自動車整備士の外国人採用は可能?特定技能・技能実習の違いと採用の流れを解説

日本で働く自動車整備士の外国人女性

自動車整備士の人手不足が続くなか、外国人採用を検討する企業も増えてきました。ただ、「どの制度を使えばいいのか」「どこまでできるのか」と悩む担当者の方も多いのではないでしょうか。

自動車整備分野では、特定技能や技能実習といった制度を活用することで、外国人材の採用が可能です。本記事では、それぞれの制度の違いや採用の流れ、注意点までを詳しく解説します。

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自動車整備士の人手不足と外国人採用が注目される背景

自動車整備業界では、慢性的な人手不足が続いています。一般社団法人日本自動車整備振興会連合会(JASPA)が毎年実施している調査によると、2025年の整備士数は333,475人、整備要員数に対する整備士数の割合(整備士保有率)は82.9%。整備士保有率は、2008年の 87.2%をピークに漸減傾向で、必要人数に対して十分とはいえない状況です。

さらに、整備士の平均年齢は年々上昇しており、若手人材の確保も簡単ではありません。資格取得のハードルや若者の車離れなどもあり、担い手の確保が難しくなっています。実際、整備士の平均年齢は2025年で47.7歳となっており、今後はベテラン層の引退によって人手不足がさらに深刻化する可能性があります。

こうした背景から、即戦力や将来の担い手として、外国人材の活用に注目が集まっています。2016年11月には外国人技能実習制度に自動車整備事業が追加され、2019年4月には特定技能制度が始まり、外国人材の力を借りて、人手不足の解消を図ろうという狙いです。

自動車整備士で外国人採用は可能?対象となる在留資格

結論からいうと、自動車整備士として外国人を採用することは可能です。

主に活用されている在留資格は以下の2つです。

  • 特定技能(自動車整備分野)
  • 技能実習

この2つは似ているようで、制度の目的が大きく異なります。

特定技能は「人手不足の解消」を目的としており、一定の技能を持つ人材を即戦力として採用できます。一方、技能実習は「人材育成・技術移転」が目的であり、教育を前提とした制度です。

採用の目的によって、どちらを選ぶべきかが変わってきます。

特定技能(自動車整備分野)とは

特定技能は、人手不足が深刻な分野において、即戦力となる外国人材を受け入れるための制度です。自動車整備分野も対象となっています。

特定技能1号では、以下のような条件が定められています。

在留期間上限5年(1年・6ヵ月または4ヵ月ごとの更新)
技能水準技能試験で確認「自動車整備分野特定技能評価試験」(筆記+実技)
または、「自動車整備士技能検定試験3級」(筆記+実技)
日本語能力水準「国際交流基金日本語基礎テスト」
または、「日本語能力試験」(N4以上)
家族の帯同基本的に認めない
受け入れ機関・登録支援機関による支援対象

この制度の特徴は、採用時点で一定のスキルが担保されている点です。

従事できる業務は、以下のような実務に直結する内容になります。

  • 日常点検整備
  • 定期点検整備
  • 分解整備(エンジンやブレーキなどの主要部分)

そのため、教育コストを抑えながら現場での戦力として期待しやすい点が特徴です。

技能実習制度での受け入れ(自動車整備)

技能実習制度は、日本の技術を外国人に習得してもらい、母国へ持ち帰ってもらうことを目的とした制度です。

自動車整備も対象職種として認められており、実習生の受け入れが可能です。

技能実習制度には、次のような特徴があります。

  • 技術習得(教育)が前提
  • 管理団体を通じた受け入れが必要
  • 従事業務は必須業務に限定される

自動車整備分野では、技能実習1号のみが認められており、在留期間は最長1年です。この点は他業種と比較しても制約が大きいため、注意が必要です。

ただし、技能実習を経て特定技能へ移行するケースもあり、長期的な人材確保のステップとして活用されることもあります。

【比較】特定技能と技能実習の違いは?

両制度の違いを整理すると、次のようになります。

特定技能は人手不足を補うための制度であり、即戦力としての採用が前提です。一方で技能実習は、あくまで教育・育成が目的であり、業務内容や期間にも制限があります。

また、在留期間にも大きな違いがあります。特定技能は最大5年の就労が可能ですが、技能実習(自動車整備)は1年に限定されます。

企業側の負担という観点でも、技能実習は管理団体との連携や教育体制の整備が必要になるため、運用の手間がかかる傾向があります。

そのため、すぐに現場の人手を補いたい場合は特定技能、育成を前提とする場合は技能実習と考えると整理しやすいでしょう。

外国人自動車整備士を採用する流れ

外国人採用は、国内採用と比べて手続きが多くなるため、全体の流れを把握しておくことが重要です。ここでは、特定技能を中心に一般的な採用プロセスを紹介します。

① 採用計画の策定

まずは、自社の人員状況や業務内容を踏まえ、採用計画を立てます。

具体的には、「どの業務を任せるのか」「何名必要か」「いつまでに採用したいか」といった点を整理します。そのうえで、特定技能と技能実習のどちらを活用するかを判断します。

特に特定技能の場合は、即戦力としての配置が前提となるため、任せる業務内容を明確にしておくことが重要です。

② 人材募集

採用計画が決まったら、人材の募集を行います。

主な方法としては、以下のような手段があります。

・海外の送り出し機関を通じた採用
・国内の人材紹介会社の活用
・すでに日本に在留している外国人材の採用(留学生や技能実習修了者など)

特定技能の場合、技能実習からの移行人材を採用するケースも多く、一定の実務経験がある人材を確保しやすい点が特徴です。

③ 在留資格の申請

採用する人材が決まったら、在留資格の申請手続きを進めます。

具体的には、雇用契約書や支援計画書などの必要書類を準備し、出入国在留管理庁へ申請を行います。申請から許可が下りるまでには、一般的に1〜3か月程度かかるため、スケジュールには余裕を持たせることが大切です。

また、書類不備や要件の不一致があると不許可となる可能性もあるため、事前に要件をしっかり確認しておく必要があります。

④ 受け入れ準備

在留資格の許可が下りた後は、受け入れに向けた準備を進めます。

具体的には、以下のような対応が求められます。

  • 住居の確保やライフラインの契約サポート
  • 銀行口座開設や行政手続きの補助
  • 日本での生活ルールや職場ルールの説明
  • 業務内容や安全教育の事前共有

特定技能の場合は、生活支援の実施が義務付けられているため、支援体制をあらかじめ整えておくことが重要です。

⑤ 就労開始

受け入れ準備が整ったら、いよいよ現場での就労がスタートします。

最初の段階では、業務内容の説明や現場でのOJTを通じて、仕事の流れや安全管理について丁寧に伝えていくことが重要です。

特に自動車整備の現場では、専門用語や細かな作業指示が多いため、日本語面のフォローや指導体制の整備が定着率にも大きく影響します。

企業側に求められる受け入れ要件・義務

特定技能で外国人を受け入れる場合、企業にはいくつかの義務があります。主なものは、以下のとおりです。

  • 日本人と同等以上の待遇で雇用する
  • 生活・日本語学習の支援を行う
  • 相談・苦情対応の体制を整える

賃金や労働条件については、日本人従業員と比べて不当に低い水準にすることは認められていません。また、生活オリエンテーションや行政手続きの補助など、就労以外の支援も必要になります。

外国人整備士を採用するメリット

外国人採用の最大のメリットは、人手不足の解消につながる点です。

特に特定技能人材は、一定の試験をクリアしているため、現場での実務に対応できる人材として期待できます。採用後すぐに業務に入れるケースも少なくありません。

また、若手人材を確保しやすい点もメリットです。年齢構成のバランスが改善され、組織の持続性にもつながります。

さらに、多様なバックグラウンドを持つ人材が加わることで、職場の雰囲気やコミュニケーションに変化が生まれるケースもあります。

外国人採用の注意点・課題

一方で、事前に理解しておきたい課題もあります。

まず、日本語能力には個人差があるため、専門用語や現場指示の理解に時間がかかる場合があります。教育体制や指導方法の工夫が必要です。

また、特定技能の試験は決して簡単ではなく、合格率も高いとはいえません。そのため、採用までに時間がかかる可能性もあります。

文化や価値観の違いによるコミュニケーションのズレも起こりやすいため、現場全体で受け入れる意識づくりが重要です。

外国人採用を成功させるポイント

外国人採用を成功させるためには、制度の理解だけでなく、受け入れ体制の整備が欠かせません。

例えば、業務内容を明確にし、段階的に教える仕組みを整えることで、早期の戦力化につながります。

また、日本語教育や生活サポートを行うことで、職場への定着率を高めることができます。

初めて外国人採用を行う場合は、登録支援機関や専門会社を活用することで、手続きや運用の負担を軽減しながら進めることも有効です。

まとめ

自動車整備分野では、特定技能や技能実習を活用することで外国人採用が可能です。なかでも、即戦力を求める場合は特定技能の活用が現実的といえます。

一方で、制度の違いや企業側の義務を十分に理解せずに進めてしまうと、運用面で負担が大きくなる可能性もあります。

人手不足が続くなか、外国人材の活用は有効な選択肢の一つです。自社の状況に合った制度を選び、無理のない体制を整えながら進めていくことが大切です。

参考:

自動車整備業における外国人技能実習生の受入れガイドブック
自動車整備分野特定技能評価試験の実施状況
令和2年度 第7回 自動車整備分野特定技能協議会 議事概要
自動車整備分野における外国人の受入れ (在留資格:特定技能)

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