増加する外国人労働者はどの業界で活躍している?人手不足解消につながる採用ポイントを解説
日本では少子高齢化や労働人口の減少により、人手不足が深刻化しています。
その解決策として「外国人採用」に注目する企業が増え、外国人労働者は今や230万人を超える重要な戦力に。
本記事では、外国人が活躍している主な業界や背景、在留資格との関係、採用・定着のポイントまでを解説します。
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Contents
- 1 外国人労働者が増える背景と、日本企業が直面する人手不足の現状
- 2 外国人労働者の活躍する主な業界は?
- 3 外国人採用に活用できる在留資格と業界ごとのマッチング
- 4 外国人採用を成功させるための企業側の準備と注意点
- 5 よくある質問
- 5.1 外国人採用を始めるには、まず何から取り組むべきですか?
- 5.2 採用した外国人が途中でビザ更新を忘れた場合、企業に責任はありますか?
- 5.3 外国人労働者の日本語レベルはどの程度を目安に採用すべきですか?
- 5.4 登録支援機関とは何ですか?企業が必ず利用しなければならないのでしょうか?
- 5.5 外国人採用で助成金や補助金を活用できますか?
- 5.6 採用後、外国人社員が職場に馴染めず早期退職してしまうのはなぜですか?
- 5.7 外国人社員のトラブルが起きたとき、どこに相談すればよいですか?
- 5.8 外国人採用を進める際、社内で準備しておくべき書類はありますか?
- 5.9 特定技能外国人の雇用で企業がよく犯すミスは?
- 5.10 地方企業が外国人を採用する場合、どんな点に注意すべきですか?
- 5.11 外国人採用を進めるうえで、企業の社会的信用に関わるポイントは?
- 5.12 外国人社員のキャリアアップや昇進はどう設計すべきですか?
- 5.13 外国人採用を長期的に成功させる企業の共通点は?
- 6 まとめ
外国人労働者が増える背景と、日本企業が直面する人手不足の現状

日本企業では、少子高齢化や労働人口の減少を背景に、人材不足が深刻化しています。
必要な人材を国内だけで確保することが難しくなり、外国人採用は今や欠かせない選択肢となっています。
実際、人手不足による倒産は2024年に342件と前年から約1.3倍に増加し、2年連続で過去最多を更新しました。
特に「2024年問題」の影響を受けた建設業(99件)や物流業(46件)が全体の約4割を占め、飲食業や美容業、派遣業など労働集約型の産業でも件数が増加しています。
背景には労働力の減少と高齢化があります。
1995年に約8,700万人だった生産年齢人口(15〜64歳)は2021年に7,450万人まで減少し、40年後には約4割減が見込まれています。
特に建設・物流業では60歳以上の就業者が2〜3割を占め、今後も人材確保は困難です。
こうした状況の中、外国人労働者の存在感は急速に高まっています。
2019年の「特定技能」在留資格創設を機に受け入れ対象が広がり、2024年10月末時点で外国人労働者は約230万人と過去最多を記録。
製造、建設、サービスなど人手不足が深刻な業界では、外国人材が事業継続を支える重要な戦力となっています。
参考:人手不足倒産の動向調査(2024 年)|帝国データバンク
外国人労働者の活躍する主な業界は?

外国人がどのような業界で活躍しているのかを知ることは、採用戦略を立てるうえで欠かせません。
この章では、外国人労働者が特に多く働いている主要業界と、その背景・特徴・採用のポイントを解説します。

製造業|マニュアル化・人材不足で最も多く外国人が活躍する業界
外国人労働者数:593,314人(2024年10月末時点)
日本国内で最も外国人労働者数が多いのが製造業です。
単純労働の多くがマニュアル化されており、言語の壁を越えて活躍しやすい環境が整っていることが背景にあります。
また、製造業は慢性的な人手不足に悩まされており、技能実習や特定技能を活用した外国人採用が積極的に行われています。
特に自動車部品、電子機器、食品加工といった分野では、現場の中核を担うケースも増えています。
サービス業・宿泊・飲食業|訪日需要や多言語対応で活躍の場が拡大
外国人労働者数:サービス業 354,418人 / 宿泊・飲食サービス業 273,333人(2024年10月末時点)
サービス業や宿泊・飲食業も、外国人労働者のニーズが高い業界です。
訪日観光客の増加に伴い、多言語での接客対応が求められるほか、外国人スタッフがいることで顧客満足度が向上するケースも多く見られます。
この分野では留学生のアルバイト雇用や「特定技能1号」の活用が進んでおり、特にホテル・旅館業、飲食店、販売職などで採用事例が増加中です。
人手不足が深刻な現場では、即戦力としての採用が事業成長の鍵となっています。
建設業|高齢化と若手不足で外国人採用が不可欠な業界
外国人労働者数:177,902人(2024年10月末時点)
建設業は、特に人手不足が深刻な分野のひとつです。
国内の技能労働者が高齢化し、若年層の就業希望者も減少しているため、外国人材への期待は年々高まっています。
「特定技能」や「技能実習」を通じて、現場作業から専門技術まで幅広い職種で採用が可能です。
今後は大型インフラ整備や都市再開発などの需要増加に伴い、外国人労働者の重要性はさらに高まると考えられます。
農業・漁業・食品製造業|季節労働や地方での人手確保に活躍
外国人労働者数:農業・林業 58,373人 / 漁業 6,434人(2024年10月末時点)
季節変動が大きく人手の確保が難しい農業・漁業・食品製造業でも、外国人労働者の活躍が進んでいます。
技能実習や特定技能を活用することで、安定した労働力を確保しやすくなり、生産性向上にもつながります。
特に地方では人材確保が難しい状況が続いており、外国人材の採用が事業継続の大きな支えとなっています。
介護・医療分野|今後需要が急増する重要業界
外国人労働者数:116,350人(2024年10月末時点)
超高齢社会が進む日本では、介護・医療分野でも外国人労働者の活躍が欠かせません。
すでに在留資格「介護」を活用した採用が広がっており、介護職員初任者研修などを修了した外国人が現場で即戦力として活躍しています。
今後は特定技能による採用枠も拡大が見込まれ、長期雇用やキャリア形成の観点からも外国人材への期待が高まっています。
外国人採用に活用できる在留資格と業界ごとのマッチング

外国人を採用する際には、「どの在留資格でどの職種が受け入れ可能か」を正しく理解しておくことが重要です。
この章では、代表的な在留資格と対象業界の関係、採用の流れについて解説します。
主な在留資格と対象業界の一覧
外国人採用を進める上で重要なのが「在留資格」と業界・職種のマッチングです。
主な在留資格と対象業種の関係は以下の通りです。
- 技能実習:製造業、農業、建設業、食品加工など
- 特定技能1号:介護、宿泊、飲食、外食、建設、農業、製造業など14分野
- 特定技能2号:建設、造船・舶用工業など専門性の高い分野
- 技術・人文知識・国際業務:IT、マーケティング、通訳、営業、設計などホワイトカラー職種
それぞれの制度には条件や要件があるため、採用前に必ず確認しておきましょう。
特定技能ビザの対象業界と採用の流れ
「特定技能」ビザは、2019年に新設された比較的新しい制度です。
14の指定分野で受け入れが可能で、特定技能1号では即戦力人材としての採用が期待できます。
採用の流れは、①求人・選考 → ②在留資格の確認・申請 → ③支援計画の策定 → ④入社・受け入れ準備 というステップです。
初めて採用する企業は、登録支援機関のサポートを活用するのも有効です。
例えば、GTNのような登録支援機関を利用すれば、人材紹介から在留資格手続き、生活支援まで一括でサポートを受けられるため、社内負担を大きく減らすことができます。
外国人採用を成功させるための企業側の準備と注意点

外国人採用を円滑に進めるためには、事前の準備と受け入れ体制の整備が欠かせません。
この章では、採用前に押さえるべきポイントから、定着支援・課題解決の方法までを解説します。
採用前に必ず確認すべきポイント
採用を進める前に、在留資格や就労可能な業務内容、賃金条件などをしっかり確認しておくことが大切です。
特に初めて外国人を採用する企業では、雇用契約書の記載内容や労働条件通知書の作成など、法令遵守の体制を整えることが重要です。
受け入れ後の体制整備と定着支援のコツ
採用して終わりではなく、「長く活躍してもらう」ための体制づくりも欠かせません。
社内のマニュアルや研修資料の多言語化、生活支援体制の整備、キャリアパスの設計など、外国人が働きやすい環境をつくることで、定着率が大きく向上します。
とはいえ、こうした体制整備を自社だけで進めるのは負担が大きいという企業も少なくありません。
そこで役立つのが、GTN Assistants のような登録支援サービスです。
入国手続きや在留資格の申請サポート、生活・住居面での支援、多言語による生活相談まで、採用後のフォローを一括で任せられるため、人事担当者の負担を大幅に軽減しつつ、外国人材の定着につなげることができます。
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よくある質問
外国人採用を始めるには、まず何から取り組むべきですか?
初めて外国人採用を行う場合は、在留資格の理解と採用方針の整理から始めるのが基本です。
どの業務で外国人を雇いたいのかを明確にし、その職種がどの在留資格で受け入れ可能かを確認します。
次に、労働条件・雇用契約書を整備し、入管手続きに詳しい専門家(行政書士や登録支援機関)への相談体制を整えるとスムーズです。
採用した外国人が途中でビザ更新を忘れた場合、企業に責任はありますか?
はい。在留期限切れ(オーバーステイ)を見逃すと、企業にも責任が及ぶ可能性があります。
雇用主には在留資格の確認義務があり、更新状況を把握していない場合、「不法就労助長罪」に問われることもあります。
更新日をシステムやカレンダーで管理し、期限3か月前から本人に通知する運用が推奨されます。
外国人労働者の日本語レベルはどの程度を目安に採用すべきですか?
職種によって異なりますが、現場作業中心ならN3〜N4程度、顧客対応職や事務職ではN2以上が目安です。
面接時には会話能力だけでなく、マニュアルや安全指示の理解力を確認することが重要です。
必要に応じて入社後に日本語教育を提供する企業も増えています。
登録支援機関とは何ですか?企業が必ず利用しなければならないのでしょうか?
登録支援機関とは、外国人の生活支援・在留手続・行政対応を代行する外部機関です。
特定技能人材を受け入れる企業は、原則として支援計画を実施する義務があり、自社で行えない場合は登録支援機関に委託する必要があります。
初めての受け入れ企業や、社内に外国人担当者がいない場合には特に有効です。
外国人採用で助成金や補助金を活用できますか?
はい。厚生労働省や自治体が実施する**「人材確保等支援助成金」や「多文化共生推進事業」**などを活用できる場合があります。
外国人向け研修や就労支援、職場環境整備に対して支給されるケースが多く、採用コストの一部を補助できます。
採用前に自治体の労働局や商工会議所へ確認すると良いでしょう。
採用後、外国人社員が職場に馴染めず早期退職してしまうのはなぜですか?
多くの場合、文化・言語・生活環境の違いによる孤立や不安が原因です。
業務マニュアルや掲示物の多言語化、相談窓口の設置、先輩社員のメンター制度などが有効です。
また「評価基準」や「キャリアパス」を明確にすることで、長期定着につながります。
外国人社員のトラブルが起きたとき、どこに相談すればよいですか?
労働条件・雇用契約に関する問題であれば労働基準監督署や外国人雇用サービスセンター、在留資格や生活面に関する問題であれば出入国在留管理庁の外国人在留総合インフォメーションセンターまたは**FRESC(外国人在留支援センター)**が相談窓口になります。
多言語対応が整っており、企業からの相談も受け付けています。
外国人採用を進める際、社内で準備しておくべき書類はありますか?
はい。雇用契約書(日本語・母国語併記)、労働条件通知書、在留カードの写し、労働保険・社会保険加入証明などが必要です。
また、就業規則や安全教育資料を外国語で整備しておくと、トラブル防止につながります。
特定技能外国人の雇用で企業がよく犯すミスは?
代表的なのは、①支援計画の内容が不十分、②在留カードの更新忘れ、③実際の業務内容が在留資格と一致していない、の3点です。
とくに③は資格外活動にあたる場合があり、入管からの指導対象となります。
職務内容の記録・管理を日常的に行いましょう。
地方企業が外国人を採用する場合、どんな点に注意すべきですか?
地方では住居・交通・生活支援の不足が離職の原因になりやすいため、住宅確保や移動手段の提供が重要です。
また、地域の多文化交流団体や自治体の支援制度を活用することで、受け入れ体制を整えやすくなります。
外国人採用を進めるうえで、企業の社会的信用に関わるポイントは?
外国人採用はコンプライアンスが最も重視されます。
不法就労を防止する体制、適正な労働条件、ハラスメント防止策を整えておくことが、入管審査や企業イメージ維持に直結します。
外国人雇用を公表している企業では、ESG(社会的責任)評価にもプラスになります。
外国人社員のキャリアアップや昇進はどう設計すべきですか?
学歴・職歴・スキルを考慮したジョブ型評価制度を導入し、日本人社員と公平に評価される仕組みを設けることが理想です。
特定技能2号や永住権の取得を支援することで、長期的な戦力化も見込めます。
外国人採用を長期的に成功させる企業の共通点は?
①経営層が外国人雇用を中長期戦略として位置づけている
②現場と人事が協働し、文化的ギャップを埋める教育を行っている
③支援機関や自治体と連携し、採用から定着まで一貫した体制を整えている
この3点を実践している企業は、離職率が低く、組織の国際化にも成功しています。
まとめ
本記事では、外国人労働者の活躍が進む主要業界と、採用を進める上で押さえておくべきポイントを解説しました。
外国人材は今後、日本企業にとって欠かせない存在となり、業界ごとの採用方法や在留資格制度を正しく理解することが、人材戦略のカギとなります。
自社に合った採用計画を立て、準備と体制を整えることで、外国人材の力を最大限に活かすことができます。
今こそ、自社の業界・事業に適した採用戦略を考えるタイミングです。