人手不足を解消する外国人採用のメリットと注意点
日本は、少子高齢化に伴い将来の労働人口の減少が大きな課題となっています。この問題に対応するため、多くの企業が人手不足の解消策として外国人の雇用に注目しています。実際に、若い人材の確保が難しい業種では、すでに外国人労働者の採用を積極的に進めている企業も少なくありません。
この記事では、日本の労働人口減少の現状と人手不足に陥っている業界について詳しく解説し、人手不足の対策として外国人の採用が果たす役割と、その具体的なメリットをご紹介します。さらに、外国人の雇用を検討する際に押さえておくべき注意点についても触れていきます。外国人の採用を視野に入れている企業の方は、ぜひ参考にしてみてください。
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人出不足の原因は日本の労働人口の減少にあり
日本の労働人口の減少は年々深刻さを増しています。国立社会保障・人口問題研究所の将来人口予測によると、日本の総人口は2008年をピークに減少に転じており、2050年頃には1億人を下回ると推計されています。少子化の影響で、新たに労働市場に参入する若年層の数が大幅に減少しているのです。
2023年の出生数は770,759人と過去最少を更新しました。また、合計特殊出生率は1.26と過去最低水準を記録し、7年連続の減少となっています。人口を維持するのに必要とされる2.07には程遠く、少子化に歯止めがかからない状況が続いており、将来の労働力不足への懸念が一層高まっています。
こうした少子化の進行により、多くの企業が深刻な人手不足に直面しているのが現状です。生産年齢人口の減少は、日本経済の持続的成長を脅かす重大なリスク要因となっています。企業は人材確保のために、従来の枠組みにとらわれない柔軟な対応が求められているのです。
参考:日本の将来推計人口|国立社会保険・人口問題研究所、令和4年人口動態統計(2023年9月15日)|社会保険研究所
人手不足に陥っている業界の一覧
現在、人手不足が深刻化している主な業界は以下の5つです。
- 建設業
- 運輸業・郵便業
- IT業界
- 医療・福祉業界
- 宿泊業・飲食サービス業
建設業界では、2025年には約90万人の労働力が不足すると予測されています。また、医療・福祉分野で慢性的に人材が不足している介護業界では2025年には約38万人もの人材が足りなくなる見通しです。
建設業の就業者数は2023年で479万人ですが、そのうち外国人労働者は約14万人に上ります。建設現場の最前線を支える技能労働者の高齢化が進んでおり、若手人材の確保と育成が喫緊の課題となっています。外国人材の受け入れ拡大は、建設業の人手不足を解消する有力な手段の一つと言えるでしょう。
特に人手不足が深刻な介護業界と建設行界における、外国人労働者の採用の流れや受け入れる際のポイントは、それぞれ「人手不足の介護職に外国人を雇うには?在留資格「介護」と採用の流れ」と「建設業界の人手不足を解消!外国人労働者を受け入れる際のポイント」の記事で詳しく解説しています。外国人材の活用を検討する際は、ぜひ参考にしてみてください。
参考:厚生労働省:介護労働者の確保・定着等に関する研究 中間取りまとめ、建設業を巡る現状と課題|国土交通省
人手不足の対策の鍵は外国人採用!5つのメリット
日本の労働力人口の減少が避けられない以上、将来の人手不足への備えとして外国人の採用を検討することは非常に重要です。ここからは、外国人の雇用がもたらす5つのメリットについて詳しく見ていきましょう。
メリット1:日本の労働力を支えする
外国人の採用による最大のメリットは、不足する労働力を補填し、日本経済を下支えできることです。少子高齢化が進み生産年齢人口が減少を続ける中で、多くの企業が人材の確保に苦しんでいます。特に、若くて体力のある労働力を必要とする建設業や製造業などでは、外国人の採用が人手不足の解消に直結します。
企業の存続と成長を支える貴重な戦力として、外国人材に大きな期待が寄せられています。彼らの力を借りることで、日本企業は安定的に事業を継続し、ひいては日本経済の持続的発展に貢献することができるのです。
メリット2:企業の多様性とグローバル化を促進する
外国人の採用は、企業文化の多様性を高め、グローバル化を加速させる効果もあります。単一民族で構成される日本社会は、どうしても同質性を好む傾向が強く、海外から見ると閉鎖的に映ることがあります。しかし、外国人社員を迎え入れることで社内に新しい価値観や発想を取り入れられ、変化に対する組織の柔軟性が高まります。
また、外国人との協働を通じて日本人社員の異文化コミュニケーション能力も自然と養われます。グローバルに事業を展開する時代にあって、多様性を受け入れ、活かす組織づくりは企業の発展に欠かせません。外国人の採用は、その第一歩となるでしょう。
メリット3:即戦力となる人材を大量に確保できる
加えて、外国人の採用は短期間で大量の人材を確保できるメリットもあります。建設業や製造業など、突発的に大規模な人員を必要とする事態に直面した時、国内の人材だけでは需要を満たせないことがあります。
一方、就労を希望する外国人は少なくありません。彼らは来日前から一定の日本語学習を終えているケースも多く、即戦力として期待できます。人材を大量に採用できるため、繁忙期の業務などにも柔軟に対応可能です。
リット4:人件費の削減につながる
外国人労働者の採用は、人件費の削減にもつながります。日本人労働者と比べると、外国人労働者の賃金水準は概して低く抑えられる傾向にあります。特に、技能実習生の場合は、日本人の最低賃金を下回る水準で働いているケースも少なくありません。
もちろん、労働者の権利を守り、適正な待遇を提供することは企業の義務です。しかし、同じ仕事をこなせるのであれば、外国人を採用することで人件費を抑え、経営の効率化を図ることができるでしょう。ただし、単に安価な労働力としてではなく、彼らの能力を最大限に引き出し、戦力化することが重要だと言えます。
メリット5:外国人材の定着を通じた長期的な成長
外国人の採用は、一時的な人手不足の解消だけでなく、企業の長期的な成長にも寄与します。優秀な外国人材を確保し、定着させることができれば、企業の競争力は着実に高まっていくはずです。
ただし、外国人を受け入れる企業には、適切な労働環境の整備が求められることを忘れてはいけません。
外国人の採用に際しての注意点については、以下の記事でより詳しく解説しています。ぜひこちらもご一読ください。
外国人を採用する際の注意点3つ
外国人の採用にはメリットが多い一方で、受け入れる企業側には細心の注意が求められます。ここでは、外国人を雇用する際の3つの注意点を取り上げます。
注意点1:文化の違いへの理解と配慮
外国人を採用する際は、彼らの文化的背景を理解し、配慮することが大切です。例えば、日本人は几帳面で時間厳守を美徳としますが、世界には定刻通りのバスが走っていない国も少なくありません。
また、日本の社会が「和」を重んじるのに対し、外国人の中には上司に対しても自分の意見を率直に述べる習慣を持つ人がいます。お互いの文化の違いを事前に認識し、尊重し合う姿勢があれば、コミュニケーションはずっとスムーズになるはずです。
注意点2:社内のコミュニケーション環境の整備
外国人社員一人ひとりの日本語能力は千差万別です。彼らが日本語のスキルを伸ばせるよう、企業としてサポートを惜しまないことが重要です。
同時に、日本人社員の外国語能力の向上も欠かせません。社内に通訳を配置するなど、外国人社員とのコミュニケーションを円滑にする工夫も必要でしょう。互いの言葉の壁を越えて深く理解し合える環境づくりは、外国人の定着と活躍を促す鍵となります。
外国人の雇用に際しては、雇用保険の加入手続きにも注意が必要です。詳しくは以下の記事で解説していますので、参考にしてみてください。
外国人を採用する際の注意点1:文化の違いに注意する
外国人を採用する際は、日本との文化の違いがあることに注意しましょう。日本人は、時間に厳しく、電車やバスなども時間通り来ることが当たり前です。しかし、外国ではバスが定刻にくることがない国が多いです。日本では当たり前の文化が、外国にとっては珍しいことがあります。
また、外国人は和を大切にする日本人とは違い、自分の意見をはっきりと主張することがあります。上司でも自分の意見をしっかりと伝えることが普通であるために、日本の社会に違和感を覚える外国人が多いでしょう。日本人と外国人の双方が事前に文化の違いがあることを知っておくだけでも、仕事のコミュニケーションがスムーズになります。
外国人を採用する際の注意点2:コミュニケーション能力に配慮する
外国人は、日本語能力がそれぞれ異なるために、受け入れる企業は、外国人が日本語の能力を伸ばせるようなサポートをすることが重要です。
また、日本人社員にも英語の能力アップを進め外国人と意思疎通が取れるように努力することが求められます。双方が気持ちよくコミュニケーションができるようにしていくことが大切です。
互いの言葉の壁を越えて深く理解し合える環境づくりは、外国人の定着と活躍を促す鍵となります。
注意点3:キャリア形成の支援と公平な評価
外国人社員が長く働き続けるためには、キャリア形成の支援と公平な評価が不可欠です。日本企業特有の年功序列型の昇進・昇格制度には馴染めない外国人も少なくありません。能力や実績に基づいた評価制度を導入することで、彼らのモチベーションを高く維持することができるでしょう。
また、外国人社員のキャリアビジョンを理解し、その実現に向けた支援をすることも大切です。語学や資格取得支援など、成長の機会を提供することで、外国人社員の企業に対するロイヤルティを高められます。公平で働きがいのある職場環境があれば、優秀な外国人材の定着率は格段に上がるはずです。
まとめ
日本の労働力不足は今後ますます深刻化すると予想され、その解決策として外国人の採用に大きな期待が寄せられています。外国人材の活用は、日本経済の持続的発展を支え、企業の多様性とグローバル化を促進する効果があります。即戦力となる人材を短期間で大量に確保できるのも魅力です。
一方で、外国人の受け入れには文化の違いへの配慮や社内のコミュニケーション環境の整備など、企業側の細やかな対応が求められます。外国人を適切に支援し、彼らの力を存分に引き出せる職場づくりに取り組むことが何より大切だと言えるでしょう。
日本の労働力を将来にわたって維持・発展させるためには、外国人の採用は避けて通れません。本記事で解説したメリットと注意点を踏まえつつ、ぜひ前向きに外国人雇用を検討してみてください。
また、外国人の雇用を実際に進めるためには、採用担当者が雇用までの流れと必要な手続きを詳しく理解しておく必要があります。以下の記事では、外国人労働者の募集・採用に必要な準備と手続き、そして外国人を雇用するまでの流れを詳しく解説しています。外国人の雇用を検討する際は、ぜひ参考にしてみてください。
・外国人労働者の採用時に必要な準備
・採用担当者必見!外国人を雇用するまでの流れと手続きを解説