約を結んでおり、該当する国から来た外国人については、一定期間内の所得が非課税になる場合があります。
たとえば、教育機関での研修や短期滞在による業務報酬などが対象になることがあります。
この免除が適用されると、給与や報酬に対して源泉徴収を行う必要がなくなります。
免除を受けるための手続きと注意点
租税条約による免除を受けるには、「租税条約に関する届出書」などの必要書類を、原則として企業側(源泉徴収義務者)が税務署に提出する必要があります。
書類は、報酬の支払日までに提出しなければならず、遅れると免除が適用されず、通常どおり源泉徴収が行われてしまうため注意しましょう。
免除の対象となる外国人従業員からの申告や情報提供をもとに、企業側で対応できる体制を整えておくことが大切です。
外国人が使える控除制度は?

所得税には、納税者の事情に応じて税負担を軽減する「所得控除」の仕組みがあります。
外国人であっても条件を満たせば利用できるため、対象となる控除制度と必要書類を確認しておきましょう。
主な所得控除の種類
外国人従業員が利用できる主な控除には、次のようなものがあります。
控除の種類 | 内容・条件 | 控除額の目安 |
---|---|---|
基礎控除 | すべての納税者が対象 | 48万円 |
扶養控除 | 16歳以上の扶養家族がいる場合 | 最大63万円 |
配偶者控除 | 配偶者の所得に応じて適用される | 最大38万円 |
勤労学生控除 | 所得要件を満たす学生 | 最大27万円〜65万円 |
社会保険料控除 | 保険料を支払っている場合 | 実費全額 |
外国税額控除 | 海外で所得税を支払っている場合 | 海外税額に応じて |
いずれも居住者に限って適用されることが多いため、居住区分の確認が前提です。
必要書類と企業の対応ポイント
これらの控除を適用するには、本人からの申告書類(扶養控除等申告書・保険料控除申告書など)の提出が必要です。
企業側では、年末調整時に正確に回収・確認し、適切に処理する体制を整えておく必要があります。
まとめ
外国人の所得税対応は「区分の把握」と「手続きの徹底」がカギ。
まずは「居住者/非永住者/非居住者」の判定をしっかり行い、それに応じた源泉徴収や控除申告の対応が必要です。
また、租税条約による免除や所得控除など、制度を正しく理解し、必要な書類を確実にそろえることで、本人の負担を減らすだけでなく、企業としてのリスクも回避できます。
税務対応に不安がある場合は、専門家のサポートも積極的に活用しながら、正確な対応を心がけましょう。