日本語能力試験(JLPT)N1、N2、N3のレベルの違いは?内容や問題も紹介
日本語能力試験(JLPT)は、外国人採用を考える多くの企業が日本語レベルを判断するための重要な指標としています。この試験は、日本で働くことを希望する外国人にとって、自身の日本語能力を公式に証明する打ってつけの手段となっているため、毎年数多くの受験者が挑戦しています。
JLPTは、N1からN5までの5つのレベルに分けられ、それぞれのレベルは日本語の知識と理解度を測定しており、特にN1、N2、N3のレベルは、企業による外国人採用の際に最も注目されるレベルです。
この記事では、これらのレベルの違いから、試験内容や試験時間、そして具体的な問題例まで、詳しく解説していきます。
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Contents
世界最大規模の日本語試験「日本語能力試験(JLPT)」の試験内容と試験時間
日本語能力試験(JLPT=Japanese-Language Proficiency Test)は、年に2回(7月と12月)に実施され、世界最大の規模を誇る日本語試験として知られています。この試験は、日本語を母語としない人々の日本語能力を測定し、そのレベルを公式に認定する目的で1984年に開始されました。
試験内容は時間の経過と共に見直され、最新の試験形式は2010年から導入されています。試験はマークシート方式の解答で、言語知識(文字・語彙・文法)、読解、聴解の3つのセクションで構成されており、それぞれのレベルに応じて試験時間が設定されています。JLPTは、全世界で受験されており、日本語学習者にとっての大きな目標の一つです。
試験科目と試験時間
企業が抱える課題 | |
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人手不足を解消したいが、どうすればいいか分からない… | 国内の労働市場だけでは人手不足を解消できない場合、グローバル人材の採用が有効な解決策となり得ます。 |
ビザや就労許可の手続きが複雑すぎる... | 外国人を雇用する際には、ビザや就労許可などの法的手続きが必要であり、これらのプロセスは複雑で時間がかかります。 |
言語の壁により、外国人労働者とのコミュニケーションが難しい... | 多様な言語背景を持つ外国人労働者と上手くコミュニケーションを取るためには、言語の壁を乗り越える必要があります。 |
参考:日本語能力試験JLPT
さらに日本語能力試験(JLPT)N1の合格率を知りたい方は、下記の記事もチェックしてください!
▶︎ 日本語能力試験(JLPT)N1の合格率はどれくらい?
日本語能力試験(JLPT)N1、N2、N3レベルの違い
日本語能力試験(JLPT)は、N1からN5までの5つのレベルに分けられていますが、特にN1、N2、N3のレベルは、日本語を母国語としない人々にとっての日本語運用能力の高い段階を示します。
最上位のN1レベルでは、合格者は日本人と同等レベルの日本語でのコミュニケーションが可能と評価され、N2では日常生活やある程度の専門的な場面での日本語使用が可能であり、N3は基本的な日本語のコミュニケーションがスムーズに行えることを意味します。
日本語能力試験(JLPT)N1のレベル(通訳ができる)
幅広い場面で使われる日本語を理解できる。
読む
・新聞の論説や評論といった複雑または抽象的な文章を読み、構成や内容が理解できる。
・深い内容の文章を読み、細かな表現の意図することや話の流れが理解できる。
聞く
・様々な状況(会話、ニュース、講義など)で、自然な速さの会話から話の流れ、内容、登場人物や論理構成を詳細に理解できる。
日本語能力試験(JLPT)N2のレベル(日本語のディスカッションが可能)
日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解できる。
読む
・新聞や雑誌の記事・解説、平易な評論といった論旨が明快な文章を読んで理解できる。
・一般的な話題に関する読み物を読み、話の流れや表現意図が理解できる。
聞く
・様々な状況で、自然に近い速さの会話やニュースを聞き、話の流れ、内容、登場人物の関係を理解したり容姿を把握できる。
日本語能力試験(JLPT)N3のレベル(単独で作業可能)
日常的な場面で使われる日本語をある程度理解できる。
読む
・日常的な話題について具体的に書かれた内容を理解できる。
・新聞の見出しなどから情報の概要をつかめる。・日常的な場面で目にする難易度がやや高い文章は、言い換え表現が与えられれば要旨を理解できる。
聞く
・日常的な場面で、自然にやや近い速さの会話を聞き、話の具体的な内容を登場人物の関係などと合わせてほぼ理解できる。
参考:日本語能力試験JLPT
日本語能力試験(JLPT)N1、N2、N3の問題例
日本語能力試験(JLPT)は、応募者の日本語能力を評価するための重要な指標となります。そのため、企業がどのような問題が出題されるのかについて理解することは、求める能力レベルに適した人材を見極める上で非常に役立ちます。
聴解部分では、実際の会話や質問を理解し、適切な答えを選ぶ能力が問われますが、ここでは、日本語能力試験の公式ホームページに公開されている「言語知識(文字・語彙・文法)」セクションの問題例を見てみましょう。
日本語能力試験(JLPT)N1の問題例
Q. _____の言葉の読み方として最もよいものを、1・2・3・4から一つ選びなさい。
彼は今、新薬の研究開発に挑んでいる。
1 はげんで 2 のぞんで
3 からんで 4 いどんで
Q. ( )に入れるのに最もよいものを、1・2・3・4から一つ選びなさい。
私の主張は単なる( )ではなく、確たる証拠に基づいている。
1 模索 2 思索
3 推測 4 推移
日本語能力試験(JLPT)N2の問題例
Q. _____の言葉の読み方として最もよいものを、1・2・3・4から一つ選びなさい。
この黒い種からどんな花が咲くのだろうか。
1 だね 2 たね
3 じゅ 4 しゅ
Q. ( )に入れるのに最もよいものを、1・2・3・4から一つ選びなさい。
日本人の平均( )は、男性が79歳、女性が86歳である。
1 生命 2 寿命
3 人生 4 一生
日本語能力試験(JLPT)N3の問題例
Q. _____のことばの読み方として最もよいものを、1・2・3・4から一つ選びなさい。
山本さんはクラスの代表に選ばれた。
1 たいひょう 2 だいひょ
3 だいひょう 4 たいひょ
Q. ( )に入れるのに最もよいものを、1・2・3・4から一つ選びなさい。
( )寝たので、気持ちがいい。
1 すっかり 2 ぐっすり
3 はっきり 4 ぴったり
出典:日本語能力試験JLPT
日本語能力試験(JLPT)のレベルは差が出やすい
外国人の日本語レベルについては、日本語能力試験の結果を基準に判断する企業が多いですが、実際は同じレベルでも個人差が大きく現れます。なぜなら、日本語能力試験では会話のテストはなく、試験で点数が取れても会話があまりできない人が少なくないからです。
日本人がTOEICや英検で高い点数を取っても英会話が全くできない人が多いように、外国人がN3やN2を取得しているからといって、日本語での会話ができるとは限りません。特に日本での滞在経験がなく、試験のみを受けた外国人は会話が苦手な人が多いのが実情です。
外国人採用を行う場合は、日本語能力試験のレベルだけでなく、実際に会話を通じて日本語でのコミュニケーション能力を確認することをお勧めします。また、採用する際には必ず日本語能力試験の「成績証明書」を確認しましょう。人によっては受験していないにもかかわらず、自称でレベルを申告するケースがあるため注意が必要です。
まとめ
日本語能力試験のレベルは5つに分かれていますが、マニュアルに沿って単独で作業できるレベルがN3からとされています。N2であれば日本語でのディスカッションができ、最高レベルのN1は通訳も可能でしょう。
外国人採用ではN1を採用基準にしている企業が少なくありません。採用する側として、最高レベルを求めるのは理解できます。しかし、N2やN3レベルでも問題なく業務を遂行できるはずの仕事であっても、N1に固執しているケースが多々あります。外国人採用で重要なのは、従事してもらう職種において、日本語能力が必要なレベルを満たしているかどうかなのです。
最高レベルでなくても、業務遂行に問題がなければ積極的に採用を進めることが、外国人採用における成功の秘訣なのです。
他にも日本語能力試験(JLPT)に加え、日本での生活や仕事に必要な基本的な日本語能力を測る別のテストとして、JFT-Basic(国際交流基金テスト)があります。このテストは、日本での生活や基本的な業務遂行に必要な日本語スキルを有しているかを評価するもので、日本で働きたい外国人の方が自身の日本語でのコミュニケーション能力レベルをアピールするための有用な手段です。
JFT-Basicテストについての具体的な内容を知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。
▶︎ JFT-Basic(国際交流基金テスト)とは?内容を分かりやすく解説