在留資格「技能」で外国人を採用するには?技能実習との違い・企業の対応ポイントを解説

日本で特定技能として働く外国人労働者たち

外国人材の採用を検討する企業のなかには、「在留資格『技能』とはどのような人材を雇用できるのか」「技能実習との違いは何か」と疑問を持つ担当者も多いのではないでしょうか。

在留資格「技能」は、外国料理の調理師や建築職人、スポーツ指導者など、特定分野で熟練した技能を持つ外国人が日本で働くための在留資格です。技能実習や特定技能と名称が似ているため混同されやすいものの、制度の目的や対象となる人材は大きく異なります。

この記事では、在留資格「技能」の基本的な仕組みを整理したうえで、技能実習との違いや、企業が採用時に押さえておきたいポイントを解説します。外国人採用を進める際の参考として、ぜひご活用ください。

在留資格「技能」とは(企業が知っておきたい基本)

まずは、在留資格「技能」がどのような制度なのかを整理しておきましょう。

在留資格「技能」とは、日本の企業や団体との契約にもとづき、産業上の特殊な分野で熟練した技能を必要とする業務に従事する外国人のための在留資格です。

対象となるのは、長年の実務経験や専門技術を持つ人材です。単純作業ではなく、専門的な技能を活かした業務に従事することが前提とされています。

在留資格「技能」の対象となる主な職種

在留資格「技能」で認められている業務は、出入国在留管理庁によって定められています。主な職種は次のとおりです。

  • 外国料理の調理師
  • 外国特有の建築・土木技術を持つ技能者
  • 外国特有製品の製造・修理技術者
  • 宝石・貴金属・毛皮の加工職人
  • 動物の調教師
  • 海底掘削・海底鉱物探査の技術者
  • 航空機操縦士
  • スポーツ指導者
  • ワイン鑑定等(ソムリエ)

いずれも、専門性の高い技能が求められる職種であることが特徴です。

在留資格「技能」の取得要件

多くの職種では、10年以上の実務経験が求められます。

たとえば外国料理の調理師の場合、レストランなどでの調理経験のほか、料理分野を専攻した教育機関での学習期間も実務経験として含めることができます。

ただし、職種によって必要な経験年数は異なります。

  • 外国料理の調理師:10年以上
  • スポーツ指導者:3年以上
  • ソムリエ:5年以上

このように、技能レベルを客観的に証明できることが重要です。

日本人と同等以上の報酬が必要

外国人労働者を雇用する際は、日本人と同等以上の報酬を支払う必要があります。

これは外国人材の不当な低賃金雇用を防ぐための基準です。企業は給与水準や待遇条件を適切に設定することが求められます。

在留期間

在留資格「技能」の在留期間は次のいずれかです。

  • 5年
  • 3年
  • 1年
  • 3か月

在留期間は更新が可能で、条件を満たしていれば継続して日本で働くことができます。

参考:在留資格「技能」(基準1号~3号)|出入国在留管理庁

在留資格「技能」と技能実習の違い

外国人採用を検討する企業のなかには、「技能」と「技能実習」の違いが分かりにくいと感じるケースも少なくありません。両制度は制度の目的や人材の位置づけが大きく異なります。

制度の目的

両者の最も大きな違いは制度の目的です。

在留資格「技能」
→ 熟練した技能を持つ外国人が日本で働くための制度

技能実習
→ 日本の技術や技能を海外へ移転することを目的とした制度

つまり、「技能」は即戦力人材の雇用を目的とするのに対し、「技能実習」は人材育成・国際貢献が目的となっています。

人材のレベル

対象となる人材のレベルにも違いがあります。

在留資格「技能」
→ 高度な技能や長年の経験を持つ人材

技能実習
→ 技能を学ぶことを目的とする人材

そのため、「技能」の場合は経験豊富な専門人材を採用できる点が特徴です。

雇用の仕組み

雇用の仕組みも大きく異なります。

在留資格「技能」
→ 企業が直接雇用

技能実習
→ 監理団体や送出機関を通じて受け入れ

このように、採用方法や制度運用の仕組みも大きく違います。

在留資格「技能」で外国人を採用する企業の注意点

在留資格「技能」を活用して外国人材を採用する場合、企業側もいくつかのポイントを理解しておく必要があります。

業務内容が対象分野に該当するか確認する

在留資格「技能」は、従事できる業務が明確に定められています。

たとえば外国料理の調理師として在留資格を取得した場合、主な業務は調理である必要があります。接客業務が中心になる場合などは、資格内容と業務内容が一致しない可能性があります。

採用前には、業務内容が在留資格に適合しているか確認することが重要です。

実務経験を証明できる資料が必要

在留資格「技能」では、実務経験の証明が重要な審査ポイントになります。

例えば次のような書類が必要になります。

  • 職務経歴書
  • 勤務証明書
  • 教育機関の修了証明書

これらを事前に確認しておくことで、申請手続きが進めやすくなります。

企業による支援は必要?

在留資格「技能」は、特定技能のように企業の支援義務が制度として定められているわけではありません。

しかし、外国人材が日本で働きやすい環境を整えることは、企業にとっても重要なポイントです。

制度上の支援義務はない

特定技能の場合は、生活支援や日本語学習支援などの支援義務があります。

一方で、在留資格「技能」には法律上の支援義務はありません。企業が必ず支援を提供しなければならない制度ではないためです。

企業が行うとよいサポート

制度上の義務はありませんが、企業が次のようなサポートを行うことで、外国人材の定着につながるケースも多くあります。

例えば

  • 住居探しのサポート
  • 生活ルールの説明
  • 日本語学習の支援
  • 社内メンター制度

こうしたサポートがあることで、外国人材が安心して働ける環境づくりにつながります。

在留資格「技能」の外国人材を採用するメリット

在留資格「技能」で採用できる外国人材は、高度な専門技能を持っている点が特徴です。

そのため企業にとっても次のようなメリットがあります。

  • 高度な専門技能を活かした事業展開
  • 海外の技術や知見の導入
  • 国際的なサービス展開への対応

専門性の高い人材を採用することで、企業の競争力向上につながる可能性があります。

まとめ

在留資格「技能」は、熟練した技能を持つ外国人が日本で働くための在留資格です。外国料理の調理師やスポーツ指導者など、専門性の高い職種が対象となっています。

技能実習とは制度の目的が異なり、「技能」は即戦力となる専門人材を採用できる点が特徴です。

外国人採用を進める企業は、対象職種や取得要件を正しく理解し、適切な雇用環境を整えることが重要です。制度の特徴を押さえたうえで、外国人材の能力を活かした採用を検討してみてください。

外国人材を採用する際には、在留資格の確認だけでなく、ビザ申請や雇用後の手続きなど、いくつかの準備が必要になります。

外国人採用の具体的な流れについては、以下の記事も参考にしてみてください。
[外国人採用の手続き・流れを徹底解説!在留資格の確認から雇用後の対応まで]

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