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在留資格「介護」とは|在留期間や取得法、他の在留資格との違いは?

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介護福祉士と老人

日本の高齢化率は年々上昇しており、2023年には過去最高の29.1%に達しています。これは、世界でも類を見ない速さで高齢化が進行している証拠です。それに伴い、介護の需要も急速に高まっていますが、介護人材の不足が深刻な問題となっています。

公益財団法人介護労働安定センターが実施した「介護労働実態調査」によると、2023年時点で介護人材の不足感を抱いている事業所は66.3%にのぼります。つまり、3つに2つの事業所が人手不足に頭を悩ませているのです。

外国人の雇用に不安を感じている事業所も多いようですが、実際に実際に雇用した事業所のポジティブな声を聞くと、前向きに検討したくなるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、外国人が介護の仕事に就くために必要な在留資格「介護」について、詳しく解説します。在留資格「介護」の概要や取得方法、取得後の仕事内容、他の在留資格との違いなど、気になるポイントを押さえつつ、外国人の雇用を検討している事業所にとって役立つ情報をお届けします。

参考:令和4年度「介護労働実態調査」結果の概要について

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在留資格「介護」(介護ビザ)とは?在留期間は最長〇年

在留資格「介護」は、通称「介護ビザ」とも呼ばれ、2017年9月に新設された比較的新しい在留資格です。この在留資格を取得すると、外国人は日本国内で介護福祉士として働くことができるようになります。

在留資格「介護」の最大の特徴は、在留期間の長さです。最長で5年間、日本に滞在して介護の仕事に従事することが可能です。また、一定の条件を満たせば、在留資格の更新も認められています。

介護福祉士の資格を取得した外国人が、長期間にわたって日本で働けるようにするための在留資格と言えるでしょう。深刻な人手不足に悩む介護施設にとって、心強い制度となっています。

ただし在留資格「介護」は、介護福祉士の国家資格を取得していることが条件です。資格を持っていない外国人は、この在留資格を申請することができません。

介護分野で外国人を受け入れる枠組みとしては、在留資格「介護」の他にも、EPA(経済連携協定)に基づく「特定活動」の在留資格があります。次の項目では、この2つの在留資格の違いについて解説します。

EPA(経済連携協定)特定活動ビザ「介護」について

EPA(経済連携協定)に基づく「特定活動」の在留資格は、在留資格「介護」ができる前から、外国人介護士の受け入れを可能にする制度でした。インドネシア、フィリピン、ベトナムから来日した外国人が、この在留資格を取得して介護の仕事に就いています。

ただしEPAの枠組みでは、在留資格「介護」と比べて以下の制限があります。

  • 対象の国籍はインドネシア・フィリピン・ベトナムの3カ国のみ
  • 業務に従事しながら介護福祉士の資格を取得する必要がある
  • 在留4年目に「介護福祉士」国家試験を受験するが、不合格だった場合帰国しなければならない
  • 資格取得後の在留期間が最長3年と、介護ビザと比較すると短い

来日後に介護福祉士の資格を取得する必要があるため、資格取得前は「特定活動」の在留資格で在留し、介護施設で就労・研修をしながら資格取得を目指します。そして、在留4年目に介護福祉士の国家試験を受験しますが、もし不合格になった場合は帰国しなくてはいけません。

さらに、介護福祉士の資格を取得した後の在留期間は、在留資格「介護」の5年に対し、最長3年と短くなっています。

これらの制限に対し、在留資格「介護」であれば、国籍を問わず介護福祉士の有資格者であれば取得が可能で、在留期間も長期です。EPA対象国以外の外国人も受け入れられるというメリットがあります。

在留資格「介護」の取得方法・要件

それでは、在留資格「介護」を取得するにはどのような方法があるのでしょうか。基本的な流れは以下のようになります。

  1. 外国人留学生として日本に入国(在留資格「留学」の取得)
  2. 日本国内の介護福祉士養成施設に入学
  3. 2年以上学び、介護福祉士の養成課程を修了
  4. 介護福祉士の国家試験を受験
  5. 合格して介護福祉士の登録を行う
  6. 在留資格を「留学」から「介護」に変更する申請を行う
  7. 在留資格「介護」を取得し、介護福祉士として就労開始

まず大前提として、日本の介護福祉士養成施設で学ぶ必要があります。日本の介護現場で働くためには、専門的な知識と技術の習得が不可欠だからです。

外国人が日本の養成施設に入学するためには、まず「留学」の在留資格を取得し、留学生として来日することになります。そして2年以上学んだ後、卒業前に介護福祉士の国家試験を受験し、合格すれば晴れて介護福祉士として登録されます。

その後、卒業と同時に在留資格「介護」への変更を申請します。在留資格の変更が認められれば、最長5年間、日本国内で介護の仕事に従事できるようになるのです。

介護の専門知識をしっかりと身につけてから現場に送り出す仕組みになっているため、外国人、日本人双方にとって安心できる制度設計だと言えます。

参考:在留資格「介護」の創設|厚生労働省

在留資格「介護」を取得した場合の主な業務内容

在留資格「介護」を取得した外国人は、どのような業務に従事できるのでしょうか。具体的には以下のような業務が想定されます。

  • 入浴、排せつ、食事等の身体介助
  • 調理、洗濯、掃除等の生活援助
  • 要介護者やその家族に対する介護指導
  • 介護用品の使い方の説明 など

介護福祉士は、介護を必要とする方の日常生活をトータルにサポートする専門職です。身体的な介助はもちろん、生活に関わるさまざまな支援を行います。

また、一定の実務経験を積んだ後は、他の介護職員の指導的立場としての役割も期待されます。

介護の仕事は体力的にもメンタル的にもハードな面がありますが、やりがいも非常に大きな仕事です。在留資格「介護」の取得を目指す外国人には、ぜひその魅力を感じ取ってほしいと思います。

参考:【2024年(令和6年)】介護福祉士とは?資格概要・取得メリット・取得方法も紹介|介護の資格 最短net

在留資格「介護」を持つ外国人が就職できる場

介護福祉士の資格を取得し、在留資格「介護」を持つ外国人は、どのような場で活躍できるのでしょうか。主なフィールドは以下の通りです。

  • 特別養護老人ホーム
  • 介護老人保健施設
  • 介護療養型医療施設
  • 有料老人ホーム
  • サービス付き高齢者向け住宅
  • グループホーム
  • デイサービスセンター
  • 訪問介護事業所 など

いわゆる「介護施設」と呼ばれる入居型の施設では、食事介助や入浴介助など、日常生活全般の支援を行います。デイサービスや訪問介護では、ご自宅で生活する高齢者の方の支援が中心となります。

在留資格「介護」を持つ外国人の方は、こうした介護サービスを提供する様々な場面で、介護福祉士としての専門性を発揮することができるのです。

近年は、介護の現場でも外国人スタッフが増え、言葉や文化の違いを乗り越えて活躍している姿が見られるようになってきました。

利用者の方とコミュニケーションを取りながら、笑顔で寄り添うことができれば、外国人だから、ということは全く問題にはならないでしょう。むしろ、他国の文化に触れることで、利用者の方の世界も広がっていくはずです。

技能実習・特定技能(介護)の所持でも介護業務に従事できる

実は在留資格「介護」以外でも、外国人が介護の仕事に就くことができる在留資格が存在します。それが「技能実習」と「特定技能1号(介護)」です。

技能実習生は、最長5年の在留期間中、介護施設などで雇用契約に基づいて働くことが可能です。送り出し国で介護の経験があることが条件で、実務を通じて専門的な技能を学びます。

一方、特定技能1号は、介護分野の人手不足に対応するために2019年に新設された在留資格です。介護の経験に加え、日本語能力試験N4以上の日本語力が求められます。特定技能でも最長5年の就労が認められています。

技能実習と特定技能は、日本の介護現場の即戦力となる人材の受け入れを目的とした制度と言えるでしょう。この在留資格を持つ外国人が、介護の最前線で活躍することが期待されています。

技能実習・特定技能1号(介護)から在留資格(介護)への変更も可能に

在留資格「介護」の創設により、技能実習や特定技能で来日した外国人が、介護福祉士の国家資格を取得すれば在留資格「介護」に変更できるようになりました。

技能実習の場合は、3年目に技能検定に合格した後、特定技能の場合は3年以上の実務経験を積んだ後に、介護福祉士の国家試験の受験資格が与えられます。

つまり、一旦技能実習や特定技能で入国した外国人が、その後のステップアップとして介護福祉士を目指すことができるようになったのです。

これにより、より長期的なキャリア形成の道筋ができ、外国人介護人材の定着化が期待できます。意欲ある外国人が、日本の介護の現場で長く活躍できる環境が整いつつあると言えるでしょう。

介護分野で外国人の採用を考えている事業者の方は、ぜひ技能実習生の受け入れについても検討されてみてはいかがでしょうか。以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしていただければと思います。
▶︎ 外国人技能実習生「介護」を受け入れるには?介護固有の要件も解説

在留資格「介護」を含め、介護分野における外国人の受け入れは、日本の介護の未来を支える重要な取り組みだと言えます。

参考:外国人介護人材の受入れについて|厚生労働省

まとめ

日本は現在、世界に類を見ないスピードで高齢化が進行しており、2025年には国民の3人に1人が65歳以上になると予測されています。それに伴い、介護の需要は今後ますます高まっていくことでしょう。

しかし一方で、深刻な人手不足により、多くの介護事業者が人材確保に頭を悩ませているのが実情です。この問題の解決策の一つとして、外国人介護人材の活用が大きな注目を集めています。

国も「持続的な経済成長の観点から緊急に対応が必要な分野」と位置づけ、在留資格「介護」や特定技能の創設など、外国人の受け入れ拡大に向けた施策を次々と打ち出しており、その中でも在留資格「介護」は、介護福祉士の国家資格を持つ外国人に特化した在留資格です。日本の介護現場で求められる高度な専門性を備えた人材の獲得を目指す制度だと言えるでしょう。

外国人の採用にはハードルを感じる事業者の方も多いかもしれませんが、適切な準備と支援体制を整えることができれば、言葉や文化の壁を越えて、充実した職場環境を作っていくことは十分に可能です。在留資格「介護」を持つ外国人が、日本の介護の現場の力となる日も、そう遠くないかもしれません。介護人材の確保という喫緊の課題に立ち向かうために、私たち一人一人が理解を深め、それぞれの立場から外国人受け入れを後押ししていくことが大切だと思います。

また、介護職に外国人の採用をお考えの方は、以下の記事も参考にしてみてください。
▶︎ 人手不足の介護職に外国人を雇うには?在留資格「介護」と採用の流れ

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