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不法就労とは?3つの主なケースと雇用主の義務を確認しよう

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不法就労を隠している外国人男性

外国人採用に関わる人にとって「不法就労」は特に気をつけるべきものです。日本における在留外国人の数は年々増加の一途を辿り、2023年には過去最高の341万992人に達しています。人手不足に苦しむ日本では、外国人採用を積極的に進めようとする企業が増えてきました。しかし、外国人労働者の増加に伴い、不法就労で検挙される外国人も少なくないのです。

そこで今回は、不法就労の概要と、事業主が知っておくべき関連法規について詳しく解説していきます。外国人の適正な雇用管理は、企業にとって欠かせない重要な責務です。この記事を通じて、不法就労に関する理解を深め、外国人材の適切な活用につなげていただければ幸いです。

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不法就労とは?

日本で外国人が就労するには、在留資格で認められている活動でなければなりません。不法就労とは、違法に働いている状態を指します。不法就労に当てはまるものとして、主に次の3つがあります。

  1. 不法入国者や不法滞在者による就労
    ・日本に不法入国または不法残留している外国人が違法に就労すること
  1. 出入国在留管理庁から就労許可を得ていない
    ・留学生や難民認定申請中の外国人が無許可で就労すること
    ・短期滞在目的(観光等)にも関わらず就労すること
  1. 在留資格で認められていない活動を通じて収入を得ること
    ・在留資格で認められていない業種や職種で就労すること
    ・留学生として許可されている労働時間以上に就労すること

不法就労の現状

外国人の流入が増えるにつれ不法就労も増加したたため、国は取り締まりを強化してきました。しかし、在留資格の不正取得や文書の偽造といった、悪質かつ巧妙な手口が後を絶ちません。

2022年に法務省が公表した統計データでの不法残留者数は5万8241人でした。また、不法就労により退去強制手続きを執った外国人は1万300にも上り、のうち不法就労の事実が認められた者は6,355人でした。国策で進めている外国人の受け入れ拡大は、こうした負の側面をもたらしたのも事実です。

不法就労と認められた外国人の多くが近隣のアジア諸国出身者です。国籍・地域別で最も多いのがベトナム(2,522人)で、次いで中国(13,360人)、タイ(751人)と続きます。不法就労外国人の総数は、直近3年だけを見ても年々増えているのが実情です。

不法就労者の就労内容として1番多かったのは農業従事者で、次いで建設作業者でした。これらの職種は人手不足が深刻な業界であり、不法就労者が安価な労働力として利用されている側面があります。

また、不法就労者が働いていた場所のTOP3は茨城県、千葉県、愛知県でした。これらの地域は農業や製造業が盛んであり、外国人労働者の需要が高いことが背景にあると考えられます。

不法就労は日本の法律に違反する行為ですが、一方で外国人労働者の受け入れ体制の整備が十分でないことも問題視されています。外国人労働者の適切な雇用と管理を促進するための施策が求められる状況といえるでしょう。

参考:本邦における不法残留者数について(令和4年7月1日現在) | 出入国在留管理庁令和4年における入管法違反事件について

不法就労は雇用主に対しての罰則もある

不法就労した外国人は、原則として本国に強制送還されます。強制送還された外国人は、日本への入国が5〜10年間認められません。しかし、不法就労は当該外国人だけの問題ではなく、雇用する側にも罰則が課されます。たとえ知らなかったとしても、在留資格の確認等を怠れば「不法就労助長罪」に問われるので注意が必要です。

不法就労助長罪とは?

不法就労助長罪(入管法第73条の2)とは、働くことが認められていない外国人を雇用した事業主や、不法就労を斡旋した者に対する罰則です。具体的には、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、又はその併科が課されます。

ここで注意すべきなのは、外国人の雇用時に、当該外国人が不法就労者であることを知らなくても、在留カードの確認をしていない等の過失がある場合は処罰の対象となるということです。また、その行為者を罰するだけではなく、その法人や雇用主等に対しても罰金刑が科せられます。

不法就労助長罪(入管法第73条の2)
働くことが認められていない外国人を雇用した事業主や、不法就労を斡旋した者
罰則
3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はその併科
外国人の雇用時に、当該外国人が不法就労者であることを知らなくても、在留カードの確認をしていない等の過失がある場合は処罰の対象となります。又、その行為者を罰するだけではなく、その法人、雇用主等に対しても罰金刑が科せられます。
出典:外国人の適正雇用について|警視庁

不法就労の罰則や不法就労助長罪について、さらに詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
不法就労の罰則を学ぼう!知らないと怖い不法就労助長罪
外国人技能実習生が失踪?不法就労助長罪にならないためには?

不法就労を防ぐには在留カードをチェック

外国人を雇用する際は必ず在留カードの確認を行い、不法就労を未然に防ぐ必要があります。不法就労問題は警察庁・出入国在留管理庁・厚生労働省も特に力を入れて取り組んでおり、外国人を雇用する事業主にも罰則が設けられているため、外国人を採用する際は入管法で定められた事業主としての義務を果たしましょう。

入管法に定められた雇用主の義務

入管法では、外国人を雇用する事業主に対して以下のような義務が定められています。

雇用前の身分確認
一般業務出入国管理及び難民認定法 第73条の2
外国人を雇用する際は、在留カード、旅券(パスポート)の提示を求め、在留資格・期間、在留期限、資格外活動許可の有無等を確認する等して、雇用することができる外国人であるかを確認してください。
罰則3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はその併科

風俗営業・風俗営業の規則及び業務の適正化等に関する法律 第36条の2
接待飲食等の営業を営む風俗営業者等は、その業務に関し、客に接する業務に従事させようとする者の生年月日、国籍及び、日本国籍を有しない者については、在留資格、在留期間、資格外活動許可の有無等を確認し、確認の記録を作成・保存しなければなりません。
罰則100万円以下の罰金
外国人雇用状況の届出
労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律 第28条
全ての事業主は、外国人労働者(在留資格「外交」及び「公用」並びに「特別永住者」を除く。)の雇用又は離職の際に、その外国人の氏名、在留資格、在留期間等について厚生労働大臣(ハローワーク)への届出が義務付けられています。
罰則30万円以下の罰金
出典:外国人の適正雇用について|警視庁

外国人を雇用する際のこれらの義務を怠ると、不法就労助長罪に問われる可能性があるため、必ず遵守するようにしましょう。在留カードの確認は特に重要です。在留カードを見せてもらい、在留資格や在留期間を必ず確認し、不法就労を未然に防ぐ必要があります。

最後に

在留外国人の増加とともに不法就労する外国人も数を増やしています。国も取り締まりに力を入れていますが、文書偽造や在留資格の不正取得等、手口が巧妙化しているのが実情です。外国人による不法就労は、雇用主にとっても大きなリスクとなります。

不法就労助長罪で罰せられないためには、入管法で定められた義務を確実に果たすことが肝要です。特に、外国人を雇用する際の在留カードの確認は必ず行うようにしましょう。在留資格や在留期間をチェックし、不法就労の可能性がないかを見極めることが大切です。

また、外国人雇用状況の届出も忘れずに行ってください。雇用や離職の際は、外国人労働者の氏名、在留資格、在留期間等をハローワークに届け出る必要があります。

外国人材の活躍は、日本の労働力不足の解消や、経済活性化に資するものですが、一方で、不法就労の防止は避けては通れない課題です。外国人の雇用に際しては、入管法の理解を深め、適切な雇用管理を行っていきたいものですね。

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