2/12/2021最終更新

外国人採用に必要な「社会保険」の制度を詳しく解説!

2/12/2021最終更新

会社が日本人を採用した場合は、通常の勤務形態であれば誰でも「社会保険」に加入させなければければなりません。日本に住む外国人を採用する場合も同様です。外国人だからといって「社会保険」に入らないことは許されません。「社会保険」にはいくつかの種類がありますが、今回は「健康保険」と「厚生年金保険」の制度について解説します。

そもそも健康保険とは?

健康保険に加入すれば、外国人本人やその家族が病気や怪我をしたときに病院での治療費が補填されます。病気や怪我をしたときは傷病手当金、出産の際にも出産手当金が給付されます。つまり、日本人と同様、日本で安心して暮らせるために不可欠な保険です。

外国人が40歳以上(64歳以下)である場合は、同時に介護保険への加入も義務となります。

健康保険制度には種類がある

⑴ 協会けんぽ

最も加入者数が多い健康保険制度です。主な加入者は、中小企業の社員(および役員)とその家族となっています。保険料は、給料の9.58%~10.73%(令和2年現在)で、保険料の半分は会社が負担しますが、後述する厚生年金と合わせて給料から天引きされるのが一般的です。保険料については都道府県ごとに若干異なります。家族(※被扶養者)も保険でカバーされることがメリットです。

⑵ 健康保険組合

大企業や業界団体が連携して運営している健康保険制度です。主な加入者は、独自の健康保険組合をもつ会社の社員(および役員)とその家族となります。保険料は前述した協会けんぽより低いのが一般的ですが、組合によって変わるのが特徴です。保険料の半分は会社が負担します。1つの会社だけではなく、同業種の複数の会社が集まり資金を提供し合って健康保険組合を設立し、より充実した保険サービスを提供する場合もあります。ちなみに、公立学校の教職員や公務員は、共済組合という別の組合に加入します。被扶養者になるための条件は、⑴の協会けんぽと同じです。

被扶養者になるための条件

①保険料を支払う人に養われている配偶者、子、親、孫、兄弟姉妹、三親等内の親族(同居が必要)

②年収が130万円未満(65歳以上または障害者は180万円未満)、かつ、保険料を支払う人の2分の1未満の年収である 

③国内に居住していること(令和2年4月1日より被扶養者の認定基準に「国内に居住していること」が新たに追加されましたので、外国人採用の観点からは注意が必要です)

その他「国民健康保険組合」に加入する場合がありますが、業種が限られていますので今回は省略します。

次に、「厚生年金保険」について説明します。

「厚生年金」制度とは?

加入者は、会社で働いている社員および会社から報酬を受けとっている役員が対象です。「厚生年金」への加入基準は、以下のいずれかに該当する場合です。

① 1週間の所定労働時間及び1か月の所定労働日数が、同じ事業所で同様の業務に従事している正社員の4分の3以上

② 所定労働時間が正社員の4分の3未満であるが、以下の条件をすべて満たす者
*1週の所定労働時間が20時間以上、勤続期間が1年以上見込まれること
*月額賃金が8万8千円以上
*学生以外、従業員501人以上の企業に勤務していること

つまり、外国人採用の観点では、フルタイムで就労している外国人すべてが対象となります。

なお、「留学」「特定活動」(ワーキングホリデー)の在留資格を保有する外国人が①の条件を満たしている場合は加入することとなっていますが、「留学」の場合は就労時間が週28時間以内(資格外活動許可あり)と定められていますので、適用除外と考えていいでしょう。また、保険料は給料の18.3%(会社が半額負担)となっています。

最後に外国人が退社して自国に帰国した場合の制度(脱退一時金制度)について解説します。

「脱退一時金」とは?

「脱退一時金」とは、日本の会社に6か月間以上勤務し、払い込んだ厚生年金保険料に応じて一定額を払い戻す制度のことです。この制度を活用するには外国人本人が手続きを行う必要がありますが、外国人採用の観点からは、出国前の転出届や申請可能期間などを、事前に会社から情報提供しておいた方がよいでしょう。

「脱退一時金」を受け取るための条件は以下のとおりです。

①日本にすでに住んでいない(住所がない)

②日本を出国して2年以上(再入国許可を受けて出国する場合は転出届の提出した時)経過していない

③6か月以上日本で保険料を支払っていたこと(厚生年金保険の被保険者期間が6か月以上あること)

④障害年金などの年金を受け取ったことがなく、受ける権利もないこと

この制度は、日本に住んでいる間は利用できません。日本を出国して2年以内に手続きをすれば、日本で納めた年金保険料の一部が戻ってきます。なお、支給時には所得税を源泉徴収された金額が支払われます。

令和3年4月から、「脱退一時金」計算の上限年数が3年から5年に延長されます。

「社会保障協定」とは?

原則、外国人が5年以上滞在する場合には「保険料の二重負担」とならないように日本の法令のみを適用し、滞在が5年を超えない見込みのときは外国人の自国の法令のみを適用する協定のことです。内容については、相手国(外国人の自国)のよって取扱いが異なる部分がありますので、制度の内容や手続き等の詳細は、以下の日本年金機構のホームページを参照ください。

https://www.nenkin.go.jp

以上のように、外国人採用の観点からは、「社会保険」への加入が必須であり、法律で定められた保険料を支払うことが義務付けされています。一方、加入していれば日本人同様外国人も将来にわたり安心したサービスを受けることができることを、採用段階でしっかりと説明し納得してもらうことが大切です。