外国人技能実習制度は廃止される?対象職種・受け入れの流れと今後を解説
外国人材の活用を検討する企業にとって、「技能実習制度は今後どうなるのか」「廃止されると聞いたが、今から受け入れても問題ないのか」といった疑問を持つ場面も多いのではないでしょうか。
外国人技能実習制度は、長年にわたり外国人受け入れの仕組みとして活用されてきましたが、現在は新制度への移行が決定しており、大きな転換期を迎えています。
本記事では、外国人技能実習制度の基本から対象職種、受け入れの流れ、そして廃止の背景と今後の方向性まで解説。外国人採用を検討する企業担当者の判断材料として、ぜひ参考にしてください。
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Contents
外国人技能実習制度とは?目的と仕組みをわかりやすく解説

外国人技能実習制度とは、日本の企業や団体が開発途上国などから外国人を受け入れ、実務を通じて技能や知識を習得してもらう制度です。習得した技術を母国へ持ち帰り、経済発展に役立ててもらう「国際貢献」を主な目的として創設されました。
実習はOJT(実務研修)を中心に行われ、段階的に技能を高めながら最長5年間の在留が認められています。
一方で、近年は少子高齢化による人手不足を背景に、企業の労働力確保を支える制度としての側面も強まっています。こうした目的と実態のギャップが議論されるなか、制度の見直しが進められてきました。
なお、技能実習制度は将来的に廃止され、新たに「育成就労制度」へ移行する予定です。制度の基本を理解すると同時に、今後の動向も押さえておきましょう。
外国人技能実習制度は廃止される?背景と新制度「育成就労制度」

現在の外国人技能実習制度は、2027年を目途に廃止され、新制度へ移行する方針が示されています。ここでは、廃止が検討された理由と新制度のポイントを整理します。
技能実習制度が廃止される理由
制度見直しの背景には、いくつかの課題があります。
代表的なのが、制度本来の目的である「人材育成」と、実態としての「労働力確保」との乖離です。企業側が人手不足の解消を目的に受け入れるケースが増え、制度の趣旨とのズレが指摘されてきました。
また、転籍(転職)が原則認められていないことから、労働環境に問題があっても職場を変えにくい点も課題とされ、国際的な批判を受ける要因となっています。
こうした状況を踏まえ、より実態に即した制度へ転換する必要性が高まりました。
新制度「育成就労制度」との違い
新たに創設される育成就労制度では、人材確保と育成の両立が明確な目的として位置づけられる見込みです。
主な方向性として、以下が挙げられます。
- 一定条件下での転籍を可能にする
- 特定技能への移行を前提としたキャリア形成
- 外国人材が働きやすい環境整備の強化
これにより、企業にとっても外国人本人にとっても、より持続的な雇用関係を築きやすくなることが期待されています。
今から受け入れても問題ない?
「制度が廃止されるなら、今から技能実習生を受け入れるべきか」と迷う企業もあるでしょう。
結論として、現行制度は移行まで継続されるため、直ちに利用できなくなるわけではありません。むしろ、外国人採用の経験を早期に積むことで、新制度への対応がしやすくなるというメリットもあります。
ただし、将来的な制度変更を前提に、中長期的な採用戦略を考えておくことが重要です。
外国人技能実習制度の対象職種は?

外国人技能実習制度では、多くの業界で外国人材の受け入れが認められています。ただし、すべての業務が対象となるわけではないため、自社の業務内容が該当するか事前に確認することが欠かせません。
2025年時点では、以下92職種169作業が対象とされています。
- 農業・林業関係(3職種7作業)
- 漁業関係(2職種10作業)
- 建設関係(22職種33作業)
- 食品製造関係(11職種18作業)
- 繊維・衣服関係(14職種23作業)
- 機械・金属関係(17職種34作業)
- その他(21職種38作業)
- 主務大臣が告示で定める職種及び作業(2職種4作業)
特に、慢性的な人手不足が続く建設業、農業、製造業、介護分野では、多くの企業が技能実習生を受け入れています。
なお、対象職種は制度改正に伴い見直される可能性があります。最新情報を確認しながら、自社に適した受け入れが可能か判断しましょう。
外国人技能実習制度の受け入れ方式は2種類

技能実習生の受け入れには、主に「団体監理型」と「企業単独型」の2つの方式があります。企業の体制や採用方針に応じて選択することが重要です。
団体監理型
団体監理型は、事業協同組合や商工会などの監理団体を通じて実習生を受け入れる方式です。全体の大半の企業がこの方式を採用しています。
監理団体が募集や入国手続き、日本語教育などを支援するため、初めて外国人採用に取り組む企業でも導入しやすい点が特徴です。特に中小企業にとっては、負担を抑えながら受け入れを進められる現実的な選択肢といえるでしょう。
企業単独型
企業単独型は、海外の現地法人や取引先などから直接人材を受け入れる方式です。
採用基準を自社で設定できる自由度の高さが魅力ですが、手続きや教育体制の整備など企業側の負担は大きくなります。海外拠点を持つ企業や、グローバル人材の育成を重視する企業に向いている方式です。
「団体監理型」での受け入れの流れ

ここでは、多くの企業が採用している団体監理型の一般的な流れを紹介します。
STEP1:監理団体へ申し込む
受け入れ成功の鍵は、自社に合った監理団体を選ぶことです。受け入れ人数や求める人物像を整理し、制度の詳細も確認しておきましょう。
STEP2:採用候補者の選定
送出機関が候補者を選抜し、書類選考や面接を経て採用者を決定します。近年はオンライン面接を活用する企業も増えています。
STEP3:入国手続きと講習
在留資格認定証明書の取得後、実習生が来日します。入国後は日本語や生活ルールを学ぶ講習が行われ、企業側も受け入れ準備を進めます。
STEP4:雇用契約・実習開始
雇用契約を締結し、技能実習がスタートします。実習は段階的に進み、試験に合格すればより高度な技能を習得するステージへ移行できます。
技能実習生を受け入れる企業側のメリット

技能実習生の受け入れは、人材確保の選択肢を広げるだけでなく、組織運営にもさまざまな好影響をもたらします。
安定的な人材確保につながる
若年層の人材を中長期的に雇用できるため、慢性的な採用難の解消に寄与します。
社内の業務標準化が進む
指導の過程で業務手順の整理やマニュアル化が進み、結果として生産性向上につながるケースもあります。
組織の活性化が期待できる
異なる文化や価値観を持つ人材との協働は、既存社員にとっても良い刺激となります。
受け入れ前に知っておきたい注意点

技能実習制度の活用を検討する際は、メリットだけでなく課題も理解しておくことが重要です。
教育・指導体制の整備が不可欠
技能実習は育成を前提とした制度であり、即戦力を期待しすぎるのは適切ではありません。
監理費などのコストが発生する
受け入れには各種費用が伴うため、事前にシミュレーションしておきましょう。
制度移行を見据えた採用戦略が必要
技能実習制度は廃止が予定されているため、特定技能や育成就労制度も含めた中長期的な視点が求められます。
まとめ
外国人技能実習制度は、多くの企業にとって外国人採用を始めるきっかけとなってきた制度です。一方で、制度廃止と新制度への移行が予定されている今、採用方針を改めて見直すタイミングともいえるでしょう。
重要なのは、特定の制度に依存するのではなく、自社の事業環境や人材戦略に合った方法を選択することです。育成就労制度や特定技能なども視野に入れながら、持続的な雇用体制の構築を目指しましょう。
外国人材の活用は、単なる人手不足対策にとどまりません。将来の組織力を高める取り組みとして、今から準備を進めてみてはいかがでしょうか。
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