外国人のボランティアビザ「短期滞在ビザ」日本で受け入れるための制度・申請方法を解説

外国人をボランティアとして日本に受け入れたいと考えている企業や団体にとって、「ボランティアビザ」という言葉を聞いたことがある方も多いかもしれません。
しかし、日本には正式な「ボランティアビザ」という在留資格は存在せず、実際には「短期滞在ビザ」や「特定活動ビザ」を使って対応する形となります。
特に英国人を対象とした「特定活動(英国人ボランティア)」は、一定の条件を満たすことで無償の福祉活動などに従事できる制度として知られています。
本記事では、その制度の概要から申請手続き、受け入れ時の注意点まで、企業・団体向けにわかりやすく解説します。
Contents
日本で外国人ボランティアを受け入れるには?制度の基本を理解しよう

日本で外国人をボランティアとして受け入れる際は、「ボランティアビザ」と呼ばれる制度ではなく、実際には「短期滞在」や「特定活動」という在留資格が利用されます。
それぞれの違いや対象国、基本的な考え方を理解しておくことが重要です。
「ボランティアビザ」は日本に存在する?
日本には正式な「ボランティアビザ」という在留資格は存在しません。
ボランティア目的での来日には、「短期滞在」または特定の国に限られた「特定活動ビザ(英国人ボランティア)」での対応が行われています。
「短期滞在」と「特定活動ビザ」の違い
短期滞在ビザは最大90日間の活動に適しており、観光・文化交流などと合わせた形で利用されます。
一方、「特定活動(10号)」として認められた英国人ボランティアビザは、最大1年間の滞在が可能で、福祉分野などの無報酬活動に従事できます。
特定活動ビザ(英国人ボランティアビザ)の概要と対象者の条件

「英国人ボランティアビザ」は、福祉活動を目的として日本で活動したい英国籍の方を対象にした特定活動ビザです。
制度の目的や対象者の条件をしっかり確認しておきましょう。
特定活動ビザ(英国人ボランティア)とは
このビザは、英国籍の方が日本で1年以内に福祉・災害支援などのボランティア活動に従事するために発行される特定活動ビザです。
受入機関は、行政機関、赤十字、社会福祉法人、NPOなどが対象となります。
報酬は認められておらず、宿泊の提供や少額の手当といった実費支給の範囲に限られます。
対象となる外国人の条件
この制度は英国国籍を持つ方のみに限定されており、以下のような要件を満たす必要があります。
- 英国に居住する英国市民であること
- 特定の公的機関・非営利団体でのボランティア活動が予定されていること
- 給与の支払いを受けないこと(実費支給は可)
- 配偶者・子どもの帯同は原則不可
- 健康状態に問題がないこと
- 渡航・滞在・帰国に必要な資金を保有していること
- ビザ期間終了前に帰国する意思があること
特定活動ビザの申請要件と取得の流れ

申請には、一定の条件を満たすことに加えて、複数の書類をそろえる必要があります。
企業・団体としては、受け入れる側として準備すべき内容を理解しておきましょう。
申請に必要な条件と準備すべき書類
在外公館(英国にある日本大使館・領事館)での申請が必要です。必要な書類は以下のとおりです。
- 有効な英国パスポート
- ビザ申請フォーム
- 6ヶ月以内の顔写真
- 日本の受入機関からの確認書(活動内容を記載)
- 組織のパンフレットや概要資料
- ボランティア活動の内容を説明する文書
- 支給される手当の有無と内容
- 往復航空券の購入証明
- 英国での口座残高証明書
- 日本滞在中の活動スケジュール
在外公館での申請方法と審査期間の目安
書類は英国の日本大使館または領事館に提出します。
審査には1週間〜1ヶ月程度かかるとされており、提出書類の内容や不備の有無によっても異なります。
外国人が従事できるボランティア活動の例

ここでは、英国人ボランティアが実際に参加している団体や活動内容をご紹介します。
企業・団体が受け入れ先として検討する際の参考にもなります。
日本での代表的なボランティア団体と活動内容
以下の団体では、福祉・環境・災害支援など幅広い分野での活動が行われています。
- Aid for Japan(震災孤児支援)
- Volunteers for Peace(環境保護・復興支援など)
- World Unite(農業・チャイルドケア・文化交流)
- Hands on Tokyo(地域支援・福祉イベント)
企業・団体として外国人を受け入れる際の注意点

ビザの制度を理解するだけでなく、実際に受け入れる際の体制や注意点についても確認が必要です。
ビザの種類ごとの制限とトラブル回避
報酬の発生や長時間労働など、就労と誤解されるような活動は避ける必要があります。
実費支給の範囲を超えないよう、条件を明確にしておくことが重要です。
受け入れ体制と企業側の責任
招へい人や身元保証人としての責任、生活面のサポート、健康管理、活動中の安全確保など、受け入れ側にも求められる対応があります。
契約書や誓約書などを活用し、双方の認識を明確にしておくと安心です。
まとめ
- 日本には「ボランティアビザ」という正式名称のビザは存在せず、特定活動ビザや短期滞在ビザでの対応
- 英国人に限定された特定活動制度では、1年以内の無償活動が可能
- 書類の準備や受け入れ体制の整備が必要であり、企業・団体側にも一定の責任がある
受け入れにあたっては制度を正しく理解し、トラブルのない運用を目指しましょう。